【ペルソナ・クロス】一夏「IS学園に第二の男性適正者が、転校してきた!?」【インフィニット・ストラトス】

1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:44:35 ID:BlXLUHWU

P4とISのクロスオーバーですが、厳密にはP4風味のIS SS、という感じです。

転校してくるのは、ゲームクリア時のハイスペック能力を持った
アニメ版の番長…と、思ってください。

注意事項

1) P4に関しては、ネタバレが多少あります(PS2版)。
2) >>1独自のIS戦術理論で展開しますが、ぐっとこらえて見てください。
3) 番長の専用機の詳しいスペックは 後々語られます。
4) P4を知らなくても読める…かと思いますが、
P4を知っていると更に楽しめるかと…。
5) >>1はISを、アニメでしか知らない。

以上です。 それでは、始めます。
少し長いので、数日がかりで投下します。

2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:45:55 ID:BlXLUHWU

-2組の教室-

??「はじめまして。 鳴上 悠です」

モブ子「ふわあ…、ほ、ホントに男の子だぁ…」

モブ美「これで1組の織斑君、『世界唯一の』って言うブランドは消えたのね」

モブ枝「それにしても背、高いね…。 落ち着いた感じだし、一年生に見えない」

鈴「………」

鈴(ふうん…。 カッコいいけど、一夏の方がいいな、やっぱ)

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:47:02 ID:BlXLUHWU

2組の先生「ええと…鳴上君、何か一言ありますか?」

鳴上「……」

鳴上「俺は、落ち武者じゃ ありませんので」

ズコーーーー!!

鈴(……な、なんか変わった奴ね)

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:48:11 ID:BlXLUHWU

-昼休み・食堂-

鈴「…って 感じの奴だった」

一夏「……? 何かのギャグなのか? それ」

鈴「知らないわよ、そんな事」

鈴「どこかの地方出身って言ってたから、そこで流行ってたんじゃないの?」

一夏「まあとにかく、合同授業が楽しみだな。 早く手合わせをしてみたい」

一夏「…正直、男にとって肩身が狭いからな…IS学園は」

鈴「聞き捨て ならないわね…。 もっと幸せに思いなさいよ!」

一夏(……これだもんなあ)

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:49:17 ID:BlXLUHWU

-2組・IS実習授業-

鈴「……へえ、あんたも専用機持ちなの」

鳴上「……?」

鈴「ああ、ごめん。 あたし鳳 鈴音。 鈴、でいいわ」

鳴上「鳴上 悠だ」

鈴「悠って、呼んでもいいかしら?」

鳴上「かまわない」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:50:02 ID:BlXLUHWU

鳴上「……鈴も専用機持ちなのか?」

鈴「そうよ。 そして中国の代表候補生」

鳴上「すごいな」

鈴「まあね。 でさ、一つ手合わせしてみない?」

鳴上「俺はまだ、乗り始めたばかりだが……。 かまわないか?」

鈴「ふふん、ちゃんと手加減してあげる」

鳴上「助かる」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:50:52 ID:BlXLUHWU

鈴「甲龍!」 スウウウウンッ!

鳴上「………」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウンッ!

鈴「……?」

鈴「……なんでメガネをかけるの? 目が悪いの?」

鳴上「そうじゃないが…」

鈴「ないが?」

鳴上「ハイカラだろ?」

鈴(………いまいちキャラが、つかめないわね)

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:51:44 ID:BlXLUHWU

鈴「じゃあ、始めていいかしら?」

鳴上「かまわない」

鈴「…はあああっ!」

ガキン! ガァン!

鳴上「………」

鈴「………」

鈴(……何? こいつ?)

ギギンッ! ゴアンッ!

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:52:35 ID:BlXLUHWU

鳴上「……」

鈴(…武装は、白式の雪片二型に似た 近接武器のみ、かしら…?)

鈴(それにしても…。 確かにISの扱いは、つたないけど…)

鈴(なんなの? この落ち着き様は…?)

鳴上「……」

ガァンッ! ギガンッ!

鈴「悠!」

鳴上「?」

鈴「…悪いけど、少し本気を出してもいいかな?」

鳴上「……」

鳴上「わかった」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:53:28 ID:BlXLUHWU

鈴「……じゃあ、いくわよ! 龍砲!!」 ドオンッ!

鳴上「!?」

ボゴンッ!!

鳴上「ぐあっ!」

鈴(……まともに食らった!?)

鳴上「……くっ!」

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

鈴「!? 爆弾!?」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:54:13 ID:BlXLUHWU

バリバリバリバリッ!!

鈴「ああああっ!! ス、スタン・グレネード!!」

鳴上「今だ!!」

鈴「くっ…!!」

ガアアアアンッ!!

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:55:34 ID:BlXLUHWU

----------

鈴「……あんた、何者なの?」

鳴上「…ただの高校生だが?」

鈴「…う~ん、上手く言えないけど悠の動きは、とても素人とは思えない」

鈴「戦い慣れしてる? 感じだった……」

鳴上「……でも結果は、俺の負けだ」

鈴「…まあ、そうだけど」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:56:20 ID:BlXLUHWU

鳴上「ありがとう、得るものの大きい戦いだった…」

鈴「…どういたしまして」

鳴上「良かったら また手合わせしてくれ」

鈴「ええ、いいわよ」

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:58:36 ID:BlXLUHWU

-放課後・談話室-

セシリア「で、どうですの? 噂の転校生さんは?」

鈴「ん? まあ悪い奴じゃないと思うわ。 変わってる所はあるけど」

箒「変わってる? どんな風に?」

鈴「そうね…。 誰か『ペルソナ』って言葉知ってる?」

ラウラ「………知らないな」

シャル「確か……心理学用語じゃなかったかな?」

鈴「ふうん…。 その心理学用語?の『ペルソナ』を やたらと使うのよ」

鈴「あたし達で言うなら、『えいっ!』とか『とうっ!』みたいにね」

箒「………確かに変わってるな」

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:59:53 ID:BlXLUHWU

ラウラ「強さはどうだ?」

鈴「ISの扱いは、まだまだって感じ。 でも…」

セシリア「でも?」

鈴「…妙に落ち着き払っていて、ケンカ慣れしてる様な気がするの…」

シャル「へえ? チラッと見たけど、そんな風には見えなかったよ?」

鈴「そうなのよね…。 まあ見た目で判断しちゃ、いけないのかも」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:01:09 ID:BlXLUHWU

-夜・IS学園寮・一夏の部屋-

鳴上「鳴上 悠です」 ペコリ

一夏「おう、同室の織斑 一夏…です」 ペコリ

一夏(……な、なんか大人びた同級生だな?)

一夏「…まあ堅苦しい挨拶はこれぐらいにして、俺の事は一夏、と呼んでくれ」

鳴上「わかった、一夏。 俺の事も、好きに呼んでくれてかまわない」

一夏「そっか。 じゃあ…悠、と呼んでもいいか?」

鳴上「ああ」

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:02:10 ID:BlXLUHWU

一夏「悠は専用機持ちらしいけど……、どういう経緯でIS学園に?」

鳴上「………………」

一夏「……? 悠?」

鳴上「……多分、言っても信じてくれないと思うが」

一夏「お、おう」

鳴上「突然、空からニンジンの形の」

一夏「なるほど…よく分かった」

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:03:36 ID:BlXLUHWU

鳴上「…まだ導入部だぞ?」

一夏「…そのニンジンの形した輸送ポッドの中から」

一夏「ウサ耳をつけたメイド服の女性が出てきて」

一夏「『おおう! いっくんの他に男性のIS適正者発見!! さ、一緒に来て~!』と言われ」

一夏「有無を言わさず、専用のISを渡されたあげく…」

一夏「いつの間にかIS学園の転入が決まっていた、と」

鳴上「……………………」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:05:16 ID:BlXLUHWU

鳴上「……見てたのか?」

一夏「単なる推測だよ」

鳴上「台詞も一言一句、間違いなかったぞ?」

一夏「そりゃどうも…」

鳴上「…知り合いなのか?」

一夏「ああ、幼馴染のお姉さんなんだ」

鳴上「そうなのか…」

一夏「………はあ」

鳴上「……………」

鳴上(…そっとしておこう)

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:06:23 ID:BlXLUHWU

-翌日・昼休み・食堂-

一夏「悠! ここで食わないか?」

鳴上「…いいのか?」

シャル「どうぞ、歓迎するよ」 ニコ

シャル「あ、自己紹介がまだだったね?」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:07:11 ID:BlXLUHWU

シャル「ボクは、シャルロット・デュノア。 フランスの代表候補生」

鳴上(…ボク?)

セシリア「わたくしはセシリア・オルコット。 イギリスの代表候補生ですわ」

鳴上(いかにも、な、お嬢様…)

ラウラ「私はラウラ・ボーデヴィッヒ。 ドイツ代表候補生だ」

鳴上(…眼帯)

22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:08:04 ID:BlXLUHWU

箒「私は篠ノ之 箒。 代表候補生ではないが、専用機持ちだ」

鳴上(この娘が、篠ノ之博士の妹さん)

鳴上(一夏との幼馴染か…)

鈴「あたしは、知ってるよね? 悠」 クス

鳴上「もちろん」 クス

23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:08:52 ID:BlXLUHWU

鳴上「俺は、鳴上 悠。 よろしく」

鳴上「それにしても、そうそうたるメンバーだ…」

一夏「ああ、多国籍IS専用機持ちばかりだ」

一夏「でもみんな、いい奴だぜ? 気兼ねしないでくれ」

鳴上「わかった」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:09:42 ID:BlXLUHWU

セシリア「鈴さんから お聞きしましたけど、変わった掛け声をなさるとか…」

鈴「ちょっ…、セシリア!」

セシリア「あ…ごめんなさい」

鳴上「いや、気にしないでくれ。 …色々あって、口癖になってしまったんだ」

ラウラ「心理学用語…なのだろう?」

鳴上「響きが、ハイカラだろ?」

箒(ずいぶん古風な 言い回しをするのだな…)

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:10:41 ID:BlXLUHWU

シャル「専用機の名前もかっこい…ハイカラだね」

箒「イザナギ、だったな。 イザナギのミコト…日本の神の名前だ」

鳴上「ああ、自分でも気に入ってる」

鳴上「篠ノ之博士に 名前を付けていいと言われて、命名した」

一夏「さ、みんな、質問はそれくらいにして飯にしようぜ!」

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:12:38 ID:BlXLUHWU

-数日後・IS学園・第一アリーナ・1組2組合同実習-

千冬「…転校生の 鳴上 悠 か」

鳴上「はい」

千冬「……束に気に入られた様だが、大丈夫か?」

鳴上「…?」

千冬「…まあいい」

千冬「よし、それでは…織斑、鳴上と模擬戦をやれ」

一夏「おしっ! わかりました」

鳴上「よろしくな、一夏」

一夏「こっちこそな、悠」

27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:13:40 ID:BlXLUHWU

鳴上「……」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウンッ!

一夏「白式!」 スウウウウンッ!

鳴上「行くぞ… 一夏」

一夏「ああ…、いつでもいいぞ」

鳴上「はあああああっ!!」

ガキンッ!! ガアンッ!!

28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:14:21 ID:BlXLUHWU

千冬(………)

箒(………)

セシリア(………)

シャル(………)

鈴(………)

ラウラ(………)

キンッ!! ガァンッ!!

29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:15:07 ID:BlXLUHWU

千冬「……篠ノ之、どう見る?」

箒「…ISに乗っていなければ」

箒「一夏に…勝ち目はないでしょう」

セシ・ラウ・シャ・鈴「「「「…!?」」」」

30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:16:58 ID:BlXLUHWU

千冬「同感だな。 鳴上の動きは、実戦をくぐり抜けてきた者の動きだ」

千冬「俗に人、一人を切れば、初段の腕、と言うが、」

千冬「鳴上の動きは、まさにそれだ」

箒「型にはまらない我流の動きだが…、間合いの取り方が素人のそれではない」

千冬(…だが、気になるのは『何』と戦って来たのか? ということだ)

千冬(動きから、まるで人ならざる者との戦いを 想定しているように見える…)

千冬(束め…どこからこんな逸材を…)

31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:18:20 ID:BlXLUHWU

鳴上「…ペルソナ!」 ポウ ポウ

一夏(来た!…鈴の言っていた、小型のスタン・グレネード!!)

一夏「その手は、食わないぜ!」 回避行動

カッ!!!

一夏「!? ま、眩し…!!」

鳴上「はあああああっ!!」

バゴオオンッ!!

32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:19:58 ID:BlXLUHWU

-授業終了後・男子更衣室-

一夏「……負けたぜ」

鳴上「油断したな」

一夏「ちえ…、スタン・グレネードじゃなくて フラッシュ・グレネードとはな…」

鳴上「だが一夏の零落白夜は、凄い武器だ」

鳴上「俺の勝利は、紙一重にすぎない」

一夏「ま…白式には、それしかないけどな」

33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:20:43 ID:BlXLUHWU

鳴上「一夏は、きっと強くなれる。 大丈夫だ」

一夏「ああ、これからさ」

一夏「…次は負けないぜ?」

鳴上「その意気だ」

ハハハ…

一夏(うん…、こういう会話 すげー久しぶり。 楽しいな)

34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:27:37 ID:BlXLUHWU

-放課後・IS学園寮・ロビー付近-

鈴「一夏! 今度の休み、空いてる?」

一夏「ん? ああ、空いてるが?」

鈴「そ! じゃあさ! 一緒に映画を見ない? タダ券二枚あるの!」 ピラッ

一夏「へえ…。 お! 『山本五十嵐』じゃないか! この前、封切りしたばかりの…」

35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:28:28 ID:BlXLUHWU

一夏「……って、これ硬派な戦争映画だぞ?」

鈴「あ、あたしは、一夏と見れれば文句はないわ!」 ///

一夏「う~ん…。 鈴には、退屈だと思うけどなあ。 男じゃないとわからないぞ? こういうの」

鈴「…別に構わないって」

一夏「けどなあ…」

鈴「……もういい! だったら券はあげるから、悠とでも見に行けば!!」 フン!

一夏「!? お、おい鈴!?」

一夏「………なんだよ、ったく」

36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:29:24 ID:BlXLUHWU

-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「……という事があってな」

鳴上「………」

一夏「なんで鈴が怒ったのか、わからない」

鳴上(…本当にこんな奴が、存在するんだな)

一夏「やっぱり謝るべきかな?」

37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:30:17 ID:BlXLUHWU

鳴上「…止めておいた方がいいと思う」

鳴上「むしろ今回の事に礼を言った上で、別の休みに鈴好みの映画を見に行くか…」

鳴上「もしくは…二人で、どこかに出かける約束をしたらいいと思う」

一夏「…そうなのか?」

鳴上「多分だが……きげんは治ると思う」

一夏「そうか! よし、明日にでも鈴に伝えよう!」

鳴上(その前に根本的な所が、ダメダメな気がする……)

38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:31:28 ID:BlXLUHWU

-次の日・休み時間・廊下-

一夏「鈴!」

鈴「……何よ」

一夏(うっ…。 露骨に怒っていらっしゃる…)

一夏「き、昨日のタダ券、ありがとうな」

一夏「それで、そのお礼…と言っちゃなんだが、この次の 次の休みに」

一夏「どこか出かけないか?」

鈴「……ふえっ!?」

39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:32:20 ID:BlXLUHWU

鈴「…………」

鈴「…ホント?」

一夏「ああ、本当だとも! 鈴が見たい映画があれば、一緒に見に行くし」

一夏「ないなら、買い物でも遊園地でも付き合うぜ?」

鈴「ホ、ホントにホント!?」 ///

一夏「本当だって」

40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:33:36 ID:BlXLUHWU

鈴「ふ、二人だけ、で!?」 ///

一夏「おう、もちろん!」

鈴(や、やたっ! い、一夏と デ、デートの約束!) ///

鈴「しょ、しょうがないわね! 付き合ってあげるわ!」 ///

一夏(…すげえ、悠の言う通りにしたら、きげんがすんなり治った!)

一夏(休みは減ったけど…)

一夏(悠……頼りになるぜ!)

41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:34:55 ID:BlXLUHWU

-授業中・2組教室-

鈴(んふふ~、デート。 一夏とデート!) ニコ ニコ

モブ子(……なんか気持ち悪いわね、鳳さん) ヒソヒソ

モブ美(休憩終わってからずっと、ああだもんね…) ヒソヒソ

モブ枝(何があったのかしら…?) ヒソヒソ

鳴上(……一夏、上手くいったようだな) ヤレヤレ…

42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:35:58 ID:BlXLUHWU

-昼休み・屋上-

鳴上「……ふう」

シャル「……あれ? 鳴上くん?」

鳴上「……? デュノア?」

シャル「どうしたの? お昼食べたら、急用とか言って」

シャル「すぐに食堂から出て行っちゃったと思ったら…」

シャル「こんな所にいるなんて…」

43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:37:05 ID:BlXLUHWU

鳴上「……なんとなく居心地が悪くて」

シャル「…そっか」

シャル「鈴…なんかテンション高かったし、そのせいかな…?」

鳴上「………?」

シャル「……ボクも、ちょっと居心地、悪くて、ね。 空気を吸いに」 テヘへ

44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:37:52 ID:BlXLUHWU

鳴上(……まさか)

鳴上「デュノアは…、一夏の事が好きなのか?」

シャル「……うん、好き」

シャル「って、わかるよね? 普通…」

鳴上「恐ろしいまでの鈍感力だ…」

シャル「あそこまでいくと才能だよ…ホント」 フウ…

45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:38:54 ID:BlXLUHWU

鳴上「……気持ちは伝えたのか?」

シャル「……ううん」

鳴上「なぜ、伝えない?」

シャル「……いろいろアピールしてダメだったし」

シャル「ボクには、家庭の事情もあって」

シャル「今の関係が壊れるのが…怖いの」

鳴上「…………」

鳴上「いいのか? それで?」

シャル「……わかってるよ、そんな事」

鳴上「…………」

鳴上(あまり、口を出さない方が いいのだろうけど…)

46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:40:50 ID:BlXLUHWU

鳴上「……少し、独り言を言っても かまわないか?」

シャル「……どうぞ」

鳴上「……ある人物が、恋をしていた」

鳴上「寝ても覚めても…と、いうわけではなく その想いは、ほのかなものだった」

鳴上「…でも、突然その想い人は亡くなってしまう」

シャル「……!」

鳴上「もちろん、そいつは悲しんだ…。 それは事実だ。 でも…」

シャル「…………」

鳴上「ある時、気が付いてしまった」

鳴上「想い人が亡くなった事よりも」

鳴上「想い人が亡くなって、自分はなんて可哀想なのだと 酔っている自分に……」

47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:41:44 ID:BlXLUHWU

シャル「……何が言いたいの?」

シャル「ボクが…自分を哀れんで 喜んでいる、とでも言いたいの!?」

鳴上「……………」

鳴上「違うのか?」

シャル「!!」

パァンッ!!

シャル「違う! ボクは……ボクは、そんな事 思っていない!!」 ダッ

タッ タッ タッ…

鳴上(……………)

鳴上(……言い過ぎた、かな)

48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:44:40 ID:BlXLUHWU

-放課後・IS学園寮・談話室-

セシリア「あら…鳴上さん、ごきげんよう」

鳴上「…オルコット」

セシリア「…? どうかなさいましたの? その頬」

鳴上「そっとしておいてくれ……」

セシリア「はあ……」

49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:46:29 ID:BlXLUHWU

セシリア「それにしても…」

鳴上「?」

セシリア「鈴さん……気持ち悪いくらい上機嫌でしたけど…」

セシリア「鳴上さん、何かご存知ありませんこと?」

鳴上「……いや」

セシリア「そうですの…。 まあおそらく、一夏さんがらみでしょうけど…」 フウ…

鳴上(…………)

鳴上(……まさか)

鳴上「もしかして…、オルコットも一夏が好きなのか?」

セシリア「!! ……えと…その…、はい」 ///

鳴上「…そうか」

50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:48:04 ID:BlXLUHWU

セシリア「………」

セシリア「鳴上さん、『も』って言う事は、どなたかにも同じ質問を?」

鳴上「………デュノアに」

セシリア「……ははあ、その頬はシャルロットさんが?」

鳴上「……少し、言い過ぎて」

鳴上(ひょっとして…。 一夏と親しそうにしている女子全員…)

鳴上(…ありうるな)

鳴上「一夏は……誰かと付き合っていたりするのか?」

セシリア「わたくしの知る限りでは…いないと思います」

鳴上「……それはそれで凄いな」

51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:49:59 ID:BlXLUHWU

鳴上「オルコットは…」

セシリア「はい?」

鳴上「……いや、なんでもない」

セシリア「…どうして告白しないのか? ですか?」

鳴上「…!」

セシリア「……実を言うと、わたくしにもよく分からないのです」

セシリア「一夏さんをお慕いしているのは…間違いありません」

セシリア「わたくしは 精一杯淑女として一夏さんに接していると、自信もあります」

セシリア「……ですが、何かが足りない様な気がして…」

52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:50:59 ID:BlXLUHWU

鳴上「…………」

鳴上「知り合いの話をしてもいいか?」

セシリア「……はい。 かまいませんわ」

鳴上「…そいつは普通だった」

鳴上「俺と…なんら変わらない、健全な高校生」

鳴上「だがそいつは、家名を継ぐという 見えない鎖で繋がれていた」

セシリア「…………」

53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:51:54 ID:BlXLUHWU

鳴上「しかし……ある日、唐突にその鎖が外された」

鳴上「俺は、そいつの継ぐべき家名を汚さない努力を、それなりに見てきた」

鳴上「見た目は平静を装っていたが…」

鳴上「落胆しているのは、手に取るようにわかった」

セシリア「…………」

54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:52:42 ID:BlXLUHWU

鳴上「…オルコットも同じじゃないのか?」

セシリア「!?」

鳴上「自分のやってきた事を、これまでを」

鳴上「一夏に否定されるかもしれない、と思っているんじゃないのか?」

セシリア「なっ……!?」

セシリア「そんな事…そんな事、ありませんわ!!」

セシリア「あなたなどに、わたくしの何がわかるとおっしゃるの!?」

鳴上「………」

55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:53:25 ID:BlXLUHWU

セシリア「…不愉快ですわ。 失礼します!」 タッ

コッ コッ コッ…

鳴上「………」

鳴上「……またやってしまった」

56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:54:09 ID:BlXLUHWU

-同・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「……シャルロット?」

シャル「………」

ラウラ(……何があったのだ?)

62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:54:05 ID:4nXGrPXk

-翌日・昼休み・食堂-

一夏「あれ? 今日、セシリアとシャルは?」

箒「セシリアは、何か用事があると言っていた」

ラウラ「シャルロットは、気分がすぐれないそうだ」

一夏「そうなのか? セシリアはともかく、シャルは元気そうだったのに」

鈴「ふうん…」

鳴上「………」

63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:55:26 ID:4nXGrPXk

鳴上「……ごちそうさま」 ガタッ

一夏「? おい悠、まだいいじゃないか」

鳴上「…すまない、ISについて勉強したいんだ」

鳴上「なにしろ いきなりの転校だったからな。 しばらく図書室にこもろうと思って…」

一夏「…そういえば、寮でも勉強していたっけ」

鳴上「できるだけ早く学科に追いつきたくてな…」

一夏「わかった…じゃあな」

鳴上「ああ…」

ラウラ「…………」

64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:57:33 ID:4nXGrPXk

-同・図書室-

鳴上「…………」 カリカリ…

ラウラ「鳴上」

鳴上「?」

鳴上「……ボーデヴィッヒ」

ラウラ「少しいいか?」

鳴上「…ああ」

65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:58:54 ID:4nXGrPXk

ラウラ「昨日からシャルロットの様子が、おかしいんだ」

ラウラ「何か知らないか?」

鳴上「………多少は」

鳴上「俺にも責任がある…」

ラウラ「…詳しく話せ」

66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:00:18 ID:4nXGrPXk

----------

鳴上「……という話をしたんだ」

ラウラ「それは…シャルロットを侮辱したのか?」

鳴上「その意図はない」

鳴上「……ただ、感じた事を言ったまでだ」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」

67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:01:01 ID:4nXGrPXk

ラウラ「…………」

ラウラ「シャルロットは……元気になるか?」

鳴上「乗り越えるべき壁を、乗り越えた時に」

ラウラ「………シャルロットしだい、か」

68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:02:19 ID:4nXGrPXk

ラウラ「ところで鳴上」

ラウラ「……私は一夏を嫁にする、と本人に伝えているが」

ラウラ「これは告白になるか?」 ///

鳴上「…………えっ?」

ラウラ「だから、一夏に公衆の面前で『嫁にする』と宣言しているのだが……」 ///

鳴上「……………………」

鳴上「……いろいろツッコミたい事はあるが」

鳴上「おそらく一夏は……そう思ってない」

ラウラ「!? そ、そんな!?」

69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:03:21 ID:4nXGrPXk

ラウラ「ク、クラリッサが言うには、これで一夏の『はあと』をがっちり掴めると!」

鳴上「………誰?」

ラウラ「私の副官だ」

ラウラ「さらに、止めにその時、唇も奪っている!」

ラウラ「そして、時折 裸で一夏のベッドにも潜り込んでいるぞ!」 ドヤッ!

鳴上(………この学び舎は、無法地帯か? それとも俺がおかしいのか?)

ラウラ「なあ、鳴上……」

鳴上「落ち着け」

ラウラ「う? ……うむ」

70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:04:14 ID:4nXGrPXk

鳴上「……俺の意見を聞くか?」

ラウラ「………す、少し怖いが…聞きたい」

鳴上「…………」

鳴上「はっきり言ってボーデヴィッヒは、幼すぎる」

ラウラ「な!? …そ、それは仕方ないだろう!?」

ラウラ「発育には個人差というものが……」

鳴上「内面の事を言っているんだ」

ラウラ「……!」

71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:05:53 ID:4nXGrPXk

鳴上「…俺には、小学二年生の従兄弟がいるが」

鳴上「それよりも幼く感じる」

ラウラ「…………」

鳴上「…事情があるのか?」

ラウラ「私は…試験管から生まれ、兵器として育てられた…」

鳴上「…………!」

ラウラ「皆の様な教養など、受けていない……」

ラウラ「だから、人から聞き、教えられた事でしか 自分の気持ちを表現できない」

ラウラ「私には、あれが精一杯なんだ……」

鳴上「…………」

72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:07:48 ID:4nXGrPXk

鳴上「………俺の知り合いに、自分を探し続けた奴がいる」

ラウラ「…………」

鳴上「探して…探して…、傷ついて。 それでも探し続けて…」

ラウラ「…………」

鳴上「ある日…俺の前から突然消えた」

ラウラ「…死んだのか?」

73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:08:40 ID:4nXGrPXk

鳴上「いや、二、三日後にひょっこりと 帰ってきた」

ラウラ「むう?」

鳴上「………でもな」

鳴上「一回り大きく成長していた」

鳴上「ああ、物理的にって意味じゃない」

鳴上「精神的に……こう、吹っ切れていた、という意味だ」

ラウラ「…………」

74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:10:09 ID:4nXGrPXk

ラウラ「何があったのか、知りたい」

鳴上「…自分を見つけたんだ」

ラウラ「…私をバカにしているのか?」

鳴上「そうじゃない。 そうとしか言えないんだ」

ラウラ「…っ! もういいっ! 聞いた私が愚かだった!」 ダッ

ツカ ツカ ツカ…

鳴上「…………」

鳴上(………またか) ハア…

75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:11:57 ID:4nXGrPXk

-放課後・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「明日は休みだし、鈴にもらったタダ券の映画を見に行くつもりだが…」

一夏「悠、一緒にどうだ?」

鳴上「…すまない。 今週と来週の休日、2組の先生に補習授業をお願いしているんだ…」

一夏「……お前って、ホント勉強 好きだな」

鳴上「明日は雨だし、はかどると思う」

一夏「げっ、そうなのか!?」

鳴上「雨音を聞くと、集中出来るんだぞ?」

一夏「いや、そうじゃなくて、明日雨なのかよ!って事なんだけど……」

76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:14:27 ID:4nXGrPXk

-翌日・休日の雨天・朝・2組教室-

2組の先生「……ということです。 わかりましたか?」

鳴上「はい、絶対防御……。 凄い技術ですね」

2組の先生「そうですね、ここ数年の技術的進歩は」

2組の先生「産業革命以来の歴史的発展、と言われていますから……」

鳴上(…俺が今まで習ってきた、科学のレベルを完全に超えている)

2組の先生「それでは次に行きますね」

鳴上「はい」

77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:15:46 ID:4nXGrPXk

-昼・食堂-

鳴上「…………」 モグモグ…

箒「鳴上。 ここ、いいか?」

鳴上「篠ノ之…」

鳴上「どうぞ」

箒「…鳴上は、部活動に興味あるか?」

鳴上「…? 勧誘か?」

箒「まあな…」

箒「この前の一夏との模擬戦を見て、剣道部はどうかと思って」

鳴上「……考えておく」

箒「そうか……。 ぜひ、前向きに検討してみてくれ」

78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:17:03 ID:4nXGrPXk

鳴上「……篠ノ之は今日、部活か」

箒「ああ、そうだ」

箒「鳴上は何をしている?」

鳴上「先生に頼んで補習授業をしてもらってる」

箒「ほう? 熱心だな。 一夏とは大違いだ」 クスッ

箒「一夏は最初、間違いとは言え 教本を捨ててしまってな」

箒「本当にどうしようもない奴で……」

79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:18:17 ID:4nXGrPXk

鳴上(……この流れは)

鳴上(やばい……!)

鳴上(しかし…俺は、食事を始めたばかり…)

鳴上(おまけに時間もまだまだ たっぷりある!)

鳴上(だがここは、勇気を振り絞って……!)

80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:19:48 ID:4nXGrPXk

箒「そういえば、今日一夏は何をしているのだ?」

鳴上(くっ…! 先手を打たれた!)

鳴上「……映画を見に行く、と言っていた」

箒「な、なに!?」

箒「そんな話、初耳だぞ!? だ、誰と行くつもりか、聞いてないか!?」

鳴上「いや、誘われたんだが俺は 補習があるから断った」

鳴上「中学時代の友達……弾? とかいう奴を誘ったと……」

箒「…そ、そうか」

鳴上(…わかりやすすぎる)

鳴上(あきらめよう……) ハア…

81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:21:09 ID:4nXGrPXk

鳴上「…篠ノ之は、一夏の事が好きなんだな?」

箒「ななななななっ!? なな、なにを言って!?」 ///

鳴上「…わざとやっているのか?」

箒「そ、そんなわけあるか! お前が変な事を言うからだ!」 ///

鳴上「落ち着け…」

箒「ぐっ…む…」 ///

82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:22:06 ID:4nXGrPXk

箒「…………」 ///

箒「そ……そんなに」 ///

箒「バレバレか?」 ///

鳴上「……かなり」

箒「~~~~~っ!」 ///

鳴上「落ち着け」

83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:23:12 ID:4nXGrPXk

鳴上「…もう告白したらどうだ?」

箒「い、いまさら……できない」 ///

鳴上「なぜ?」

箒「……は、恥ずかしいからに決まっているだろう!?」

鳴上「…………」

鳴上「それでいいのか?」

箒「良いも悪いも……無い」

箒「……臆病なんだ、私は」

鳴上「…………」

84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:23:55 ID:4nXGrPXk

鳴上(また……きげんを損ねるかな?)

鳴上(……まあいいか)

鳴上「俺の知り合いに、音楽の好きな女の子がいるんだが…」

箒「…? なんだ? いきなり?」

鳴上「…とりあえず、聞いてくれ」

箒「……む」

85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:25:02 ID:4nXGrPXk

鳴上「その娘は、音楽が人を幸せにすると、一途に信じていて…」

鳴上「吹奏楽部でトロンボーンを使っていた」

箒「…………」

鳴上「本当はフルートを吹きたかったそうだが…」

鳴上「経済的な理由で、元々家にあったトロンボーンを 使うようになったそうだ」

箒「…………」

鳴上「小柄なその娘に トロンボーンは大きすぎて、扱いづらそうだった」

鳴上「……でも、彼女は必死に練習した」

鳴上「失敗して、笑われる事を 恐れながらも…な」

箒「…………」

86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:26:02 ID:4nXGrPXk

鳴上「篠ノ之は…一夏の事で、どんな努力をした?」

箒「!!!」

鳴上「一夏に想いを寄せながら…何をした?」

鳴上「ただ、振り向いてくれるのを待っている様だが…」

鳴上「自分ではない誰かが 一夏のそばにいないか、そればかり気にしている…」

鳴上「……滑稽だ」

箒「黙れ!!!」 ガタッ!

87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:27:04 ID:4nXGrPXk

鳴上「…………」

箒「お前に・・・! お前なんかに、私の何がわかる!?」

鳴上「…………」

箒「…………っ」

箒「………くそっ!!」 タッ

ツカ ツカ ツカ…

鳴上「…………」

鳴上(…やっぱり 怒らせてしまった) ハア…

88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:29:19 ID:4nXGrPXk

-夕方・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

鳴上「おかえり」

一夏「おう、ただいま! 悠!」

鳴上「…? なんだ、その荷物?」

一夏「これか? フッフッフッ…じゃーん!」 バッ!

鳴上「………プラモデル?」

一夏「ああ! 映画に出てきた、戦闘機や戦艦だ!」 ニカッ

鳴上「……買いすぎじゃないか?」

一夏「ああ…。 いきおいって怖いな…」 ズーン…

89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:30:35 ID:4nXGrPXk

一夏「悠も作らないか? 金は いらないから」

鳴上「気が向いたらな」

一夏「おう、待ってるぜ!」

一夏「じゃあさっそく、零戦、いってみるか!」 ガサゴソ…

鳴上「…………」

90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:31:36 ID:4nXGrPXk

-翌日の休日・朝・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

鳴上「………ふあ」

鳴上(……もう起きないと)

鳴上「…そうだ、テレビ」 ピッ

アナタノ、テレビニ、ジカネットタナカ~

ミ、ン、ナ、ノ、ヨクノトモ!

鳴上(…………)

鳴上(今日は、欲しいものは無かったな) ピッ

91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:32:12 ID:4nXGrPXk

鳴上「おい、一夏」

一夏「…………ん」

鳴上「そろそろ起きないと、鈴との約束 間に合わなくなるぞ?」

一夏「……ん、ふあああっ………」

一夏「もう…そんな時間か…」

92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:33:21 ID:4nXGrPXk

鳴上「……三機も作ったのか」

一夏「ん…ついついな…」

一夏「零戦作ったら 九九艦爆と、九七式艦攻も作って…」

一夏「真珠湾攻撃を再現したくてなあ…」 ボリボリ…

鳴上「……一夏、シャワーぐらいは浴びて行けよ?」

一夏「ん~…わかってる」

一夏「目を覚ます為にも浴びるさ…」

鳴上「しっかりしろよ? ……じゃあな」

93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:34:20 ID:4nXGrPXk

-昼過ぎ・IS学園・中庭付近のベンチ-

鳴上(…よし、ISの基本構造と概要はだいたい理解できた) セノビー…

鳴上(後は復習して、よりしっかり覚えよう……)

鳴上(…………ん?)

鳴上(……鈴?)

鳴上(一夏はどうしたんだ? ……それに帰って来るには、随分早い)

鳴上(…………)

94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:35:23 ID:4nXGrPXk

鈴「あ………。 悠……」

鳴上「…やあ」

鈴「何してんの?」

鳴上「補習の後、昼を食べて くつろいでいる」

鈴「そっか…、そういやお昼 まだだっけ…」

鳴上「…………」

鳴上「………一夏は?」

鈴「…!」

鈴「……もう知らない! あんな奴!!」 ダッ

タッ タッ タッ…

鳴上「…………」

鳴上(一夏、何かやらかしたな)

95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:36:22 ID:4nXGrPXk

-夕方・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「…ただいま」

鳴上「…おかえり」

鳴上「……鈴、先に帰ってきてた」

一夏「…知ってる」

鳴上「……何があった?」

一夏「映画見てて…爆睡しちまった」

96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:37:30 ID:4nXGrPXk

鳴上「…………」

鳴上「ひょっとして」

鳴上「今まで…か?」

一夏「返す言葉もありません……」

鳴上「今すぐ謝って来い」

一夏「…帰ったその足で 真っ先に鈴の部屋に向かったよ」

一夏「………会ってもくれなかった」

鳴上「……………………」

97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:38:48 ID:4nXGrPXk

鳴上「一夏……」

一夏「ん?」

鳴上「今日の鈴を見て……何か感じた事はあるか?」

一夏「感じた事?」

一夏「そうだな……」

一夏「私服だったな。 そういえば、いつもより可愛かったような…」

一夏「後は…テンションが、やたら高かったけ……」

一夏「う~ん…、それぐらいかな…」

98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:39:46 ID:4nXGrPXk

鳴上「………そうか」

一夏「なんだよ、いったい……?」

鳴上「俺が見た限りでは…かなり気合が入っていた」

一夏「気合?」

鳴上「まず……、リボンが違っていた。 服に合うものを選んだのだろう」

鳴上「化粧も多少濃かったし…、いつもはしていない 口紅をしていた」

鳴上「……きっと、今日という日を 楽しみにしていたのだろう」

一夏「…………」

99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:41:22 ID:4nXGrPXk

鳴上「一夏は、鈴に対して何か気を使ったか?」

一夏「…………いや」

鳴上「そうか…」

一夏「で、でも、鈴は友達で…気の許せる相手で…」

鳴上「それに甘えた、と?」

一夏「!! そ、そんなつもりは!」

鳴上「…………」

一夏「…………」

一夏「…もう、飯食って、寝る」

鳴上「おやすみ」

103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:20:03 ID:4nXGrPXk

-????-

シャル「ボクは一夏の事が好き…」

シャル「でも…、ボクは妾の子…」

シャル「そんなボクが 一夏に告白なんて出来ない」

シャル「出来るわけがない…」

シャル「ああ…、ボクって、なんて不幸なんだろう……」

!?

104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:21:46 ID:4nXGrPXk

シャル「こんな不幸な星の元に生まれた僕を」

シャル「きっと一夏は放っておかない……」

…………

シャル「うふふ…きっと一夏は、僕を選んでくれる…」 アハハ…

シャル「不幸なボクを望んでいる…」

シャル「そうに決まっている…」 アハハ…

………違う

105: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:22:59 ID:4nXGrPXk

シャル「違う? なにが違うのかな?」

シャル「一夏がボクに優しくしてくれるのは、ボクが不幸だからだよ?」

シャル「ボクから不幸を取ったら……な~んにも無くなっちゃう!」 アハハ…

違う!

106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:24:03 ID:4nXGrPXk

シャル「違わないよ。 だって……」

シャル「キミはボク。 ボクはキミだもん」

シャル「なんだって知ってるよ……?」 アハハ…

違う…違う…! …違う!!

ボクはそんな事、思ってなんかいない!!

107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:25:02 ID:4nXGrPXk

シャル「そんな事言って…」

シャル「誰よりも不幸のぬるま湯が 好きなくせに……」 クスクス…

シャル「もっと自分に正直になりなよ!」 アハハ…

ち、違う!! キミなんて…キミなんて! キミなんて!!

ボクじゃないっ!!!!!!

108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:26:03 ID:4nXGrPXk

シャル「…………」

シャル「ふ…うふふ……」

シャル「あはははははははははははっ!!」

!!?

109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:31:28 ID:4nXGrPXk

シャル「我は影………真なる我………」

シャル「これからも……ボクは、汚れ続ける」

や…いや…やめて!!

シャル「不幸で在り続ける…。 一夏をモノにする為に…」 アハハ…

シャル「ISだって、ウソだって、体だって……、何だって使うんだから!!」 アハハ…!

いやああああああああああああっ!!!!

110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:32:59 ID:4nXGrPXk

-朝・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「シャルロット!」

シャル「…ううっ………くうっ」

ラウラ「シャルロット!!」

シャル「……はっ!」

111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:33:44 ID:4nXGrPXk

ラウラ「大丈夫か? ずいぶん うなされていたぞ?」

シャル「………夢」

ラウラ「……シャルロット?」

シャル「……あ、ごめん、ラウラ」

シャル「…酷い夢を…見ちゃって」 フウ…

ラウラ「そうか…」

112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:34:37 ID:4nXGrPXk

-授業中・1組-

シャル(…鳴上くんのせいだ)

シャル(鳴上くんが、あんな事言うから…)

シャル(…………)

シャル(ボクは…あんな事…望んでなんか…)

シャル(…………)

113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:35:37 ID:4nXGrPXk

-昼休み・図書室-

シャル「…鳴上くん」

鳴上「! …デュノア」

シャル「一夏に 多分ここだろうって聞いて…。 今…いいかな?」

鳴上「かまわない」

114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:38:04 ID:4nXGrPXk

シャル「この前はごめん…。 ひっぱたいちゃって…」

鳴上「…俺も言いすぎた」

シャル「……うん」

シャル「それで、ね。 この前の…『ある人』の話の続きを、ぜひ聞きたいんだ」

鳴上「…わかった」

鳴上「俺は、どこまで話した?」

シャル「……自分が可哀相だと、酔っている事に気づいたって」

鳴上「…そこからそいつは、自分を見つめ直す事を始めた」

鳴上「これまで自分の意思で取り組んできた事も」

鳴上「実は、単なる ごまかしでやってきた部分が あった事に気が付いた」

シャル「…………」

115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:39:07 ID:4nXGrPXk

鳴上「……俺は、そいつに言った」

鳴上「それが、お前のすべてじゃない」

鳴上「それを含めたすべてが、お前だ、と」

シャル「……!」

鳴上「俺の言葉がきっかけになったかは わからないが…」

鳴上「そいつは少しづつ、自分を理解して行くつもりだ、と言っていた」

シャル「…そう」

116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:40:23 ID:4nXGrPXk

シャル「今、その人はどうしてるの?」

鳴上「以前より明るくなって、毎日が楽しいと言ってる」 クスッ

シャル「…そっか」

シャル「ボクも…その人みたいになれるかな?」

鳴上「…………」

鳴上「デュノアが、あいつみたいに なることは無い」

鳴上「デュノアが デュノアのやり方で、デュノア自身と向き合えばいい」

シャル「ボクが…ボクのやり方で…」

117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:41:16 ID:4nXGrPXk

鳴上「…………」

鳴上「……そいつが、つぶやいた言葉がある」

鳴上「自分と向き合うって…難しいな…って」

シャル「……!」

鳴上「デュノアだけじゃない」

鳴上「俺も、そいつも、一夏も…」

鳴上「この学園にいる一人一人も、みんな」

鳴上「自分と向き合うことは、難しい事なんだ…」

118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:42:30 ID:4nXGrPXk

シャル「…………」

シャル「…………」

シャル「…………」 ホロリ

シャル「…………あれ?」

鳴上「…………」

シャル「どうして…ボク」

シャル「………泣いてるの?」

シャル「ふふ…変なの」 クスッ

鳴上「そんな事、ない」 ニコ

119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:43:34 ID:4nXGrPXk

シャル「…ありがとう、鳴上くん。 ボク…やってみるよ」

シャル「自分に向き合ってみる」

シャル「また…お話 聞かせてくれるかな?」

鳴上「もちろん」

シャル「じゃ…またね」

鳴上(デュノアの事が少し、わかった気がする…)

鳴上(デュノアの表情は どこか寂しげだが…目に輝きが灯った)

鳴上(…どうやら、デュノアの力になれた様だ)

120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:45:26 ID:4nXGrPXk

-放課後・屋上-

鈴「…………」

鈴「…………はあ」

鳴上「……鈴?」

鈴「………?」

鈴「悠…」

121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:46:16 ID:4nXGrPXk

鳴上「一夏から、おおよその事は聞いた」

鳴上「とても反省している…」

鈴「…………」

鳴上「…会ってやったらどうだ?」

鈴「…………」

鳴上「一夏の事が、好きなんだろう?」

鈴「!!」 ドキッ ///

122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:47:42 ID:4nXGrPXk

鈴「…………」

鈴「もう…わかんない」

鈴「あたしは 一夏の事…、好き…だと思う」

鈴「でも…一夏は…」

鳴上「…………」

鳴上「鈴は、一夏に気持ちを伝えたのか?」

鈴「……ううん」

鳴上「一夏が告白するのを待っている?」

鈴「あの超絶 朴念仁が、するわけ無いじゃない!」

鳴上「俺もそう思う」 クスッ

123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:48:44 ID:4nXGrPXk

鳴上「それだけ一夏の事を理解しているなら」

鳴上「後は、鈴しだい じゃないのか?」

鈴「…………」

鈴「あたしだって、そう思うわよ…」

鈴「昨日だって…そのつもりだった」

鳴上「…………」

124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:51:23 ID:4nXGrPXk

鈴「いい雰囲気になったら、自然な感じで…こ、告白しようって…」 ///

鳴上「…………」

鈴「……でも一夏は、いつも通りの一夏だった」

鈴「あたしなんか いろいろオシャレして、昨日をすごく楽しみにしてたのに…」

鈴「一夏は…一夏のままで、あたしだけ舞い上がって…」

鈴「なんだか バカバカしく思えちゃって…」

鳴上(一夏に軽く殺意を覚えるな…)

鳴上「でも…伝えるべき事は伝えないと」

鈴「今は…いい」

鳴上「………そうか」

125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:52:40 ID:4nXGrPXk

鳴上「…俺の親戚に」

鈴「………?」

鳴上「いや…家族に、不器用な生き方をしていた人がいる…」

鈴「うん…」

鳴上「その人には、小学生の一人娘がいたけど…」

鳴上「奥さんを…少し前に無くしたばかりだった」

鈴「…………」

126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:54:43 ID:4nXGrPXk

鳴上「突然に家族を亡くした、その人は…娘さんを ないがしろにしてた訳じゃないけど…」

鳴上「仕事の事もあって、どこか遠ざけていた…」

鈴「…………」

鳴上「…ある日、俺は その女の子にたずねられた」

鳴上「『本当のお父さんって、何?』って…」

鈴「…………」

鳴上「…俺は、とっさに答える事ができなかった」

鳴上「血が繋がってるって事だよ、と言うと」

鳴上「不思議そうな顔をされた…」

鈴「…………」

127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:56:40 ID:4nXGrPXk

鳴上「鈴も同じじゃないかな?」

鳴上「俺も驚いたけど、あの超絶 朴念仁に」

鳴上「一夏にわからせる為には、はっきり言う事が一番だと思う」

鈴「…………」

鈴「…簡単に言ってくれるわね」

128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:57:14 ID:4nXGrPXk

鳴上「…………」

鈴「今さらって感じもあるし、一夏の幼馴染って『友達』あつかいだし…」

鳴上「…………」

鈴「……でも」

鈴「その通り、だね…」 クスッ

129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:58:23 ID:4nXGrPXk

鳴上「鈴のペースで、やっていけばいい」

鳴上「あせる事は…」

鈴「それがあるの」

鈴「悠も見たでしょ? あのそうそうたるライバル達を」

鳴上「……確かに」

鈴「ふふ…とりあえず、一夏に会ってくる。 まずはそれから、だよね…」

鳴上「それがいい」

130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:59:51 ID:4nXGrPXk

鈴「…ところで、さっきの話に出てきた親子だけど…」

鈴「その後…どうなったの?」

鳴上「いろいろあったけど…」

鳴上「俺もふくめて『家族』になれた」 ニコ

鈴「そっか…」

鈴「良かった…」 ホッ…

鈴「じゃ、行って来るね!」 ニコ

鳴上「ああ…」

鳴上(鈴の声や表情は明るい…)

鳴上(鈴の力になれた様だ)

131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:03:28 ID:4nXGrPXk

-夜・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「…シャルロット」

シャル「ん?」

ラウラ「ずいぶん機嫌が良い様だが、何かあったのか?」

シャル「う~ん…どうだろう? 良い事って言えるのかな…?」

ラウラ「?」

132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:04:14 ID:4nXGrPXk

シャル「…ボクは、嫌な自分がいる事に…」

シャル「ううん…そういう自分もボクだって、認めようって 思える様になったの」

ラウラ「……!!」

ラウラ「それは…」

ラウラ「自分を見つけた、という事か?」

133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:05:00 ID:4nXGrPXk

シャル「うん…ある意味では、そうかも」

ラウラ「ど、どうやって見つけたのだ!?」

シャル「…ラウラ?」

ラウラ「あ…、す、すまない…」

シャル「…………」

シャル「ボクだけで見つけたわけじゃないよ…」

シャル「鳴上くんと…話をして、気づけたの」

ラウラ「鳴上に…」

シャル「うん」

134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:05:49 ID:4nXGrPXk

-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「…悠」

鳴上「ん?」

一夏「鈴の事、ありがとうな」

一夏「おかげで、仲直り出来た」

鳴上「そうか…。 良かった」

135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:06:50 ID:4nXGrPXk

一夏「…なんかお前って、ホント凄いな」

一夏「その落ち着き様は、とても同級生とは思えないよ」

鳴上「…そうかな」

一夏「ああ、まるで…」

コン コン

ラウラ「…鳴上、いるか? 話がしたい…」

一夏「ラウラ? どうしたんだ、もうすぐ消灯時間だぞ?」

鳴上「明日じゃ ダメなのか?」

ラウラ「…そこをなんとか、頼む」

一夏「…………」

鳴上「…………」

136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:07:38 ID:4nXGrPXk

-同・IS学園・どこかの個室-

鳴上「…それで、何の話を?」

ラウラ「…うむ、その」

ラウラ「シャルロットが…自分を見つけた、と言っていて…」

ラウラ「それは…お前と話をしたからだと…」

鳴上「…………」

137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:08:18 ID:4nXGrPXk

ラウラ「………私は、ずっと気になっていた」

ラウラ「自分を探す?」

ラウラ「どういう意味だ?」

ラウラ「それじゃあ、今、ここに居る私は、何なんだ?」

鳴上「…………」

ラウラ「鳴上に言われてから…何がなんだか わからなくなって…」

ラウラ「………わからなくて…、怖くて…」

鳴上「…………」

138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:09:09 ID:4nXGrPXk

鳴上「ボーデヴィッヒ」

ラウラ「…! な、なんだ?」

鳴上「この前、俺はある人物が『自分』を見つけた、と言ったが…」

鳴上「あれは正確じゃない」

鳴上「正しくは…『自分の出生の秘密』を見つけた、だ」

ラウラ「……!」

139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:10:09 ID:4nXGrPXk

鳴上「そいつの為に、本当の事は話せないが…」

鳴上「そうだな……」

ラウラ「…………」

鳴上「ボーデヴィッヒは、日本の…いや、」

鳴上「第二次 世界大戦での日本の事を知っているか?」

ラウラ「……我がドイツ共々敗戦国だ」

鳴上「確かにそうだが…、一つ違う事がある」

鳴上「原子爆弾を使用された…」

ラウラ「…………」

140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:10:44 ID:4nXGrPXk

鳴上「…原爆はただの一発で軍人も民間人も、男も女も、大人も子供も」

鳴上「大勢殺した」

ラウラ「…………」

鳴上「もし……もし、だ」

ラウラ「…………」

141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:11:24 ID:4nXGrPXk

鳴上「その原爆の発射スイッチを 自分の親が押してたと仮定して」

鳴上「今、目の前で仲良く話している人物が、原爆で親を亡くしていたら」

鳴上「ボーデヴィッヒは、どんな気持ちになる?」

ラウラ「…私に 親はいない」

鳴上「…じゃあ尊敬できる人は?」

ラウラ「一人いる」

鳴上「その人がスイッチを押した、と仮定してみてくれ」

142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:11:58 ID:4nXGrPXk

ラウラ(教官が…殺戮兵器のスイッチを…)

ラウラ(…そして、目の前の人の血縁者が その犠牲者)

ラウラ(…………)

ラウラ(…………)

143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:12:43 ID:4nXGrPXk

ラウラ「……複雑な気持ちになった」

鳴上「それだけ?」

ラウラ「だって…そうだろう? 確かに忌むべき行為だが…自分の責任ではない」

鳴上「…相手は、そう思ってくれるだろうか?」

ラウラ「!!」

ラウラ「そ、それは…!」

ラウラ「…………」

144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:14:10 ID:4nXGrPXk

鳴上「…俺の話のそいつも、そういう悩みを抱え込んで」

鳴上「一時……姿を消したのだと思う」

ラウラ「…………」

鳴上「そいつが帰って来た時」

鳴上「自分の出生の秘密を明かしてくれた…」

鳴上「その上で…こう聞いてきた」

ラウラ「…………」

鳴上「『みんなのそばに、いてもいい?』って…」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」

ラウラ「…………?」

145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:15:10 ID:4nXGrPXk

鳴上「…………」

ラウラ「お、おい、鳴上! ど、どうして黙る!?」

ラウラ「………ま、まさか」

鳴上「俺も含めて、みんな『あたりまえだ!』って言った」 ニコ

ラウラ「!!………そうか、良かった」 ホッ…

ラウラ「…って鳴上! 不必要に間を空けるな!」 プンプン!

鳴上「ハハハ……」

146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:16:17 ID:4nXGrPXk

ラウラ「…そいつは今、どうしてる?」

鳴上「元気に働いて、お金を貯めていると言っていた」

鳴上「何に使うつもりか聞いてみたけど、話してくれなかったな」

ラウラ「そうか…。 いつか会ってみたいな」

鳴上「…きっと喜ぶ。 ボーデヴィッヒみたいな可愛い女の子が」

鳴上「あいつは大好きだからな…」 クスッ

ラウラ「か、可愛い!? 私が!?」 ///

鳴上「もちろん」

147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:17:49 ID:4nXGrPXk

ラウラ「…結局、自分を探すには どうしたらいい?」

鳴上「…………」

鳴上「その前に、」

鳴上「ボーデヴィッヒは、一夏の事をどんな風に『好き』なんだ?」

ラウラ「……え?」

鳴上「『好き』にもいろいろある…」

鳴上「友達として『好き』、異性として『好き』、家族として『好き』…」

ラウラ「……そ、それは」

鳴上「答えなくていい。 考えてみるんだ」

148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:18:37 ID:4nXGrPXk

鳴上「誰かに意見を聞くのもいいが、あくまで参考程度にしておけ」

鳴上「自分で考えて、考えて、考え抜いて、はじめて」

鳴上「自分に…いや、」

鳴上「自分の一部に会えると…俺は思う」

ラウラ「…………」

149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:19:13 ID:4nXGrPXk

鳴上「…………」

鳴上「…あまり足しにならないか?」

ラウラ「…………」

ラウラ「……いや」

ラウラ「そんな事はない」 ニコ

鳴上「……そうか」

150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:19:55 ID:4nXGrPXk

ラウラ「ありがとう、鳴上」

ラウラ「私は、答えを出してみる」

ラウラ「…手間をかけた」

鳴上「…またな」

ラウラ「ああ。 またな」 ニコ

鳴上(突然だったボーデヴィッヒの訪問…)

鳴上(思いがけず、彼女を少し知る事ができた)

鳴上(どうやら、彼女の力になれた様だ…)

151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:20:40 ID:4nXGrPXk

-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「…お帰り」

鳴上「…ただいま」

一夏「…何を話したんだ?」

鳴上「…悩みを相談された」

一夏「ど、どんな?」

鳴上「それは話せないが…俺なりのやり方を伝えた」

一夏「…そうか」

鳴上「…そろそろ寝よう」

159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:53:24 ID:58FkMhBI

-翌日の昼休み・食堂-

箒「…………」

箒「………む」

箒(鳴上…) チッ…

箒(…………)

箒(仕方ない、また夕食に一夏を誘うとしよう…) ハア…

箒(…鳴上め) クルッ

160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:54:14 ID:58FkMhBI

セシリア「…………」

セシリア「………あ」

セシリア(鳴上さん…)

セシリア(…………)

セシリア(あまり顔を合わせたくありませんわ…)

セシリア「………はあ」 クルッ

161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:54:54 ID:58FkMhBI

-同・購買部-

箒「…おにぎり弁当をくれ」

セシリア「サンドイッチセットを…」

箒・セシ「「!」」

箒「セシリア?」

セシリア「箒さん?」

162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:55:26 ID:58FkMhBI

-同・IS学園・中庭付近のベンチ-

箒「…………」 モクモク…

セシリア「…………」 モクモク…

箒「…………」 モクモク…

セシリア「…………」 モクモク…

163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:56:11 ID:58FkMhBI

箒「…何かしゃべったらどうだ? セシリア」

セシリア「…箒さんこそ」

箒「…いい天気、だな」

セシリア「…そうですわね」

箒「…………」 モクモク…

セシリア「…………」 モクモク…

箒・セシ(か、会話が続かない…)

164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:56:59 ID:58FkMhBI

セシリア「はあ…」

セシリア「最近、一夏さんと お話しておりませんわ…」

箒「…! セシリアもか?」

セシリア「…!? 箒さんも?」

箒・セシ「…………」

165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:58:00 ID:58FkMhBI

箒「…実は、鳴上と…その、顔を合わせたくなくて…」

セシリア「…! …わたくしもですわ」

箒「セシリアも? …という事は」

箒「鳴上に何か言われたのか?」

セシリア「!!」

セシリア「そ、それは、その…」

セシリア「…………」

セシリア「…箒さんも?」

箒「…ぐっ!! …その」

箒・セシ「「…………」」

166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:59:04 ID:58FkMhBI

箒「…ここは、だな、」

箒「奴の事を知る上でも、お互いが持っている情報を 交換すべきではないだろうか?」

セシリア「そ、そうですわね」

箒「…で、では、セシリアは、鳴上に何を言われたのだ?」

セシリア「なっ!? ず、ずるいですわ! 箒さん!」

箒「わ、私も必ず言う!」

セシリア「くっ…約束ですわよ…」

167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:00:05 ID:58FkMhBI

----------

箒「………………」

セシリア「………………」

箒(鳴上 悠…何者なんだ…)

セシリア(どうして数日前に、転校してきたばかりのお人が…)

箒(こうも的確に心を見透かせるのだ???)

セシリア(わけがわかりませんわ…)

168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:01:15 ID:58FkMhBI

箒「セシリア…」

セシリア「なんですの…?」

箒「お前の目から見て…、鳴上の私の評価は正しいと思うか?」

セシリア「…同じ事を わたくしもお聞きしたいですわ…」

箒「…………」

セシリア「…………」

169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:02:33 ID:58FkMhBI

箒「…やっぱりいい」

セシリア「…わたくしも」

セシリア「…………」

セシリア「わたくし、放課後に鳴上さんと会ってきますわ…」

箒「!…そ、そうか」

箒「わ、私は…どうするかな」

箒「…………」

箒「良かったら…その、経緯を話してくれ」

セシリア「…はい」

170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:06:32 ID:58FkMhBI

-放課後・屋上-

鳴上「…オルコット」

セシリア「あ…鳴上さん」

鳴上「話って?」

セシリア「……えと」

セシリア「前に、談話室でお話しした『お知り合い』の方は」

セシリア「どうなったのか、お聞きしたくて…」

鳴上「…………」

鳴上「俺はどこまで話した?」

セシリア「家名を継ぐ継がないで、ショックを受けていた、と…」

171: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:07:28 ID:58FkMhBI

鳴上「……あの後、あいつは」

鳴上「何もかもに やる気を無くした」

セシリア「…………」

鳴上「俺も、友達も」

鳴上「見ていて辛かったが…」

鳴上「見守る事しか出来ずにいた」

セシリア「…………」

172: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:08:30 ID:58FkMhBI

鳴上「ある日、俺達は、少し強引にバスケの試合に誘った」

鳴上「…汗を流す内にあいつは段々、目に輝きを戻して行った…が」

セシリア「……そ、それで?」

鳴上「…………」

鳴上「あいつは……自分の価値を無くす恐怖感に抗えず」

鳴上「…力尽きた」

セシリア「そんな…!」

173: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:11:24 ID:58FkMhBI

鳴上「でも」

セシリア「…!」

鳴上「ひとしきり泣いた後…」

鳴上「あいつは自分で立ち上がったよ」

鳴上「はにかみながら、『俺達のおかげだ』と、言ってくれたがな」 クスッ

セシリア「………ホッ」

セシリア「その方は今、どうされていますか?」

鳴上「正式に家名を継ぐ事になった、と連絡があって」

鳴上「この前、十も年の離れた人と お見合いをさせられた、って嘆いていた」 クスッ

セシリア「まあ…」 クスッ

174: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:12:39 ID:58FkMhBI

セシリア「…………」

セシリア「鳴上さん」

セシリア「わたくし、なんだか分かった気がします」

鳴上「…………」

セシリア「わたくしは…一夏さんを恐れてもいるのですね…」

鳴上「…………」

セシリア「わたくしの『好き』は、単なる押し付けで…」

セシリア「それを一夏さんに拒絶されるかもしれないと」

セシリア「心のどこかで恐れている…と、鳴上さんは言いたかったのですね…」

鳴上「…………」

175: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:13:21 ID:58FkMhBI

鳴上「………もう大丈夫だ」

セシリア「えっ?」

鳴上「それに気づけたのなら…」

鳴上「オルコットは、一夏に気持ちを告げられるだろう」 ニコ

セシリア「鳴上さん…」

176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:14:16 ID:58FkMhBI

セシリア「…わたくし、がんばってみますね」

セシリア「ライバルは、多いですけど…負けませんわ!」 ニコ

鳴上「そうか…」

鳴上「…実るといいな」 クスッ

セシリア「はい!」 ニコ ///

鳴上(オルコットの表情は、実に晴れやかで曇りが無い…)

鳴上(どうやら、オルコットの力になれた様だ…)

177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:15:11 ID:58FkMhBI

-夜・IS学園寮・談話室-

セシリア「…あ、箒さん!」

箒「…セシリア?」

箒(な、なんだ? 昼間とは、まるで別人だ…)

セシリア「お待ちしておりました」 ニコ

箒「…………」

178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:16:04 ID:58FkMhBI

----------

箒「…………」

セシリア「……ですので、箒さんも 鳴上さんに会うべきですわ」

箒「…………」

セシリア「…箒さん?」

箒「!? あ、いや…」

箒「…そうだな」

179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:18:18 ID:58FkMhBI

箒「なあ、セシリア…」

セシリア「はい?」

箒「…い、いや、何でもない」

セシリア「変な箒さん」 クスッ

箒(…今のセシリア)

箒(女の私から見ても…)

箒(魅力的だ…)

箒(………鳴上の話を聞くだけで、こうも変われるものなのか?)

箒(…………)

180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:19:21 ID:58FkMhBI

-数日後・1組2組合同実習-

千冬「…それでは、模擬戦を行ってもらう」

千冬「篠ノ之、鳴上、前に」

箒「! はい!」

鳴上「はい」

千冬(鳴上は、このところ格段に腕を上げたと 2組の担任に聞いた…)

千冬(どの程度か見てみよう)

181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:20:56 ID:58FkMhBI

箒(…鳴上か)

箒(結局……あれから、一夏とあまり話せていない)

鳴上「…………」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギッ!」 スウウウウウンッ!!

箒「紅椿!」 スウウウウンッ!!

箒(…お前の)

箒(せいだ!!)

182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:22:11 ID:58FkMhBI

箒「……はああああああっ!!」 ゴウッ!!

鳴上「!?」

ドガアッ!!

千冬「!?」

一夏「おい、箒!?」

セシリア「何の前置きも無く、いきなり攻撃するなんて…!」

シャル「鳴上くん!!」

ラウラ「…いや、大丈夫だ! あれを見ろ!」

鈴「すごい…! 箒の多角的な複数の攻撃を なんとか受けきった!!」

ガギッ! グバッ! ガゴッ!

183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:23:02 ID:58FkMhBI

鳴上「くっ…! ペルソナッ!」 ポウ ポウ

箒「あまいっ!」 ズバッ! ズバッ!

鳴上(!! 炸裂する前に すべて切り伏せられた!!)

箒「はああああああっ!!」

ドガガガガガガッ!!

鳴上「ぐあああああっ!!」

184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:24:27 ID:58FkMhBI

箒(お前が…! お前なんて、居なければっ!)

箒「くらええええっ!!」

鳴上「ペルソナ!!」 ポポウッ!

箒「あまいと言っ」

ブゥシュウウウウウ!!

箒「!?」

185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:25:47 ID:58FkMhBI

鈴「上手い! あえて、ほぼ射出と同時に炸裂させた!」

セシリア「でも、あれは…スモーク・グレネード??」

シャル「…いや!」

ラウラ「…箒の右腕が凍っている!?」

一夏「なんだ!? あの武器は!?」

千冬(圧縮した液体窒素爆弾…の様なものか?)

186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:26:55 ID:58FkMhBI

箒「くっ…! こんなものでっ!」 バリンッ!

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

箒「!!」

バリバリバリバリバリッ!!

箒「あああああああああっ!!」

鳴上「はあああああああっ!」

箒「……っ! 負けるかああああああああっ!!」

ドガアッ!!

187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:27:39 ID:58FkMhBI

-昼休み・医療室-

箒「…………?」

箒「…ここは」

一夏「…気が付いたか? 箒」

箒「…一夏?」

188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:28:41 ID:58FkMhBI

箒「…私は、負けたのか?」

一夏「ああ……、それもかなり一方的にな……」

一夏「どうしたんだよ、箒? ……らしくないぜ?」

箒「…………」

一夏「千冬姉も怒ってた…と言うより、あきれてた」

一夏「それと…悠から伝言」

箒「…………?」

一夏「すまない…って」

189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:29:21 ID:58FkMhBI

箒「…そうか」

一夏「…………」

一夏「…腹、減ってないか?」

箒「………いや」

一夏「そうか…じゃ、腹減ったら一緒に食おうぜ」 ニコ

一夏「サンドイッチを買っておいたから」

箒「…一夏?」

一夏「いいだろ? しばらく箒とロクに話してないし、さ」

箒「……一夏」

箒「…………」

190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:30:30 ID:58FkMhBI

箒「一夏、ありがとう」

箒「でも…」

箒「今は……、一人になりたい」

一夏「…………」

一夏「………そうか」

一夏「わかった、箒」

箒「…すまない、一夏」

一夏「いいさ…」 クスッ

一夏「昼、ちゃんと食えよ?」

箒「ああ…」

ガラガラッ…… ガラガラッ… パタン

191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:31:17 ID:58FkMhBI

箒「…………」

箒「…完全に」

箒「私の負け…だな」

箒「…………」

箒「…ふ、…うぐ」 ポロッ

箒「………ううっ」 ポロ ポロ

箒「うっ…うっ…」 ポロ ポロ

192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:32:01 ID:58FkMhBI

-放課後・図書室-

鳴上「…………」 カリカリ…

鳴上「…………」 カリカリ…

鳴上「…ふう」

鳴上「…あ、もうこんな時間か」

鳴上(………集中しすぎた)

193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:33:27 ID:58FkMhBI

箒「…鳴上」

鳴上「…! 篠ノ之…」

鳴上「…体は大丈夫か?」

箒「問題ない」

鳴上「そうか…。 すまなかったな…」

箒「…いや、それは仕方ない」

箒「みんなの…千冬さんの静止すら振り切って…」

箒「私は…気絶するまで、お前への攻撃を止めなかった」

箒「今、千冬さんに こってり絞られてきた所だ」 クスッ…

鳴上「…………」

194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:34:34 ID:58FkMhBI

箒「…よければ、話がしたい」

鳴上「かまわない」

箒「剣道部の…入部は、考えてくれているだろうか?」

鳴上「…今は、ちょっと」

箒「そ、そうか…」

鳴上「…………」

箒「………そ、その、あの時の話で出てきた 女の子の話の続きを」

箒「聞きたいのだが…」

195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:35:30 ID:58FkMhBI

鳴上「………俺は、どこまで話しただろうか?」

箒「音楽が好きで、必死に稽古している、と…」

鳴上「…俺も彼女の練習に付き添いながら、部活動の日々を送っていた」

鳴上「そんな時」

鳴上「演奏会に向けて反復訓練をしていたさなか、彼女にチャンスが巡ってきた」

箒「…………」

196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:44:11 ID:58FkMhBI

鳴上「彼女と同じ、トロンボーンの奏者が怪我をしたんだ…」

箒「………!」

鳴上「そのお陰で……と言うと語弊があるが、抜擢された」

鳴上「でも…彼女は喜ぶよりも ちゃんと演奏できるかどうかの不安の方が」

鳴上「大きかった…」

箒「…………」

197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:45:54 ID:58FkMhBI

鳴上「以前にも増して、練習を繰り返す彼女…」

鳴上「……でも、正直、公平な目で見て、彼女の演奏は」

鳴上「まだまだ、つたなかった」

箒「…………」

鳴上「いよいよ演奏会が数日後に迫ったある日…」

鳴上「先のくだりで脱落したトロンボーン奏者が、怪我を治して戻ってきたんだ」

箒「!!」

198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:47:21 ID:58FkMhBI

鳴上「……吹奏楽部の誰かが言った」

鳴上「彼女ではなく、そいつに戻そう、と」

箒「…なっ」

鳴上「俺は……彼女にやらせてやってくれ、と、皆に頼んだ」

箒「……!」

鳴上「…………」

鳴上「……しかし、元に戻した方がいい、と」

鳴上「他ならぬ、彼女が言い出した…」

箒「…えっ」

199: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:48:11 ID:58FkMhBI

鳴上「彼女は 俺の気持ちは嬉しいが、自分の演奏力は良く分かっている」

鳴上「今の自分の演奏では、きっとみんなを 幸せな気持ちに出来ない」

鳴上「だから、これでよかったのだと……」

箒「そ…そんな…!」

鳴上「…でも、そう言った後、泣き出した」

鳴上「泣きながら、悔しい 悔しいと言う」

鳴上「…才能の無さ、…練習不足。 とにかく自分の不甲斐なさが悔しい、と…」

箒「…………」

200: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:49:02 ID:58FkMhBI

箒「…………」

箒「………鳴上」

鳴上「…うん」

箒「経緯は違うが…、今の私も 彼女と同じ気持ちだ」

鳴上「…………」

201: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:50:46 ID:58FkMhBI

箒「私は…お前の言う通り、ただ待ってただけだ…」

箒「私が一夏の事を好きだから、一夏も私の事が好きだと」

箒「根拠なく…そう思っていた…」

鳴上「…………」

箒「だから、一夏の周りに たかるハエを払えばいい」

箒「そんな事を 心のどこかで、考えていた…」

箒「……自意識過剰にも程がある」

鳴上「…………」

202: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:51:20 ID:58FkMhBI

箒「…ありがとう、鳴上」

箒「お前のおかげで、私は大事な事に気づけた…と思う」

箒「…………」

箒「もっと早く…お前と話をすれば良かった」

鳴上「そうか…」

203: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:52:04 ID:58FkMhBI

箒「…時に」

箒「今、その女の子は どうしているだろうか?」

鳴上「変わらずトロンボーン奏者として頑張ってる」

鳴上「今度の演奏会で、正式にメンバーとして加わっているそうだ」 ニコ

箒「…そうか!」

箒「良かった…」 ニコ

204: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:52:59 ID:58FkMhBI

箒「…私も負けてられないな」

鳴上「あまり力まない方が……」

箒「ふ…わかっている」 ニコ

箒「そういえば、鳴上は どんな楽器を使っていたのだ?」

鳴上「トランペットを」

箒「ほう? …いつか聞いてみたいな」

鳴上「…そういえば、ここの所吹いていないな」

ハハハ…

鳴上(篠ノ之の笑顔は、さわやかでまぶしい…)

鳴上(どうやら篠ノ之の力になれた様だ…)

205: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:30:17 ID:58FkMhBI

-数日後・昼休み・食堂-

一夏「…………」

鈴「どうしたの? 一夏?」

一夏「…いや、なんかさ、このメンバー全員集まるのって、久しぶりの様な気がして」

箒「…私が、しばらく居なかったからな」

セシリア「ま…いろいろありまして…。 ね? 鳴上さん」 ニコ

鳴上(どうしてそこで俺に振る…)

鳴上「そ、そうだな…」

206: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:31:23 ID:58FkMhBI

鳴上「そういえば、もうすぐタッグマッチ・トーナメントが あると聞いたが…」

鳴上「みんなはもう、組む相手を決めたのか?」

ラウラ「前回……私には苦い思い出だ」 シュン…

シャル「ああ…例のトーナメント戦ね。 ボクはまだだよ?」

一夏「そっか…じゃあまた俺と組むか? シャル?」

207: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:33:36 ID:58FkMhBI

シャル「……ううん、ゴメン 一夏。 今回は遠慮しておくかな…」

一夏「えっ?」

箒「…………」

セシリア「…………」

鈴「…………」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」

208: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:34:55 ID:58FkMhBI

シャル「良かったら、ボクは鳴上くんと組みたいんだけど…どう?」

鳴上「…えっ?」

一夏「…………」

鈴「ちょっと待って、私も悠と組みたいの」

一夏「……鈴!?」

箒「……そうか。 ではラウラ、どうだろう? 私とまた組まないか?」

ラウラ「!?…いいのか? 私は前回同様、自動抽選に任せようと思っていたのだが」

一夏(箒にラウラまで……)

209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:35:39 ID:58FkMhBI

セシリア「では一夏さん、わたくしと組んで いただけますか?」

一夏「!!」

一夏「セ、セシリア! おう! よろしくな!」 ウルウル…

シャル「鳴上くん、どうする?」

鈴「別に恨んだりしないから、好きに選んでいいわよ」

鳴上「…………」

210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:36:39 ID:58FkMhBI

鳴上「…鈴、頼めるか?」

鈴「うん! よろしくね!」

シャル「あらら…、振られちゃったか」

鳴上「…すまない」

シャル「いいよ。 鈴が言ってた通り 恨みっこなし、だから」 ニコ

シャル「戦い方は他にもあるよ」

215: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:08:53 ID:58FkMhBI

-放課後・第三アリーナ-

一夏「セシリア、まだトーナメントまで少しあるのに」

一夏「もう訓練、始めるのか?」

セシリア「…………」

一夏「…セシリア?」

216: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:09:50 ID:58FkMhBI

セシリア「一夏さん」

一夏「ん?」

セシリア「まさかと思いますが、どうして他の皆さんが 自分と組まなかったか」

セシリア「お分かりになっていませんの?」

一夏「…え?」

セシリア「……そうですか」

217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:11:26 ID:58FkMhBI

セシリア「それでは、ご説明いたしましょう」

一夏「お、おう」

セシリア「まず、みなさん 自分のISとの相性を考えたのですわ」

セシリア「わたくしは、中、長距離型…。 相性としては」

セシリア「中、近距離…もしくは近距離型が望ましいと言えます」

一夏「なるほど…」

セシリア「ラウラさんは、本人もおっしゃっておりましたが、自動抽選でもいいと…」

セシリア「つまりこれは、どなたがパートナーになっても臨機応変に対処する、と言う事」

セシリア「シュバルツェア・レーゲンは長、中、近距離、どれにも対応可能な万能機」

セシリア「彼女お一人でも相当に厄介な相手ですわ」

一夏「むむ…確かに」

218: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:12:32 ID:58FkMhBI

セシリア「箒さんは、一夏さんとはタイプが違いますが、近距離型」

セシリア「わたくしかラウラさんが、もっとも良いパートナーと言えます」

一夏「フムフム…」

セシリア「でも彼女はラウラさんを選んだ…なぜか?」

セシリア「推測ですが、箒さんは ご自分が牽制とかく乱に回り、」

セシリア「止めをラウラさんに やって頂こうと思っているのではないかと…」

一夏「う……やっかいなコンビかも」

219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:13:30 ID:58FkMhBI

セシリア「最後に シャルロットさんと鈴さん、双方ともに 中、近距離型」

セシリア「相性としては、あまり相手を選びませんけど……」

セシリア「組む相手として…より強い方を選んだのですわ」

一夏「なるほど…」

一夏「…………」

一夏「……えっ?」

220: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:14:21 ID:58FkMhBI

一夏「ちょっと待てよ…。 じゃあ何か?」

一夏「シャルも鈴も、俺より悠の方が強いから 組みたがったって言うのか!?」

セシリア「……その通りです」

一夏「ぐっ…!」

セシリア「では、お聞きしますが、この前の箒さんと鳴上さんとの模擬戦闘」

セシリア「一夏さんは、あの時の箒さんに 勝てる自信がおありですか?」

一夏「……!!」

221: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:15:32 ID:58FkMhBI

セシリア「もう お分かりですね? みんな本気で勝ちに来ているのですわ」

一夏「…………」

一夏「一つ、聞かせてくれ…」

一夏「セシリアが俺を選んだのは、同情か?」

セシリア「まさか」 ニコ

セシリア「わたくしは中、長距離型ですけど…どちらかと言えば」

セシリア「ロングレンジに大きくウェイトしております」

セシリア「わたくしが牽制と援護に徹し、止めを近接型が刺す……」

セシリア「この戦法のベスト・パートナーは、一夏さんと判断いたしましたの」

222: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:16:30 ID:58FkMhBI

一夏「悠でも やれるんじゃないか?」

セシリア「確かにそうですが、『止め』を刺すのは 零落白夜を持つ」

セシリア「一夏さんに分があります」

セシリア「平たく言えば、頼りにしている、という事ですわ」 ニコ

一夏「…そうか」

一夏「……よく分かった、セシリア。 訓練を始めよう」

セシリア「はい、一夏さん」

223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:17:29 ID:58FkMhBI

-夜・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「悠、話がある」

鳴上「なんだ?」

一夏「明日、放課後の第三アリーナに予約を入れておいた」

一夏「良かったら…俺と模擬戦をして欲しい。 頼めるか?」

鳴上「…………」

鳴上「わかった、受けて立とう」

一夏「…よし、約束だぜ?」

鳴上「ああ」

224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:18:41 ID:58FkMhBI

-翌日の放課後・第三アリーナ-

一夏「白式!!」 スウウウウウウンッ!!

鳴上「…………」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウウウンッ!!

225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:19:27 ID:58FkMhBI

一夏「…さて、始める前に 話しておきたい事がある」

鳴上「……?」

一夏「正直に言う。 俺は、お前に嫉妬している……」

鳴上「…………」

一夏「みっともないけど……、悠が転校してきてからこっち、」

一夏「前ほどチヤホヤされなくなった」

鳴上「…………」

226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:20:18 ID:58FkMhBI

一夏「そして…今回も以前の様に、みんなで俺を取り合うと思っていたら、」

一夏「まさか、幼馴染の箒や鈴にすら 相手にされないなんて……」

一夏「本当にショックだった」

鳴上「…………」

一夏「…情け無いな、俺」

鳴上「そんな事は無い」

鳴上「そうやって自分の醜い部分を さらけ出せるのは」

鳴上「お前の『強さ』だ」

227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:21:22 ID:58FkMhBI

一夏「…そうかな。 今、こうやって私闘を 申し込んでる様な奴だぜ? 俺は」

鳴上「そして、そうやって その『強さ』から目を背ける事が、お前の『弱さ』だ…」

一夏「…………」

一夏「…お前って、本当に凄い奴だよ」

鳴上「来い! 一夏!」

一夏「……ああ! 行くぜ! 悠!」
ゴウッ!!

228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:23:26 ID:58FkMhBI

-同・第三アリーナ男子更衣室前-

セシリア「…………」

ガチャ…

一夏「あ…セシリア」

セシリア「一夏さん…」

一夏「…………」

一夏「セシリアの言う通りだったよ…」

一夏「悠には…イグニッション・ブーストも、零落白夜も」

一夏「俺の持てるすべてを出し尽くしても……」

一夏「勝てなかった…」

セシリア「…………」

229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:24:19 ID:58FkMhBI

一夏「………セシリア、俺」

一夏「悔しいよ…!」 ポロッ

一夏「こんなに負けて、悔しいと思ったのは……」 ポロポロッ

一夏「初めてだ…!」 ボロボロ…

一夏「うぐっ…ひぐっ…」 ボロボロ…

セシリア「…………」

230: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:25:03 ID:58FkMhBI

----------

一夏「……はあ、なんか情け無い所、見せちゃったな」 ///

セシリア「いえ…」

一夏「………でも、」

一夏「スッキリした」 クスッ

セシリア「…………」 クスッ

一夏「次は…必ず勝つ!」

セシリア「はい、その意気ですわ!」

231: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:25:50 ID:58FkMhBI

一夏「そうと決まれば、特訓しないとな……」

一夏「セシリアとの連携に磨きをかけないと」

一夏「何でも言ってくれ! 俺は耐えてみせる!」 ガバッ!

セシリア「は、はい…、あ、あの一夏さん、ち、近いですわ、お顔が…」 ///

一夏「と!? …す、すまん」 ///

セシリア(も、もう…鈍感な所は相変わらずですわね…) ///

232: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:26:58 ID:58FkMhBI

-同・第三アリーナ-

鈴「…ずいぶん一方的な戦いだったわね」

鳴上「そう見えたか?」

鈴「違うの?」

鳴上「一夏は、イグニッション・ブーストと零落白夜の使い所を わかっていないだけだ」

鈴「…………」

233: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:28:09 ID:58FkMhBI

鳴上「今度の戦いはタッグマッチ」

鳴上「もし」

鳴上「混戦のさなかに、死角を突いてブーストをかけた 零落白夜が来たら…」

鳴上「どんなISも ひとたまりも無い」

鈴「……!」

鳴上「ましてや、セシリアのブルーティアーズは」

鳴上「360度、どこからでも攻撃できる恐ろしい武器だ…」

鳴上「これ程、互いの長所を生かしたコンビは ないだろう」

鳴上「セシリアに戦いの主導権を握られたら……おしまいだ」

鈴「…………」 ゾクリ…

234: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:28:49 ID:58FkMhBI

鈴「…それにしても あんたって、ホント冷静ね」

鳴上「…そうか?」

鈴「落ち着き払いすぎて…同い年に見えない」

鳴上「よく言われる」

235: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:29:35 ID:58FkMhBI

鈴「まあいいわ、一夏とセシリアコンビの対処法は、おいおい考えるとして…」

鈴「あたし達の基本戦術は、箒達とほぼ同じになるわね?」

鳴上「ああ…俺が牽制とかく乱、鈴の龍砲で止め」

鳴上「これがベストだろう」

鈴「オッケー。 じゃ、まずその辺りから連携の訓練をしてみる?」

鳴上「ああ」

236: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:30:36 ID:58FkMhBI

-数日後・放課後の第二アリーナ-

ラウラ「今のはどうだ?」

箒「…悪くは無かったが」

箒「正確さに欠けるな…」

ラウラ「ふむ…となるとBパターンが一番無難だな」

箒「そうだな…」

箒「…少し、休憩しよう」

ラウラ「うむ、異論はない」

237: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:31:16 ID:58FkMhBI

箒「ラウラ、ドリンクを作ってきた。 飲むか?」

ラウラ「えっ? …い、いただこう」

箒「口に合えばいいが」

ラウラ「……うん、美味い。 冷えたレモンティーだな」

箒「そうか。 良かった」

238: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:32:51 ID:58FkMhBI

ラウラ「…箒、一つ聞いても いいだろうか?」

箒「ああ、いいぞ」

ラウラ「なぜ、私と組む気になったのだ?」

ラウラ「福音の時…お前のIS、紅椿は、一夏の白式と対になる存在とわかったはず…」

ラウラ「だから、一夏と組みたがると思っていた」

箒「…………」

箒「……以前の私なら、そう願っただろう」

ラウラ「…………」

239: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:34:16 ID:58FkMhBI

箒「でもそれは、『私の実力』で勝ち取ったモノではない」

箒「私の姉がそう作ったからだ」

ラウラ「……!」

箒「私は……私の力で、私の努力で、一夏と向き合いたい」

箒「だから……、一夏と組むという選択肢は、まず捨てた…」

箒「おかしいか? 私は?」

ラウラ「戦力判断としては、な」

ラウラ「しかし…気持ちは、わからなくも無い」 クスッ…

箒「…………」

240: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:35:24 ID:58FkMhBI

箒「意外、だな。 ラウラにそんな風に言ってもらえるなんて…」

ラウラ「……私も、以前の私なら、一笑の元にふしただろうな」 クスッ…

ラウラ「自分の気持ちに向き合って、それを選んだのなら」

ラウラ「私が口を挟む事ではない」

ラウラ「それに…」

箒「…それに?」

ラウラ「頼られる、というのも悪い気はしない」 クス

箒「ふふ…そうか」 クス

アハハ…

箒「さて…そろそろ訓練に戻るか」

ラウラ「そうだな…」

241: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:36:17 ID:58FkMhBI

-同・第一アリーナ-

モブ美「デュノアさん…こんな感じかな?」

シャル「うん、上出来だよ」

モブ美「…でも、どうせ専用機持ちの勝利は、決まってるんじゃない?」

モブ美「いくら努力しても、私の練習用ISじゃ…」

シャル「かも、しれない…」

シャル「けど」

シャル「何にもしないで、ただ負けを認めて…それでいいのかな?」

モブ美「…………」

242: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:37:08 ID:58FkMhBI

シャル「ボクは…いやだよ」

シャル「たとえ負ける公算が大きくても、ほんのわずかでも勝てる可能性があるのなら」

シャル「ボクは、その確率を上げる努力を おろそかにしたくない」

モブ美「…………」

シャル「ふふ…そんな顔しないで。 もっと気楽に行こう?」

シャル「別に負けてもいいんだよ…。 ただ負けるのが嫌ってだけだから」

シャル「たくさん努力して…自分が納得して負けたなら…きっとそれは」

シャル「次につながる…と思うから」 クス

モブ美「…………」

243: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:38:15 ID:58FkMhBI

モブ美「…ごめん、デュノアさん」

シャル「うん、がんばろう、モブ美さん」

シャル「それに、もっと自信を持ってもいいと思うよ?」

シャル「ボクはキミが、専用機を持たない一年生で」

シャル「一番機動力に優れているから パートナーをお願いしたんだよ?」

モブ美「エヘヘ…逃げ回るのが上手いってだけなんだけどね…」

シャル「それは、大きな『武器』になるって事を 証明してあげるから」 クス

244: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:41:00 ID:58FkMhBI

-数週間後-

-タッグマッチ・トーナメント・当日の朝-

一夏「…いよいよか」

セシリア「やれる事は、すべてやりましたわ」

一夏「もちろん狙うのは、優勝の二文字だ……」

一夏「がんばろうな、セシリア!」

セシリア「はい、一夏さん!」

245: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:41:39 ID:58FkMhBI

鳴上「いよいよだな」

鈴「うん…」 キュッ…

鳴上「…? そのリボンは、いつもと違うな」

鈴「ふふん…ハイカラでしょ?」

鳴上「よく似合ってる」 クスッ

鈴「ま……あんたのメガネと一緒で、あたしの気合を入れるために、ね」

鳴上「そうか…お互いがんばろう」

鈴「うん!」

246: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:42:56 ID:58FkMhBI

ラウラ「…不思議な気持ちだ」

箒「何がだ?」

ラウラ「どう言えばいいか、わからない…」

ラウラ「……緊張はしている」

ラウラ「でも…それがとても心地よい、とでも言うか…」

箒「…ふふ、それは『自信に満ちている』という表現が適当だな」

ラウラ「なるほど…」

247: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:43:24 ID:58FkMhBI

箒「でもそれは…『過信』に変わるかもしれない、恐ろしい気持ちでもある」

箒「私は……福音の時に、そのせいで一夏に大怪我をさせてしまった 苦い経験がある…」

ラウラ「…! …肝に銘じよう」

箒「さ…行くか」

ラウラ「ああ」

248: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:43:59 ID:58FkMhBI

モブ美「うう…き、緊張する…」

シャル「大丈夫、気楽に行こう?」

モブ美「う、うん…」

モブ美「…でも、あんなに頑張ったんだもん」

モブ美「優勝…したい」

シャル「…うん、ボクもだよ」

シャル「頼りにしてるからね? モブ美さん!」

モブ美「もちろん! がんばろっ! デュノアさん!」

253: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:03:09 ID:yYdB2LDw

-全アリーナ管制室-

山田「あ…織斑先生」

千冬「トーナメントの進行具合は?」

山田「はい、今の所、タイムスケジュールに大きな支障は ありません」

千冬「そうか…」

山田「専用機持ちのみなさんは、順当に一回戦を勝ち上がりました」

千冬「まあ、そうだろうな」

254: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:04:20 ID:yYdB2LDw

山田「特に篠ノ之、ボーデヴィッヒ組は、圧倒的な強さですね……」

山田「前回、ボーデヴィッヒさんは、完全に独り相撲を取ってましたから」

山田「よりコンビネーションバトルの良さが目立ちます」

千冬「ふむ…他はどうだ?」

山田「織斑・オルコット組は セオリー通り、と言うか、」

山田「オルコットさんが牽制と援護に回り、止めを織斑君が行っています」

千冬「互いの長所を 生かしている様だな」

山田「その様です。 しかも織斑君は、まだブーストも零落白夜も未使用です」

千冬「ほう…腕を上げた、か…」

255: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:05:54 ID:yYdB2LDw

山田「鳴上・鳳組は、戦法が篠ノ之・ボーデヴィッヒ組と同じですが、」

山田「こちらは やや火力で劣っているように思えます」

千冬「ふむ…」

山田「デュノア・モブ本組は、デュノアさんの動きばかりが目立ちますね…」

千冬「ほう?」

山田「モブ本さんは、デュノアさんの指示か…、積極的に戦闘に参加しようとしません」

千冬(面白いな…。 デュノアには秘策があると見える)

千冬(次は、いよいよ専用機とあたる…。 見ものだな)

256: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:06:40 ID:yYdB2LDw

-第一アリーナ・観戦席-

一夏(注目の試合だな…)

セシリア(…残念ですけど、シャルロットさんのペアは、圧倒的に不利)

鳴上(だが…デュノアには、何か隠し技がある)

鈴(見せてもらうわよ…シャルロット)

257: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:07:22 ID:yYdB2LDw

-第一アリーナ・グラウンド上-

箒「…さて、こちらの有利は不動のものだが」

ラウラ「油断するな、箒」

ラウラ「勝利をあきらめている者は、あんな顔をしない」

箒「同感だ」

258: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:08:07 ID:yYdB2LDw

モブ美「……ううっ、近くで見ると凄い迫力」

シャル「大丈夫、お互いベストを尽くそう!」

モブ美「う、うん! がんばる!」

シャル「その意気、その意気!」 ニコ

259: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:09:04 ID:yYdB2LDw

千冬「それでは…二回戦第五試合…開始!!」

バアアアアッ!!
一夏「…!?」

セシリア「モブ美さんが…前に出た!?」

鈴「どういう事!?」

鳴上(…俺がデュノアの立場なら)

鳴上(…………)

鳴上(そうか…もしかしたら)

260: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:10:23 ID:yYdB2LDw

箒(何のつもりか、わからないが…)

箒(打鉄(うちがね)で正面から紅椿を相手にするなど…血迷ったか、シャルロット!)

ズアッ! ヒュバッ!!

モブ美「うひゃあっ!」 回避 回避!

箒「…はあっ!」

モブ美「ひいいいいっ!!」 回避 回避!

箒「くっ…、ちょこまかと!!」

261: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:18:37 ID:yYdB2LDw

-回想-

シャル「いい? モブ美さん、とにかく箒に攻撃を仕掛ける、と見せかけて」

シャル「回避に専念して欲しいんだ」

シャル「それも」

シャル「常に箒にラウラが隠れるように、ね」

シャル「そうすれば、ラウラからの砲撃は無くなる」

シャル「無茶なお願いだけど……きっとモブ美さんなら、できるよ」 ニコ

----------

モブ美(とは言うけど…言うほど楽じゃないよう!!)

モブ美(デュノアさん、早いトコ決めちゃって!!)

262: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:20:21 ID:yYdB2LDw

ラウラ(…ち、これではキャノンで狙えん!)

ラウラ(ならば…先にシャルロットを…!?)

タタタタタタタッ!!

箒「くっ!! シャルロットめ!」 キン! カン! カン!

箒(完全に出鼻をくじかれた…!)

モブ美「はああああああっ!」

箒「このおっ!」 ブンッ

モブ美「うひいっ!!」 回避!

263: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:22:41 ID:yYdB2LDw

ラウラ「く…! シャルロットの狙いは、箒か!?」

ラウラ「ならば…!!」 ズアアアッ!

箒「! 待てラウラ! うかつに近づくな! シャルロットの狙いは…!」

ラウラ「!?」

ボウボウボウッ!!

一夏「何だ!? シャルの奴、地面に榴弾を打ったぞ!?」

セシリア(あれは、煙幕代わり…おそらくAICの目標を隠すために…!)

鳴上(となれば狙うのは)

鈴(ラウラの機体!!)

264: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:23:50 ID:yYdB2LDw

ラウラ(くっ!! 停止結界は、対象物が見えないと効果が薄い!!)

ダン! ダン! ダン!

ラウラ「ぐあっ!」(シャルロットのアサルトライフルか!!)

箒「ラウラ!」

箒(くっ!レーダーで確認できるが、なぜあの二人はこんなに動き回っている!?)

箒(かといって空に上がれば、シャルロットのライフルの餌食だ…)

箒「……!!」

箒「まさか!!」

265: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:25:12 ID:yYdB2LDw

ラウラ「くっ! まだ砂煙が晴れない!」

???「………」  ダン! ダン! ダン!

ラウラ「シャルロットめ!」

???「……呼んだ?」

ラウラ「!?」

鳴上「あ…!?」

一夏「ライフルを撃っていたのは…」

セシリア「モブ美さんの方でしたのね!!」

鈴「前と同じように システムアンロックしてたのね…。 すっかり忘れてた」

266: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:27:15 ID:yYdB2LDw

シャル(狙いは外さない!!)

シャル「シールド・ピアーズ!!」

ラウラ「うわあああっ!!」

ドガアッ!! ドガアッ!!

箒「ラウラッ!!」

モブ美「たあああああああっ!!」

箒「…じゃまだあっ!」 ブンッ!! ブンッ!!

モブ美「ひゃあああああっ!!」 回避 回避!!

267: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:28:25 ID:yYdB2LDw

シャル「もう一発!!」

ドガアッ!! ドガアッ!!

ラウラ「くっ! くそっ!!」

箒「くっ!!」

モブ美「おりゃあああっ!!」

箒(…少々のダメージは覚悟だ!!)

箒「ラウラ! 今行く!!」

モブ美「うひゃあ…えっ?」 回h…

箒(むっ…!?)

268: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:29:51 ID:yYdB2LDw

シャル「止め…!!」

箒「させるかあ!!」

シャル「!? くっ!!」

ヒュバッ!!

鳴上(……勝負あったな)

一夏(……惜しかったな、シャル)

セシリア(この劣勢の条件の戦いで…、見事な作戦でした)

鈴(凄いよ…シャルロット)

269: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:31:05 ID:yYdB2LDw

箒「大丈夫か? ラウラ?」

ラウラ「なんとか…な」

ラウラ「…はっきり言って、シュバルツェア・レーゲンの性能に助けられた」

箒「…そうか」

箒「してやられた、な」

ラウラ「ああ…」

270: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:31:58 ID:yYdB2LDw

モブ美「…………」

モブ美「…どうしよう」

シャル(…正直もう どうしようもない)

シャル(あれで決められなかったら お手上げだ…)

シャル(…鳴上くんなら、もっと箒を引き付けて くれたんだろうけど…)

271: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:32:27 ID:yYdB2LDw

シャル(……ううん、そんな事思っちゃ駄目だね)

シャル(モブ美さんは、良くやってくれた…本当に感謝しないと)

モブ美「ねえ! デュノアさん!」

シャル「…もう打つ手なし、だよ」

モブ美「!」

272: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:33:23 ID:yYdB2LDw

シャル「………降参する?」

モブ美「…………」

モブ美「…いや!」

モブ美「絶対…あきらめない!」

シャル「うん、そう言ってくれると思ったよ」 ニコ

シャル「もう、モブ美さんが回避しかしないのは、バレてると思うから」

シャル「ボクに攻撃を集中すると思う」

シャル「モブ美さんは、その隙を突いて 今度は本気で攻撃してみて?」

モブ美「わかった! やってみるよ!」

シャル「…さあ、来るよ!!」

273: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:34:34 ID:yYdB2LDw

-第一アリーナ・女子更衣室-

モブ美「うえっ…うえっ…ひっく」

シャル「…………」

モブ美「悔しいっ…悔しいよっ…」

シャル「モブ美さん…ありがとう」

モブ美「…!?」

シャル「ここまで戦えたのは…モブ美さんのお陰だよ」

シャル「ボク達は、正々堂々死力を尽くして戦って 負けた…」

シャル「もっと胸を張ろう?」 ホロリ

モブ美「…………」

モブ美「デュノア…さんっ!……うああああっ…………」 ボロボロッ…

274: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:35:36 ID:yYdB2LDw

-同・第一アリーナ控え室-

箒「どうした? ラウラ?」

ラウラ「…単刀直入に言う。 停止結界が使えなくなった」

箒「…なっ!?」

ラウラ「シャルロットの攻撃は、見事に頭部のシールドを狙っていた」

ラウラ「知っていたわけでは無いだろうが…制御システムは大抵ここにあるからな」

ラウラ「その中のAICの制御システムが、ダメージを負った」

275: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:36:25 ID:yYdB2LDw

箒「修理は?」

ラウラ「本国から部品を取り寄せないと不可能だ…」

箒「…………そうか」

箒「なに、心配するな、ラウラ」

箒「この事実は我々しか知らないのだ。 問題ない」

ラウラ「うむ。 だが心に留め置いてくれ」

箒「わかった」

276: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:41:14 ID:yYdB2LDw

-第三アリーナ・観客席-

シャル「…さて、注目の試合だね」

ラウラ「シャルロット…さっきは見事な作戦だった」

シャル「ふふ…ありがと」

箒「決して油断していたわけでは なかったのに…翻弄されてしまった」

シャル「ボクだけの力じゃないよ。 モブ美さんのおかげ。 ねー?」

モブ美「ねー!」 ///

ラウラ(さて…私が見る限りでは一夏とセシリアが、やや有利だが…)

ラウラ(だが、鳴上の戦闘力は 計り知れないものがある…)

箒(鍵を握っているのは、やはり鳴上…)

箒(いずれにしても、この試合の勝者が、私達の相手になるだろうな)

277: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:49:31 ID:yYdB2LDw

-第三アリーナ・グラウンド上-

一夏「…さて、リターンマッチだな」

セシリア「一夏さん、落ち着いて行きましょう」

一夏「わかってる…けど、次の試合の事は 考えない」

一夏「ここですべてを出し切るつもりで行く!」

セシリア「…確かに、力を温存して勝てる相手では ありませんわね」

セシリア「わかりましたわ!」

278: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:50:52 ID:yYdB2LDw

鳴上「一夏……」

鈴「強敵ね…でも、負けない!」

鳴上(この前と顔つきが違う…)

鳴上(何か策があるのか、それとも…)

鈴「悠、狙いは一夏のまま?」

鳴上「ああ、それで行く…!」

279: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:56:09 ID:yYdB2LDw

千冬「それでは 三回戦、第二試合…開始!!」

ゴウッ!!

一夏「はああああっ!!」

鳴上「でやあああっ!!」

ガギイッ!!

シャル(二人とも開始の合図とともに…!)

ラウラ(真っ向勝負か!!)

箒(面白い!!)

280: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:57:24 ID:yYdB2LDw

セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!

鈴「させない! 龍砲!」 ドォン!

セシリア「くっ…! 照準が…!!」

セシリア(鈴さんの空間圧砲は、弾数に制限が無くて正確に当てなくてもいい…)

セシリア(牽制としては、最高の武器ですわ!!)

281: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:58:41 ID:yYdB2LDw

一夏(さすがだぜ…!! 鳴上!!)

一夏(俺も腕を上げたつもりだったが…! 強い!)

鳴上(やる…! この前の模擬戦とは、比べ物にならないっ!)

鳴上(だが、俺も負けん!)

ゲンッ! キンッ!! ガギンッ!!

一夏「だあああっ!!」

鳴上「くあああっ!!」

ゴガンッ!! ギィンッ!! ズガンッ!!

282: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:00:26 ID:yYdB2LDw

シャル(どっちも相手の出方を見ている…!?)

ラウラ(先に仕掛けるのは、どっちだ?)

箒(どちらもタイミングがすべてだ…!!)

鳴上(…そろそろ、仕掛けてみるか…!)

一夏(…!? 来るか!?)

283: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:02:20 ID:yYdB2LDw

-回想-

一夏「…戦術を読む?」

セシリア「はい」

セシリア「わたくしは鳴上さんのデータを集めて、彼のおおよその行動を予測してみました」

一夏「へえ…」

セシリア「まず、彼の爆弾ですが これまでの実習授業等で4種類確認されています」

セシリア「そして…使った爆弾は、同じ模擬戦では 一度も再使用しておりません」

一夏「!!」

セシリア「つまり、二発対で各種一発ずつしか装填出来ないのではないか? と思われます」

一夏「すげえ…! すげえ情報だ!」

284: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:03:43 ID:yYdB2LDw

セシリア「さらに…今回はタッグマッチです」

セシリア「わたくしが鳴上さんの立場なら…、一つだけ使いにくい爆弾があります」

セシリア「そして…パートナーに被害が及ばないように」

セシリア「一発目は この爆弾にする、と示し合わせる可能性が高い」

セシリア「その爆弾は」

285: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:05:06 ID:yYdB2LDw

----------

鳴上「…ペルソナ!!」 ポウ ポウ

一夏(来た!!)

カッ!!

セシリア(やはり! フラッシュ・グレネード!!)

一夏「もらったあああああ!!」 ショート・ブースト!!

鳴上(!? 読まれた!?)

ズガアッ!!!

286: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:06:17 ID:yYdB2LDw

鳴上「がああああっ!!!」

鈴「悠っ!!」

鳴上「だ、大丈夫だ!! オルコットから目を離すな!!」

一夏(くそっ!! 浅い!! 横からのブーストだったのに!!)

一夏(これもセシリアの言う通りかよっ!!)

287: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:07:11 ID:yYdB2LDw

-回想-

一夏「じゃあ、その虚を突いて攻撃すれば、倒せるな!」

セシリア「…残念ですが、難しいでしょう」

一夏「えっ?」

セシリア「彼ほどの達人ならば…むしろ目の届かない 後ろやサイドは」

セシリア「もっとも警戒しているでしょうし…」

一夏「…確かに」

288: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:07:44 ID:yYdB2LDw

一夏「じゃあどうする…? って、俺が腕を上げるしかないか…」

セシリア「…手はありますわ」

一夏「!!」

セシリア「ただ…これは、一夏さんに とてつもないスペックを要求しますが…」

一夏「…言ってみてくれ」

289: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:10:16 ID:yYdB2LDw

セシリア「それは…イグニッション・ブースト」

セシリア「現段階で使えるだけでも凄い技ですが…」

セシリア「さらに、極短距離で使える様になって欲しいのです」

一夏「ごく…短距離?」

セシリア「数字で言うなら、4、5メートル前後…と言った所でしょうか?」

一夏「げっ!?」

セシリア「それも…最低2連続で使える様に」

一夏「…体、持つかな」

セシリア「慣性制御があるとはいえ…急加速、急旋回を連発するのですから…」

セシリア「体にかかるGは、相当なものでしょうね…」

一夏「…………」

290: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:11:37 ID:yYdB2LDw

セシリア「しかし、大きなメリットもあります」

セシリア「従来のブーストより 遥かに消費エネルギーが少ない」

セシリア「つまり、長期戦にとても有効、と言えますわ」

一夏「…なるほど」

一夏「セシリア、俺もエネルギーつながりで思いついた技がある・・・」

セシリア「はい?」

一夏「零落白夜を」

一夏「インパクトの瞬間だけに発動できないか? と考えている」

セシリア「!!」

291: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:13:11 ID:yYdB2LDw

一夏「理由は…セシリアのブーストと同じ」

セシリア「…で、でも可能なんですの?」

セシリア「あれは…確か、一夏さんの感情の高ぶりに呼応して 発動するのでは?」

一夏「そうとう難しいと思う…」

一夏「でも」

一夏「かならずモノにしてみせる!」

セシリア「一夏さん…」

292: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:14:20 ID:yYdB2LDw

----------

鳴上(…く、今のブースト、スピードは やや劣るものの)

鳴上(2連続で出してきた…!)

鳴上(一夏…厄介な技を……!)

鳴上「…鈴!!」

鈴「!!」

鳴上「プラン『D』で行く!!」

鈴「わかったわ!!」

293: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:15:36 ID:yYdB2LDw

鈴(プラン『D』…肉を切らせて骨を絶つ作戦)

鈴(あたしは、セシリアを狙うと見せかけ)

鈴(悠が一夏に わざと切られて油断した所に 特大の龍砲を打ち込む!!)

鈴「龍砲、連射モード!!」 ドドドドドドッ!!

セシリア「!? くっ…!!」

一夏「セシリア!!」

鳴上「はあああああっ!!」

一夏「うわあっ!!」

294: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:16:48 ID:yYdB2LDw

箒「一夏…、いつの間にあんな技を……」

シャル「驚愕するね……」

ラウラ「体にかかる負担は、相当なものだろうに…」

シャル「それにしても鈴、いきなりセシリアに攻撃をしだしたね?」

箒「目標をセシリアに変えた…か?」

ラウラ「裏がありそうだな」

295: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:18:19 ID:yYdB2LDw

鳴上「はあああっ!!」

ゴインッ! ガキィン!! ギィンッ!

一夏「おおおおおおっ!!」

ゴガッ!! ギィン!! カンッ!

セシリア「やられてばかりでは、ありませんわよ!」

セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!!

鈴「くっ!!」 回避!

鈴「龍砲!」 ドドドドドドッ!!

296: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:19:01 ID:yYdB2LDw

鳴上(よし…! 上手いぞ! 鈴!)

鳴上(セシリアの気がそれた!!)

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

鈴(……!! 龍砲を一夏に!!)

297: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:20:22 ID:yYdB2LDw

一夏(…来た!! 2発目!!)

一夏(今度は逆サイドで…)

一夏「ショート・ブースト!!」 ギュン!

一夏(あれを決めるっ!!!)

298: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:23:02 ID:yYdB2LDw

鳴上(今度は逆サイドか!!)

鳴上(…なっ!?)

バリバリバリバリッ!!

スパアンッ!!

鈴「!?」

鈴(ちょっと悠! 何で避けるのよ!?)

セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!!

鈴「くっ…!!」

一夏(くそっ!! 今度は、カスった程度かっ!!)

一夏(だが、セシリアの予測通り!!)

299: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:24:04 ID:yYdB2LDw

鳴上(い、今のは、零落白夜!?)

鳴上(ほんの…ほんの一瞬、発動させた…だと!?)

鳴上(なんて奴だ…! 一夏!!)

鳴上(これでは、プラン『C』の零落白夜を発動した後)

鳴上(エネルギー切れを待つ作戦は、意味を成さない…!!)

鳴上「鈴!! プラン『B』だ!!」

鈴「!!」

鈴(どういう事!? プラン『B』は、『D』の前に戻るだけ…)

鈴(つまり、当初の作戦に戻るだけじゃない…!)

鈴「…わかった!!」

300: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:25:03 ID:yYdB2LDw

ラウラ「…見たか? 今の」

シャル「えっ? 」

箒「何かが…キラッと光った様に見えたが?」

ラウラ「あれは…零落白夜だ」

シャ・箒「「!?」」

301: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:26:07 ID:yYdB2LDw

ラウラ「おそらく…インパクトの瞬間だけ、発動させたに違いない」

シャル「出来るの!? そんな事!?」

箒「………零落白夜の発動条件は、感情の高ぶり」

箒「一夏は、どうにかして感情を コントロール出来る様にしたんだ…」

シャル「…………凄い」

ラウラ「…これで 鳴上と鈴は、さらに不利になった」

箒「ああ…最初に真っ向勝負をしたのも おそらく」

箒「一夏の感情を高ぶらせるため…」

シャル「白式のエネルギー切れは、絶対 狙っている策の一つのはず…」

シャル「これは…勝負あり、かも…」

302: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:27:25 ID:yYdB2LDw

鳴上「くっ!!」

一夏「ショート・ブースト!」 ギュン!

ギィン! ガインッ! ガァンッ!!

鳴上(このままじゃ、ジリ貧だ…!)

鳴上(どうする…? 残りの爆弾は、コールドとノ-マル…)

鳴上(だが、まともな方法では、食らってくれないだろう…)

鳴上(目標をセシリアに…、いや、一夏を倒さないままでは 危険が大きすぎる!)

一夏「はああああっ!!」

鳴上「おおおおおっ!!」

ゴキンッ! ガインッ! ダガンッ!

303: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:28:23 ID:yYdB2LDw

鈴(…悠、なんだか余裕がない…!?)

鈴(このまま・・・セシリアの牽制を続けてて、いいの!?)

鈴(…………)

鈴(…いいえ! あたしが…あたしが悠を…)

鈴(パートナーを信頼しなくてどうすんの!?)

鈴(きっと…きっと悠は、何とかしてくれる!)

鈴(あたしは、それを信じる!!)

鳴上(…よし! 一か八か!!) キッ!

一夏(…!! 来る!? 三発目!!)

304: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:29:25 ID:yYdB2LDw

-回想-

一夏「それで? 仮にブーストが使える様になったとして…」

一夏「どんな策が?」

セシリア「鳴上さんの虚を突くためには、仕込みをする必要があります」

セシリア「勝負を仕掛けるのは」

セシリア「鳴上さんが三発目の爆弾を使った時…」

一夏「三発目の…?」

305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:31:07 ID:yYdB2LDw

セシリア「爆弾を使用した直後に 『死角』から攻撃してくる」

セシリア「こう思わせておいて」

セシリア「真正面からブーストを かけて攻撃するのですわ」

一夏「……!!」

一夏「しかし…そう上手くいくだろうか?」

セシリア「残念ながら…『賭け』になるでしょう」

一夏「それに…なぜ『三発目』の時なんだ? 最後の一発の時でもいいんじゃないか?」

セシリア「ふふ…それは、一夏さんの体に負担が かかりすぎる前に勝負を決めたいのと、」

セシリア「『まだ後一発ある』という余裕がある内に、虚を突いて混乱させたいから、ですわ」

一夏「なるほど」

306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:33:02 ID:yYdB2LDw

----------

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

一夏(来た!! だが…ここは!!)

一夏(急ブレーキ!!) キキィー!

ブシュウウウウウッ!! ビキビキビキビキッ!!

一夏(やはり! 箒の時のように、射出と同時に炸裂させた!!)

鳴上(くっ…! また、読まれた!!)

一夏「はあああああっ!」 ショート・ブースト!!

鳴上「くっ!?………ペ、ペルソ…」

ズバアアアアッ!!

307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:34:24 ID:yYdB2LDw

鳴上「ああああああああっ!!」 スウウウウンッ…(IS機能停止)

一夏「やったあああああっ!!」

ボウンッ!!

一夏「ぐああああああああっ!?」

セシリア「一夏さん!!」

鈴「……ごめんね! 一夏!! 龍砲!!」

ドグォオオオオオンッ!!

一夏「わあああああああっ!!」 スウウウウンッ…(IS機能停止)

308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:36:08 ID:yYdB2LDw

シャル「一夏…! 鳴上くん…!」

箒「一夏の奴…鳴上を切った事で油断したな」

ラウラ「鳴上にグレネードを 仕込まれた事に気づかないとは……」

シャル「でも鳴上くん、あの一瞬で とっさにそんな事するなんて……」

一夏「………くっそおっ」

鳴上「一夏、立てるか?」

一夏「…悠」

鳴上「ここは危ない、退避しよう」

一夏「そうだな…」

309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:37:40 ID:yYdB2LDw

鳴上「…どう見る?」

一夏「ひいき目かもしれないが…セシリアが勝つかな」

鳴上「鈴には悪いが、俺もそう思う。…俺は、チームメイト失格だな」

シャル「ブルーティアーズの 四方八方からの攻撃をさけて近づくのは」

シャル「イグニッション・ブーストも使えない鈴にとって、至難の業……」

ラウラ「かと言って、ロングレンジで龍砲を 動く目標に当てるのは難しい」

箒「パートナーを失っては…セシリアの精密射撃がものを言う……」

箒「…勝負あったな」

310: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:38:36 ID:yYdB2LDw

鳴上「一夏…、今回は 完全に俺の負けだ」

一夏「俺もそう思ったが…最後のグレネードに気が付かなかった」

一夏「完全には勝ってない…」

鳴上「あんなもの、ただの苦し紛れだ」

一夏「…それに、今回 お前の行動の予測をしたのは」

一夏「セシリアだしな…」

鳴上「!…そうなのか?」

一夏「ああ…。 気持ち悪いくらい、ドンピシャだった」

鳴上(………もう、敵に回したくないな)

311: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:39:27 ID:yYdB2LDw

-同・第三アリ-ナ・控え室-

鳴上「…すまない、鈴」

鈴「悠……」

鈴「ううん…そんな事無い」

鈴「悠が頑張ってくれなきゃ、一夏も倒せなかった」

鳴上「鈴……」

312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:40:43 ID:yYdB2LDw

鈴「それにしても、悠の話を聞いて驚いたわ」

鈴「ショート・ブーストに 零落白夜の瞬間発動だなんて…」

鈴「一夏って、どんだけ規格外の急成長してんのよ…」 ハア…

鳴上「…まったくだ」

鈴(はあ…。 あたしは…)

鈴(まだまだ一夏の事を 知らないのね…)

313: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:42:28 ID:yYdB2LDw

-第一アリーナ-

鳴上「決勝戦…か」

鈴「ここまで来たら優勝しなさいよ! 一夏!」

シャル「う~ん…でもどっちが勝つかな? 鳴上くん?」

鳴上「篠ノ之達だと思う」

鈴「…即答する? ……そういう事」

シャル「…理由を聞いてもいい?」

314: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:43:19 ID:yYdB2LDw

鳴上「一夏達は、俺と鈴との戦いで 手の内を明かしてしまった」

鳴上「そして…要の一夏が、もうフラフラだと思うからだ」

鈴「…!? どういう事?」

鳴上「見ていれば わかると思うが…、ブーストの使いすぎで」

鳴上「体中が悲鳴を上げていると思う…」

シャル「…! そ、そんな状態なの!?」

315: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:45:41 ID:yYdB2LDw

鳴上「少し計算してみたんだ…」

鳴上「イグニッション・ブーストは慣性制御された上で約2,8G…」

鳴上「一夏のショート・ブーストは イグニッションに比べると、やや劣るとはいえ」

鳴上「ブーストをかけた上、更に別方向からGが加わる」

鳴上「わかりやすく言えば、急加速した車に 横から同等の速度の車が、ぶつかる様なものだ」

鳴上「単純には言えないが…」

鳴上「一夏の体には ブーストのたびに、7~8Gの衝撃が加わっていたんじゃないかな…」

鈴・シャ「「!!!!!!」」

316: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:46:30 ID:yYdB2LDw

鈴「……あ、あたし、止めてくる!」 ダッ

シャル「あ! ま、待ってよ! 鈴! ボクも行く!」 ダッ

タッ タッ タッ…

鳴上「…………」

鳴上「俺も…止めたんだが、な」

鳴上「決勝戦に出ても おそらく試合にならない」

317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:47:22 ID:yYdB2LDw

-第一アリーナ・控え室-

セシリア「一夏さん!! どうして…どうして、黙っていましたの!?」

一夏「い、いやぁ…」

セシリア「準決勝の時も 動きが おかしいと思っていましたが……」

セシリア「まさか…痛み止めの薬を飲んでいたなんて!!」

一夏「…………」

318: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:50:00 ID:yYdB2LDw

一夏「でもセシリア、せっかく決勝戦まで来たんだし…」

セシリア「だめです!! 今すぐ医療室へ行きましょう!!」

一夏「でも……!!」

バァン!!

鈴「でももクソもないわよ! 一夏!!」

シャル「早く医療室に……」

セシリア「!! 鈴さん! シャルロットさん!」

319: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:51:24 ID:yYdB2LDw

鈴「」

シャル「」

鈴「い、一夏……!? ど、どうしたの、それ!?」

シャル「顔にまで…! 体中、アザだらけじゃない!!」

セシリア「……恐らく」

セシリア「ブーストによるGで…体中の毛細血管がダメージを……」

鈴・シャ「「!!」」

320: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:52:42 ID:yYdB2LDw

鈴「一夏……」

一夏「…………」

鈴「あんた、わかっているんでしょ?」

鈴「医療室に行ったら、ドクターストップが かかるって?」

一夏「…………」

シャル「一夏…もしかして、ブーストの提案は セシリアが?」

一夏「………!」

シャル「…セシリアに気を使って、なんでもないって」

シャル「フリを してるんじゃないの?」

一夏「…そ、そんな事は!」

321: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:53:34 ID:yYdB2LDw

セシリア「…一夏さん、だとしたら逆です」

セシリア「わたくしは……悲しい」 ポロ…

セシリア「わたくし達は…タッグパートナーなのでしょう…?」 ポロポロ

セシリア「どうして…、どうして黙っていたのですか…?」 ポロポロ…

セシリア「そんなの…わたくしに対する裏切りです……!!」 ポロポロ…

一夏「…!」

一夏「…………」

322: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:54:21 ID:yYdB2LDw

一夏「…わかった、行くよ 医療室に」

鈴「最初からそう言いなさいよね! まったく…」

シャル「セシリア…ボクから棄権する事を伝えようか?」

セシリア「…………」

セシリア「いえ…わたくしから伝えますわ」

セシリア「ありがとうございます、シャルロットさん……」

シャル「ううん…」

323: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:55:47 ID:yYdB2LDw

-同・第一アリーナ-

箒「………? そろそろ時間だが」

ラウラ「一夏達が 来ないな?」

千冬「選手ならびに観戦者一同に連絡」

千冬「タッグマッチ・トーナメント決勝戦の時間だが」

千冬「織斑・オルコット ペアに重大な負傷が発生し 棄権する、との申し出があった」

箒「…!?」

ラウラ「…!?」

324: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:56:48 ID:yYdB2LDw

千冬「よって」

千冬「織斑・オルコット ペアの不戦敗とし」

千冬「篠ノ之・ボーデヴィッヒ ペアの優勝とする!」

鳴上「…………」

鳴上「一夏…お前は」

鳴上「幸せ者だ」 クスッ

328: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:03:38 ID:yYdB2LDw

-二日後・医療室の個室-

箒「…本当に大丈夫なのか?」

一夏「ああ、ドクターにも驚かれた」

一夏「多分…福音の時みたいに、白式が治してくれたんだろう…」

箒「昨日のお前の姿は酷かったからな…」

箒「命に別状は無い、と聞いても……にわかには信じられなかった」

一夏「薬が切れたら、とんでもない痛みが襲ってきたけどな……」

329: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:07:31 ID:yYdB2LDw

箒「…………」

箒「…………」 ///

箒「一夏……」 ///

一夏「ん?」

箒「その…言っておきたい事が、ある」 ///

箒「決して…ふざけている訳でも、冗談でもないから…な?」 ///

一夏「…ああ?」

箒「う、うむ…。 一夏…私は、篠ノ之 箒は」 ///

330: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:08:29 ID:yYdB2LDw

箒「お、お前の事が……好きだ!」 ///

一夏「…………」

一夏「……うん?」

箒「ゆ、友人として、ではないぞ?」 ///

箒「一人の女として…異性の…、一夏の事が、好きなんだ」 ///

一夏「…え」

一夏「ええっ!?」 ///

箒「…………」 ///

331: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:09:31 ID:yYdB2LDw

一夏「…………」 ///

一夏「…その」 ///

一夏「いつから?」 ///

箒「……小さい頃から、ずっと」 ///

一夏(マジっすか…) ///

箒「…………」 ///

一夏(やべ…箒、すげえ可愛い……) ///

332: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:10:45 ID:yYdB2LDw

箒「…今まで、私はずっと素直になれなかった」

箒「幼い頃の私達のままで…これからもそうなんだと、根拠も無く思っていた」

箒「でも…お前は、私以外の女達と 戯れてばかりで…イライラして」

一夏「そ、そんなつもりは!」

箒「……わかっている。 これは 私が、そう思っていただけなんだ…」

一夏「…………」

箒「…でも、ずっと、ずっと、一夏を想っていて、き、気持ちが落ち着かなくて…」 ///

箒「ああ、もう…。 何を言っているんだ? 私は…」 ///

一夏「……箒」

333: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:12:10 ID:yYdB2LDw

一夏「………お、俺は、その…」 ///

箒「…! 一夏、待ってくれ!」

一夏「…え?」

箒「返事は…後でいい」

一夏「………はい?」

箒「…す、すぐに どうしてか、分かる」 ///

箒「さ…最後に、もう一度だけ、言う」 ///

箒「私は、一夏の事が…好きだ」 ///

334: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:13:15 ID:yYdB2LDw

----------

一夏(…………)

一夏(…びっくりした)

一夏(まさか)

一夏(箒が…俺の事を好きだったなんて) ///

一夏(いつも問答無用で殴る蹴るされてたから)

一夏(そんな風に想われてた、なんて思いもしなかった…)

一夏(……それにしても返事は、後でいいって…すぐに分かるって……)

一夏(どういう事なんだ?)

335: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:14:11 ID:yYdB2LDw

コン コン  ガチャ…

ラウラ「一夏……体は大丈夫か?」

一夏「お、ラウラ」

一夏「ああ、大丈夫だ」 ニコ

ラウラ「そうか…良かった」

ラウラ「…………」

ラウラ「…………」 ///

336: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:15:08 ID:yYdB2LDw

ラウラ「一夏……」

一夏「……ん?」

ラウラ「つ…伝えたい事がある」 ///

一夏「お?…おお」

一夏(…え? これってまさか?)

ラウラ「私は…鳴上に…ある事をたずねられた」

一夏「……うん」

337: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:16:25 ID:yYdB2LDw

ラウラ「『お前は、どんな風に一夏の事が好きなんだ?』と……」 ///

一夏「……!」

ラウラ「…言われて私は、即答できなかった」

ラウラ「今まで私は、人から聞いた事、そのままで表現していたからだ……」

ラウラ「鳴上は、そんな私に『考えろ』と言った」

ラウラ「……いろんな人に聞いてみた、いろんな本も読んでみた」

ラウラ「その結果……私なりに答えを出す事が出来た……」

一夏「うん……」

ラウラ「私は」

338: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:18:07 ID:yYdB2LDw

ラウラ「男女の関係で…恋愛の対象という意味で……」 ///

ラウラ「一夏の事が好きだ」 ///

一夏「………そ、そうか」 ///

ラウラ「…………」 ///

ラウラ「つ…伝わった、だろうか?」 ///

一夏「お、おう、十分過ぎるほど!」 ///

ラウラ「そ、そうか! 良かった…」 ニコ ///

339: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:18:58 ID:yYdB2LDw

ラウラ「ありがとう…一夏。 聞いてくれて…」 ///

ラウラ「私は、お前に出会えて、本当に良かったと思う」 ///

ラウラ「それでは、また後で、な……」 ///

一夏「…えっ!? ラウラ!?」

一夏「……………………」

一夏(…おいおい)

一夏(まさかと思うけど…)

一夏(こ、これって…) ///

340: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:20:03 ID:yYdB2LDw

コン コン ガチャ

シャル「一夏、調子はどう?」

一夏「…シャル」

シャル「えっと……もう、分かっているかな? さすがに…」 ///

一夏「……う、その」

一夏「シャルも…なのか?」 ///

シャル「……うん!」 ニコ ///

シャル「でも……だからって『わかった』つもりにならないで?」

シャル「ボクは、ちゃんと一夏に向き合って」

シャル「気持ちを…伝えたいの」 ///

一夏「……そう、か」 ///

341: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:21:38 ID:yYdB2LDw

シャル「一夏は…覚えてる?」

シャル「一緒に お風呂に入った時の事……」 ///

一夏「……わ、忘れられるわけないだろ」 ///

シャル「一夏のえっち」 ///

一夏「は、話を振ってきたの、そっちだろ!?」 ///

シャル「うふふ、ごめん」 ///

342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:22:50 ID:yYdB2LDw

シャル「………あの時はね」

シャル「ボク、一夏へのお礼のつもりだった…」

一夏(……にしては、かなり過激だ)

シャル「でも…ボクは、自分と向き合うようになってから」

シャル「あの時の…ボクの行動は……」

シャル「一夏と、既成事実を作りたかったんじゃなかったの? と思ってる……」

一夏「……!?」

シャル「……幻滅した?」

一夏「!? い、いや、そんな事は!」

343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:23:44 ID:yYdB2LDw

シャル「もしかしたら………今こうして話しているボクも」

シャル「何かの結果を求めて…あざとく行動しているのかも知れない……」

シャル「でも」

シャル「そんなボクにも」

シャル「たった一つだけ…」

シャル「純粋に自信を持って 言える事があるの」

一夏「…………」

344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:29:48 ID:yYdB2LDw

シャル「一夏の事が、好き…」 ///

一夏「…………」 ///

シャル「………ふう」 ///

シャル「えへへ…やっと言えた」 ///

一夏「…そ、そうか」 ///

シャル「あ、言っとくけど、友達として じゃないからね?」

一夏「わ、わかってるよ…!」

345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:31:06 ID:yYdB2LDw

シャル「良かった…ちゃんと伝える事ができて……」

シャル「一夏、聞いてくれて、ありがとう」

シャル「……大好き」 ニコ ///

----------

一夏(…シャル)

一夏(…………) ///

一夏(友達としてじゃない) ///

一夏(か……) ///

346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:32:46 ID:yYdB2LDw

コン コン ガチャ

鈴「一夏~? 調子はどう?」

一夏「……鈴」

一夏「…………」 ///

鈴「……す、少し、休憩しない?」 ///

一夏「…休憩、か」 ///

一夏「あ、ありがたい」 ///

鈴「えと…飲み物、持ってきたの。 飲む?」 ///

一夏「おう、も、もらおうかな…」 ///

347: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:34:25 ID:yYdB2LDw

----------

一夏「……おかげで落ち着いた」

一夏「ありがとう、鈴」

鈴「どういたしまして!」 フフッ

348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:36:26 ID:yYdB2LDw

鈴「一夏は…気づいてるかな?」

一夏「…ま、まあ、な」 ///

鈴「……ううん、そっちじゃなくて」

鈴「あたしが言ってるのは順番の事」

一夏「?  順番?」

一夏「最初が 箒で、ラウラ、シャル、そして鈴、セシリア……」

一夏「…なにか法則性があるのか?」

鈴「事の発端は…箒の一言かな」

鈴「突然、『私は一夏に告白しようと思う』って言い出してね」

一夏「………!」

349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:37:10 ID:yYdB2LDw

鈴「ま、一夏の知らない所で、ひと悶着あって……」

鈴「今度のタッグマッチ・トーナメントの成績で」

鈴「告白の順番を決めよう、って事になったの」

一夏「……!?」

350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:39:03 ID:yYdB2LDw

一夏「…………」

一夏「……じゃあ」

一夏「みんなが、勝ちにこだわっていたのは…」

一夏「俺のため、なのか?」

鈴「平たく言えばそう」

一夏「…………」

鈴「…………」

鈴「悠には…迷惑かけちゃったな」

鈴「あんたにも…セシリアにも……」

一夏「……? どういう意味だ?」

鈴「悠は、強敵だったでしょ?」

一夏「ああ……」

351: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:40:02 ID:yYdB2LDw

鈴「セシリアは、その強敵に勝つために」

鈴「一夏に無理をさせ、医療室送りにした……」

一夏「!! それは違う! 俺だって悠に勝ちたかった!」

鈴「セシリア自身は、責任を感じているわ……」

一夏「…………」

鈴「箒とラウラの後、『わたくしは、トリを狙っていたのですわ!』とか、ワザとらしく言って」

鈴「一番最後を選んだのが証拠………」

一夏「…………っ!」

352: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:41:22 ID:yYdB2LDw

一夏「…………」

一夏「…………鈴」

一夏「お前もそうなのか?」

鈴「…………」

一夏「…でなきゃ」

一夏「そんな話…しないよな」

鈴「…………」

353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:42:52 ID:yYdB2LDw

一夏「………聞かせてくれるか?」

一夏「鈴の気持ち……」

鈴「!!」

鈴「…あ、あたしは」

鈴「す、…好き、…一夏の事」 ///

一夏「…子供のころから?」

鈴「! …そ…そうよ!」 ///

鈴「ずっと、ずっと! 好き!」 ///

鈴「あたしは…… 一夏が」 ///

354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:43:43 ID:yYdB2LDw

鈴「一夏の事が…大好き」 ///

一夏「…ありがとう、鈴」

一夏「俺は…」

鈴「へ、返事は、後でいいから!」 ///

一夏「い、いや俺は…」

鈴「も、もう行くね!? あたし!」 ///

一夏「あっ!……鈴!」

ガラッ……パタンッ…

355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:44:45 ID:yYdB2LDw

一夏(…まったく鈴の奴)

一夏(昔からああだよな…) クスッ

一夏(いつも他の人の事を気遣って…自分の事を後回しにする)

一夏(でもな…)

一夏(凄くうれしいよ……鈴)

356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:46:05 ID:yYdB2LDw

ドドドドドドドドドッ バァンッ!!

セシリア「い、一夏さん!!」 ハアッハアッ

一夏「うおっ!? なんだ!?」

セシリア「…あ、あれ?」

一夏「…よ、よお」

セシリア「…………」

一夏「どうしたんだ? いったい?」

セシリア「い、いえ、その…な、鳴上さんが、一夏さんの容態が急変した、と…」

一夏「…………」

セシリア「…………」

357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:46:47 ID:yYdB2LDw

セシリア「………もしかして」

セシリア「騙されましたの? わたくし…」

一夏「…多分な」

セシリア「……はうううう」 ヘナ ヘナ ヘナ……

一夏「ははは…」

358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:47:37 ID:yYdB2LDw

一夏「セシリア…聞かせてくれるか?」

一夏「その…気持ちを…」 ///

セシリア「!!!!」

セシリア「わ、わたくしは…そのっ!」

一夏「……責任なんて、感じなくていいから」

セシリア「!!!!」

セシリア「…でも…わたくしは…」

セシリア「自分が許せません…!」

359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:48:33 ID:yYdB2LDw

一夏「……だったら俺も」

一夏「タッグパートナーとして…セシリアを裏切った自分が許せなくなる…」

セシリア「! 一夏さん!?」

一夏「………お互い許さないか?」

一夏「自分を…」 ニコ

セシリア「…………」

セシリア「…一夏さん」

セシリア「…ずるいですわ」 ポロ

セシリア「…ううっ…ひっく」 ポロ ポロ

360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:49:19 ID:yYdB2LDw

----------

一夏「…落ち着いたか?」

セシリア「…はい」

一夏(…悠が、セシリアについたウソは)

一夏(鈴の話から推測すると、おそらく…)

一夏(セシリアが告白自体を 止めると思ったんだろうな……)

一夏(タイミングもドンピシャで、相変わらず凄い奴だ)

361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:50:15 ID:yYdB2LDw

セシリア「えっと…その」 ///

セシリア「わ、わたくしは…」 ///

一夏「……うん」 ///

セシリア「………最初は…わかりませんでした」

セシリア「気が付いたら一夏さんの事ばかりを…考えているようになってて」

セシリア「いつの間にか、目であなたの事を追っていて…」 ///

セシリア「ああ……これが、こ、恋なのだと…思いました……」 ///

一夏「……う、うん」 ///

362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:51:02 ID:yYdB2LDw

セシリア「わたくしは…一夏さんの事が好きです」 ///

一夏「…………」 ///

セシリア「…………」 ///

一夏「…ありがとう、セ、セシリア。 す、凄く、うれしいよ」 ///

セシリア「は、は、はい…!」 ///

セシリア「あ! で、でも! 友人として、では ありませんから!」 ///

一夏「わ、わかってるから!」 ///

一夏(な、なぜ、みんな念を押す!?)

363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:51:50 ID:yYdB2LDw

一夏「………その」 ///

一夏「返事は…やっぱり後でいいのか?」

セシリア「…はい」 ///

セシリア「……みなさんとの取り決めで」

セシリア「特に期限は、決めませんけど…」

セシリア「でも…お心が決まったら」

セシリア「全員を集めた上で……おっしゃってください」

一夏「……えっ?」

一夏「ええっ!?」

364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:52:50 ID:yYdB2LDw

一夏「ちょ、ちょっと待ってくれ…」 ///

一夏「みんなを集めてって…ええっ!?」 ///

セシリア「なにか問題が?」

一夏「!!…だ、だって…その…」 ///

セシリア「わたくし達は…皆、真剣に一夏さんに向き合いました」

セシリア「その気持ちを 偽ることなく話し合って……」

セシリア「この人達なら、一夏さんとお付き合いしても許そう、と…」

セシリア「みんなで決めたのです」

一夏「…………」

365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:53:40 ID:yYdB2LDw

セシリア「…ですので」

セシリア「一夏さんも、わたくし達に向き合って」

セシリア「お答えください」

セシリア「全員を選ばない…という選択でもかまいません」

一夏「…………」

セシリア「……もちろん、選ばれなかった人は」

セシリア「しばらく時間が、必要になると思います………」

セシリア「でも」

セシリア「必ず…選ばれた人を祝福できると、確信しておりますわ」 ニコ

一夏「…………」

366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:54:28 ID:yYdB2LDw

----------

一夏(…………)

一夏(…………)

一夏(………みんな)

一夏(凄いな……)

一夏(正直、俺が五人いればいいのにって思う)

一夏(俺も真剣に答えを見つけないと………)

367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:55:18 ID:yYdB2LDw

コン コン ガチャ

鳴上「一夏、今、いいか?」

一夏「…悠」

鳴上「実はな…俺」

一夏(…え?)

鳴上「前から思っていたんだが…」

一夏(ちょ…ま、まさか!?)

368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:56:28 ID:yYdB2LDw

鳴上「どうして、素組するんだ?」

一夏「い、いや! 待ってくれ! お、俺にそっちの趣味は……!」

一夏「へ? 素組?」

鳴上「……プラモの話をしているんだが?」

一夏「……………………」

一夏「よ」

一夏「よかったぁ………」 ヘナヘナヘナ…

鳴上「?」

369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:57:22 ID:yYdB2LDw

鳴上「……で? 五人の多国籍美少女から、告白を受けた感想は?」

一夏「正直、滅茶苦茶つらい……」

鳴上「世界中の男に殴られるぞ?」

一夏「……でも本音だ」

一夏「誰かを選べば、他の四人が傷つく…」

一夏「俺は…誰も傷つけたくないのに」

鳴上「…………」

370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:58:08 ID:yYdB2LDw

鳴上「残念だが……もう誰も傷つかない事はない」

一夏「…………」

鳴上「………でも」

鳴上「今なら…『すり傷』程度ですむと思う」

一夏「……!」

鳴上「誰も傷つかない……」

鳴上「確かに理想だ」

一夏「…………」

371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:58:59 ID:yYdB2LDw

鳴上「なんだか放っておけない…守ってあげたい…」

鳴上「支えてあげたい…望みを叶えてあげたい…」

鳴上「…そんな気持ちに、すべて答えている内に」

鳴上「俺は…いつの間にか、六股かけていた…」

一夏「………………」

一夏「はあ!?」

鳴上「………………」

372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:59:55 ID:yYdB2LDw

一夏「……マジで?」

鳴上「マジで」

一夏「お前が…………六股?」

鳴上「…ああ」

一夏「…………」

一夏「…………で」

一夏「どうなった?」

鳴上「阿鼻叫喚の渦……」

一夏「Oh…………」

373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 14:01:49 ID:yYdB2LDw

鳴上「お前もそうなりたいか?」

一夏「全力でお断りします」

鳴上「それでいい」

鳴上「俺みたいに全身複雑骨折する事はない」

一夏(冗談に聞こえねえ…)

鳴上「…難しく考えるな」

鳴上「ただ…自分に正直になればいい」

一夏「…自分に」

一夏「正直に、か……」

一夏「……………………」

386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:10:53 ID:Ub0Siy1A

-半月後・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

鳴上「…じゃ、俺は席を外す」

一夏「お、おう。 すまんな…」

キィ… パタン…

箒「…………」

鈴「…………」

シャル「…………」

セシリア「…………」

ラウラ「…………」

387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:15:08 ID:Ub0Siy1A

一夏「…………………」

一夏「…………えっと」

一夏「まず、みんなにお礼を言っておく」

一夏「俺を…好きだと言ってくれて、ありがとう」

一夏「本当にうれしかった」

ヒロインズ「………………」

388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:15:53 ID:Ub0Siy1A

一夏「悠に、自分に正直になれ、と言われて」

一夏「いろんな事を考えて、自分と向き合って…」

一夏「でも、なかなか答えが出せなくて……」

ヒロインズ「………………」

389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:16:35 ID:Ub0Siy1A

一夏「これは、お世辞でもなんでもなく、みんな魅力的で…」

一夏「この中の一人だけを選ぶなんて、とんでもない贅沢で、その…」

一夏「ああ、もう、なにを言ってんだ? 俺は………」 ///

ヒロインズ「………………」 ///

390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:17:17 ID:Ub0Siy1A

一夏「………だけど」

一夏「俺は、答えを……出した」

ヒロインズ「…!」

一夏「スーハー、スーハー…………ふう」

一夏「お、俺は、」

一夏「織斑 一夏は…」 ///

ヒロインズ「…………」 トクン、トクン…

391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:18:08 ID:Ub0Siy1A

一夏「シャルが、一番好きだ!」 ///

シャル「!!!!!!!!!!」

鈴「……うっ」 ダッ

箒「……鈴!」

セシリア「…鈴さん」

ラウラ「…行こう、みんな」

392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:19:07 ID:Ub0Siy1A

一夏(…………やっぱり胸が痛むな)

シャル(…………みんな)

シャル「……えっと、一夏」

一夏「…うん」

シャル「ボクで…いいの?」

一夏「シャルでなきゃ、駄目なんだ」

一夏「……あの時、」

一夏「トーナメントで箒達と戦っていた時」

一夏「俺だったらこうするのに…俺だったら、もっとシャルの力に なれるのにって」

一夏「歯がゆく思っていたんだ……」

393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:20:09 ID:Ub0Siy1A

シャル「!!」 ///

シャル「…………」

シャル「………でも」

シャル「ボクは、鳴上くんを…選ぼうとしたんだよ?」

シャル「勝つために、一夏を…拒んだんだよ?」

一夏「…ああ、凄いショックだった」

シャル「…………」

394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:21:15 ID:Ub0Siy1A

一夏「鈴や箒もそうだったけど……、シャルに断られたのが一番こたえた」

一夏「どうして? なぜ?」

一夏「…………」

一夏「それは……きっと」

一夏「シャルの事が一番好きだから」 ニコ ///

シャル「一夏…」 ///

395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:21:59 ID:Ub0Siy1A

一夏「………………」 ///

シャル「………………」 ///

一夏「………………」 ///

シャル「………………」 ///

一夏「……え、えと、その」 ///

シャル「………う、うん」 ///

一夏「お、俺と…付き合ってもらえますか?」 ///

シャル「…こ、こちらこそ、よろしくお願いします」 ///

396: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:22:47 ID:Ub0Siy1A

-数週間後・IS学園・校門付近-

??「おー…、ここが、IS学園ってやつか!」

??「いきなりのアポなし訪問だけど…、楽しみだぜ!」

??「悠の奴…元気にしてっかな…」

397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:23:51 ID:Ub0Siy1A

シャル「…………」 テク テク

シャル「………?」 ピト

??「そこを何とか!! 守衛さん!!」

守衛「…そう言われましても。 基本IS学園は、関係者以外の立ち入りは…」

??「身分証明証も提示してますし…お願いします!!」

??「悠に…鳴上 悠に会ったら、すぐ帰りますから!!」

シャル「…!」

シャル(鳴上くんの友達?)

398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:25:09 ID:Ub0Siy1A

守衛「すみませんが…今は、付き添いの人員が いませんので…」

??「そ、そこを何とか!!」

シャル「あの…」

??・守衛「「?」」

シャル「鳴上くんの友達…なんですか?」

??「…え? お!? …は、はい!」

??(な、なんだよ、この超絶金髪美少女は…!!) ///

399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:26:07 ID:Ub0Siy1A

シャル「守衛さん、良かったら ボクが付き添いましょうか?」

守衛「…しかし」

シャル「ボクは専用機持ちです。 いざとなったら撃退できますし」

守衛「!…名前と学年を言ってください」

シャル「シャルロット・デュノア。 一年生です」

守衛「…………」 ピピピ…

守衛「…確認」

守衛「わかりました、お任せしましょう」

??「!! おっしゃ!!」

400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:26:51 ID:Ub0Siy1A

守衛「ただし、何か問題が発生した場合、あなたにも責任がおよびます」

守衛「かまいませんか?」

シャル「はい」

守衛「…では君、この腕章を着けて。 くれぐれも軽率な行動を 取らないように」

??「モチのロンです!!」

401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:27:59 ID:Ub0Siy1A

??「いや~助かったよ……って言葉、わかる?」

シャル「IS学園入学の必須なんです、日本語は」 ニコ

??(…うは、か、可愛えぇ…) ///

??「っと! 自己紹介がまだだった!」

??「俺は、花村 陽介! よろしく!」

シャル「シャルロット・デュノアです。 よろしくね、花村くん」 ニコ

花村(くうっ…! 悠! 心底お前が、うらやましい!!) ウルウル…

シャル「?」 ニコ ニコ

402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:39:07 ID:Ub0Siy1A

-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

コン コン

シャル「一夏~? 鳴上くん、いる~?」

一夏「ん~? シャルか? 悠もいるぞ」

ガチャ

シャル「良かった、鳴上くんに お客さんだよ?」

鳴上「? 俺に客?」

546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/19(木) 10:29:23 ID:zdWlo8d2

花村「…悠!」

鳴上「…陽介!」

花村「久しぶりだなあ…相棒!!」

鳴上「陽介、どうしたんだ? 突然?」

鳴上「連絡してくれたら、迎えに行ったのに…」

花村「いやあ…なに? こういうのって、サプライズさせた方が もりあがんじゃん?」 ニヤリ

鳴上「変わってないな…陽介」 クスッ

403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:40:47 ID:Ub0Siy1A

----------

鳴上「ジュネスの店長会議にくっついて来たのか…」

花村「そ! 会場がこの近くなんで、親父に頼み込んでムリヤリ、な」

一夏「へえ……ジュネスって あの全国展開してる、大手の」

シャル「エブリデイ・ヤングライフ・ジュ・ネ・ス♪ ……だね?」

花村「くううう! ありがとう! お嬢さん!」

シャル「あはは…」

404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:41:51 ID:Ub0Siy1A

花村「ところで、悠、IS?ってやつ? 良かったら見せてくれるか?」

鳴上「ああ、かまわない」

花村「よっしゃ! 楽しみぃ~!」

一夏「お? それなら、俺と模擬戦形式で見せるってのは、どうだ? 悠?」

鳴上「…おもしろいな」

花村「マジで!? すげえ!!」

花村「一夏? だっけ? サンキューな!」

花村「俺の事も 陽介って呼んでくれ!」

一夏「ああ、よろしく、陽介」

405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:43:28 ID:Ub0Siy1A

花村「こう言っちゃ何だが、俺も悠とは 殴りあった仲なんだ」

花村「だから、気兼ねしないでくれよ?」

一夏「へえ? いったい何が原因で?」

花村「ははは…そいつぁ、ちょっと…なあ、悠?」

鳴上「陽介に一方的に殴りかかられた…」 ハア…

花村「おまっ!? そういう事、言っちゃう!?」

アハハハ…

406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:44:17 ID:Ub0Siy1A

-同・第三アリーナ-

鳴上「…………」 スチャ(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウウンッ!

一夏「白式!」 スウウウウウンッ!

花村「おおっ! すげえぇぇぇ!」

花村「どっちもかっけぇぇぇ!」

シャル(この人、ホントに楽しそう…) クス

407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:45:21 ID:Ub0Siy1A

一夏「対戦成績はタッグマッチを含めて、俺の三勝四敗…」

一夏「今日こそ、イーブンに持ち込む!」

鳴上「……そう上手くは、いかないぞ?」

鳴上「陽介に いい所を見せたいしな…」 クスッ

408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:46:57 ID:Ub0Siy1A

花村「くううう! がんばれ! 悠~!」

シャル「花村くん…楽しそうだね」 クスッ

花村「おおよ! 俺は、毎日楽しんで生きてるんだぜ?」

花村「どんな些細な事も…何でもない日常も、」

花村「俺にとっては、生きてる事そのものが 楽しいんだ!」

シャル「…!!」

シャル(もしかして…)

409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:48:10 ID:Ub0Siy1A

シャル「花村くん…」

花村「うん?」

シャル「自分と向き合うって…難しいね?」

花村「いっ!?」

シャル「うふふ…」 ニコッ

花村(ゆ、悠のやつ…!) ///

花村(でも…これって脈アリじゃね!?) ///

シャル「一夏~! がんばって~!」

花村「…………」

花村「…っきしょおおおおお!!」

花村「悠ー!! 負けるなー!!」

410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:49:04 ID:Ub0Siy1A

-夜・屋上-

シャル「花村くんて面白い人だったね」

一夏「ああ、いい友達になれそうだ」

一夏「…悠との勝負は、負けちまったけどな」

シャル「ふふ、気にしない気にしない」 ニコ

411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:50:03 ID:Ub0Siy1A

一夏「それにしても、悠にあんな友達がいるなんてな…」

シャル「ホント、花村くん、楽しそうだった」

シャル「ちょっと話をしてみたんだけど…」

シャル「どんな些細な事も、なんでもない日常も、」

シャル「花村くんは 生きている事、そのものが楽しいんだって 言ってた」 ニコ

一夏「……すごいポジティブ思考だな」

シャル「ボクから見たら 凄くうらやましく思えたけどね」 クスッ

412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:50:43 ID:Ub0Siy1A

一夏「…そ、それにしても」

シャル「?」

一夏「陽介の事…ずいぶん話すのな」

シャル「??」

一夏「…………」 ///

シャル「…………」

シャル「…………あ」

シャル「もしかして……焼いてる?」

一夏「…ぐ、わ、悪いかよ」 ///

413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:51:56 ID:Ub0Siy1A

一夏「アリーナのスタンドで、陽介とシャルが 仲よさそうに話してるの見て…」

一夏「落ち着かなくて……」 ///

シャル「! 鳴上くんに負けたのって……」

一夏「…………」 ///

シャル「…ふふ、なんだか、うれしい」

シャル「一夏が、ボクにやきもちを 焼いてくれるなんて」 ///

ギュッ

414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:53:10 ID:Ub0Siy1A

一夏「! …シャル」 ///

シャル「…こ、これで、安心してくれる?」 ///

一夏「…お、おう。 でも抱きしめられるとは、思わなかった」 ///

シャル「よ…良かったら」 ///

シャル「一夏も ボクを抱きしめて欲しいな…」 ///

一夏「…! よ、よし…!」 ///

ギュッ

シャル「ん…一夏、暖かい」 ///

415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:54:14 ID:Ub0Siy1A

一夏「シャル……」 ///

シャル「一夏……」 ///

シャル「大好き…!」 ///

おしまい

417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:58:36 ID:Ub0Siy1A
>>391から

-鈴エンド-

一夏「鈴が、一番好きだ!」 ///

鈴「!!!!!!!!!!」

セシリア「…………」

箒「…………、一夏」

シャル「…………っ」

ラウラ「…行こう、みんな」

418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:59:32 ID:Ub0Siy1A

鈴(…! みんな……)

一夏(…やっぱり、胸が痛むな)

鈴「…………うっ」

鈴「ひぐっ……」 ポロポロ

一夏「!? …鈴?」

鈴「ごめ…ん、一夏」 ポロポロ

鈴「あ、あたし…多分だめ、だと思ってて…」

鈴「なんか…わかんないけど…とまらない、…の」 ポロポロ

一夏「…そうか」

419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:00:21 ID:Ub0Siy1A

一夏「俺…その、気づいてやれなくて、ごめん」

鈴「…………」

一夏「鈴は、子供の頃から存在が近すぎて…」

一夏「鈴も俺と同じように……友達として付き合っているって思ってた」

一夏「…でも」

一夏「悠に色々言われた事や…鈴の告白で…」

一夏「ああ、そうかって…やっとわかった」

鈴「一夏…」

420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:01:36 ID:Ub0Siy1A

一夏「俺は、鈴をちゃんと見てなかったんだ、って」

一夏「…ごめんな、鈴」

鈴「…ううん、もういい」 ///

一夏「…………えっと」 ///

鈴「…?」

一夏「……その、鈴」 ///

鈴「う、うん。 なに?」 ///

一夏「俺と…付き合ってもらえますか?」 ///

鈴「!! ……はい!」 ///

421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:02:27 ID:Ub0Siy1A

-数週間後・IS学園・校門付近-

???「お父さん! 早く、早く!」

??「おおい、ちょっと待ってくれ…」

守衛「はい、確認取れました。 堂島さん、この腕章を必ず着けてくださいね」

堂島「わかりました…おい、菜々子。 ほら……これを着けるんだ」

菜々子「は~い!」

422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:04:18 ID:Ub0Siy1A

----------

鳴上「伯父さん!」

堂島「悠! 久しぶりだな!」

菜々子「お兄ちゃん!!」

鳴上「菜々子、久しぶり。 大きくなったな…」

菜々子「うん! あのね、菜々子、3㎝も伸びたんだよ!」

鳴上「そうか…よかったな」 ニコ

423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:05:53 ID:Ub0Siy1A

堂島「悠…、学校はどうだ?」

鳴上「楽しいですよ」

堂島「はは…聞くまでも無かったな」

堂島「これだけ可愛い娘さん達に囲まれていたら…」

菜々子「…お父さん!!」 ペシペシ!

堂島「うおっ! い、痛い、菜々子! 悪かった、お父さんが悪かった!」

鳴上「ハハハ…」

424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:06:49 ID:Ub0Siy1A

-同・第三アリーナ-

一夏「甘いぜ! 鈴!」

鈴「…くっ!」

ドンッ ドンッ ドンッ!!

一夏「はあっ」

ヒュバッ!

鈴「…………」

鈴「…?」

一夏「…チェックメイト」

鈴「もう…また負けた…」

425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:07:48 ID:Ub0Siy1A

一夏「でも、イグニッション・ブーストも 大分モノになって来たな」

鈴「…う~ん、使い所が難しいわね。 エネルギーもけっこう食うし…」

鈴「あたしには、向いてないかも……」

一夏「ま、おぼえといて損は無いと思うぜ?」

鈴「まあね……」

鈴「………あれ?」

一夏「ん? どうした? 鈴?」

鈴「ほら、あそこ」

一夏「…お、悠。 と、誰だ? あの親子?」

426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:08:36 ID:Ub0Siy1A

鈴(…親子?)

鈴(あ! …もしかして!)

鈴「そういえば、近く親戚が訪ねて来るって、言ってなかった?」

一夏「…ああ! 言ってた言ってた!」

一夏「あれ、今日だったのか……」

鈴「ねえ、休憩がてら、挨拶しておかない?」

一夏「お、いいな。 行ってみるか!」

427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:10:53 ID:Ub0Siy1A

菜々子「うわあ……かっこいい!」

鈴「うふふ、ありがと!」

菜々子「そっちのお兄さんのも、真っ白でかっこいい!」

一夏「ハハ、ありがとう、菜々子ちゃん!」

菜々子「菜々子、お兄ちゃんのあいえすも見たい!」

鳴上「え?」

一夏「いいじゃないか、悠。 見せてやれよ」

鳴上「しかし…今は一夏達が……」

鈴「ああ、それなら気にしないで。 あたし達は、もういいから、ね?」

鳴上「そうか……。 じゃあ、お言葉に甘えるかな」 ニコ

428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:11:49 ID:Ub0Siy1A

鳴上「…………」 スチャ(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウウンッ!

菜々子「わああああっ! 見て見て! お父さん!」

菜々子「お兄ちゃんのあいえす、すっごくかっこいい!!」

堂島「ははは…良かったな、菜々子」

429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:12:44 ID:Ub0Siy1A

一夏「ようし、菜々子ちゃん、ちょっとお兄ちゃんと戦っていいかな?」

鳴上「お、おい! 一夏…!」

菜々子「えっ!? お兄ちゃんと!?」

鳴上「…あまり刺激的な事は……」

一夏「わかってるよ。 せっかくなんだし……悠のいい所、見せてあげたいんだ」

鳴上「…う、う~ん」

鈴「じゃ、あたし、観客席に行って解説する!」

鈴「菜々子ちゃん 可愛いし、近くで見たいし!」 ニコ ///

鳴上「…わかった。 でも、激しいのは 絶対無しだぞ?」

一夏「ああ、わかってるって!」

430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:13:49 ID:Ub0Siy1A

菜々子「わあああっ! お兄ちゃん! がんばって!」

コンッ! キンッ! カァンッ!

堂島「ほう…これは凄いな」

鈴「ふふっ…ま、本来の実力の1%も出していませんが…」

堂島「これが…1%にも満たない!?」

鈴「あの二人が本気を出したら、目で追うのも大変なんですよ?」

堂島「そ、そんなにか!? ……信じられん」

菜々子「いけー! お兄ちゃん!」

431: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:14:45 ID:Ub0Siy1A

鈴「あの……」

堂島「ん?」

鈴「悠に…少しだけ聞いたんです。 堂島さん一家の事」

堂島「! ……それは、妻の事も、か?」

鈴「はい…」

堂島「……参ったな」

鈴「あたし…少し悩んでいた時期があって、その時に聞きました」

鈴「想っているだけじゃ、伝わらないって」

堂島「…!」

堂島「…………」

堂島「…そうか」

432: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:15:38 ID:Ub0Siy1A

堂島「その…あいつは、悠は、何か言ってたか?」

鈴「自分を含めて…」

鈴「『家族』になれた、って言ってました」 ニコ

堂島「…………」

堂島「…ふふ、嬉しいものだな」 クスッ

鈴「………」 ニコ ニコ

433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:16:24 ID:Ub0Siy1A

堂島「…ところで、君は 伝えたのかい? 想いを…」

鈴「……ええ」

鈴「…………」 ///

堂島「………?」

堂島(……ああ、あの男子生徒の事を……。 年頃の娘さんだものな)

堂島「…青春、だな」 クスッ

434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:17:15 ID:Ub0Siy1A

-同・IS学園・食堂-

菜々子「すごかったね! お父さん!」

菜々子「お兄ちゃんがビューンって来て、」

菜々子「一夏お兄さんの事、倒しちゃったんだよ!」 キラキラ

堂島「ああ、お父さんも見てたぞ。 凄いな、悠は」

菜々子「うん! お兄ちゃん、強いんだね!」 キラキラ

堂島「ははは…」

435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:18:20 ID:Ub0Siy1A

鳴上「おまたせ、菜々子」

菜々子「わあ! プリン! 菜々子、大好き!」

鳴上「ジュースもあるからな」

菜々子「うん!」

一夏「堂島さん、あんぱんと牛乳でしたっけ?」

堂島「お、すまないな一夏君」

一夏「悠は、スパゲティか」

鳴上「ああ。 一夏はいつものラーメン、鈴はクレープか・・・めずらしいな」

鈴「ま、たまには、ね」

鈴「さ、食べましょ!」

436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:19:31 ID:Ub0Siy1A

堂島「しかし、こんな時間に学食が開いてるんだな…」

一夏「IS学園は全寮制ですから。 夕方…つまり今くらいから、また開店するんですよ」

堂島「なるほど」

菜々子「おいしい! ジュネスのプリンと同じくらい、おいしい!」

鳴上「よかったな、菜々子」

鈴「ふふ…IS学園は、スイーツメニューも充実してるからね」

437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:21:37 ID:Ub0Siy1A

菜々子「……あのう、一夏お兄さん」

一夏「うん? なに?」

菜々子「お兄ちゃんに負けちゃって……痛い所とか、無い?」

一夏「はは、全然ないよ? ありがとう、心配してくれて」

鈴「ISはね、ケンカしても怪我しないように出来てるの。 だから大丈夫だよ?」 ニコ

菜々子「そうなんだ! よかった…」

一夏「それに、菜々子ちゃんのお兄ちゃんは、強いけど…」

一夏「とっても優しいんだ。 だから怪我なんてしないよ」 ニコ

菜々子「うん! 菜々子も知ってるよ! お兄ちゃん、とっても優しい!」

ハハハ・…

438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:22:49 ID:Ub0Siy1A

菜々子「だから菜々子、お兄ちゃんと結婚するの!」 ///

一夏「お、よかったな、悠!」

鳴上「お、おう…」

鈴「ふふ……悠、覚悟しときなさいよ?」

鈴「女の子の『一途』は、馬鹿にすると怖いんだからね!」 ニコ

一夏・鳴上(鈴が言うと、説得力あるなぁ…)

鈴「菜々子ちゃん。 お姉ちゃん、応援するから、頑張ってね!」

菜々子「うん!」 ///

ハハハ…

439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:23:38 ID:Ub0Siy1A

堂島「………さて、菜々子」

堂島「そろそろ…帰らないと いけない時間だ」

菜々子「!!」

菜々子「………うん」

堂島「また、来よう。 な?」

菜々子「………うん」

鈴「…………」

一夏「…………」

鳴上「…………」

440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:24:20 ID:Ub0Siy1A

-同・IS学園・校門付近-

堂島「すまないな、見送ってもらって…」

一夏「いえ…」

鈴「あたし達も楽しかったです!」

鈴「菜々子ちゃん、また一緒にプリン食べようね?」

菜々子「うん!」

441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:25:25 ID:Ub0Siy1A

鳴上「おじさん、実は…今度の連休、八十稲羽に帰ろうかと思っているんです」

菜々子「!!」

菜々子「ホント!? お兄ちゃん!?」

堂島「おお、そうか! いつでも歓迎するぞ!」

堂島「よかったな、菜々子……」

菜々子「うん!!」

菜々子「お兄ちゃん、いっぱい、いっぱい! 遊ぼうね!」

鳴上「ああ、菜々子、いっぱい遊ぼうな」

442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:26:45 ID:Ub0Siy1A

一夏「…………」

鈴「…………」

鈴「いい家族だね」 クスッ

一夏「……ああ」 クスッ

ギュッ…

一夏(! …鈴、手を握って) ///

鈴「…ちょ、ちょっと気が早いけど」 ///

鈴「あたし…」 ///

鈴「一夏と…あんな家族になれたらって、思う……」 ///

一夏「………うん」 ///

一夏「俺も、そう思う」 ///

443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:27:50 ID:Ub0Siy1A

鈴「ふふ…ありがと、一夏」 ///

鈴「大好き!」 ///

おしまい

444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:30:25 ID:Ub0Siy1A
>>391から

-箒エンド-

一夏「箒が、一番好きだ!」 ///

箒「!!!!!!!!」

鈴「………っ」 ダッ

セシリア「! …鈴さん」

シャル「…………」

ラウラ「…行こう、みんな」

445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:31:22 ID:Ub0Siy1A

一夏(…やっぱり、胸が痛むな)

箒(……みんな)

箒「……どうしてだろう」

一夏「……うん?」

箒「こうなる事を 望んでいたハズなのに……」

箒「複雑な心境だ…」

一夏「箒…」

446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:32:40 ID:Ub0Siy1A

一夏「…それは、俺もだ」

箒「一夏…」

一夏「告白してくれた時まで…」

一夏「箒が、俺を想ってくれているなんて」

一夏「想像もしてなかった」

箒「…………」

447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:33:51 ID:Ub0Siy1A

一夏「でも、ハッキリ言ってくれて 俺は嬉しかった」

一夏「箒の本音が 初めて聞けたって、思えた」

箒「…うん」 ///

一夏「だから、言える」

一夏「福音の時みたいに、その場の雰囲気で流された、とかじゃなく」

一夏「俺も…、箒の事が好きだ、って…」 ///

箒「い、一夏…!」 ///

一夏「………箒」 ///

一夏「俺と……、付き合ってくれるか?」 ///

箒「…ああ! もちろんだ…!」 ///

448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:35:08 ID:Ub0Siy1A

-数週間後・IS学園校門付近-

??(…………)

??(…………)

??「…あ、鳴上…じゃなくて、悠先輩!」

鳴上「すまない、ちょっと遅れた…」

??「いえ…、私の方が突然 訪ねたんですから…」 ///

449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:37:57 ID:Ub0Siy1A

鳴上「腕章は…着けているな」

鳴上「…? どうして楽器を持ってきたんだ? 荷物になるだろうに」

??「あ……その、三校交流合唱会の宿は、ここからちょっと遠かったので…」

??「行きしなに寄ろうと思って」 ///

鳴上「そうか…」

鳴上「じゃあ、それは俺が持とう、綾音」 ニコ

綾音「あ、すみません、悠先輩」

450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:38:41 ID:Ub0Siy1A

ザワ… ザワ…

箒(…………?)

箒(…なんだか、騒がしいな?)

モブ子「……見た?」

モブ美「見た見た! 鳴上くん、可愛い他校の彼女を連れてたの!」

モブ枝「や~ん! 鳴上くん、狙ってたのに~!」

箒(ほう?)

モブ子「で、で!? 今どこに!?」

モブ美「さっき校舎の前にいたから…、次はアリーナ辺りを見せるんじゃない?」

モブ枝「いいなあ…、校内でデートかあ…。 あこがれちゃう!」

キャハハハ…

451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:39:15 ID:Ub0Siy1A

箒(…………)

箒(ちょっと、興味があるな) クスッ

箒(見に行ってみよう……)

452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:40:30 ID:Ub0Siy1A

-同・第二アリーナ・スタンド-

綾音「す、凄いです! 八十神高校とは、比べ物に成りませんね」

鳴上「比べるものにもよる」 クスッ…

鳴上「ここは近代的だけど…人工物ばかりで、落ち着かない時もある」

鳴上「それに…」

綾音「…?」

鳴上「綾音がいない」 ニコ

綾音「!! ゆ、悠先輩! …も、もう、恥ずかしいです…!」 ///

鳴上「ははは…」

箒(…………) ///

箒(…ち、近寄りがたい、雰囲気だ) ///

453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:41:21 ID:Ub0Siy1A

一夏「あれー? 悠?」

鳴上「一夏」

一夏「何してるんだ? こんな所で?」

箒(…………)

箒(……さすが一夏だ) ハア…

454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:42:18 ID:Ub0Siy1A

一夏「…お? そっちの女の子は?」

鳴上「俺の彼女」

一夏「はあ!?」

綾音「ゆ、悠先輩!」 ///

箒(……鳴上は鳴上で、規格外だな) 唖然…

455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:43:23 ID:Ub0Siy1A

一夏「…そ、そうなのか。 でも、悠」

鳴上「うん?」

一夏「お前…中学生の女の子を 彼女にするなんて……いいのか?」

綾音「ちゅ、中学生じゃありません!」

綾音「そ、そりゃ、私、ちっちゃいですけど…」 ///

綾音「こう見えても、高校二年生です!!」

一夏「…………へ?」

一夏「…だって、悠の事、先輩って?」

鳴上「…………」

鳴上「…………あ」

456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:44:49 ID:Ub0Siy1A

一夏・箒「本当は18!?」

一夏「って、箒!? いつの間に!?」

箒「こ、細かい事は置いておけ!」 ///

箒「それより……18って、どうして一年生に転入して来たんだ!?」

鳴上「一番の理由は、ISの基礎学力がまったく無かったからだ」

鳴上「そんな状態でいきなり三年生など出来ないだろ?」

箒「…た、確かに」

一夏「聞いてみれば、至極まともな理由だな…」

鳴上「それに…周りが女子だけ、というのもちょっと、な」

綾音「…………」

一夏(…その気持ち、わかるぜ、悠!)

457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:46:02 ID:Ub0Siy1A

一夏「…通りで大人びている訳だ」

箒「妙に落ち着き払っているのも、その為か…」

鳴上「篠ノ之博士に、無理矢理 転入させられる事になったけど……」

鳴上「俺にISを使える才能があるのなら」

鳴上「それを生かす方法を見つけたい」

鳴上「今は、そう思っている」

鳴上「多少……回り道になるけどな……」 クスッ

一夏「…………」

箒(…立派だ)

綾音(さすがです…悠先輩) ///

一夏(俺なんてされるがまま、ここに来て、なんとなく通っているのに…)

458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:47:06 ID:Ub0Siy1A

箒「…? 鳴上、その荷物は?」

鳴上「ああ、これは…」

綾音「私の荷物です。 悠先輩が持ってくれるって言うので、甘えました」 ///

一夏「何かのケースだな」

綾音「楽器です。 トロンボーン奏者なんですよ、私」 テヘ

箒(…!)

一夏「へえ…そりゃ聞いてみたいな」

箒「…そうだな、音楽室にトランペットもあるだろうし」

箒「聞かせてくれないか? 鳴上と二人で」 ニコ

綾音「ええっ!?」

鳴上「!?」

459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:48:47 ID:Ub0Siy1A

-同・IS学園・音楽室-

綾音(悠先輩……私の事、話したんですか?) ヒソヒソ

鳴上(……色々あって) ヒソヒソ

綾音(も、もう…) ヒソヒソ///

一夏「ほら、悠、トランペット」

一夏「それにしても……お前って多才だな」

鳴上「……はっきり言って、本当に久しぶりなんだ」

一夏「いいじゃないか、聞かせてくれよ」 クスッ

綾音「えと…悠先輩、あの時の曲ならできますか?」

鳴上「ああ。 と言うか、多分それしか出来ない……」

綾音「ふふ、わかりました」 クスッ

460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:50:52 ID:Ub0Siy1A

~♪ ~♪ ~♪

…その曲は、私の知らない曲だった。

後で綾音に聞いたのだが

とある学校での 少年の物語の曲なのだそうだ。

無慈悲な言葉の羅列や

世間の常識、そして、目に翻弄され

少年の日常は、狂ってしまう…。

461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:51:49 ID:Ub0Siy1A

それはまるで、濃い霧の様に

光を奪い、少年の心を荒廃させ

人を 信じる事を出来なくさせる。

でも、ある日、悩み続けた彼に

友人から、手紙が届く。

少年は、やっと気づく。

462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:52:34 ID:Ub0Siy1A

『一人ではない』事に。

みんなと過ごした日々

幼い頃に交わした約束

大切な言葉…

463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:54:01 ID:Ub0Siy1A

いつの間にか忘れていたけど

それは、心の奥に

いつもあった事を思い出す。

目には見えないけど

人同士のつながり

『絆』を……。

~♪ ~♪ ~♪

464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:55:01 ID:Ub0Siy1A

一夏「…………」

箒「…………」

鳴上「…………」

綾音「…ど、どうでしたか?」

一夏「なんだよ……上手いじゃないか!」 パチパチパチ!

箒「ああ…とても」

箒「幸せな気持ちになれた」 ニコ

綾音「!!!」

鳴上「…よかったな、綾音」 ニコ

綾音「…も、もう、ずるいです、みなさん…」 グスッ…///

一夏(………あれ、なんで泣くの? あの娘?)

465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:56:00 ID:Ub0Siy1A

-夜・屋上-

一夏「そうか……そんな理由があったのか」

箒「…ああ」

箒「私が、一夏に告白できたのも…彼女のおかげかもしれない……」

一夏「違うよ」

箒「えっ?」

一夏「それは、きっかけに過ぎない」

一夏「あの告白は…箒の努力のたまものさ」

箒「一夏…」

466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:56:59 ID:Ub0Siy1A

一夏「そうそう、俺も悠の秘密を話そうか?」

箒「? なんだ?」

一夏「実は……悠って、六股掛けてたんだって」

箒「……は?」

一夏「だから、悠は六股を…」

箒「…バカも休み休み言え。 鳴上が、そんな事をするはずが無い」

一夏「……俺もそう思った。 けどな、」

467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:57:40 ID:Ub0Siy1A

一夏「なんだか放っておけない…守ってあげたい…」

一夏「支えてあげたい…望みを叶えてあげたい…」

一夏「……そんな気持ちに、すべて答えている内に」

一夏「六股かけていたそうだ」

箒「…!」

468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:58:28 ID:Ub0Siy1A

箒「………なるほど」

箒「そうだったのか……」

一夏「……今のうちなら、みんな傷つくけど『すり傷』ですむ」

一夏「悠は、自分みたいに全身複雑骨折する事は無い、って」

一夏「俺の背中を押してくれた」

箒「…冗談に聞こえないな」

一夏「ああ…でも、だからこそ言えるんだろう」

469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:59:20 ID:Ub0Siy1A

箒「……あの娘、綾音は、不安だろうな」

一夏「…………」

箒「一夏以外は、みんな女という環境に、自分の彼氏がいる……」

箒「しかも自分は、鳴上のそばに いられないのだから……」

一夏「………箒」

ギュッ…

箒「!? い、一夏!?」 ///

一夏「…い、嫌、だったか?」 ///

箒「い、いや、そ、その…心の準備が…いきなり後ろから、抱きしめるなんて…」 ///

一夏「…その、箒も…不安なのかな? と思って…」 ///

箒「…!」 ///

470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 20:01:21 ID:Ub0Siy1A

箒「そ、その、一夏…、嫌がってるわけじゃない」 ///

箒「……でも、はなしてくれないか?」 ///

一夏「…お、おう」 ///

スッ…

箒「…………」 ///

一夏「…………」 ///

471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 20:03:34 ID:Ub0Siy1A

ギュッ…

一夏「! …箒」 ///

箒「…こ、こういう事は、向き合って行うものだろう?」 ///

一夏「……箒」 ///

一夏「そうだな…」 クスッ///

ギュッ…

箒「んっ…。 ありがとう、一夏…」 ///

箒「私は、幸せだ」 ///

おしまい

476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:39:07 ID:Ub0Siy1A
>>391から

-ラウラエンド-

一夏「ラウラが、一番好きだ」 ///

ラウラ「!!!!!!!!!」

鈴「…………っ」 ダッ

箒「! …………鈴」

セシリア「…鈴さん」

シャル「…行こう、みんな」

477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:40:03 ID:Ub0Siy1A

一夏(…やっぱり、胸が痛むな)

ラウラ(…………)

ラウラ「………いいのか? 一夏。 私なんかで…?」

ラウラ「正直……私が選ばれるなど、無いと思ってた」

一夏「ラウラの告白が効いた」 クスッ

ラウラ「!?」 ///

一夏「そりゃ確かに、あんまり気の効いた台詞ってわけじゃ無かったけど…」

一夏「初めてラウラの姿が 見えた気がした」

ラウラ「私の…姿?」

一夏「ラウラは、見た目以上に幼いんだなって…」

ラウラ「…!」

478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:41:18 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…それは、保護者的な目線だ」

ラウラ「私は…そんな風に見てもらいたくない…!」

一夏「悪い…、言葉が足りなかったな」

ラウラ「…?」

一夏「表現の仕方が幼かった、だ…」

ラウラ「!」

一夏「ラウラは、育てられた環境が、俺達とかなり違う」

一夏「そんな中で、一生懸命考えてくれた あの言葉は」

一夏「本当に嬉しかった…」

ラウラ「一夏…」

479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:42:30 ID:Ub0Siy1A

一夏「だから、俺もそれに答えたい、と思う」

一夏「ラウラ…」

ラウラ「う、うむ…」 ///

一夏「俺と…」

一夏「男女の関係で、恋愛の対象として」

一夏「付き合ってくれるか?」 クスッ

ラウラ「!!」 ///

480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:43:22 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…………」 ///

ラウラ「ずるいぞ、一夏…」 ///

ラウラ「私の告白を まるまる盗用しているではないか…」 ///

一夏「すまん…。 返事は?」 ニコ

ラウラ「そんなもの、決まっている」 クスッ

ラウラ「異論は無い!」 ニコッ ///

481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:44:10 ID:Ub0Siy1A

-数週間後・IS学園校門付近-

??「およよ~! これがセンセイのいる、IS学園クマね…」

??「八十稲羽とは、全然違うクマ」

??「…………」

??「ぬふふ…、センセイ、今行くクマ~!!」

482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:45:13 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…………」 テク テク

ラウラ「…………?」 ピト…

守衛「だーかーらー! 身分証の提示も無しで入れられないって!」

??「クマはクマクマ! それ以外の何者でもないクマ!」

守衛「わからん奴だな! 人を呼ぶぞ!」

クマ「クマは、それでもかまわないクマよ?」

クマ「IS学園は、女の子いっぱいクマ! だから、ぜひそうして欲しいクマ!」

守衛(…話が噛み合わん)

ラウラ(なんだ? あの金髪の男は?)

483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:46:00 ID:Ub0Siy1A

クマ「あ、そうそう! クマはセンセイの友達クマ!」

守衛「先生? 教師に知り合いが いるのか?」

クマ「センセイは センセイ、クマ! 鳴上 悠って名前クマ!」

ラウラ(…!?)

守衛「ふむ、ま、そんなに言うなら ちょっと調べて…」

ラウラ「おい」

守衛・クマ「「?」」

ラウラ「お前…クマ、と言ったか? クマの言う鳴上とは、生徒の事ではないのか?」

クマ「おおう! ぷりち~が~る! そうクマ! ここの寮にいるクマ!」

守衛「…………」

484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:47:23 ID:Ub0Siy1A

----------

鳴上「………クマ」

クマ「センセ~イ! 会いたかったクマ~!」

守衛「…君の友人なのは、間違い無いと?」

鳴上「はい…」

守衛「…それでは、身分証の提示が無いので、この…クマ?君の住所と名前を」

鳴上「はい…」

鳴上(クマの住所は…陽介の所でいいか…) カリカリ…

鳴上(!? …ってクマの氏名って!?)

鳴上(…………)

鳴上(…………) カリカリ…

485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:48:06 ID:Ub0Siy1A

鳴上「…どうぞ」

守衛「…ふむ、八十稲羽市の…ずいぶん遠くから来たものだ…?」

氏名  熊田 熊男

守衛「………………………………」

鳴上「………………………………」

守衛「君はふざけて」

鳴上「待ってください! 守衛さん!」

鳴上「これには…少し事情があるのです!」

鳴上「まず、クマの両親が別れた事が、最初でした…」

486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:48:46 ID:Ub0Siy1A

20分後…

守衛「うう…そうだったのか…再婚相手が熊田で…」 ボロボロ…

鳴上「そうです…。 彼は、何も悪くないのに あんな氏名になってしまい…」

鳴上「あのような人格に…!」

守衛「わかった…わかったよ…。 私だって突然、そんな名前になったら」

守衛「やりきれない気持ちになる…」

守衛「さあ、腕章だ。 いつまでもクマ君の友達でいてくれよ?」

鳴上「もちろんです」

487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:49:32 ID:Ub0Siy1A

鳴上「待たせたな、ク…」

鳴上「………ボーデヴィッヒ、クマは?」

ラウラ「トイレに行きたい、と言うので場所を教えた」

鳴上「どれくらい前だ?」

ラウラ「そろそろ、10分になる」

鳴上「……………………」

ラウラ(!)

ラウラ(…はじめて見た)

ラウラ(鳴上が頭を抱えている様を…!)

488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:50:19 ID:Ub0Siy1A

-同・食堂-

クマ「ここは凄いクマ! 右を向いても 左を向いても 女の子祭りクマ~♪」

クマ「クンクン…、それにいい匂いクマ~」

ザワ… ザワ…

モブ子「…誰? あの男子?」

モブ美「もしかして…第三の男のIS適正者! …とか?」

モブ枝「まさか…」

クマ「ねえねえ、君たち♪」

モブ子「うえっ!?」

モブ美(話しかけて来た!?)

モブ枝「…な、何かな?」

489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:51:01 ID:Ub0Siy1A

クマ「君たち、可愛いクマねぇ~」

モブ子「は、はあ…」

クマ「クマの逆ナン魂が、揺さぶられるクマ…」

モブ美(…逆ナン?)

クマ「でも、その前に、どうやってご飯を注文するのか、教えて欲しいクマ!」

モブ枝「えっと…?」

490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:51:50 ID:Ub0Siy1A

クマ「むっほー! おいしいクマ~!」 バクバクバク…

モブ子「ふわぁ…よく食べるわね」

モブ美「ま、見てて気持ちいいけど」

モブ枝「…私は逆。 食欲なくすわ…」

モブ子「それで? クマくんは、何しにIS学園に来たの?」

クマ「もっちろん、逆ナンクマ!」

モブ美(意味わかって言ってるのかな…)

クマ「あと、センセイに 会いに来たクマ!」

モブ枝「へー。 先生って?」

クマ「センセイは、センセイ、クマ! 鳴上 悠って人クマ!」

モブ三人娘「「「!!!」」」

491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:52:30 ID:Ub0Siy1A

ツカ ツカ ツカ ツカ

鳴上「…………クマ」

クマ「およよ! センセイ!」

クマ「見て見て! クマの逆ナンの成果!」

モブ子「え!?」

モブ美「あたし達、逆ナンされてたの!?」

モブ枝「えっと・・・クマくん?」

ラウラ「…………」

鳴上「……とにかく、クマ、これを着けておけ」

モブ子「あ、外来の腕章」

モブ美「私、着けてあげよっか?」

クマ「およよ~、モブ美さんは優しいクマ~…」

492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:53:17 ID:Ub0Siy1A

モブ美「じゃあね! クマくん! 逆ナン、楽しかったよ!」

モブ子「モブ美、心広すぎ~」

モブ美「いいじゃん! 悪い人じゃないと思うし」

モブ枝「いい意味でも悪い意味でも、欲望に正直なのね・・・たぶん・・・」

クマ「みんな、またね! クマ~!」

鳴上「……………………」

ラウラ(…また頭を抱えた)

493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:54:09 ID:Ub0Siy1A

鳴上「…クマ、どうやって ここまで来た?」

クマ「もちろん電車クマ! クマ、初めて新幹線に乗ったクマ!」

鳴上「まさか…お前がお金を貯めてたのって…」

クマ「そうクマ! センセイのいる、IS学園に来たかったからクマ!」

クマ「陽介にIS学園が女の子パラダイスって聞いて…」

クマ「クマの逆ナン魂が、ビンビンにいきり立ったクマ!」

鳴上「…………」

鳴上「…あのな、クマ」

鳴上「気持ちは嬉しいんだが…、俺にも都合と言うものがあって…」

クマ「それで、センセイのお部屋は どこクマ?」

鳴上「…………」

ラウラ(…………)

494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:55:07 ID:Ub0Siy1A

-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

クマ「およよ~! ここがセンセイの部屋クマか~!」

ラウラ(一夏は留守のようだな…)

鳴上「クマ、あまり はしゃぐな。 ここは俺だけの部屋じゃない」

鳴上「そっちは、同室の男のベッドだ」

クマ「およ? そうクマか…? ん?」 クンクン…

クマ「でも何故か、ラウッちのニオイがするクマ…?」

鳴上・ラウラ「「そっとしておけ!!」」 ///

495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:55:53 ID:Ub0Siy1A

鳴上「とにかく、俺にも予定がある…」

鳴上「すまないが、今日は これで帰ってくれ」

クマ「わかったクマ。 クマは、ここで大人しくしているクマ!」

鳴上「そうか、わかってく」

鳴上「…『ここで』?」

クマ「そうクマよ? しばらくここに住むクマ!」

鳴上「」

ラウラ「」

496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:56:40 ID:Ub0Siy1A

鳴上「…………!」 カチャ…(携帯オープン)

新着メール 件数 11

陽介

陽介

陽介

鳴上「…クマ」

鳴上「お前…陽介に黙って来たのか?」

クマ「そうクマ!」

鳴上「…………はうっ」 クラッ…

ラウラ「な、鳴上!? し、しっかりしろ!」

497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:57:42 ID:Ub0Siy1A

----------

鳴上「……すまない、ボ-デヴィッヒ、しばらくクマを見ていてくれ…」

鳴上「ここは、携帯が通じにくい。 ちょっと部屋からでる…」

ラウラ「わかった…」

パタン…

クマ「~♪~♪」

ラウラ「…おいクマ」

クマ「なにクマ?」

498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:58:38 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「お前は…自分を探していたのでは ないのか?」

クマ「…!」

ラウラ「やはりか…」

クマ「センセイから、聞いたクマか?」

ラウラ「お前の出生の秘密は、秘密のままだ」

ラウラ「だが…お前は、鳴上とその仲間に秘密を明かした上で」

ラウラ「そばにいてもいい? と尋ねたと聞いている」

クマ「みんな、いいって、言ってくれたクマ!」 ニコ

499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:59:35 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…それも知っている」

ラウラ「ならばなぜ、鳴上を困らせる?」

クマ「えっ?」

ラウラ「見て分からなかったのか?」

クマ「そ、そんな事ないクマ!」

クマ「センセイは、喜んでくれているクマ!」

ラウラ「では、聞くが…お前がここに来てから鳴上は、笑っていたか?」

クマ「…………」

クマ「………無いクマ」

500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:00:09 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…非常に厄介だが、人同士の付き合いには、」

ラウラ「目に見えないルールが存在する」

クマ「………………」

ラウラ「お前は、まずそれを 学ばなければならない」

ラウラ「そうしなければ…」

クマ「しなければ?」

ラウラ「おそらく、だれもお前を必要としなくなる」

クマ「およ、およよー!?」

クマ「そ、そんなの嫌クマ~!!」

501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:01:01 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…落ち着くんだ、クマ」

クマ「…クマ?」

ラウラ「人はな、誰でも間違いをしてしまう」

ラウラ「だが…そこから目を背けては駄目だ」

ラウラ「間違いから自分を見つめなおし、学習する事が大切なんだと思う」

クマ「…クマは、どうしたらいいクマ?」

502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:01:34 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「考えるんだ」

ラウラ「自分の行動で、どうして鳴上は 笑ってくれなかったのか?」

ラウラ「きっとお前は、鳴上が喜んでくれると思っていたが…そうではなかった」

ラウラ「それは何故か?」

ラウラ「考えてみるんだ」

クマ「………………」

503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:02:11 ID:Ub0Siy1A

ガチャ

鳴上「…クマ」

クマ「…センセイ」

鳴上(…? 何だか、いきなり大人しくなった?)

鳴上「どうした?」

クマ「クマは…クマは…、センセイを困らせたクマ?」

鳴上「!?」

504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:02:57 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「…………」

クマ「ラウッちに言われて、クマ、考えてみたクマ」

クマ「…でもクマは、頭悪いからよく分からなくて…それでセンセイに聞いてみたクマ」

鳴上「…………」

鳴上「……そうだな、確かに困った」

クマ「!!」

鳴上「いきなり連絡も無しに来た上に、学園内を勝手に歩き回ったあげく」

鳴上「唐突に、ここに住みたいとまで言う…」

クマ「およ…およよ」

505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:03:56 ID:Ub0Siy1A

鳴上「それに陽介も、お前が突然いなくなって 凄く心配している」

鳴上「陽介だけじゃない、里中も天城も…菜々子だって心配している」

クマ「…!! ナナちゃんが…!?」

鳴上「そうだ」

クマ「そ、そんな…。 クマは、クマは、そんなつもりは無かったクマ…!」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」

506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:05:04 ID:Ub0Siy1A

クマ「お、およよ~、センセイ、ごめんなさいクマー!!」 ぶわわっ…

鳴上「…クマ、わかればいい」

クマ「…?」

鳴上「俺は、確かに困ったけど…お前が来てくれたのは、嬉しく思ってる」 ニコ

クマ「!! セ、センセイ」

鳴上「でも…、次からは、」

鳴上「ちゃんと事前に連絡を入れる事」

鳴上「陽介に黙って出かけない事」

鳴上「これを守るんだ。 わかったな?」

クマ「わかったクマ!!」

ラウラ「…………」 クスッ

507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:05:45 ID:Ub0Siy1A

-同・IS学園校門付近-

ラウラ「…いいのか? 鳴上」

ラウラ「今日は、実技試験があるのだろう?」

鳴上「かまわない。 クマを一人で帰らせる方が心配だしな…」 クスッ…

鳴上「あいつは、大事な友達なんだ」

ラウラ「そうか…」 クスッ

鳴上「それに事情を話したら、担任の先生が別の日に試験をしてくれる、と言ってくれたし」

ラウラ「なら、一安心だな」

鳴上「ああ」

508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:06:24 ID:Ub0Siy1A

鳴上「迷惑かけた…ボーデヴィッヒ」

ラウラ「気にするな、たいした事じゃない」 クスッ

鳴上「メールを入れておいたけど、一夏にもよろしく言っておいてくれ」

鳴上「明日の午前中には戻る」

ラウラ「わかった」

鳴上「じゃ…」

ラウラ「………」

509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:07:32 ID:Ub0Siy1A

-夜・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「………そいつはまた、強烈なキャラだな」

ラウラ「しかも本人に、悪意が無いだけに始末が悪い…」

一夏「ははは…、そりゃ確かに」

ラウラ「…………」

一夏「…? どうした? ラウラ?」

ラウラ「いや…なんと言うか、身につまされた」

一夏「…………」

ラウラ「つい、クマに説教したが…、私だって同じようなものだった」

ラウラ「一夏を『嫁にする!』とか言ったりしてたし」 ///

ラウラ「人の事を とやかく言えない…」

510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:08:07 ID:Ub0Siy1A

一夏「…それは、考えすぎだ」

ラウラ「………うん」

一夏「俺だって偉そうな事は言えないけど…」

一夏「ラウラのした事は、間違っていないと思う」 クスッ

ラウラ「一夏…ありがとう」 ニコ

一夏「ふふ…やっと笑ったな」

511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:08:58 ID:Ub0Siy1A

一夏「ところで…」

ギュ…

ラウラ「い、一夏…!?」 ///

一夏「…今日は、悠がいないけど…どうする?」

ラウラ「う、うむ、一緒に、いたい…」 ///

一夏「! …そ、そうか」 ///

ドサッ… ギシ ギシ

512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:10:35 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「……!」 ///

ラウラ「い、一夏…腹に、硬くなったものを押し付けるな…!」 ///

一夏「ごめん、無理」 ///

ラウラ「ま、まだ、時間が早い! 落ち着け!」 ///

一夏「だめ」 ///

一夏「せっかく、悠が気を利かせてくれたしな…」 ///

一夏「朝まで…ゆっくりと…」 ///

513: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:11:21 ID:Ub0Siy1A

ラウラ「あ、朝まで!? む、無理っんぐっ!?」 ///

ラウラ「んんっ…! う…んっ! んんんっ…」 ///

ラウラ「…………ぷはっ…!」 ///

一夏「………まだ、嫌か?」 ///

ラウラ「……………………」 ///

ラウラ「…私が壊れたら」 ///

ラウラ「お前のせいだからな…?」 ///

514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:12:15 ID:Ub0Siy1A

一夏「ふふ、じゃあ、明かりを消すぞ?」 ///

ラウラ「…ああ」 ///

フッ…

おしまい

515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:13:43 ID:Ub0Siy1A
>>391から

-セシリアエンド-

一夏「セシリアが、一番好きだ」 ///

セシリア「!!!!!!!!!」

鈴「…………っ」 ダッ

箒「鈴………!」

シャル「……鈴」

ラウラ「…行こう、みんな」

516: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:14:42 ID:Ub0Siy1A

一夏(……やっぱり、胸が痛むな)

セシリア(……みなさん)

セシリア「…あの、一夏さん」

一夏「ん?」

セシリア「わたくしは ここ最近…、皆さんの中で」

セシリア「一番一夏さんと接してきた時間が長かったと思いますが…」

一夏「…………」

セシリア「それが影響していませんか?」

一夏「…………」

一夏「…まったく無い、と言えば…嘘になる」

セシリア「…………」

517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:15:35 ID:Ub0Siy1A

一夏「でも」

一夏「出来うる限り、公平に考えて…俺は答えを出した」

一夏「セシリアが、タッグマッチのパートナーとして 俺を選んでくれた様に」

セシリア「…………」

一夏「告白も…告白の時に悠に騙されて、慌てて駆けつけてくれたのも」

一夏「トーナメントで泣いてくれたのも全部」

一夏「俺の為にしてくれた事だ」

セシリア「…………」

518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:16:09 ID:Ub0Siy1A

一夏「もちろん、みんなもそうだったと思う」

一夏「だけど…上手く言えないけど…」

一夏「セシリアが、一番いいって思った…」 ///

セシリア「一夏さん…!」 ///

一夏「…セシリア」 ///

セシリア「…はい」 ///

一夏「俺と…付き合ってもらえますか?」 ///

セシリア「はい! 喜んで!」 ///

519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:16:58 ID:Ub0Siy1A

-数週間後・夜・都心・高層ビル・パーティー会場-

ガヤ ガヤ…

一夏(…うは、この場違い感)

セシリア「一夏さん、そんなに強張らないでくださいな」 クスッ

一夏「と、言われても…緊張する」

セシリア「単なる立食パーティー、と思えばいいのですわ」

一夏「お、おう」

一夏(…ま、セシリアのドレス姿を拝めただけで満足かな) ///

セシリア「? 一夏さん?」

一夏「はは…、なんでもない」

520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:18:05 ID:Ub0Siy1A

令嬢「あの…」

一夏「はい?」

令嬢「よろしければ…踊っていただけますか?」

一夏(き、来た…!)

-回想-

セシリア「いいですか? 一夏さん」

セシリア「社交場では、基本的にダンスに誘われたら お受けするのが礼儀です」

セシリア「それも」

セシリア「女性側からの誘いを断るのは、紳士として もっとも非礼とされています」

セシリア「気を付けてくださいね?」

----------

521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:18:53 ID:Ub0Siy1A

一夏(セ、セシリア…) チラ見

セシリア(一夏さん、礼儀ですわよ?) ニコ

一夏「…………」

一夏「よ、喜んで、お嬢さん」

令嬢「ふふ…、ありがとうございます」 ニコ

522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:19:32 ID:Ub0Siy1A

??「これは…麗しい」

セシリア「…?」

??「よろしければ、踊っていただけますか?」

??「美しいご令嬢様」

セシリア「あら…、お上手ですわね」 ニコ

セシリア「謹んで、お受けいたしますわ」

523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:20:14 ID:Ub0Siy1A
~♪ ~♪ ~♪
??「…………」

セシリア「…………」

??「失礼ながら…」

セシリア「はい?」

524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:20:59 ID:Ub0Siy1A

??「オルコット家のご息女、とお見受けしますが…」

??「何でも、IS学園にお通いとか?」

セシリア「あら…どこかでお会い いたしました?」

??「いえ…、風の噂で知っている程度です」 クスッ

セシリア「ふふ、その通りですわ」

セシリア「お転婆で、がっかりしたでしょう?」 クスッ

??「はは…まさか」 クスッ

525: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:21:34 ID:Ub0Siy1A

セシリア「お名前をうかがっても よろしいですか?」

??「一条…一条 康、と申します」

セシリア(一条…?)

セシリア(確か…、日本の企業グループ主賓者の姻戚に)

セシリア(そのような名前が、ありましたわね…)

526: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:22:20 ID:Ub0Siy1A

一条「ふふ…すみません、今日の主賓に お情けで参加させていただいたのです」 クスッ…

一条「がっかりされたでしょう?」

セシリア「あら…、レディの心の内を見透かすのがお得意で?」

一条「いいえ。 先ほどのお返しです」 ニコ

~♪ ~♪ ~♪ キャ…! ス、スミマセンッ!

セシリア(一夏さんかしら…)

一条(鳴上かな…)

527: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:23:22 ID:Ub0Siy1A

~♪ ~♪ ~♪…

一条「お飲み物でもいかがです?」

セシリア「ええ、いただきましょう」

鳴上「お、おい、一条、助けてくれ…」

一条「なんだ、だらしないぞ?」 クスッ

鳴上「ダンスの事は聞いてない。 このままだと誰かの足を、踏み折ってしまう…」

セシリア「! 鳴上さん!?」

鳴上「!? オルコット!?」

一条「ん? 二人は知り合いなのか?」

鳴上「あ、ああ…実は…」

528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:24:28 ID:Ub0Siy1A

----------

一条「…なるほど、IS学園でか」

一条「噂に聞いてた第二の男性IS適正者が、お前だったとはな」 クスッ

鳴上「すまん…黙っているつもりじゃなかったんだが…」

一条「いいって、いいって」 ニコ

529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:25:08 ID:Ub0Siy1A

令嬢2「あの…」

鳴上「!!」 ビクッ

令嬢2「踊っていただけますか?」 ニコ

鳴上「い、一条…!」

一条「なにしてる? レディのお誘いを断るのは、最大の非礼だぞ?」 ニコ

鳴上「」

ヨ、ヨロシク… ハイ… ~♪ ~♪ ~♪

530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:25:51 ID:Ub0Siy1A

セシリア「く…ふふふ」

一条「? なにか、可笑しいですか?」

セシリア「…すみません、鳴上さんは、学園でいつも すました表情でいて」

セシリア「あんなに狼狽した顔は、初めて見たので…つい」

一条「ああ…わかります、それ」

ハハハ…

531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:26:44 ID:Ub0Siy1A

一条「…ところで、ぶしつけな質問なのですが」

一条「誰かと、お付き合いしておられますか?」

セシリア「…ええ」

一条「ふふ、やはり」

セシリア「どうしてお分かりに?」

一条「雰囲気で…かな?」

セシリア「あら…。 ではなぜ、ダンスに?」

一条「それは…あなたと踊ってみたかったから…では いけませんか?」

セシリア「できれば、お聞きしたいですわ」

一条「そうですか…」

532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:27:37 ID:Ub0Siy1A

-同・ラウンジ付近-

一条「飾り気なく言うのならば…、度胸試し、です」

セシリア「度胸試し?」

一条「ええ」

一条「実は…この前、お見合いをさせられましてね」

一条「もちろん相手の方に非は無いのですが…」

一条「家柄の都合だけで、妻を決めてしまうのが納得いかなくて」

一条「そこで…こうやって自分と家族の得心のいく相手を 探しているんです」

セシリア「…………」

533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:28:20 ID:Ub0Siy1A

一条「もちろん、わがままかもしれません」

一条「でも…あなたを見て、こういう世界にも 想う人と付き合える人がいる」

一条「俺にも…もしかしたら、できるかもしれない」

一条「そんな気持ちを あなたに少し、ぶつけてみました」 クス

セシリア「…………」

セシリア「一条さん…」

一条「はい?」

セシリア「それは…つまらないですね」

一条「つまらない?」

534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:29:07 ID:Ub0Siy1A

セシリア「あなたの気持ちは、分からなくは無いですが…」

セシリア「少なくとも わたくしは、周りの目を気にして相手を選んでおりません」

セシリア「このお方だから…この人だから、わたくしは想いを告げたのです」

セシリア「たとえ実らなくとも、後悔したく無い…」

一条「…………」

セシリア「ふふ…もちろん成就したから、言える事なのかもしれませんが」

一条「………いえ、そんな事はありません」 クスッ…

535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:30:07 ID:Ub0Siy1A

一条「ありがとう、とても参考になりました」

一条「やはり…あなたは美しい」 ニコ

セシリア「どういたしまして」 ニコ

一条「では、私はこれで…」

一夏「おーい、セシリ…」

ドン…

一条「…っと、失礼」

一夏「あっ…す、すみません」

一条「では…」

一夏「………ふー…」

536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:30:41 ID:Ub0Siy1A

セシリア「あら、一夏さん」

一夏「こんな所にいたのか…探したぞ」

セシリア「ふふ…ちょっと、仮面の紳士とお話をしておりました」

一夏「仮面?」

セシリア「ええ…。 自分を覆い隠して、自分を偽っている方でした…」

一夏「………?」

セシリア「少しだけ、本音をさらしてくれましたけどね」 クスッ

一夏(…よく分からないな)

537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:32:21 ID:Ub0Siy1A

-同・パーティー会場前のベンチ-

一条「鳴上」

鳴上「一条…」

一条「そろそろ帰るか?」

鳴上「ああ、ぜひ、そうしたい」

一条「そっか、うんじゃ、帰るか!」 ニッ

鳴上「………?」

鳴上「一条、なにかいい事でもあったか?」

538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:33:10 ID:Ub0Siy1A

一条「おう! すっげぇ美人に盛大に振られた!」 ハハッ!

鳴上「……? いい事、なのか?」

一条「ああ…、俺は まだまだだって事が、よく分かったからな」

一条「さ、帰りにラーメンでも食おうぜ!」

鳴上「…乗った」 クスッ

539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:33:56 ID:Ub0Siy1A

-同・ラウンジ付近-

一夏「ふう…、オレンジジュースが美味い」

一夏「それにしても疲れた~…」

セシリア「一夏さん、今日は、お付き合いさせてすみません」

一夏「いや、楽しかったぜ? 俺もこういう経験は、なかなか出来ないしな」 ニコ

一夏「それにしても…ダンスは教えてもらってて助かった」

一夏「誰だか知らないが、女の子の足、踏みまくっている奴がいてさ…」

一夏「しょっちゅう『痛い!』とか、『キャア!』とか、聞こえてくるんだ」

セシリア「まあ…」 クスッ

セシリア「きっと…悪いお友達に誘われて来たのでしょう」 ニコ

一夏「…………?」

540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:35:01 ID:Ub0Siy1A

一夏「…さて、セシリア」

セシリア「はい」

一夏「俺と…踊ってくれるかな?」

セシリア「ふふ。 ええ、いいですわよ?」

セシリア「大好きな、一夏さん」 ニコ

おしまい

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