1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 21:57:48 ID:1crv2fF6
休暇日 朝
食堂
マルコ「やあ、ジャン。今起きたのかい?」
ジャン「ああ。マルコは休みなのに早いな」
マルコ「慣れかな。目が覚めちゃうんだ」
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 21:58:22 ID:1crv2fF6
ジャン「そんなもんか。ところで……」
マルコ「ミカサならいないよ」
ジャン「ばっ、違ぇよ。最近、休暇日の夜は人が少なくないかって聞こうとしたんだよ」
マルコ「あぁ、そうだね。ミカサもいないしね」
ジャン「ミカサのことはいいんだよ」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:00:20 ID:1crv2fF6
マルコ「でも、そうか。ジャンは知らなかったんだね」
ジャン「何か知ってるのか?」
マルコ「知りたければ、市場の夕市に行って見ると良いよ」
ジャン「夕市って、晩飯とか売ってるところだろ?」
ジャン「いないやつら、全員あそこで飯食ってんのか?」
マルコ「行ってみれば分かるよ、ベントー売り場に」
ジャン「ベン・トー?」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:00:56 ID:1crv2fF6
市場 夕方
ジャン(ベントーってあれだろ? )
ジャン(ガキのころに、バスケットにパン入れて、お袋に持たされた奴だろ)
ジャン(そんなもん、わざわざ買いに行くほどのものか?)
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:01:39 ID:1crv2fF6
ワイワイ ガヤガヤ
ジャン(おっと、ここか)
ジャン(確かに、見慣れた顔がチラホラあるけど、全員弁当売り場から離れてるぞ?)
ジャン(ミーナもいるな。あいつはキョロキョロしてる)
ジャン「お前も飯買いにきたのか?」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:02:34 ID:1crv2fF6
ミーナ「あ、ジャンだ。最近ね、アニが美味しそうなお弁当食べてるから、気になって着てみたんだ」
ジャン「アニもか。案外、愛好者が多いな」
ミーナ「クリスタとかユミルも、たまに食べてるみたい。そんなに美味しいのかな」
ジャン「これが、その弁当か。思ってたのと違うな」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:03:24 ID:1crv2fF6
ミーナ「1つずつ残ってるけど、全部種類が違うんだね」
ジャン「何々?
”肉を喰らえ!他には何もいらない!骨付き肉セット”
”たかが芋、されど芋、芋を侮るな!芋の限界に挑むポテト詰め合わせ5種”
”肉と野菜をパンで挟む。これで全てだ。これが《全て》だ!ジューシーハンバーガー”」
ジャン(名前が長えよ)
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:04:04 ID:1crv2fF6
ジャン「しかし、結構うまそうだな」
ミーナ「独身の人なんかは、結構買っていくみたいだね」
ジャン「このリボンは何だ?」
ミーナ「張り紙に書いてあるよ」
ミーナ「白色のリボンがついてるのは三割引で買えるんだって、お得だね!」
ジャン「手にとって、よく見てみるか。芋5種ってどんなのなんだ」スッ
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:09:54 ID:1crv2fF6
ミーナ「ポテトサラダ、煮っ転がし、芋餅、ポテトフライ、大学芋。本当に芋だけだね」
ジャン「芋ばっかりは、流石にちょっとキツいな。戻すか」ソッ
ジャン(ん? 隣に人が? )
ブタ オオカミ
マルコ「ジャン、君は家畜か? 餓狼か?」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:10:30 ID:1crv2fF6
ジャン「な、何いってんだ?」
オオカミ
ユミル「餓狼は生きろ」ガッ
ブタ
アニ 「家畜は死ね」ゴスッ
ジャン(な…に、が……? )
ミーナ「」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:11:10 ID:1crv2fF6
~~
ジャン「がっ…!」
ハンジ「目が覚めたね?」
ジャン「頭が痛え、何だったんだ……?」
ジャン「ここは……」
ハンジ「市場の裏口だよ」
ジャン「あ、あなたは!?」
ハンジ「ハンジ・ゾエ。調査兵団の分隊長。ちょっと場所を借りて寝かせてたんだ」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:11:43 ID:1crv2fF6
ジャン「じ、自分は、ジャン・キルシュタイン訓練兵であります!」
ハンジ「あ、そういうのはいいよ。今は、私も君も休暇中だしさ」
ジャン「は、はぁ。あの、なんで自分は市場で寝てたんでしょうか?」
ハンジ「君たち、手にとったお弁当を、また陳列棚に戻したでしょう。だからさ」
ハンジ「君たち……あ、そうだ。ミーナは」
ハンジ「連れの子なら、まだ寝てるよ」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:12:25 ID:1crv2fF6
ミーナ「うーん……エル×リヴァ…」
ハンジ「何か不穏な寝言を呟いてるけど」
ジャン「それよりも、俺たちが寝ていた理由がわかるんですか?」
ブタ
ハンジ「君たちが、家畜だからさ」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:13:34 ID:1crv2fF6
ジャン「その言葉、あの時、マルコがいつの間にか横にいて……」
ジャン「そうだ。その後殴られて、確かユミルとアニだった」
ハンジ「へぇ、あれが見えたんだ。目が良いね」
ブタ オオカミ
ジャン「教えてください、家畜とか餓狼って何ですか!?」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:14:16 ID:1crv2fF6
ハンジ「私も含めた餓狼は、半額弁当を得るために戦っているんだよ」
ジャン「……?」
ハンジ「古くは騎士とも呼ばれていたらしいけど、今は餓狼として定着し」
ジャン「ちょ、ちょっと待ってください!俺たちは、半額弁当の為に殴られたんですか!?」
ハンジ「君たちが殴られたのは、家畜だから。礼儀を持たず誇りも懸けない者の蔑称だよ」
ジャン「……?」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:15:03 ID:1crv2fF6
ジャン「……?」
ミーナ「…豚小屋…ぃん…家畜ぃか……です」ムニャムニャ
ハンジ「色々あるけどね。
・神が売場から消える前に駆けるなかれ
・その夜に己が食す以上に狩るなかれ
でも、一番大切なのは、”礼儀を持ちて誇りを懸けよ”」
ハンジ「それが出来ないものは、家畜だよ」
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:15:36 ID:1crv2fF6
ジャン「礼儀と誇り……」
ハンジ「干し芋をあげるから、連れの子が起きたら、分けて食べなさい」
ジャン「……ありがとう、ございます」
ハンジ「もし、これに懲りなかったら、次の休暇日も来てごらん。もう少し教えてあげるよ」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:17:02 ID:1crv2fF6
次の特別休暇日
食堂
ジャン「マルコ、俺は今日も夕市に行くつもりだ」
マルコ「そうか。君も、餓狼になるんだね」
ジャン「まだ、よく分かんねえけどな」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:17:35 ID:1crv2fF6
マルコ「じゃあ、一つだけアドバイスだ。敬礼の意味は覚えてるよね?」
ジャン「あぁ、心臓を捧げるんだろ。コニーが間違えた奴だ」
マルコ「そう。僕らは公に心臓を捧げた身だ」
マルコ「けれど、胃袋までは、捧げていない」
ジャン「お、おう」ゾク
ジャン(なんだ、この迫力)
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:18:07 ID:1crv2fF6
マルコ「それだけ覚えててくれれば、そのうち弁当も取れるんじゃないかな」
ジャン「マルコは行かないのか?」
マルコ「今日は、腹の虫が鳴かないからね」
ジャン「……?」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:18:42 ID:1crv2fF6
夕市
ジャン(ついたぜ。弁当売り場)
ジャン(前回、失敗したからな、遠くから様子を見よう)
ユミル「ヨメニナレー」ハハハ
クリスタ「ユミルッタラー」フフフ
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:19:14 ID:1crv2fF6
ジャン(ユミルとクリスタだ。あのアマ、この間は思い切りぶん殴りやがって)
ジャン(弁当売り場まで来たな。通り過ぎるのか? )
ユミル「……」ギラ
クリスタ「……」ギラ
ジャン(怖え。目が本気だ)
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:19:57 ID:1crv2fF6
クリスタ「角煮スペシャル」スタスタ
ユミル「ふんわりオムレツ」テクテク
ジャン(何だ…? 俺も見に行ってみるか)
ジャン(さっきの二人みたいに、横目でチラっと見ればいいんだな)
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:20:33 ID:1crv2fF6
ジャン(今日の弁当は、二つ。既に3割引の白いリボンが巻いてある。
”雲みたいにふ~わふわ。蜂蜜みたいにとろ~り。天使のふんわりオムレツ♪”
”食べろ!そして生きろッ!転がり落ちる岩のようにッ!ロックンロール角煮スペシャル”
ジャン(テンションの落差が激し過ぎる)
ジャン(さっきの二人は、自分の獲物を明かして、かち合わなければ、協力するって意思表示か)
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:25:11 ID:1crv2fF6
ジャン(今の角煮、岩と名乗るだけはあるぜ、すごい肉の塊だ)ジュルリ
ジャン(近過ぎるところにいると、また殴られそうだ。さっきのところに戻ろう)
ジャン「ん?」
ハンジ「やぁ、やっぱり来たね」
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:25:48 ID:1crv2fF6
ミーナ「ジャンも来てたんだ」
ジャン「ハンジさん、とミーナ」
ハンジ「さっき、そこでばったり会ってね。つい話し込んじゃったよ」
ミーナ「ジャンは、今日もお弁当を?」
ジャン「あぁ、この間は、よく分からないまま殴られて終わったからな」
ジャン「このまま引き下がれねえ」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:26:22 ID:1crv2fF6
ハンジ「意気込みは買うけど、あまり気追わないほうがいい」
ハンジ「腹の虫の加護が得られない」
ミーナ「はらのむし?」
ジャン(今日、マルコも言ってたな)
ジャン「腹の虫って何ですか?」
ハンジ「そうだねぇ。君たち、兵舎の食堂のご飯は美味しいかい?」
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:27:09 ID:1crv2fF6
ミーナ「いやぁ、あれはお世辞にも」
ジャン「美味いとは言えないです」
ハンジ「でも、営舎10周しないとご飯抜き、って言われたら?」
ミーナ「10周走ります」
ハンジ「そう、あんな食事でも、営舎10周分の活力にはなるんだよ」
ミーナ「もしそれが、美味しい弁当なら!」
ハンジ「そういうことさ。なに、参加すれば、実感できるよ」
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:27:39 ID:1crv2fF6
ギィ バタン
ハンジ「来たよ、半額神だ」
ミーナ「神様?」
ハンジ「売れ切れそうか、売れ残りそうか、そのギリギリのバランスを見極める神さ」
ジャン「手に持っているのは、赤いリボン」
ハンジ「あれが、半額の証だ」
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:28:11 ID:1crv2fF6
ミーナ「残ってるお弁当2つとも、結んでますね」
ジャン「”神が売場から消える前に駆けるなかれ”か」
ハンジ「よく覚えていたね、神が消えてからが、勝負だよ」
ミーナ「神様が、戻っていきます」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:29:03 ID:1crv2fF6
ギィ
ハンジ「需要と供給の狭間、その僅かなクロスポイントを、駆ける者達」
バタン
オオカミ
ハンジ「それが、餓狼だ」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:30:10 ID:1crv2fF6
ドドドドド
ジャン(地鳴り? 違う、餓狼の足音だ!)
ミーナ「すごい……」
ハンジ「君達は初戦だ。腹の虫の加護も弱い」
ハンジ「怪我をしないようにだけ、気をつけなさい」
ミーナ「ハンジさん、すごい勢いで行っちゃった。もう殴り合いしてる」バキ ドカッ
ジャン(何で、立体起動もつけてない人間が、何メートルも飛び上がったり出来るんだ!?)
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:30:50 ID:1crv2fF6
ミーナ「ジャンは、どうする?」
ジャン「俺は……」
ジャン(たかが飯だ。怪我をしてまで欲しがるもんじゃねえ)
ジャン(あの肉の塊は、ちょっと惜しいが……)グゥ
ジャン(思い返しても、あの角煮、美味そうだったなぁ)グゥゥ
ジャン(まぶたに浮かんで、消えねえぞ!)グゥゥゥ
ジャン「俺は、行く!」
ミーナ「ジャン!?」
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:31:28 ID:1crv2fF6
ジャン「うおおおお」
ハンジ「来たね!」
ジャン(こいつら、マジで殴り合いしてる。男も女も関係ない)
ハンジ「私は、オムライスだよ」
ジャン「自分は、角煮です!」
ハンジ「」ニッ
ジャン「」ニッ
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:32:08 ID:1crv2fF6
ジャン(走った勢いを乗せて、ハンジさんの横にいる男を蹴り飛ばす!)ゴス
ジャン(壁まで吹っ飛んだ!? )
ハンジ「腹の虫の加護を得たようだね」
ジャン「これが…」
ハンジ「しかし、それは周りも同じことだ。気を抜かないようにね!」バキ
ジャン「絶対に、食ってやる!」ドンッ
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:32:55 ID:1crv2fF6
~
ジャン(人数が多いぞ!全員倒さないと、弁当に手が届かない!)ハァハァ
—-ッ!
ジャン(何だ!? 空気が変わった……? )ハァハァ
ハンジ「まさか……」キョロキョロ
ジャン(あそこを歩いてるのは、芋女? )
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:33:31 ID:1crv2fF6
サシャ「パァン…」ブツブツ
ハンジ「腹が減りすぎて正気を失ってる!大猪だ!」
オオジシ
ジャン「なんですか、大猪って」
ハンジ「誇りも礼節も持たない家畜だけど、餓狼にも匹敵しうる力を持つものをそう呼ぶんだ」
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:34:20 ID:1crv2fF6
ジャン「強いんですか?」
ハンジ「私は、前に腕を食いちぎられそうになった」
ジャン「」ゾォ
ハンジ「何よりも恐ろしいのは、大猪が通った後に、弁当が残らないことだ」
ジャン「残らないって……」
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:35:05 ID:1crv2fF6
ハンジ「腕に食いつかれたとき、お弁当は7つもあったんだ」
ハンジ「でも、痛みに腕を振り解いて、次に見たときにはもう、ひとつも残って無かった」
ジャン「ハンジさん、急いで止めないと!」
ハンジ「力で、どうこうなる相手じゃないんだよ。残念だけど」
ジャン「そんな……!」
40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:39:21 ID:1crv2fF6
ライナー「俺達が時間を稼ぐ!」
ベルトルト「ライナー、やるんだな!? 今ここで!」
ジャン(ライナーとベルトルト!?いたのか!)
41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:39:52 ID:1crv2fF6
ライナー「うおおおおおおお」
ジャン(何だ? ライナーが…甲殻に包まれてる…?」
ベルトルト「どりゃあああああ」
ジャン(ベルトルトの体が、光ったと思ったら、大きく膨らんでいる…!)
42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:40:31 ID:1crv2fF6
ガツ!、ガツン!
サシャ「パァ…ン?」
ジャン(二人掛りで、サシャを押さえつけている!)
ハンジ「二つ名持ちがいたか!」
ジャン「二つ名?」
ハンジ「”仮面”ライナーと、”光の巨体”ベルトラマンだよ」
43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:41:01 ID:1crv2fF6
ジャン「体が変形してますけど、あれも虫の加護ですか!?」
ハンジ「分からないけど、個人差じゃないかな」
ジャン「そうですか」ナットク
44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:41:32 ID:1crv2fF6
サシャ「パァン……?」
グパァァァ
ベルトルト「おいおい、人間の口が、こんなに開くのかよ」ドンビキ
ライナー「俺達が、言えた義理じゃないさ」
45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:42:11 ID:1crv2fF6
サシャ「」スゥ…
ズプン
ハンジ「消えた!?」
ジャン「いえ、二人を通り抜けてます!」
ライナー「マ、マジかよ」
ベルトルト「まさか、体を食われるなんて…」
46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:42:45 ID:1crv2fF6
ジャン(一瞬しか見えなかったが、頭から、二人に突っ込んで)
ジャン(口に入るものを喰い散らかして、体ごと突き抜けた!)ブルッ
アニ「あんたら、大丈夫かい?」
ライナー「ああ、何とかな」
ベルトルト「持っていかれたのは、増えた部分だけだ」
47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:43:17 ID:1crv2fF6
サシャ「パァン…?」クンクン
ハンジ「べ、弁当を、死守するんだ!」
ザワザワ
(無理だ……)(あんなの、勝てっこない)
ザワザワザワ
(今のうちに、逃げたほうが……)
ザワザワザワザワ
(俺、弁当食うために、食われたくねえよ……)
48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:43:50 ID:1crv2fF6
ジャン(戦うことが怖いんだ、戦うことを拒否している…!)
ジャン(こうなったら、俺がやるしか!)グッ
「真正面からぶつかる必要は無い」ズバン
サシャ「パ?」グラリ
49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:44:23 ID:1crv2fF6
ハンジ「今の動き……まさか!」
「コイツは、本能で食い物を求めてるだけだ」
「もっと早くの段階で、体の向きを変えてやれば、どこか違うところに誘導できた」
ハンジ「リヴァイ!」
50 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:48:05 ID:1crv2fF6
ジャン(リヴァイ…!人類最強の!? )
リヴァイ「今回は、対処が遅すぎたな」
サシャ「パァ……ン」フラフラ
リヴァイ「これは持論だが」ガン
サシャ「うぐ」
リヴァイ「躾に一番効くのは痛みだと思う」グググ
51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:48:44 ID:1crv2fF6
サシャ「う、ううう。お腹が痛いです…」
ジャン(芋女が正気に戻った!)
リヴァイ「メガネの横にいるお前」
ジャン「は、はい!」
リヴァイ「はやく弁当をとっちまえ」
ジャン「は、はい!」ダッ
52 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:54:41 ID:1crv2fF6
ジャン(皆、あっけに取られて動けねえ!)
ジャン(そうでなくても、食われる恐怖に支配されていたんだ)
ジャン(俺が、一歩先に角煮弁当を頂く!)
53 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:55:26 ID:1crv2fF6
ジャン(あと3歩!)
ジャン(2歩!)
ジャン(いチ)ガン
クリスタ「ごめんね、ジャン」
ユミル「悪ぃな、これは私らのだ」
ジャン(そん、な……)ドサ
54 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:55:59 ID:1crv2fF6
~
ハンジ「漁夫の利を持っていかれちゃったね」
ジャン(あと少し、だったのに……)
ハンジ「弁当を手に取ったものが勝者だ」
ジャン「オレは……次こそ弁当を獲る」
ハンジ「そうだね」クスッ
55 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:56:32 ID:1crv2fF6
リヴァイ「クソメガネ、弁当を食い損ねたぞ。奢れ」
ハンジ「ちょっ、私のせいじゃないでしょう!?」
リヴァイ「そこのガキにだ」チッ
ハンジ「……そうだね」ニッ
56 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 22:57:02 ID:1crv2fF6
ハンジ「ジャン、ご飯を食べに行こう」
ジャン「……はい」
ハンジ「安くて美味しい麺屋さんがあるんだ。うどんって知ってる?」
ミーナ「私も行っても、いいですか? もちろん、自分で払いますから!」
ハンジ「いいよ!一緒に行こう!みんなリヴァイの奢りだ!」ヤホーイ
57 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 23:02:38 ID:1crv2fF6
リヴァイ「おいコラ、クソメガネ。何言ってやがる」
ハンジ「皆ついでおいでー」
ミーナ「…あの、ちゃんと、自分で払いますから」オズオズ
リヴァイ「ガキが金の心配をするな。ついてこい」
ジャン(カッコイイ…)
ミーナ(カッコイイ…)
58 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/25(火) 23:04:15 ID:1crv2fF6
二人は、この日から半額弁当を巡る戦いに身を投じるようになる。
ジャンが弁当を手にするのは、もう少し後の話。
ミーナ「そういえば、サシャが倒れたままだけど大丈夫かな?」
ハンジ「干し芋おいてきたから、大丈夫じゃないかな?」
(つづく)
62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:35:49 ID:qZ972rIU
休暇日 朝
ジャン「よう、マルコ」
マルコ「おはよう、ジャン。今日は早いね」
ジャン「たまにはな」
マルコ「それで? 何か聞きたいことがあるんだろう?」
ジャン「すげぇな、お見通しか」
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:36:21 ID:qZ972rIU
マルコ「休暇日の朝だから、もしかして、と思ってね」
ジャン「この間、ライナーとベルトルトが、”二つ名”持ちって呼ばれてた」
ジャン「”二つ名”って何だ?」
マルコ「あの二人に出会ったんだね。驚いたろう」
ジャン「いきなり変身したからな。腹の虫ってのは底が知れないぜ」
64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:36:56 ID:qZ972rIU
マルコ「”二つ名”って言うのは、夕市でのあだ名みたいなものさ」
ジャン「確かに、体の特徴を捉えた名前だったな、仮面ライナーとベルトラマンだったか」
マルコ「ベルトルトは、”光の巨体”が二つ名なんだけどね」
マルコ「どうしてか名前の方も変わっちゃったんだ」
ジャン「他にも二つ名持ちはいるのか?」
65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:37:33 ID:qZ972rIU
マルコ「沢山いるよ。一番有名なのは、”人類最強”リヴァイ兵長かな」
ジャン(リヴァイ兵長……他の餓狼とは、実力が桁違いだった)
マルコ「それに、ジャン」
ジャン「オレ?」
66 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:38:09 ID:qZ972rIU
・・・
マルコ「君以外の訓練兵団、上位成績者は、全員二つ名持ちだ」
ジャン「」
ジャン(冗談じゃねえぞ、いつのまに、そんなことになってんだ)
67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:38:51 ID:qZ972rIU
ジャン「……ミカサは、何て二つ名なんだ?」
マルコ「彼女は必ずチームを組んで参戦する。主にエレンと一緒だね」
ジャン(死に急ぎ野郎がぁ……)ギギギ
ウォールマリア
マルコ「二つ名は、”壁の乙女”」
ジャン「縁起が悪くねえか?」
68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:39:35 ID:qZ972rIU
マルコ「弁当を二の次でエレンを守ろうとするから、いつの間にかね」
ジャン「死に急ぎ野郎は?」
マルコ「ミカサという茨の壁に守られる”いばら姫”って呼ばれてるよ。蔑称さ」
ジャン「ははっ。そいつは傑作じゃねえか」
マルコ「良くも悪くも、二つ名は、目立つ人間につくものだからね」
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:40:36 ID:qZ972rIU
ジャン「必ずしも、強い奴に付くわけじゃねえのか」
マルコ「主席のミカサも、ペアの時なら、付け入る隙は結構あるもんだよ」
ジャン「他にあと5人もいるのか」
ジャン(サシャは餓狼じゃなくて、大猪だったが)
ジャン「そんだけいるにしては、夕市で見かけない奴が結構いるな」
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:41:18 ID:qZ972rIU
マルコ「夕市は一つだけじゃないからね」
マルコ「その時々で狩場を変える人もいれば、一箇所に住み着くこともある」
ジャン(今度、違う夕市に行って見るか・・・)
マルコ「ミカサ達は、マダムの店に良く行ってるらしいよ」
ジャン「マダム?」
マルコ「半額神の愛称さ。トロスト・マムの店って聞いたこと無いかい?」
ジャン「いや、知らないな」
71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:56:40 ID:qZ972rIU
ミーナ「はい!私、知ってます!」
ジャン「ミーナ!?」
ミーナ「私が案内するよ」
ジャン「いつから居たんだよ」
ミーナ「割と最初のほうから」ヘヘヘ
ジャン「普通に声かけて来いよ」
72 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:57:15 ID:qZ972rIU
ミーナ「次からはそうするよ。」
ジャン「そうしてくれ。じゃあマダムの店に行って見るか」
マルコ「隙はあると言ったけど、手ごわいことに変わりは無いよ」
ジャン「分かっているさ。骨身に染みて、な」
73 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:57:45 ID:qZ972rIU
夕方
市場「トロスト・マム」
ジャン(さぁて、今日はミカサもいるはずだ)ワクワク
ジャン(忌々しいことに、死に急ぎ野郎も一緒だろうけどな)
ジャン(まずは、弁当売り場に下見だ)
74 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:58:27 ID:qZ972rIU
ミーナ「あ、ハンジさんだ」
ハンジ「あれ? 今日はこっちなんだ」
リヴァイ「お前か」
ジャン「り、リヴァイ兵長!?」ビシ!
ミーナ「!」ビシ!
リヴァイ「敬礼はいらん。俺もメガネも勤務時間外だ」
75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:59:09 ID:qZ972rIU
ハンジ「今日はどうしてこっちに来たんだい?」
ミーナ「他にも夕市があるって聞いたんで、ここに」
リヴァイ「ろくに弁当を取れ無いうちから、あちこち行くのは関心しない」
ジャン「は、はい」
ハンジ「今の君は、家畜ではないけど、餓狼でもない」
リヴァイ「そういう奴らは、犬と呼ばれる」
ミーナ「犬、ですか」
76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 22:59:45 ID:qZ972rIU
ハンジ「なぁに、実力を見せてやれば、そんなことをいう奴もいなくなるさ」
ハンジ「二つ名がついたりするかもね」ニヤッ
ミーナ「そういえば、リヴァイ兵長も、二つ名付いてますよね?」
ハンジ「知ってるんだ? ”人類最強”」
リヴァイ「くだらねぇ」チッ
77 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:00:23 ID:qZ972rIU
ハンジ「カッコいいでしょう!私が付けてあげたんだよ」
リヴァイ「おいメガネ、お前にもあるだろう。立派なのが」
ジャン「ハンジさんも二つ名が?」
ハンジ「……」
リヴァイ「”奇行種”」
78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:01:07 ID:qZ972rIU
ハンジ「……」ポロポロ
リヴァイ「俺の二つ名が余りにも酷えから、クソメガネにも付けてやったんだ」
ミーナ(意外と大人気ない)
ハンジ「お弁当、見に行こうか」ポロポロ
ジャン「ええ」
ミーナ(気まずい)
79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:01:49 ID:qZ972rIU
リヴァイ「俺はもう見てきた。おい、ジャンって言ったか?」
ジャン「は、はい!」
リヴァイ「俺は、理由の無いことはしない」
ジャン「?」
ハンジ「行かないのー?」
ジャン「行きます!リヴァイ兵長、失礼します!」
ジャン(理由・・・…。弁当のことか?)
80 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:02:27 ID:qZ972rIU
ハンジ「今日は、結構残ってるみたいだね」
ミーナ「4つ、いえ、5つありますね」
ハンジ「……」チラ
ジャン「……」チラ
ミーナ「……」チラ
ジャン(今日の弁当は3種類、2種が2個ずつあるな)
”季節の野菜12品目弁当”
”チーズハンバーグ弁当”
81 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:02:58 ID:qZ972rIU
ジャン(1個だけ異様にデカイ。何だコレは…)
”超大型巨人弁当”
ミーナ(まさかの巨人のキャラ弁)
ジャン(他の二つはまともな分、ぶっ飛び具合がハンパないな)
82 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:04:12 ID:qZ972rIU
ジャン「俺はハンバーグ」
ミーナ「私は野菜」
ハンジ「」
ミーナ「……ハンジさん?」
ハンジ「え?何か言った?」
83 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:04:48 ID:qZ972rIU
ジャン「あの、俺はハンバーグにしますけど、ハンジさんは何を?」
ハンジ「何をって、それはもう…・…最高に滾るヤツをだよ!」
ジャン「」
ミーナ「」
ハンジ「」フーフー
84 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:05:28 ID:qZ972rIU
リヴァイ「そいつは巨人弁当だ」
ジャン 「ハンジさんは、どうしたんですか?」
リヴァイ「あの弁当は、無駄に造詣の出来が良いからな。興奮してるんだろ」
ミーナ 「ハンジさんは、巨人が好きなんですか?」
リヴァイ「憎んでいるそうだが、愛憎は表裏一体らしい」
ジャン 「すいません、良く分かりません」
リヴァイ「俺もわからん」
ハンジ 「ひどいなぁ」
85 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:08:29 ID:qZ972rIU
ジャン 「リヴァイ兵長は何を狙うんですか?」
リヴァイ「俺は季節の野菜弁当だ」
ハンジ 「もうオッサンだからね。脂っこいのはキツいんだよ」
リヴァイ「黙れ、”奇行種”」
86 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:09:19 ID:qZ972rIU
ジャン(かち合わずに済んだ……)
ジャン(他の餓狼は、誰か来てるのか?)キョロキョロ
ハンジ 「気になる?誰がいるのか」
ジャン 「はい、訓練兵も来ているそうなので」
リヴァイ「”壁”と”姫”がいるな、それと”猫”もだ」
87 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/26(水) 23:10:24 ID:qZ972rIU
ジャン 「ミカサとエレン! と誰だ?」
ハンジ 「知り合いかい?」
ジャン 「ええ、まぁ」
ハンジ 「訓練兵だと、”馬鹿”もいるね。坊主の子」
ミーナ (コニーだ)
92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:49:30 ID:wYrJzINU
ジャン 「ミーナは争奪戦に参加するのか?」
ミーナ 「うん!この間ね、ジャンとハンジさんが共闘してるのを見てて、何か良いな!って思ったの」
ジャン 「そのあと、芋女に荒らされたけどな」
ミーナ 「結果じゃなくてさ。そういう経験を、私もしてみたいんだよ」
93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:50:00 ID:wYrJzINU
ハンジ 「二つ名が無い餓狼も、沢山来てるみたいだ。巨人弁当とられないかなぁ」
リヴァイ「あんなもん、わざわざ狙うのはお前くらいだ」
ミーナ (せっかく作った人には悪いけど、あれは売れ残るよ)
ジャン (ミカサ……)
94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:52:19 ID:wYrJzINU
バタン
リヴァイ「きたぞ。半額神だ」
ミーナ 「やっぱり女の人なんですね」
ハンジ 「店主にして神、通称マダムさ」
ミーナ 「貫禄ありますね、これぞマダムって感じで」
95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:54:27 ID:wYrJzINU
マダム (……)ムー?
ミーナ 「あれ、リボンを結ばないですよ?」
マダム (……)スタスタ
バタン
96 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:55:03 ID:wYrJzINU
ミーナ 「何もしないで、戻って行っちゃった」
ハンジ 「……なんてことだ。弁当が残りすぎたんだ」
ジャン 「え?」
ミーナ 「半額にならないってことですか?」
ハンジ 「需要と供給のバランスが、合わなかったんだ」
ミーナ 「そんなぁ……」ガクリ
97 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:55:40 ID:wYrJzINU
リヴァイ「そういうことも、ある」
ジャン 「他の店に行きますか?」
ハンジ 「いや、もう少し待とう」
リヴァイ「神の判断が変わることに賭けるか」
98 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:56:29 ID:wYrJzINU
ジャン (? 誰か…陳列棚に近づいていく)
ダズ 「…………」
ミーナ 「……ダズだ」
ジャン 「まさか、あいつ、3割引で、妥協しようとしてるのか」
99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:57:12 ID:wYrJzINU
リヴァイ「……」チッ
ハンジ 「それが彼の判断なら、我々には止めようがない」
ダズ 「……」スッ
ミーナ 「手を出した…」
100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:57:42 ID:wYrJzINU
ジャン 「いや、まだだ。手にとってねえ」
ハンジ 「彼は今、自分と戦っている」
ダズ 「……ぅぅっ」プルプル
ミーナ 「がんばれ、自分に負けるな!」
101 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:58:14 ID:wYrJzINU
ジャン 「お前はそんなところで諦める奴じゃねえだろ!」
ダズ 「……っ」グッ
ミーナ 「涙流してる……」
ジャン 「耐えろ!耐えてくれ!」
102 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:58:50 ID:wYrJzINU
ダズ 「……」
ミーナ 「戻っていった!」
ジャン 「良くやった!お前は自分に、勝ったんだ!」
リヴァイ「……」フゥ
103 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 00:59:34 ID:wYrJzINU
ギィ
ジャン 「?」
ミーナ 「マダム?」
バタン
マダム(……)テクテク
104 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:00:08 ID:wYrJzINU
リヴァイ「あんなものを見せられたんだ。神も動かざるを得ない」
ハンジ 「彼の勇気が、奇跡を起こしたんだ」
マダム(……)ニコニコ
ミーナ「5つとも、赤いリボンが巻かれていく」
105 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:00:41 ID:wYrJzINU
ジャン「……長かった」
ハンジ「待っててね。超大型巨人弁当!」
ジャン(リヴァイ兵長が争奪戦に参加するのを見るのは、これが始めてだ)
ジャン(どんな戦い方をするんだろう)
106 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:01:12 ID:wYrJzINU
マダム(……)
バタン
ドドドド
ドドドドドドド
ドドドドド゙ドドドドド
107 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:01:43 ID:wYrJzINU
マダム(……)
バタン
ドドドド
ドドドドドドド
ドドドドド゙ドドドドド
108 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:02:53 ID:wYrJzINU
ミーナ 「この前よりも、迫力がある」
ハンジ 「みんな、さっきの彼を見て、腹の虫の加護が上がってるんだ」
ジャン 「ダズが先頭に抜け出した!」
ハンジ 「勇気ある彼か!」
リヴァイ「見事だった」シュッ
ジャン (兵長が消えた!?)
ハンジ 「上だよ」
109 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:03:45 ID:wYrJzINU
※今更ですが、トロスト・マムは築地のセリ市場のような壁の無い建物のイメージです。
ミーナ「すごく、高い」ポカン
ジャン「高すぎる。天井にぶつかる!」
110 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:04:16 ID:wYrJzINU
リヴァイ「見事だったが、勝負は別だ」クルン
ガッ
ジャン(反転して、天井を足蹴に急下降した!)
ダズ「」ズバン
ミーナ「うわ、痛そう」
ジャン(……首の付け根を一撃だ。あんなの食らったら、もう立てない)
111 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:05:08 ID:wYrJzINU
餓狼A「」
餓狼B「」
ジャン(先頭の足が止まった!)
ハンジ「いくぞお!」ウフフ
ハンジ「巨人弁当ぉ!ウヘヘヘ」クネクネ
餓狼C 「うわ、変な動きなのに速い!」バシーン
餓狼D 「走り方が気持ち悪い、けど速い!」バシーン
112 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:05:44 ID:wYrJzINU
餓狼A「させるk ぐわ!」バシーン
餓狼B「食r ゴフ!」バシーン
ミーナ(走ってるだけなのに、前を塞ぐ餓狼を弾き飛ばしてる!)
ジャン(キモいけど凄い)
113 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:06:14 ID:wYrJzINU
リヴァイ「意味の無いことはしない、と言っただろう」
ミーナ 「あれ? リヴァイ兵長」
ジャン 「さっきまで、ずっと前方にいたのに」
リヴァイ「アレの走り方は、奇行種に酷似している」
ミーナ 「あー」ナットク
ジャン 「なるほど」ナットク
114 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:06:56 ID:wYrJzINU
リヴァイ「俺はもう弁当を取った。お前らも最善を尽くせ」
ジャン (いつの間に)
ミーナ (凄い!)
ハンジ 「やったー!超大型巨人弁当とったぞー!」
ジャン (いつの間に!)
ミーナ (凄いけどキモい!)
115 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:07:46 ID:wYrJzINU
ジャン「弁当は残り3つだ。俺が取る!」ダッ
ミーナ「私も!」ダッ
ジャン(先頭集団に突っ込む!)
アニ「あんたら、調査兵団とつるんでるのか」ガッ
ミーナ「キャア!」
116 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:08:20 ID:wYrJzINU
ジャン「ミーナ!」
エレン「人の心配してる場合じゃないぜ!」ゴス
ジャン「うぐっ」
ジャン「出やがったな、死に急ぎ野郎!」ドカッ
ミカサ「エレンに危害を加えるものは、削ぐ!」バキッ
ジャン「ミカサ!」
117 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:09:06 ID:wYrJzINU
アニ「……」
アニ「この人数に、ミカサがいるんじゃ、分が悪いね」シュゥゥゥ
ジャン(蒸気!? いや、ライナーと同じ変身か!?)
エレン「最初から全力で来たな! ”キャッツ”アニ!」
ミーナ(”キャッツ”……リヴァイ兵長の言ってた”猫”は、アニだ!)
118 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:10:11 ID:wYrJzINU
ジャン(姿が変わったが……ライナーやベルトルト程じゃねぇ!)
ジャン(力で押せるか!?)
エレン「ミカサ、鳴かれる前に!」
ミカサ「ダメ、間に合わない!」
119 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:10:41 ID:wYrJzINU
アニ『ニ゙ャアアアアアアアアアアアア』
ジャン「な、何だ!?」
ミーナ「猫の鳴き声!?」
ニャー、ニャーニャー、ニャー
ミーナ「うわ、猫が、集まってきた!」
ジャン「アニが、鳴き声で呼んだのか!?」
120 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:11:16 ID:wYrJzINU
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
ミーナ「あっという間に、沢山……!」
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャー
121 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:11:47 ID:wYrJzINU
猫「」ジー
ジャン「」ゾク
猫「」ジー
ミーナ「猫に、見張られてる……」
122 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:12:18 ID:wYrJzINU
猫「」ジー
ミカサ「エレン、動いてはいけない。一気に襲われる」
猫「」ジー
エレン「前に、コニーが襲われてるのを見たからな、動けねえよ」
123 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:13:16 ID:wYrJzINU
猫「」ジー
コニー「ん? 誰も行かないのか?」ヒョコヒョコ
猫「ナァァァァゴ」
124 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:13:47 ID:wYrJzINU
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャー
コニー「ギャアアア!!」 ニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャーニャー、ニャーニャー、ニャー
エレン「コニィィィィ!!」
ジャン「馬鹿野郎!死に急ぎやがって!」
125 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:14:18 ID:wYrJzINU
アニ 「あんたらは猫がいなくなってから、精々がんばりなよ」ゲット
ミカサ「エレンのチーズハンバーグを奪う、泥棒猫め!」
ニャー、ニャーニャー、ニャー
ニャー、ニャー……
126 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:15:26 ID:wYrJzINU
ミーナ「アニと一緒に、猫が帰っていくよ」
ジャン「クソ!あと2個しかねえ!」ダッ
エレン「させねえよ!」ガン!
ジャン「邪魔するんじゃねえ!」ブン!
127 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:16:46 ID:wYrJzINU
ミカサ「エレンのチーズハンバーグは渡さない!」ブォン
ジャン(例えミカサだろうと!)
ジャン「ミーナ!行け!」
ジャン「この場では、腹の虫の加護を得たものが強者!」
ミーナ「エレンの為だけに戦ってる人には、負けないよ!」ゲシッ
128 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:17:18 ID:wYrJzINU
ミカサ「」フンッ
ミーナ「え?」バチンッ
ドカッ
ジャン「腹に攻撃したミーナが、逆に吹っ飛ばされた!?」
ミーナ「」チーン
129 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:18:02 ID:wYrJzINU
ミカサ「勘違いされては困る」
エレン「ミカサは、尋常じゃない腹筋を維持する為に、弁当を争奪に来ているんだ!」
ミカサ「……///」
ジャン「そんな、まさか…!?」
ミカサ「腹の虫の加護は、人一倍受けている」
ジャン「クソ!」ダッ
130 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:18:39 ID:wYrJzINU
ミカサ「させない!」ダッ
エレン「!? ミカサ!足元だ!」
ミカサ「分かった!ジャンの足元を攻撃する!」
ジャン(避けるのが間に合わねえ!)
エレン「違う!お前の足元に、コニーがいる!」
ミカサ「!?」
131 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:19:30 ID:wYrJzINU
コニー「あー、酷え目にあった」ヒョコッ
ミカサ(回避が、間に合わないっ)
コニー「お、まだ弁当あるじゃん!」フラフラ-
ミカサ「仕方ない!足場にさせてもらう!」
コニー「ギャアアア!」ベシン
エレン「コニィィィイイ!」
132 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:20:03 ID:wYrJzINU
ジャン(ミカサがコニーを蹴飛ばして低く跳んだ!弁当の陳列棚にぶつかるぞ!)
ミカサ「くっ、体制が崩れた!」ズザッ
ジャン(持ち直したか……いや)
エレン「ミカサ……右手を見ろ!」
ミカサ「?……これは……」
133 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:20:33 ID:wYrJzINU
ジャン(ミカサは、いきなり出てきたコニーを蹴飛ばして、方向も決めずに跳んだ。
蹴り具合が良かったのか、かなりの距離を移動した。
そして、体制を崩し、思わず側にあったものを掴んだ)
ミカサ「……”季節の野菜12品目弁当”」
134 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:21:13 ID:wYrJzINU
ジャン(餓狼の誇りに懸けて、ミカサは争奪戦に参加することが出来ない!)
ジャン「この勝負、貰った!」
エレン「俺を忘れてんじゃねえぞ!」バキィ
ジャン「死に急ぎが!丁度良い、潰してやるよ!」ドカァ
135 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:21:44 ID:wYrJzINU
ミカサ「エレン!」
エレン「ミカサ!お前は手を出すな!餓狼の誇りを忘れたのか!」
ミカサ「違う!他の餓狼達が後ろから……!」
ドドドドドド
ジャン(ハンジさんと、アニの猫にやられてた奴らが復活したか!)
136 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:22:37 ID:wYrJzINU
ジャン「……チッ」ダッ
エレン「逃げるのか!」ダッ
ジャン「お前の相手なんか、してらんねぇんだよ!」
ジャン(弁当は、残り一個しかない! 手に入れるのは、俺だ!)
エレン「俺が先に手に入れてやる!」
137 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:23:21 ID:wYrJzINU
ミカサ(二人が同時に陳列棚に到着した!)
ジャン(身長の差が出たな!俺のほうが腕が長い!)
エレン(くっ!指一本分、届かない!)
ジャン(よし、貰った・・・!)ニヤッ
138 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:23:52 ID:wYrJzINU
エレン(畜生! 俺はこんなところで……!)
カッ!!
ジャン「な……?」
ミカサ「エレンの腕が!?」
エレン「なんだ、これ……」
ジャン「巨大化した」
ジャン(こいつも変身するのか!? アニ達みたいに)
139 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:24:51 ID:wYrJzINU
ジャン(……弁当は!?)
ジャン(陳列棚に、無い!まさか!?)
エレン「俺の勝ちみたいだな」ニヤリ
ジャン「ぐ……」
ジャン(片腕だけ巨大化した、その指先に、ちゃっかり弁当をつまんでやがる)
140 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:25:28 ID:wYrJzINU
ミカサ「エレン!」
エレン「ミカサ、悪いけど、指先から弁当とってくれ。動かせないんだ」
ミカサ「分かった。腕は……?」
エレン「巨大化した腕の中に、元の腕がある。無理やり引っ張れば、取れそうだ」シュウウ
ミカサ「お弁当は取った。巨大化した部分も、すぐに消えていくみたい」
エレン「ベルトラマンと、同じ種類の腹の虫の加護なのか?」
ミカサ「わからない。戻ってアルミンに相談してみよう」
141 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:25:58 ID:wYrJzINU
ジャン (……あいつらも分かってねえのか)
ハンジ 「いやぁ、惜しかったねえ」
ジャン 「……いいえ、アイツの方が腹の虫の加護を得ていた。それだけです」
リヴァイ「わかってるなら良い。いくぞ」
ジャン 「あの、どこへ?」
142 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:26:36 ID:wYrJzINU
ハンジ 「私の巨人弁当、大きすぎて食べきれないから、一緒に食べよう」
ジャン 「あの。オレは……」
ハンジ 「いいからいいから、ほら、ミーナも起こしてつれてきて!」
ジャン 「は、はい」
147 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:34:48 ID:iW9lnP2M
調査兵団 詰め所
ハンジ 「君達の教官には、私とリヴァイから言ってあるから、帰りが遅くても大丈夫だよ」
ミーナ 「お二人は凄いですね。あっという間にお弁当手に入れて。私なんか全然でした」
ハンジ 「最初のころは、誰でもそうさ」
リヴァイ「クソメガネも、最初はお前らよりも酷かった」
ミーナ 「そうなんですか?」
148 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:35:22 ID:iW9lnP2M
ハンジ 「その話はともかく!お弁当食べようよ!」ドシン
ミーナ 「は、はい。それにしても、随分ずっしりしてますね」
ジャン 「超大型巨人が、壁から顔を出してるところがモチーフか」
ミーナ 「壁はパンで作ってありますね」
ハンジ 「巨人は、いろんな種類の肉を組み合わせてあるみたいだ」
149 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:36:01 ID:iW9lnP2M
ミーナ 「ひぃ!」
ジャン 「どうした?」
ミーナ 「今、巨人の目が動いたような……」
ジャン 「んなわけねえだろ。巨人に怯えすぎだ」
150 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:36:34 ID:iW9lnP2M
ジャン 「ん?なんだこの紙……」
“お召し上がりの際は、水平に設置して紐を引いてください”
ミーナ 「どういうこと?」
ハンジ 「やってみよう」ピッ
ブシュウウウウウ
モクモク
151 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:37:04 ID:iW9lnP2M
ジャン 「うぉ!?」
ミーナ 「なにこれ!」
弁当巨人「」グググ
リヴァイ「!」ガタッ
ジャン 「巨人が!?」ガタッ
ミーナ 「動いた!?」ガタッ
ハンジ 「まさかっ!?」ガタッ
152 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:37:34 ID:iW9lnP2M
ミーナ 「肉の巨人がパンの壁を越えようとしています!」
ジャン 「どうなってるんだ……?」
ハンジ 「ねえ、触っても良い!?いいよねえ!?いいでしょう!?」
ジャン 「危ないですよ!?」
ジュウウ
ハンジ 「これ!!すッッげぇ熱いッ!!」
ジャン 「行き急ぎすぎですよ!」
153 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:38:04 ID:iW9lnP2M
ハンジ 「でも、わかった!生石灰だ!」
ミーナ 「なんですか、それ?」
リヴァイ「生石灰は、水と反応して急激に熱を発生する」
ジャン 「最初の蒸気は、それですか」
ミーナ 「巨人が壁を越えるように動いたのは、どうしてですか?」
ハンジ 「弁当箱の下に紙袋が仕込んであって、蒸気がそこに逃げるように作ってあるんだ」
154 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:39:06 ID:iW9lnP2M
ミーナ 「あ、蒸気で紙袋が膨らんだから……!」
ハンジ 「中底を押し上げて、巨人の顔が持ち上がるって寸法だよ」
ジャン 「パンの側の底板は固定してあるから、巨人だけ持ち上がるんですね」
ハンジ 「それに、巨人の眼球はバターで出来てる。熱で溶けて、肉を香ばしく焼き上げる仕掛けだ」
ミーナ 「目が動いたように見えたのは……」
ハンジ 「室温で少し溶けたんだろうね」
ミーナ 「それが動いたように見えたんだ。気のせいじゃなかったんだ」
ハンジ 「この中底の板が薄い鉄板になってるのもポイントだよ」
ハンジ 「一度持ち上がったら、冷めても中底が下に戻らないんだ」
155 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:39:38 ID:iW9lnP2M
ジュウウウ
ジャン 「しかし、これ」
ミーナ 「めちゃめちゃ良い匂いがしますね」
ハンジ 「肉の焼ける匂いだね、この匂いはベーコンかな」クンクン
ミーナ 「ハンジさん……」ウルウル
ハンジ 「いいよ、謎も解けたし、みんなで巨人を食べよう!」ヒャッホー
156 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:40:19 ID:iW9lnP2M
ミーナ 「いただきます!」
ハンジ 「いただきます!」
ジャン 「いただきます!」
ミーナ 「ふほふあふいへふへほ、おひいいへふ!」(凄く熱いけど美味しいです!)
ハンジ 「うんまーい!バターの脂が染み込んでるね!」
ジャン 「巨人の指は腸詰めですよ!しかも、今焼いたばかりのアツアツ!」
ミーナ 「腸詰めも美味しいです!噛み付くと、パリンッって肉汁があふれ出て!」
ハンジ 「顔面はベーコンの他にチャーシューもあるよ!口に入れた瞬間、ほどけていく……」
157 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:40:52 ID:iW9lnP2M
リヴァイ「……」チラッチラッ
ハンジ 「リヴァイの野菜弁当はどう?美味しい?」
リヴァイ「お前ら、肉ばっかりじゃ栄養偏るぞ。俺の野菜弁当を分けてやる。野菜も食え」
ミーナ 「え、あ……?」
ジャン 「ありがとうございます?」
158 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:41:27 ID:iW9lnP2M
ハンジ 「リヴァイは偏屈だから、お弁当交換しようって素直に言えないんだよ」プークスクス
リヴァイ「適当なこと言ってるんじゃねえぞ、クソメガネ」
ハンジ 「いいよいいよ、みんなで食べよう。そのほうが美味しいから!」
リヴァイ「……貰うぞ。あぁ、美味いな」モグモグ
ミーナ (可愛いなこの人)
159 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:41:58 ID:iW9lnP2M
~
ハンジ 「いやぁ、超大型巨人もあっという間に駆逐されちゃったねえ」ゲフッ
ミーナ 「あとは、パンが残ってますから、食べちゃいましょう」
リヴァイ「ジャン、お前が食え。俺はもういらん。胸焼けがする」
ジャン 「はい、頂きます」モグモグ
ミーナ 「私も頂きます」モグモグ
160 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:42:29 ID:iW9lnP2M
ジャン 「こ、これは!?」
ミーナ 「この味は……」
ハンジ 「底板が持ち上がったから、肉汁を全部パンが吸い取ってたんだ」フフフ
ジャン 「いえ、ハンジさん。違うんです」
ミーナ 「このパン、シュガートーストです!」
ハンジ 「なんだって!?」
リヴァイ「」ガタッ
161 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:43:00 ID:iW9lnP2M
ジャン 「予め、パンと鉄板が接するところに砂糖が敷いてあったんです」
ミーナ 「そこに肉汁が流れ込んできて焼かれて」
ジャン 「砂糖の甘みと、肉の旨みが……たまらなく、美味い!」
ハンジ 「ミぃナ!そのパン食べていいぃぃぃ!?」
ミーナ 「元々ハンジさんのお弁当ですよ」クスクス
162 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:43:38 ID:iW9lnP2M
ハンジ 「あぁ、本当に美味いね。きっと、この弁当のメインディッシュは、このパンなんだ。」
ミーナ 「バター、肉汁、脂、全ての旨みが流されてパンに到達するように計算されています」
ジャン 「そして加工肉で塩を堪能した舌に、急激に襲い来る甘み」
ハンジ 「全てに無駄が無い。これを作った人は、本当にただの料理人なのかな?」
ハンジ 「技術局にスカウトしたいくらいだ」
163 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:44:08 ID:iW9lnP2M
リヴァイ「おい、お前ら」
ハンジ 「なんだい?胃薬が必要かな?」ニヤニヤ
リヴァイ「言わせんな。俺にもパンを一枚よこせ」チッ
ミーナ 「どうぞ!」フフフ
~
164 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:44:38 ID:iW9lnP2M
ハンジ 「さて、お弁当も食べたところで、君達に話があるんだ」
ジャン 「なんでしょう」
ハンジ 「今度、お祭りがあるのは知っているね?」
ミーナ 「はい、昼間は訓練兵も警備として駆り出されますけど」
ハンジ 「その日、特別な弁当が販売される」
ジャン 「そんなこと、分かるんですか?」
ミーナ 「どんなお弁当なんですか?」
165 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:45:45 ID:iW9lnP2M
リヴァイ「毎年、必ず、兵団をモチーフにしている」
ミーナ 「兵団って……」
ハンジ 「憲兵団、駐屯兵団、そして我等が調査兵団。それぞれをモチーフに、毎年オリジナル弁当を作ることが決まっているんだ」
ジャン 「マダムの店が売りに出すんですか?」
ハンジ 「いいや、マダムの店も売るけれど、複数の店が担当する兵団を持ち回りで決める」
リヴァイ「俺とクソメガネは、毎年これを買うために手分けをして争奪戦に参加している」
166 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:46:20 ID:iW9lnP2M
ハンジ 「ただね、今年は運悪く部下がお祭りに駆り出されちゃって、人が足りないんだ」
ミーナ 「もしかして」
ジャン 「俺たちに弁当を取って来いという話では…」
リヴァイ「話が早いな」
ミーナ 「私達、まだ一回もお弁当取れたこと無いですよ!」
ハンジ 「その実力はあると思っている」
167 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:47:33 ID:iW9lnP2M
ジャン 「そんなことを任されても……」
リヴァイ「聞き方が悪かったか?やるかやらないか、どっちだ?」
ミーナ 「……」
ジャン 「……やります」
ミーナ 「ジャン!そんな簡単に答えて大丈夫なの!?」
ジャン 「弁当が取れるか、わからないけど……俺は、その弁当を食べてみたい!」
168 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:48:07 ID:iW9lnP2M
リヴァイ「お前はどうする」
ミーナ 「……私も、食べてみたいです」
ハンジ 「いい答えだね。じゃあ、お祭り当日、この詰め所に集合だ」
リヴァイ「警備任務が終了次第、集まれ」
ジャン 「はっ」
ミーナ 「はっ」
169 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 01:48:42 ID:iW9lnP2M
翌日トロスト・マム
アルミン「こんにちは、マダム。え、あのお弁当売れたんですか?」
マダム (……)ニコニコ
アルミン「いや、僕も仕掛けを考えた手前、気にしてたんですよ。で、買った人はどんな?」
マダム (……)ニコニコ
アルミン「ええ、そうですか。メガネの、キモい動きの」
マダム (……)?
アルミン「いいえ、何でもないです」
マダム (……)ニコニコ
アルミン「ただ、予想通りだっただけです」ニコッ
(つづく)
174 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/30(日) 23:57:57 ID:iW9lnP2M
お祭り当日 朝
マルコ「おはようジャン」
ジャン「ようマルコ。今夜も争奪戦には行かないのか?」
マルコ「いや、今日は出るつもりだよ」
ジャン「じゃあ、特別な弁当が狙いか」
マルコ「あぁ、今日は凄い戦いになりそうだからね」
175 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:02:11 ID:jTbWyxaM
ジャン「ミカサも来るだろうな。それと死に急ぎも」
マルコ「今日はそれに加えて、間違いなくアルミンが来る」
ジャン「アルミンは、そんなに強くないだろう?」
マルコ「単体の力なら最弱だろうね」
ジャン「じゃあ、なんでそんなに」
マルコ「アルミンは、必ずエレン、ミカサと組む」
176 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:02:44 ID:jTbWyxaM
ジャン「アルミンは、そんなに強くないだろう?」
マルコ「単体の力なら最弱だろうね」
ジャン「じゃあ、なんでそんなに」
マルコ「アルミンは、必ずエレン、ミカサと組む」
ジャン「それは想定できる範囲だな」
マルコ「3人が組んだ時の弁当取得率は、100%だ」
177 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:03:16 ID:jTbWyxaM
ジャン「な!?」
マルコ「エレンとミカサは、二つ名があったろう?」
ジャン「”壁の乙女”と”いばら姫”だったか」
マルコ「3人が組むとまったく別の二つ名が付く」
キング クイーン ポーン
マルコ「王のアルミン、女王のミカサ、兵士のエレン」
ジャン「チェスの駒かよ」
178 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:03:54 ID:jTbWyxaM
マルコ「アルミンはチェスの名手だよ。常に10手先、20手先まで読んで動いている」
マルコ「盤上の全ての動きは、アルミンの予想通りになるんだ」
ジャン「…そうか」
マルコ「アルミンが参加するなら、弁当が4つ以上残ることを祈るしかない」
179 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:04:25 ID:jTbWyxaM
調査兵団詰め所 夜
ハンジ 「さて、君達に担当して貰う弁当について話そうか」
ジャン 「はい」
ミーナ 「はいっ」
ハンジ 「ジャン、君には憲兵団弁当を取ってもらいたい。場所はマダムの店だ」
180 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:04:58 ID:jTbWyxaM
ジャン 「分かりました。けど、何でオレがそこを?」
リヴァイ「お前、訓練所を出たら、憲兵団志望だろ」
ハンジ 「無事に憲兵団に行けるようにね。まぁゲン担ぎだよ」
ミーナ 「へいちょー、はんじさん…」ブワッ
ジャン 「オレの為に、ありがとうございます…」ジーン
181 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:05:32 ID:jTbWyxaM
リヴァイ「実力で考えた結果だ。勘違いするな」チッ
ハンジ 「ミーナはリヴァイと一緒に行ってね」
ミーナ 「はいっ」
ハンジ 「私は単独で動く」
リヴァイ「弁当は、取れても取れなくても戻って来い」
ハンジ 「健闘を祈るよ」
ジャン 「はっ」
ミーナ 「はっ」
182 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:06:08 ID:jTbWyxaM
トロスト・マム
マルコ「ジャンじゃないか」
ジャン「マルコ、お前もここに来てたのか」
マルコ「憲兵団弁当だからね、ゲン担ぎさ」
ジャン「マルコも憲兵団志望だったな」
マルコ「しかし、それも厳しいね」
ジャン「もう弱音かよ」
183 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:06:39 ID:jTbWyxaM
マルコ「陳列棚を見てきたらわかるよ」
ジャン「あぁ、そうするよ」テクテク
ジャン(弁当の残りは……)
ジャン(なっ!? 1個しか残ってねえ!)
184 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:07:18 ID:jTbWyxaM
ジャン(確かに憲兵団弁当と書いてあるな。
“バラの憲兵団弁当”
中身は……コロッケだ)パァァ
ジャン(残り1つでも、是が非でも、手に入れてやる)
185 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:08:08 ID:jTbWyxaM
ジャン (……!)
エレン 「……」
ミカサ 「……」
アルミン「……」ニコ
ジャン(あいつら、憲兵団志望でもないのに、ここに来てるのか……?)
186 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:08:42 ID:jTbWyxaM
マルコ「気づいたみたいだね」スッ
ジャン「あぁ、あいつ等、調査兵団弁当を取りに行ったと思ってたぜ」
マルコ「この間、エレンが変身したことは聞いているよ」
ジャン「あいつらも、わけわかんねえって顔してたけどな」
マルコ「アルミンは、今回それを完成させて参戦するはずだ」
ジャン「死に急ぎ野郎の力試しってことか?」
187 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:09:15 ID:jTbWyxaM
マルコ「憲兵団を狙いに来るのは、憲兵団志望の訓練兵が多い」
マルコ「強すぎる相手に当たる可能性が少ない、実験だよ」
ジャン「御しやすい駒か。舐められたもんだな」
マルコ「それだけの自信があるのさ。今回のゲームに」
ジャン「チェスならそうかもな。だがな、盤上には乗らない」
188 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:09:49 ID:jTbWyxaM
マルコ「どういうことだい?」
ジャン「トランプなら王に勝てるカードがあるってことだ」
マルコ「何か、策があるんだね」
ジャン「マルコ、手を組むぞ」
マルコ「あぁ、勿論だ。それでも勝てるか分からないけれど」
ジャン「ここにいる訓練兵にも声を掛けるぞ、ミカサたちを倒さなければ、勝負にもならない」
189 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:10:28 ID:jTbWyxaM
マルコ「しかし、全員が話に乗るかどうか……」
ジャン「マルコが持ちかけたほうが乗るやつが多い」
エース
ジャン「頼んだぜ、マルコ」
マルコ(ジャン、君は本当に、指揮官タイプだよ)ハァ
マルコ「人を、その気にさせるのが……上手い」
190 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:11:11 ID:jTbWyxaM
~
ジャン「結局、応じた中で二つ名持ちはコニーとクリスタ、サシャだけか」
マルコ「他の皆は、別の店に行ったみたいだ」
ジャン「アニも憲兵団志望だっただろう」
マルコ「彼女がゲン担ぎなんかすると思うかい?」
ジャン「まぁ、確かにな」
コニー「おい、ジャン」
ジャン「コニーか。計画はわかってるな?」
191 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:11:44 ID:jTbWyxaM
コニー「あぁ、俺が弁当を取れば良いんだろ?」
ジャン「違えよ!何聞いてたんだよ!」
コニー「何でお前、怒ってんだよ」
ジャン「やっぱりお前は”馬鹿”だな!」
コニー「何言ってんだよ、わかんねえぞ!」
ジャン「もう一回言うぞ、お前はサシャと一緒に居ろ。それだけで良い」
コニー「おう!」
192 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:12:15 ID:jTbWyxaM
バタン
マルコ 「マダムが来た」
ジャン 「いいか、ミカサ達が動く前に、アルミンさえ潰せばどうにかなる」
ユミル 「私の嫁にかかってるんだな」
クリスタ「もうプレッシャーかけないでよ、ユミル」
193 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:12:47 ID:jTbWyxaM
ジャン 「よし配置についてくれ」
マルコ 「みんな、後はよろしくね」タタタッ
マダム(……)ニコニコ
ジャン 「なんだ? 赤いリボンじゃねえぞ?」
ユミル 「草か?」
クリスタ「ううん、葉っぱを繋いでリボンにしてるみたい」
ジャン 「祭りの日……だからか?」
クリスタ「特別なリボンなのかもね」
194 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 00:13:19 ID:jTbWyxaM
バタン
ドドドドド
ジャン「いくぞ!」
198 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:17:19 ID:jTbWyxaM
ジャン(電撃戦を仕掛ける!)
マルコ(遊撃に出たミカサを、速攻でジャンと僕が足止めする!)
ミカサ「二人掛かり!?」
ジャン「いくらミカサでも、同時に二人相手は分が悪いだろう!」ガッ
マルコ「僕たちも、一応成績上位者なんだ!」ガッ
ミカサ「……驚いた。アルミンの予想通り」ガシッ
199 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:17:54 ID:jTbWyxaM
ジャン「!?」
マルコ「!?」
ミカサ「今は、ユミルとクリスタが、アルミンを狙っているはず」ゲシッ
ジャン「だが、分かったところで、助けには戻らせねえ!」ブンッ
ミカサ「その必要は無い」ヒョイ
マルコ「まさか、エレンが?」
ジャン「ユミル、クリスタ!気をつけろ!読まれてるぞ!」
200 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:18:31 ID:jTbWyxaM
ユミル 「読まれてたってよぉ、関係ねえな!」
クリスタ「いくよ、ユミル!」ズアア
エレン 「ユミルを踏み台にして、飛び上がった!?」
ユミル 「クリスタの二つ名、”天使”を体感しな!」
201 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:19:02 ID:jTbWyxaM
エレン 「アルミン!頭上からクリスタがくるぞ!」
アルミン「て、天使だ……」ポー
エレン 「アルミン!」ドバァ
202 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:19:37 ID:jTbWyxaM
アルミン「ハッ。見蕩れてしまった!?」
ユミル 「エレンが庇ったか。だけど、これでエレンはリタイアだ」
アルミン「正直、予想以上の美しさだった。でもエレンはリタイアしない」キリッ
エレン 「何とか変身が間に合った……」
ユミル 「なに!?」
203 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:20:08 ID:jTbWyxaM
クリスタ「エレンの両腕と上胸が、巨大化してる!?」
アルミン「プロモーションだよ」ドヤァ
クリスタ「兵士の駒が、一度だけ昇格できるルール……」
アルミン「ライナーの甲殻と、ベルトルトの巨体化の中間くらいかな」
アルミン「”兵士”でも、”いばら姫”でも無い」
ナイト
アルミン「鎧と槍を手に入れた。王を守る”騎士”だよ」
204 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:20:39 ID:jTbWyxaM
クリスタ「ユミル、もう一回いくよ!」
ユミル 「あぁ!通用するまで、何度でもやってやらぁ!」
ジャン 「クリスタ、ユミル、一旦戻れ!危険だ!」
クリスタ「ジャン、でも!」
ジャン 「コニーの野郎、やっぱり”馬鹿”だ。全く話を聞いてねえ」
205 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:21:11 ID:jTbWyxaM
マルコ 「サシャが、一人でそこに近づいてるんだ!」
サシャ 「パァン?」フラフラ
ユミル 「ゲッ!大猪だ。退くぞ!」
クリスタ「う、うん」
コニー 「今、呼んだか?」ヒョコヒョコ
206 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:22:03 ID:jTbWyxaM
ジャン(リヴァイ兵長が言ってたな)
《真正面から迎え撃つ必要は無い》
ジャン「コニーは”馬鹿”だが、逆にタイミングが良かった」
ジャン「キングに勝てるカードは、エースの他に、もう1枚ある」
ジョーカー
ジャン「切り札を切らせてもらうぜ……!」
207 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:22:34 ID:jTbWyxaM
ジャン「サシャ! 干し芋をやるぞ!」
サシャ「」ドォッ
アルミン「!?」
ミカサ 「!」
エレン 「!」ザクシュ
コニー 「ギャアアアアア」ズパン
ジャン 「っ!」パァン
208 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:23:10 ID:jTbWyxaM
ジャン(芋と一緒に、腕ごと持って行かれるかと思った)ゾクリ
サシャ 「これは……パァン!? ではないですけど、いただきます!」ガツガツ
マルコ 「エサで、一直線にサシャを呼び寄せのか……」
アルミン「”騎士”の鎧が、食いちぎられた!?」
ジャン 「サシャは、ライナーの甲殻も食い破ったことがある。行けると思ったぜ」
209 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:23:48 ID:jTbWyxaM
エレン 「ぐぅううう!」シュウウウウ
アルミン「まさか、大猪を武器に使うなんてね……今日は予想を裏切られたばかりだよ」
アルミン「でも、まだ終わったわけでは」
ミカサ 「アルミン!エレンの様子が!」
エレン 「うあああああああ!」シュウウウウ
210 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:24:45 ID:jTbWyxaM
アルミン「ま、まずい、”姫”が目覚める!ミカサ!」
ミカサ 「エレン!落ち着い」
カッ!!
エレン 『……』
アルミン「あぁ……」
ユミル 「全身が、巨大化した?」
211 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:25:28 ID:jTbWyxaM
ジャン 「おいおい、変身は一回だけじゃねえのかよ」
エレン 『お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙』
ミカサ 「エレン、痛いけど、我慢し」ゴフッ
ジャン 「あの野郎、いきなりミカサを殴りやがったぞ!?」
マルコ 「制御、できていないのか……?」
ユミル 「どういうことだ!アルミン!」
212 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:29:02 ID:jTbWyxaM
アルミン「耐久力を調べるために、あえてミカサの攻撃を受け続けた時、一回だけ同じ状態になった」
ジャン 「ああ!?何やってんだ!?あいつは実験動物じゃねえぞ!」
アルミン「エレンの為にやったんだ!エレンが強くなる為に!」
ジャン 「ミカサも止めなかったのかよ!?」
アルミン「エレンが一番強くなる為にやったんだ。ミカサも反対するはずない!」
ジャン 「アルミン、お前、そんなやつだったのか!?」
213 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:30:44 ID:jTbWyxaM
アルミン「僕は!エレンが、誰よりも強くなりたいと思っていることを知ってる!」
ジャン 「座学トップの頭は、そんなことするための物か!?」
アルミン「その為なら、僕は、何を投げ打っても構わない!」
ジャン 「クソッ、それでアイツは、言うこと聞かねえのか!?」
アルミン「言葉は通じない。今のエレンは、きっと大猪でも止められない」
ユミル 「”いばら姫”は、随分と寝相が悪いんだな!」
サシャ 「あれエレンなんですか?」モグモグ
214 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:38:38 ID:jTbWyxaM
アマゾン
アルミン「寝起きの悪い”女闘士”だよ」
ユミル 「洒落たこと言ってる場合かよ」
マルコ 「前のときはどうやって沈静化を?」
アルミン「ミカサが、無理やり気絶させたんだけど……」
ユミル 「今、ミカサが一撃でふっ飛ばされちまったぞ!?」
マルコ 「打つ手、無しか……」
215 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:39:09 ID:jTbWyxaM
アルミン「巨大化した部分は、時間経過と共にエレンの体と一体化していくんだ……」
クリスタ「じゃあ、このまま放っておいたら!?」
ジャン 「あぁ畜生!やるしかねえ!」
マルコ 「ジャン!?」
216 :肉:2013/07/01(月) 22:39:22 ID:8ZT4MFrU
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217 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:39:41 ID:jTbWyxaM
ジャン 「クリスタ、もう一回いけるか?」
クリスタ「うん、いつでも大丈夫!」
ジャン 「おい芋女、食い物くれてやったんだ。少しは役に立て」
サシャ 「そんなに言われては仕方ないですね」フゥ
ユミル 「相変わらずムカツク顔しやがるな、コイツは」
218 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:40:14 ID:jTbWyxaM
ミカサ 「私も行く。エレンを止められるのは、私しかいない」フラフラ
ジャン 「普段なら止めるけどよ、あんまり無茶すんな」
ユミル 「マルコも来いよ、アンタ”不死鳥”なんだろ?」
アマゾン
マルコ 「ボクなんかが、”野獣”に勝てるかな」
219 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:40:46 ID:jTbWyxaM
アルミン「ダメだよ、みんな……」
ジャン 「さぁて、駆逐してやるぜ! 死に急ぎ野郎!!」
アルミン「エレンに勝てるわけ無いんだ……!」
エレン 『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙』
220 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 22:41:21 ID:jTbWyxaM
~
サシャ 「」
ユミル 「」
クリスタ「」
ミカサ 「」
マルコ 「」
ジャン 「クソッ、化け物め……」ガクッ
アルミン「……エレンが、最強だ」アハハハハハハハハハハハハ
221 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 23:05:18 ID:jTbWyxaM
コニー 「あー酷い目にあった」ヒョコ
222 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 23:05:58 ID:jTbWyxaM
アルミン「エレンはせかいでイチバンなんだ!」
コニー 「ん?みんな倒れてるのか?」
アルミン「だれも、エレンにはかてないんだ」
コニー 「おい、アルミン」
アルミン「やあ、コニー。エレンは、さいきょうなんだ」
223 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 23:06:36 ID:jTbWyxaM
コニー 「なに言ってんだよ?」
アルミン「エレンにかてる、おおかみなんていないのさ」
コニー 「……アルミン、どうしたんだ?」
アルミン「エレンが!エレンの…!」
コニー 「ちょっと落ち着けよ。アルミン頭良いんだろ?」
224 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 23:07:06 ID:jTbWyxaM
アルミン「ボクは!」
コニー 「お前は、何で泣いてんだよ?」
アルミン「え?」ポロポロ
コニー 「俺は”馬鹿”だから分かんねえよ」
225 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 23:07:39 ID:jTbWyxaM
アルミン「ボクは………………ボクの………………」
コニー 「教えてくれアルミン。俺は、どうしたら良いんだ?」
アルミン「………………………………………………僕……を……さい」
コニー 「聞こえねぇぞ」
アルミン「僕の、友達を、助けてください!」ポロポロ
226 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/01(月) 23:08:09 ID:jTbWyxaM
コニー 「おう!」
(つづく)
228 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:15:19 ID:K26Av8JI
コニー「よお、エレンか?」
エレン『……』
コニー「ずいぶん、体がでっかくなったな」
エレン『……』
コニー「周りのやつ等、倒したのもエレンか?」
エレン『……』
229 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:15:56 ID:K26Av8JI
コニー「アルミン、泣いてたぞ」
エレン『……』
コニー「何とか言えよ、この野郎!」ズバン
エレン『……』ギロリ
230 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:16:39 ID:K26Av8JI
エレン『あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!』
コニー「うお、ビビッた」ビクン
エレン『あ゙あ゙あ゙!!!』ブオン
231 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:17:10 ID:K26Av8JI
コニー「殴り合いね! 分かりやすくていいや!!」ゲシッ
エレン『お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!』ガッ
コニー「痛ってえええ!なぁ!」ゴスッ
エレン『うおおお!!』ガツン
232 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:17:55 ID:K26Av8JI
~
アルミン「コニー、もうやめてよ、死んじゃうよ」
コニー 「あー、聞こえねえ」ボロッ
エレン 「あああ!!」ガツン
アルミン「お願いだよ!もう、何回殴られてるか!」
233 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:18:26 ID:K26Av8JI
コニー 「”馬鹿”だからな、2回目からは忘れちまったよ!」ブンッ
エレン 「うおおおお!」ゲシッ
コニー 「そんで、同じことしか出来ねえんだ!」ブンッ
エレン 「おおおお……」シュウウウ
コニー 「もう終わりか?」
234 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:18:57 ID:K26Av8JI
エレン 「うあああああ!!!!」ドスン
コニー 「ゴフッ。まだやるのね」スクッ
アルミン「コニー、もう立たないで……」ベソベソ
コニー 「何で俺、殴り合いしてるんだっけ」
エレン 「ああああ……」シュウウ
コニー 「やべぇ、頭がクラクラしてきた」
235 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:19:31 ID:K26Av8JI
エレン 「こおおおお!!!」ガシッ
コニー 「ちょっと頭、貸してくれ、なぁ!」ヘッドバッ
エレン 「がっ!?」シュウウウウウ
アルミン「エレンの変身が解ける……」
236 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:20:02 ID:K26Av8JI
コニー 「思い出した。サシャんところに、いくんだった……」バタッ
アルミン「コニー!?」ズリズリ
コニー 「……ひどい、目にあった」zzzz
アルミン「寝てるだけだ、良かった」クラッ バタン
237 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:20:47 ID:K26Av8JI
マルコ「ジャン、聞こえるかい?」
ジャン「あぁ」
マルコ「コニーがやったみたいだ」
ジャン「そうか」
マルコ「僕らの知らない、2枚目の切り札が潜んでたみたいだね」
ジョーカー
ジャン「とんだ道化師だ」
238 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:21:23 ID:K26Av8JI
マルコ「でも、僕は、もうダメそうだ。腹の虫の加護も切れた」
ジャン「オレも立ち上がるのは無理だ」
マルコ「今にも気が遠くなりそうだけど、2つ言いたいことがある」
ジャン「なんだ?」
マルコ「1つ目。僕の二つ名をまだ言ってなかったね」
ジャン「知ってるよ。”不死鳥”だろ。まぁ復活はしそうにないけどな」フン
239 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:22:10 ID:K26Av8JI
マルコ「不死鳥は、その血を飲んだ者に永遠の命を与えるんだ」
ジャン「それなら、捧げれば、王も欲しがるかもな」ハハッ
マルコ「2つ目だ。今日の弁当、リボンじゃなくて葉っぱが編んであったろう?」
ジャン「あぁ、祭りの日仕様だろう?」
マルコ「違うんだ。祭りの日以外にも出ることはある。あれは月桂冠の証さ」
ジャン「ゲッケイカン?」
240 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:22:44 ID:K26Av8JI
マルコ「作り手が、自信を持って送り出す。特別な弁当の証だよ」
マルコ「月桂冠を手に入れることは、餓狼として最高の誉れだ」
マルコ「理由は色々あるけど、味が格別であることは間違いないよ」
ジャン「言うのが遅えよ」
マルコ「バラの憲兵団弁当。バラって言うのは、バラ肉かな?さぞかしジューシーなんだろうね」
ジャン「どうしたんだよ、やめろよ」
241 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:23:15 ID:K26Av8JI
マルコ「それに、凄い大きさだった。あの中に、ぎゅっと旨みを詰め込んでるんだ」
ジャン「おい、止めろよ!」グゥ
マルコ「衣のサクっとした感触、食べた瞬間に肉汁が溢れ出る。どれも極上の味であることは請け合いだ」
ジャン「腹の虫が収まらねえだろ!」ギュルルル
242 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:23:45 ID:K26Av8JI
マルコ「血は与えた。今なら立ち上がれるだろう?」フフッ
ジャン「全く……」
マルコ「……弁当を、取ってくれ」ガクッ
ジャン「どうしてくれるんだ」
ジャン「腹が、減ってきたじゃねえか!」グググ
243 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:24:15 ID:K26Av8JI
エレン「……」ボー
ジャン「おい、死に急ぎ野郎」フラフラ
エレン「……?」
ジャン「この状況に、何か言うことはねえのか?」
エレン「……わからないけど、わかる」
ジャン「あ?」
244 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:24:46 ID:K26Av8JI
エレン「何でこうなってるのか分からないけど、これをやったのは俺だ」
エレン「何が起きたんだとか、申し訳ないとか、どうしたら良いか、色々あるけど、」
エレン「一番言いたいのは」
エレン「腹が、減った」グゥ
245 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:25:17 ID:K26Av8JI
ジャン「ははっ。そうかい。そうだよなぁ」
ジャン「俺もだ」グー
エレン「……」ニヤ
ジャン「……」ヘッ
246 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 07:25:49 ID:K26Av8JI
ジャン「退けよ、エレン・イェーガー」ギュルルルル
エレン「来いよ、ジャン・キルシュタイン」グゥー
ジャン「ああああああああ!!」
エレン「うおおおおおおお!!」
247 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:27:41 ID:K26Av8JI
調査兵団 詰め所
ミーナ 「ジャン、遅いですねぇ」
ハンジ 「取れなくても、戻るようにいって言ってあるけど、もしかして売り場で伸びてるのかな」
リヴァイ「おい、ミーナ。様子を見に行って」
248 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:29:09 ID:K26Av8JI
ハンジ 「おおお!やったね!リヴァイもずっと心配してたんだよ!」
ジャン 「え?」
リヴァイ「クソメガネ、出鱈目言ってんじゃねえぞ」ギロリ
ジャン 「で、ですよね」
ミーナ 「本当に心配してたんだよ」コソ
ジャン 「……そうか」ニヤ
249 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:29:49 ID:K26Av8JI
リヴァイ「お前ら、何笑ってやがる」
ジャン 「いえ、何も!」
ミーナ 「わ、私も取れたんだ!見てこれ!」
ヒナドリ テリヤキ
“訓練兵団の通過儀礼(ハニーマスタード)弁当”
250 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:30:29 ID:K26Av8JI
ジャン 「おお……!これは美味そうだな!」
ミーナ 「リヴァイ兵長に助けてもらって、やっとだけどね」
ジャン 「ハンジさんは、どんなのですか?」
251 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:31:17 ID:K26Av8JI
ハンジ 「私のは、調査兵団モチーフだよ。
“俺たちは籠の中の鳥じゃない!今、大空へ羽ばたけ!自由への翼!調査兵団 手羽先弁当”」
ジャン (鶏の手羽じゃ飛べねえだろ。美味そうだけど)
ハンジ 「手羽先じゃ飛べないけど、有無を言わさぬ勢いはあるよね」
252 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:32:32 ID:K26Av8JI
ジャン 「そうすると、リヴァイ兵長は駐屯兵団モチーフですか?」
リヴァイ「ああ」
セカイ ザンコク ウツクシ
“この麻婆豆腐は激辛だ。そして美味い。駐屯兵団弁当”
ミーナ 「一角獣のキャラ弁ですか。馬の部分は白米で、角の部分は、何ですかこれ?」
253 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:33:32 ID:K26Av8JI
ハンジ 「八角を分けたものだね。貴重な香辛料だよ」
ミーナ 「なんだか、見てるだけで涎が出てきますね」
リヴァイ「一口だけなら、照り焼きと交換してやっても良い」
ミーナ 「是非、お願いします!」
ハンジ 「それで、ジャンのは?」
ジャン 「憲兵団モチーフの”バラの憲兵団弁当”です」
254 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:34:03 ID:K26Av8JI
リヴァイ「……! 月桂冠じゃねえか」
ミーナ 「ゲッケイカン?」
ハンジ 「初めてのお弁当が月桂冠だなんて、凄いよ!」
ミーナ 「すごいお弁当なんですか?」
ハンジ 「半額神が、自信を持ってることを証明するものだからね」
リヴァイ「外れることが無いどころか、大当たりだ」
255 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:34:57 ID:K26Av8JI
ハンジ 「ずいぶんと大きいコロッケが2つ入ってるけど、どのへんがバラなの?」
ジャン 「多分、中にバラ肉が入ってるんじゃないかと思うんですけど」
ハンジ 「なるほどね。じゃあ、早速みんな食べてみようか!」
「「いただきます」」
256 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:35:30 ID:K26Av8JI
ジャン (木のフォークが付属してるから、これで食べろってことだろうな)
ジャン (まず、本当にバラ肉が入ってるか、確かめてみたい)ウズウズ
ジャン (フォークをコロッケの真ん中に刺して、半分に割る……ん?)
ジャン (コロッケにしては、抵抗があるな。冷えて硬くなっちまったのか?)
257 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:36:01 ID:K26Av8JI
ジャン (いや、違う。これは、コロッケのタネに、バラ肉を巻いてある!
これに火を通す為には、低温でじっくりと揚げなければいけないはずだ。
効率よく、沢山売るための弁当の作り方じゃない。
思い切りかぶりついた方が良さそうだ)
ガブリ
258 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:36:31 ID:K26Av8JI
サク
トロォ…
ジャン (!?)
ジャン (冷めているのに、衣がサクサクしている。
それに、噛み切ったところから肉汁があふれ出る!
タネにもバラ肉が混ぜ込んだあるんだ!
そうか、バラ肉で巻いてあるから、中の肉汁が染み出さないで、
内側に閉じ込められたままになっている。正に、内地の王を守る憲兵団のバラだな。
259 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:37:03 ID:K26Av8JI
サクサク
ムシャムシャ
サクサク
ムシャムシャ
ジャン (ここで、付け合せのキャベツ。
あえて千切りではなく、葉を手でちぎってある)
260 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:37:35 ID:K26Av8JI
パリパリ
パリパリ
ジャン (コロッケとは全く別の食感。口の中の脂が流されていく。
肉の旨みと、キャベツの甘み。
飽きさせるということが無い)ニヤリ
261 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:38:23 ID:K26Av8JI
ジャン (これは、いくらでも食べられるぜ!)
ミーナ 「ねえ、ジャン。その食べかけのでいいから、私の照り焼きと交換しない?」
ジャン 「ん? おお、そうだな。そっちのも一切れくれ」
ハンジ 「私もだ!手羽先と交換しよう!」
リヴァイ「……」チラ
ジャン 「……」
262 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:38:58 ID:K26Av8JI
ジャン (俺の分のコロッケが無くなっちまうが、仕方ねえ)
ジャン 「あの、リヴァイ兵長。俺も、麻婆豆腐食べてみたいんで、交換して頂けませんか」
リヴァイ「仕方ねえな」パアア
ジャン (可愛いな、この人)
263 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:39:41 ID:K26Av8JI
ハンジ 「うはー、肉汁が!たまらん!」
ミーナ 「うーん、サクサクだね!」
リヴァイ「美味い」サクサク
ジャン (まあ、いいか)
264 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:40:14 ID:K26Av8JI
ジャン (ミーナと交換した照り焼きを食べてみよう)
ジャン (粒マスタードのツンとする刺激臭がほのかに香る)
ジャン (これは、一口で食ったほうが美味そうだ)
パクリ
265 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:41:07 ID:K26Av8JI
ジャン (柔らかい!これが、雛鶏の肉か。
ハチミツの爽やかな甘みと、控えめな辛さのマスタードが、食欲を刺激する。
口の中で溶けて行くようだ)モグモグ
ハァ
ジャン (あっと言う間になくなってしまった。もう一切れ貰いたい)
266 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:41:42 ID:tNtJ9Qv.
この4人仲いいな
267 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:41:46 ID:K26Av8JI
ジャン (……クレ)ジー
ミーナ (……ダメ)フルフル
ジャン (チッ。ハンジさんと交換した手羽先を食べるか)
ムシャリ
268 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:42:19 ID:K26Av8JI
ジャン (これは……旨い! 雛鶏とは違う旨さだ!
しっかりと成長した鶏の風格。
噛み締めるたびに、肉の旨みがあふれ出てくる!
甘辛のタレが、味覚を刺激して、咀嚼が止まらない)ムシャムシャ
ムシャムシャ
フゥ
269 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:42:50 ID:K26Av8JI
ジャン (どれもこれも、外れが無い。
違う美味さで食欲を刺激してくる)
ジャン (リヴァイ兵長の麻婆豆腐を貰おう)
ジャン 「……頂きます」パクリ
ガツン!
ジャン (!?)
270 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:43:22 ID:K26Av8JI
ジャン (ガツンと来た!)
ジャン (鼻の奥に突き抜ける、香辛料のパンチ!)
ジャン (鮮烈で鋭さのある辛味!涙出てきた)
ジャン 「あの、もう一口いいですか?」
リヴァイ「仕方ねえ」フン
271 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:43:53 ID:K26Av8JI
ジャン 「ありがとうございます」パクリ
ガツン!
ジャン (またガツンと来た!)
ジャン (暫くしてからビリビリと脳髄に染み込む痺れ!)
ジャン (これは……白米が食べたくなる!)ジュル
272 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:44:24 ID:K26Av8JI
ジャン (コロッケ弁当が米でよかった。これ以上、リヴァイ兵長からは貰えない)
ジャン (なんで麻婆豆腐と食べる米って、こんなに安心するんだろう)
ジャン (麻婆豆腐の辛さと、米の甘みのコラボレーションが原因か)
ジャン (理屈なんてどうでもいい、とにかく……美味い!)
273 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:44:59 ID:K26Av8JI
フゥ
ジャン 「ご馳走様でした」
ミーナ 「どれも美味しかったねぇ」
ハンジ 「生きている喜びを実感するよ」
274 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:45:29 ID:K26Av8JI
リヴァイ「また暫く戻れねえからな、食い溜めておけ」
ジャン 「え?」
ミーナ 「ハンジさん、いなくなっちゃうんですか?」
ハンジ 「リヴァイもね。また壁外調査に出るんだ」
リヴァイ「元々、祭りまでの休暇の予定だったからな」
ハンジ 「ジャンとミーナのおかげで、美味しいお弁当が食べられたよ」
275 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:46:03 ID:K26Av8JI
ミーナ 「そんな……」
リヴァイ「俺たちは、また戻ってくる」
ハンジ 「そのときはまた、一緒にお弁当を取りに行こう」
ジャン 「…はい!」
ミーナ 「…はい」メソメソ
276 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:46:36 ID:K26Av8JI
リヴァイ「泣くな、鬱陶しい」
ミーナ 「ずびばぜん」ベソベソ
リヴァイ「手を出せ」チッ
ミーナ 「? はい」スッ
277 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:47:07 ID:K26Av8JI
リヴァイ「約束しよう、俺は必ず!!戻ってくる!!」
ハンジ 「私もだよ」
ミーナ 「はいっ」ブワッ
278 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:47:40 ID:K26Av8JI
リヴァイ「ジャン、こいつの面倒を見ておけ」
ジャン 「は、はい!」
ハンジ 「今日はもう、戻って休みなさい」
ミーナ 「ハンジさん、リヴァイ兵長、ありがとうございました」ベソベソ
ジャン 「俺も、ありがとうございました」
279 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:48:13 ID:K26Av8JI
ハンジ 「次に会うときも、また夕市かな」
リヴァイ「狙いの弁当がかち合えば、その時は敵だ」
ハンジ 「いい子達だったね」
リヴァイ「お前と違ってな」フン
280 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:48:43 ID:K26Av8JI
帰り道
ミーナ「これからもお弁当、沢山取ろうね」
ジャン「あぁ」
ミーナ「ハンジさんと、リヴァイ兵長と一緒に、またお弁当食べようね」
ジャン「あぁ」
ミーナ「しばらく、二人ともいないんだよね……」
ジャン「あぁ」
281 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:49:14 ID:K26Av8JI
ミーナ「……ジャン、泣いてるの?」
ジャン「ばっ、違えよ。こっち見るんじゃねえよ」ゴシゴシ
ミーナ「ふふふ、そういえば、なんでそんなにボロボロなの?」
ジャン「そうだよ、元はといえばエレンの野郎が……」
ソレデソレデ?
アルミント、ミカサガ……
282 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:50:09 ID:K26Av8JI
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エレン・イェーガー
市場内で暴れ回った為、トロスト・マムに半年間の出入り禁止。
アルミン・アルレルト
コニーの隣で倒れてるところを、頬を染めたクリスタに興味深げに観察される。
ミカサ・アッカーマン
クリスタを押しのけて、エレンとアルミンを回収。
男子寮のベッドに押し込んで、久しぶりに三人で寝る。
283 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:50:39 ID:K26Av8JI
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ユミル
クリスタを連れて帰宅、一緒に干し芋を食べる。
クリスタ・レンズ
最近、アルミンとコニーの関係が気になる。
284 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:51:12 ID:K26Av8JI
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コニー・スプリンガー
全治2週間と診断されるも、1日寝たら治った。
エレンとアルミン、ミカサから謝罪と感謝の言葉を受けるも、
本人曰く「何のことか覚えてない」
サシャ・ブラウス
起きたら誰も居なくて、少し寂しい思いをするが、
ポケットに干し芋が入っていたので、誰かに感謝しながら食べた。
285 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/02(火) 22:51:42 ID:K26Av8JI
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マルコ・ポット
不死鳥は己が燃え尽きた灰から、再び生まれて永遠を生きる。
例え自分が燃え尽き、灰になったとしても、
そこから受け継がれるものもあるはずだと、彼は信じている。
——————————————————–
(おわり)