2: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 21:52:42.42 ID:7m6V19GV0
CGプロ――
加蓮「みくの様子がおかしい?」
李衣菜「そう! 絶対おかしいよ!」
李衣菜「レッスンや収録に参加できる日はまちまちだし、遊びに誘ってもいつも断るし!」
奈緒「それくらいなら、よくある話だろ」
凛「本当は嫌われてるんじゃないの?」
李衣菜「そんなことないってば!」
李衣菜「一緒にお風呂に入るときは背中を流し合うくらいには仲良しだよ!」
加蓮「おっ」
奈緒「キマシタワー」
凛「kwsk」
李衣菜「ひえー! TP名物誘導尋問だー!」ウワーン
3: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 21:53:50.42 ID:7m6V19GV0
凛「茶番は置いといて……」
凛「みくがおかしいと思う、何か決定的な理由があるんでしょ?」
李衣菜「そう! それが、かなり厄介なことになっちゃって……」
奈緒「おいおい、怖い話はやめてくれよな……」
李衣菜「みくっていつも制服で帰るでしょ?」
加蓮「うん、前川さんのことだね?」
李衣菜「いつも着てる割には妙に綺麗だなって思って、この間ブレザーを調べたんだ」
凛「名前が違ってた、とかいうオチはやめてよ?」
李衣菜「そしたらタグを見つけたんだけど――」
4: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 21:55:15.64 ID:7m6V19GV0
李衣菜「『佐藤衣装』って書いてあったんだ……」
凛「……」
奈緒「」
加蓮「……」
李衣菜「それってさ……実在しない学校の制服ってこと……だよね?」
凛「……」
奈緒「」
加蓮「……」
奈緒「な、なな、なんだってぇー!!」ガクブル
凛「!?」
加蓮「!?」
5: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 21:57:35.73 ID:7m6V19GV0
李衣菜「ね?! 絶対おかしいでしょ!?」
奈緒「つまり、みみ、みくは、この世界に存在しない、ナニモノかということにぃ……!」ガクブル
李衣菜「私は、猫又説を主張してるんだけどね?」
奈緒「よよ、よ、妖怪だとぉ……?!」ガクブル
李衣菜「そう、老いた猫が妖怪化したという、あの猫又!」
奈緒「みみ、み、みくは一体いくつなんだぁ……!?」
李衣菜「そんなのもう関係ないよ! 妖怪は不死の存在、あとは毎日墓場で運動会なんだから!」
奈緒「そ、そそ、それってまさか……ウサミン星人の上位互換……?!」ガクガクブルブル
凛「李衣菜、ちょっと待っててくれる?」ガシッ
加蓮「3人で打ち合わせするから」ガシッ
奈緒「ああぁあぁぁ……!」ズルズルガクブル
李衣菜「出たー! TP名物TP会議だー!」
6: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:06:48.38 ID:7m6V19GV0
凛「奈緒、驚きすぎ」
奈緒「だだ、だ、だって……!」ガクブル
奈緒「存在しない人間なんて、まるで幽霊じゃんか!」
奈緒「ならせめて妖怪と思ったほうが――!」
加蓮「その理論だと、私も幽霊なんだけど?」
奈緒「……」
奈緒「あっ」
凛「どう? 落ち着いた?」
奈緒「あぁ……ありがとう」
加蓮「うん、じゃあ戻ろうか」
7: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:08:01.17 ID:7m6V19GV0
凛「お待たせ」
李衣菜「あ、うん……」
奈緒「……」フゥ…
奈緒「現実を見ろ、みくはカスタムだ」キリッ
李衣菜「な、なんだってー!」
凛「ンフッw」
加蓮「ンハッw」
8: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:09:14.40 ID:7m6V19GV0
凛「キリッじゃないよww」
加蓮「一番ビビってたの、自分じゃんwww!」
凛「何でww格好つけるわけwww?」
加蓮「お前だよwww現実を見るのはwwお前だよwww」
凛「奈緒悪い子ww分かってて笑わせにくる悪い子www」
加蓮「李衣菜も気付いてよwwそいつwさっきまでプルプル震えてたやつだからwww」
奈緒「な?」キリッ
9: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:11:32.02 ID:7m6V19GV0
奈緒「それで? この話を持ちかけてきたってことは、私たちに用事があるんだろう?」キリッ
李衣菜「そう! そうなんだよ!」
李衣菜「みくのことを調べたくて、プロデューサーに相談したんだけどさ――」
P「それなら加蓮が良いな。あいつ勘が良すぎて、俺の仕事を増やすくらいだから」
李衣菜「――って言われたんだ」
奈緒「ほほぅ、なるほどね」キリッ
凛(何? Pさんを怒らせたの?)ヒソヒソ
加蓮(最近、同僚のカスタムバラしばっかりしてたから……)ヒソヒソ
凛(そりゃ怒るよ)ヒソヒソ
10: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:20:38.43 ID:hQKW+yLq0
凛(だって、カスタムの子たちって、バレるたびに報告書提出するんでしょ?)
加蓮(そうだよ。いつ、どこで、誰に、どうして、なぜ、どんな風にバレたか……全部書く必要があるから面倒なんだよね……)
凛(そして、その報告を受けるたびに、プロデュースを全て再検討し直す作業がPに発生する……と)
加蓮(ここしばらくの間に、5人もバラしちゃったからなぁ……)
凛(昨日見たけど、P泣いてたよ?)
加蓮(それで今、面倒くさい問題を、私が抱えるはめに……)
凛(自業自得かな)
11: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:22:49.29 ID:hQKW+yLq0
凛(というか、Pも相当キてるよね)
凛(後でみくのバレ報告が来るって、気付いてないみたいだし……)
加蓮(でも、私はPさんの信頼を受けて頼まれたわけだから、期待には応えないと)キリッ
凛(ダメだこの子wwまた報告書を提出させるつもりだwww)
加蓮(みくの名前でね!)
凛(www……ふぅw)
凛(分かったよ、私も手伝うから)
加蓮(それじゃ、今回はTPwith李衣菜で!)
凛(はいはい)
12: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:23:51.71 ID:hQKW+yLq0
加蓮「まぁまぁ2人とも、ここで喋ってても埒が明かないよ」
凛「まずは全員でみくを尾行しようか」
李衣菜「尾行か……私、初めてなんだよなぁ」
奈緒「たびたびあってたまるか!」
凛「今日のみくのスケジュールは?」
李衣菜「この時間なら、もうすぐレッスンが終わる頃だね。それで、しばらく休みだったはず」
加蓮「つまり……みくが家に帰る日!」
奈緒「拠点に上がり込んで、洗いざらい吐いてもらうか!」
凛「毛玉を……ね」キリッ
奈緒「ってそれじゃ本物の猫じゃん!!」
4人「「HAHAHAHA」」
13: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:25:05.93 ID:hQKW+yLq0
夕方――
みく「お先に失礼するにゃー♪」
ちひろ「お疲れ様です~」
凛「目標、事務所を出たよ」
奈緒「このあとの行動は分かるか?」
李衣菜「うん、まずは電車に乗るよ」
加蓮「それじゃ、距離を一定に保ちながら尾行を開始します」
14: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:26:01.85 ID:hQKW+yLq0
電車内――
みく「……」ドクショ
奈緒「みくが真面目に読書してる……」
李衣菜「アイドルの姿ばかり見てるから、なんか新鮮だよね」
加蓮「この電車って……」
凛「うん、海に向かってるね」
15: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:27:24.59 ID:hQKW+yLq0
某駅前――
みく「……」トコトコ
奈緒「目の前が港だな」
李衣菜「うわ!? 何あの船!! でっか!!」
凛「やっぱり、学園艦……!」
加蓮「しかも、あれは……!」
奈緒「おい! あの学園艦……聖グロリアーナのだぞ?!」
李衣菜「せい……あんな……何て?」
奈緒「聖グロリアーナ女学院!! その学園艦!!」
奈緒「『タイが曲がってらしてよ?』とかいう空気全開の、由緒正しいお嬢様学校だよ!!」
李衣菜「えー! そりゃロックだなぁ!」
加蓮「うん、まぁUKロックかもね」
李衣菜「ゆ、ゆー……何て?」
加蓮「あっ(察し)」
加蓮「なんでもないよ(慈愛の目)」
16: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:29:38.77 ID:hQKW+yLq0
某公衆トイレ前――
みく「……」キョロキョロ
みく「……」キョロキョロ
奈緒「公衆トイレの前で、挙動不審だな」
李衣菜「あっ、小走りで入ってった」
加蓮「それじゃ、私が様子を見に行くね?」スタスタ
凛「気を付けてね」ノ
奈緒「何に気を付けるんだよ」ノ
凛「レバーを押すときに力を入れすぎて、指を骨折しないように、とか……」
奈緒「指弱っ」
17: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:32:10.35 ID:hQKW+yLq0
2分後――
みほ「お待たせしました」
奈緒「相変わらず早いなー、それも西住流?」
みほ「うん、お母さん直伝の」
奈緒「家元wwオリジナルwww」
みほ「うちのお母さんって若々しいですよね? あれ、西住流化粧術なんです」
奈緒「家元www何してるんだよww」
李衣菜「えっ誰この人?!」
凛「加蓮だよ」
みほ「李衣菜さん、はじめまして。北条加蓮としてお世話になってます、西住みほです」ペコリ
李衣菜「えぇえぇぇ!? 加蓮ってカスタムだったのぉ!?」
みほ「このことは内緒でお願いします」
李衣菜「が……頑張る!」
凛「また報告書書くはめになるよ?」
みほ「大丈夫! 私、書くの早くなったから」ニコリ
凛「慣れちゃダメなヤツだよそれwww」
18: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:32:57.88 ID:hQKW+yLq0
奈緒「それで、中はどうだった?」
みほ「使用中が1つだけでした」
凛「その間、トイレに出入りした人はいないよ」
李衣菜「ねぇ、これってどういうこと?」
奈緒「つまり、今から出てくるのが、みくのカスタム前ってことだ」
李衣菜「あっ……そうか」
凛「さて……鬼が出るか、蛇が出るか……」
みほ「なるべく知ってる人だと良いなぁ……」
19: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:33:51.88 ID:hQKW+yLq0
ガチャンッ
ギィィィ…
奈緒「あ! もうすぐ出てくるぞ!」
凛「隠れて、隠れて!」
20: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:34:25.04 ID:hQKW+yLq0
??「……」コソコソ
李衣菜「……えっ!?」
みほ「あの人は……!」
21: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:35:04.21 ID:hQKW+yLq0
ローズヒップ「……」キョロキョロ
奈緒「聖グロリアーナ戦車道、クルセイダー小隊長のローズヒップ!!」
凛(奈緒、前より詳しくなったなぁ……)
李衣菜「えっ、うそ、あれがみくなの?!」
みほ「目標、港へ向かって歩き始めました。このまま尾行を続けます」
22: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:35:54.33 ID:hQKW+yLq0
聖グロリアーナ学園艦――
ローズヒップ「お久し振りですわー!」タタタタッ
風紀委員「ローズヒップさん、入艦ですね」カキカキ
風紀委員「あぁ、ローズヒップ様の溌剌としたお姿……何度見てもお美しいですわぁ……///」
23: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:36:57.20 ID:hQKW+yLq0
李衣菜「……今時、あんな言葉遣いの人っていたんだね」
凛「そっちが気になったんだ」
奈緒「早く着けようぜ?」
凛「無茶言わないの。学園艦は学校だよ?」
凛「そんな突然訪れて『はいどうぞ』って通してもらえるわけないじゃない」
奈緒「あ……そっか」
李衣菜「えぇ~。それじゃ、今日はもう終わり?」
みほ「……あ、待ってください!」
24: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:37:45.27 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「あら、ローズヒップ。お帰りなさい」
ローズヒップ「ダージリン様! また会えてわたくし嬉しいですのー!」
ダージリン「フフ……そうね、少し久しぶりね」
ダージリン「いらっしゃい、今日はお菓子がたくさんあるから、貴女にも手伝ってもらいたいの」
ローズヒップ「わたくしがダージリン様たちとティータイムですか!? 身に余る幸栄ですわー!」
李衣菜「う、うそだ……みくが、みくが綺麗な女性に尻尾降ってる……!」ワナワナ
奈緒「ブンブンふってるのが目に見えるな」
凛「完全に犬じゃんww猫キャラwwなのにwww」
みほ「それでは皆さん、私のあとについてきてください!」
25: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:39:18.73 ID:hQKW+yLq0
風紀委員「そろそろ出港時間ですわ」
風紀委員「また陸とさよならですのね……」
風紀委員「別に揺れないんだから良いじゃん」
風紀委員「ちょっと、言葉遣いが乱れてましてよ?」
風紀委員「実際に酔った方っていらっしゃるのかしら?」
風紀委員「ローズヒップ様は以前『入学初日だけ酔った』と仰っていましたわ!」
風紀委員「学園艦で酔うなんて、都市伝説だとばかり思っていましたの」
風紀委員「世の中、まだまだ分からないことがたくさんありますのね」
風紀委員「まあ私たちは、一般常識が一番危ういですけれど」
風紀委員ズ「「OHOHOHO」」
みほ「あの! すみません!」
風紀委員「……ん?」
26: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:40:09.71 ID:hQKW+yLq0
みほ「私、大洗女子学園の!! 西住みほです!!」
みほ「ダージリンさんに至急用がありまして!! 直接伺いに来ました!!」
風紀委員「おぉー! あの西住みほだぁ!」
風紀委員「こら! 言葉遣いがなっていませんわよ!」
風紀委員「申し訳ありませんが、手続きが無い方を通すわけには――」
ダージリン「……今、みほさんの名前が聞こえた気がしたんだけど……」スタスタ
みほ「あ! ダージリンさん!」
ダージリン「……あら! みほさんじゃないの、どうしてここに?」
みほ「実はダージリンさんに大事な用があるんです」
27: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:41:12.55 ID:hQKW+yLq0
奈緒「だけどここの人たちが、入れてくれないんだよ」
ダージリン「……後ろの方たちは?」
みほ「こちらは、手前から神谷奈緒さん、渋谷凛さん、多田李衣菜さんといいます」
みほ「皆、私の大切な仲間です」
風紀委員「えっ?! しぶりん来てるの!? どこどこどこ!?」
風紀委員「こら! 奈緒様を無視するなんて、いい度胸ですわね!?」
風紀委員「だりーなをスルーする者は地獄の業火に焼かれるであろう」
風紀委員「言葉遣い!」
ダージリン「皆さん、とても有名な方たちなのね」
みほ「あはは……」
28: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:42:02.33 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「分かりました、話は部屋で聞きましょう」
ダージリン「この方たちを通してあげてちょうだい」
風紀委員「あの……もうすぐ出港なんですけど……」
ダージリン「この方たちは、それを覚悟でここへやって来ているわ」
ダージリン「大事なお客様を迎えるよう、各所連絡お願いね?」
風紀委員「はっ! 了解しました!」ビシッ
風紀委員「お客様ですわ! しっかりもてなすのですよ!」
聖グロリアーナ「「承りましたわ!!!!」」
ダージリン「それでは、私に着いてきてください」スタスタ
みほ「ありがとうございます!」トコトコ
李衣菜「どうしよう、この空気に慣れる気がしない……」トコトコ
凛「大丈夫、諦めるっていう最後の慣れがあるから」スタスタ
奈緒「すげぇ! あたし、聖グロの学園艦にいる!!」ワクワク
29: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:43:16.01 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「それにしても、美しいお友達ですわね?」
みほ「実は(自分を含めて)全員アイドルなんです」
ダージリン「あらっそうなの?」
ダージリン「ゴメンなさいね、私、そういうのに疎くて……」
李衣菜「あっ気にしなくて良いんで!」
奈緒「これくらい、いつものことだしな」
凛「すみません……初対面なのに、馴れ馴れしくて……」
ダージリン「構いませんわ。うちはいつもこの調子ですから、むしろ新鮮ですの」
みほ「みんな、ダージリンさんに失礼だよ?」
李衣菜「あはは、ゴメンなさい」タハハ
30: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:44:31.98 ID:hQKW+yLq0
李衣菜「ダージリン?さんって、スゴい人なの?」
ダージリン「あら、どうしてそう思ったかしら?」
李衣菜「だって、さっきまで堅物だった子たちが、ダージリンさんが来た途端に言いなりになったから……」
奈緒「李衣菜は、戦車道は知ってる?」
李衣菜「え? いやぁ、全然……」
奈緒「ここ聖グロリアーナは、その戦車道の全国レベルの強豪校なんだよ」
李衣菜「へぇー! スゴい!」
奈緒「そしてこの方こそ、その戦車道の隊長をつとめるダージリン、その人だ!」
李衣菜「それってさ、甲子園強豪校のキャプテンみたいな感じ?!」
奈緒「おっ、よく知ってるなぁ、甲子園のことなんて!」
李衣菜「ソファで酔いつぶれてたやきうのお姉ちゃんに教わったんだー」
奈緒「サンキューユッキ」
31: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:48:11.31 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「確かに、その認識で正しいですわ」
李衣菜「そんなにスゴい人だったなんて……」ホエー
ダージリン「でも、その理論で言えば、みほさんの方がもっと『スゴい人』ね」
みほ「そんな、私なんて……」アワアワ
ダージリン「謙遜しなくても結構よ?」
ダージリン「なんてったって、素人同然の弱小校を半年で優勝に導いた隊長なんですもの」
李衣菜「えぇえぇぇ?! 半年で全国優勝?! スゴすぎる!!」
32: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:50:15.11 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「私たち戦車道の間では有名人ですわ」
ダージリン「『素人ばかりを取り揃え、六月半で最後までイカせた姫』として……ね?」
みほ「ブフッwww」
奈緒「ちょww突然の下ネタwww」
李衣菜「お嬢様学校で下ネタとか、ロックすぎる!」ワクワク
みほ「も、もう! ダージリンさんってば///」
ダージリン「フフ……冗談ですわ♪」
ダージリン「今のは友人(ケイ)の受け売りよ」
凛(この人……クールの皮を被ったキュートだ……!)
凛(そう、まるで李衣菜や奈緒のような……!)ゴクリ
33: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:51:32.12 ID:hQKW+yLq0
紅茶の園――
ダージリン「お待たせ」ガチャリ
オレンジペコ「遅かったですね、ダージリン様?」
ダージリン「実は人と会っていたの……あら」
ダージリン「来てくれたのね、ローズヒップ?」
ローズヒップ「はい! ダージリン様との約束なら、絶対に守ってみせますわー!」
ダージリン「それなら、ちょうど良かったわね」
34: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:52:19.19 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「実は今、みほさんとそのお友達が来ているの」
ダージリン「是非お茶会に参加してもらおうと思ったのだけれど……良いかしら?」
オレンジペコ「みほさんなら歓迎します」
アッサム「ということは、あんこうの人たちかしら?」
ダージリン「いえ、今日は違うお友達なの」
アッサム「あら……珍しいこともあるのね」
ローズヒップ「わたくしは誰でもウェルカムですの!」
ダージリン「フフ……ローズヒップは、一番驚くと思うわ」
ローズヒップ「へ?」
ダージリン「では、どうぞ」
みほ「お久し振りですー」ヒョコッ
35: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:53:30.18 ID:hQKW+yLq0
凛「お邪魔します」ゾロゾロ
李衣菜「失礼しまーす!」ゾロゾロ
奈緒「うおぉ! ここがあの、聖グロ生でも簡単に入れないと噂の『紅茶の園』かー!」ゾロゾロ
ローズヒップ「」
みほ「ちょwwフフッwww」
凛「完全にww静止したwww」
36: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 22:58:58.87 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「こちらはみほさんのお友達の渋谷凛さん、神谷奈緒さん、多田李衣菜さんよ」
ダージリン「みんなアイドルなんですって」
オレンジペコ「わぁ……私、アイドルの人なんて初めて見ます!」
アッサム「道理で、美人ばかり揃ってると思いましたわ」
ダージリン「ゴメンなさい、私たちはあまりテレビとか見ないものだから……」
ダージリン「この場に、皆さんを知っている方がいませんの……」
凛「あ、そうなんですか?」
みほ「十時愛梨さんとか、ご存知ありませんか? CGプロ所属のシンデレラガールなんですけど……」
アッサム「ゴメンなさい」ペコリ
奈緒「いやぁwww良いですよww」
李衣菜「そっかぁwww知ってる人いないのかぁwww」
ローズヒップ「」
みほ「www」
凛「www」
37: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:00:11.37 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「ローズヒップも、確か詳しくないと言っていたわよね?」
ローズヒップ「」
ローズヒップ「……はぃ……」ボソッ
みほ「www」
凛「www」ダンダン
奈緒「ナハハwww」
李衣菜「ファーwww」
オレンジペコ(これは……)
アッサム(まさか……)
38: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:01:50.17 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「皆さん一般家庭出身だと仰っていたので、ローズヒップなら一番話が合うと思いますわ」
李衣菜「それじゃ私、ローズヒップさんの隣ー!」ズイッ
凛「なら私は、反対側の隣が良いな」ズイッ
ローズヒップ「」
※図解
李ロ凛
テーブル
オレンジペコ「ローズヒップ様w大人気ですねw」←察した
アッサム「まさに両手に花ですわw」←察した
40: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:16:54.23 ID:hQKW+yLq0
李衣菜「私、ローズヒップさんに聞きたいことが、たくさんあるんですよぉ」ニヤニヤ
凛「奇遇だね、実は私もあるんだ」
ローズヒップ「……あっはいなんでしょ……」
みほ「www」フルフル
李衣菜「好きな動物は猫ですかww?」
凛「ねぇwww嫌いな食べ物は魚かなww?」
李衣菜「好きな食べ物はwハンバーグwwですかww?」
凛「好きな言葉はw猫語だったりしてwww」
ローズヒップ「しししし知りませんわそんなことととと」ガクブルビチャビチャ
ダージリン「紅茶、こぼれてるわよ?」フフフ
41: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:17:37.25 ID:hQKW+yLq0
李衣菜「あっそうだ、それならこれを観てくれますか?」つDVD
ダージリン「これは……?」
李衣菜「私の所属してるユニット『*』のライブ映像です!」
ローズヒップ「?!?!?!?!」ブーッ
ダージリン「あら、早速観ましょうか」
アッサム「では、私のノートPCを使いましょう」ガチャガチャ
オレンジペコ「流石、手際が良いですね」
アッサム「これからの時代には、こうした技術も必要ですのよ?」サイセイスタート
42: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:18:24.57 ID:hQKW+yLq0
みくりーな『~♪』
オレンジペコ「うわぁ……! 李衣菜さん、可愛いですね!」
李衣菜「私としては『ロックだね』って言われたいんだけどなぁ……」
ダージリン「あら(突然)」
ダージリン「お隣の可愛い子は誰かしら(棒)」
李衣菜「その子は私のパートナーの、前川みくです(棒)」
李衣菜「ご覧の通り、猫を全面に出した、いわゆる猫キャラなんですよ(棒)」
凛「みくは可愛いよね(棒)」
奈緒「あぁ、可愛いよな(棒)」
ローズヒップ「」
43: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:19:13.43 ID:hQKW+yLq0
アッサム「……あら?」
李衣菜『みくだって、しおらしさとは無縁じゃん!』
みく『それ、李衣菜チャンに言われたく無いにゃ!』
オレンジペコ「ケンカしてますけど?」
凛「ケンカするほど仲が良いってやつだよ(棒)」
李衣菜『それじゃ、実際にやって見せてよ!』
みく『やってやんよ!』
李衣菜『それじゃーねぇ……お嬢様言葉! ハイ!』
みく『え゛? えっと……』
44: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:20:27.13 ID:hQKW+yLq0
みく『リミッター外しちゃいますのよ!』
李衣菜『どんな状況なのさ!?』
観客『『ワハハハハ……!!』』
ローズヒップ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」
凛「www」ドッ
45: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:21:19.55 ID:hQKW+yLq0
しばらくして――
みほ「出てきてください、ローズミックさん」
ローズヒップ「これ以上いぢめないで欲しいんですけど」ズーン…
李衣菜「すっかりテーブルの下に潜り込んじゃった……」
奈緒「完全に乃々じゃねーかコレ」
凛「このままじゃ埒があかないね」
オレンジペコ「どうしましょうか?」
アッサム「う~ん……こういう状況のデータは持っていないわ……」
ダージリン「……私に任せてちょうだい」
46: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:22:11.75 ID:hQKW+yLq0
ダージリン「ローズヒップ、立ち上がりなさい」
ローズヒップ「え、でも……」
ダージリン「あなたの長所は、どんな困難にも全力でぶつかることのできるところよ?」
ダージリン「私の知るローズヒップは、こんなことで挫けるような子じゃないわ」
ダージリン「私の中のローズヒップのイメージ……守ってくれるかしら?」
ローズヒップ「ダージリン様……」
ローズヒップ「了解ですわー……」ゴソゴソ
奈緒「勢いが死んでるww」
みほ「でも、ローズミックさんが出てきてくれました」
凛「それ、連呼しないでww鬼畜めwww」ダンダン
49: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:38:22.48 ID:hQKW+yLq0
みほ「かくかくしかじか」
ローズヒップ「くるせいだーず」
みほ「つまりローズミックさんは昔から、セルプロでアイドル活動をしていたんですね?」
ローズヒップ「はい……うちは大家族だから、家計の足しにしたいと思って……」
50: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:42:00.30 ID:hQKW+yLq0
CGプロ用語――セルプロ
セルフプロデュースの略称
事務所に所属せず、自分で自分をプロデュースするアイドルを意味する
やりたい放題出来るのが特徴だが、文字通り全てを自分でこなす必要があるため、新規参入しやすい反面、継続するにはある種の才能が必要である
51: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:43:10.64 ID:hQKW+yLq0
奈緒「それで好きな猫をモチーフに、猫アイドルになったのは分かるけど……」
李衣菜「別にウィッグまでかぶる必要無かったんじゃないの?」
オレンジペコ「その赤髪、綺麗ですよ?」
ローズヒップ「えっと、これはその……」
ローズヒップ「棒読みでお嬢様な高校生スクールアイドルと、キャラデザがかぶってると抗議されるのを避けるためでして……」
凛「まきちゃんはそんなこと言わない」
奈緒「まきちゃん」
52: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:44:14.24 ID:hQKW+yLq0
凛「それにしても、立派な赤髪だね」
奈緒「日本人でここまで立派な赤髪の地毛って、珍しすぎるよな」
ローズヒップ「あ、これは母の遺伝ですの」
奈緒「えっ」
ローズヒップ「わたくし、赤髪の綺麗なイギリス人の母と日本人の父のハーフなのですわ」
みほ「えぇ?! ローズミックさんってハーフだったんですか!?」
ダージリン(日本人)「それは、初耳だわ」
アッサム(日本人)「私も知りませんでした」
オレンジペコ(日本人)「どうりで端整な顔立ちをしていると思いました」
李衣菜「なんか今、失礼なテロップが流れた気がする……」
53: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:45:35.78 ID:hQKW+yLq0
みほ「でも、よく聖グロリアーナに入学できましたね?」
凛「ここって偏差値高いことで有名だよ?」
奈緒「しかも学費が高そうだ」
アッサム「その心配は無用ですわ」
アッサム「ローズヒップは成績優秀者として、奨学金が出ていますの」
TP「「えええぇぇ?!」」
李衣菜「えっ?! みくって、そんなに賢いの!?」
アッサム「正直な話、学業には自信のある私でも、歯が立ちませんわ」
李衣菜「すげー! みくすげー!」
凛「えっ、それじゃ、入学式に壇上に上がったの?」
アッサム「上がりましたよ」
ダージリン「上がっていたわ」
オレンジペコ「写真でなら、見たことがあります」
みほ「えぇ~……イメージが……」
ローズヒップ「私はなんにでも一生懸命なだけですのよー!」プンプン
54: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:46:41.06 ID:hQKW+yLq0
ローズヒップ「まぁ……そんなわけなので……」
ローズヒップ「学園艦ではローズヒップとして、事務所では前川みくとして、公共の場では前川さんとして、家では大阪丸出しの大家族の末っ子として……」
ローズヒップ「時と場合によって、自分のキャラを調整しています……」
李衣菜「自分曲げすぎじゃない!?」
ローズヒップ「曲げ曲げですわ……」
凛「しかも大阪出身なんだよね?」
アッサム「あとイギリス人とのハーフも」
奈緒「キャラ濃すぎィ!」
ローズヒップ「だからキャラ作りでデチューンしていますの」
李衣菜「キャラを作ってキャラを減らすって、初めて聞いたんだけど……」
みほ「皆を騙している罪悪感とか、無いんですか?」
ローズヒップ「どれも生活に必要だったので……特には……」
奈緒「無いのかよ」
55: ◆ag9TZfREZs 2016/10/19(水) 23:59:52.73 ID:hQKW+yLq0
オレンジペコ「え?! オレンジペコ様は関西人なんですか?!」
ローズヒップ「いやそれはちゃうねんて今はほんまごっつ標準語いけるし」
オレンジペコ「すごく大阪ですね!?」
アッサム「……先日『ダージリン様の机の上はなおしておきましたわ!』などと意☆味☆不☆明のことを言っていたのは……もしかして方言……?!」
ローズヒップ「いやいや、なおすは普通に標準語やんか」
アッサム「違います!」
※なおす……関西では『片付ける』を意味します
56: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:01:08.90 ID:aBoOYQhC0
李衣菜「家では関西弁なんだ……」
凛「今までよく隠せたね」
ローズヒップ「めっさ頑張りましてよ?」
奈緒「出てる出てる」
みほ「方言については、私も思い当たるところがあります」
みほ「基本的に、周りが標準語だと、特に訛らないんですよ」
凛「そうなんだ」
みほ「ローズミックさんは、家に同郷の親族がたくさんいるから、家だけ方言になるんだと思います」
ローズヒップ「そう! その通りですの!」
みほ「ですよね!」キャッキャッ
李衣菜「地方出身あるあるなのかな?」
奈緒「多分な」
57: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:02:05.28 ID:aBoOYQhC0
みほ「私も実家に帰った時は、熊本弁全開ですから」
凛「あ、そっか。熊本出身なんだっけ?」
ダージリン「熊本弁のみほさん……是非聞きたいわ」
オレンジペコ「あっ私も」
みほ「では、今だけ……」コホン
みほ「闇に飲まれよ、聖なる英姫、橙の従者、黄金の知将、公爵の薔薇騎士よ!(お疲れ様です、ダージリンさん、オレンジペコさん、アッサムさん、ローズミックさん!)」
3人「「!?!?!?!?」」
58: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:02:56.24 ID:aBoOYQhC0
みほ「来る鉄の聖戦、我が軍勢も力を手に入れ、聖騎士団を打ち砕いて見せよう!(次の大会では、大洗もたくさん練習してくるので、負けませんよ!)」
李衣菜「おー!」パチパチ
奈緒「立派な熊本弁だなー!」パチパチ
ローズヒップ「何を仰ってるかさっぱり分かりませんのー!」パチパチ
凛「今度蘭子を連れて実家に行って良い?」パチパチ
みほ「剛の流派の顕現とその体現者の赦しがあらば(うん、お母さんとお姉ちゃんが良いって言ったら)」
アッサム(えっ驚いてるの私たちだけ!?)
オレンジペコ(ローズヒップ様も普通に受け止めています……!)
ダージリン(生熊本弁……初めて聞いたわ)ウキウキ
60: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:04:05.70 ID:aBoOYQhC0
凛「せっかくだから、みくの姿になってよ」
ローズヒップ「え゛っ」
ダージリン「あら、それは素敵ね」
オレンジペコ「アイドルのローズヒップ様のお姿、是非見たいです」
アッサム「えぇ、とても興味深いわ」
みく「でも……」
奈緒「だからってそのままだと、加蓮がいじり続けるぞ?」
みほ「お願いしますローズミックさん!」
ローズヒップ「さっきからうぜぇですの!」
アッサム「ローズヒップ」
ローズヒップ「あ、はい……先程から雑念を催しすぎですの」
李衣菜「それ正しいの?」
61: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:09:41.74 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「ローズヒップ、是非あなたのアイドルの姿が見たいわ」
ローズヒップ「でも、その……服を脱ぐ必要が、ありまして……」
ローズヒップ「この神聖な紅茶の園で、そんな破廉恥なことは――!」
ダージリン「今だけ認めます!」
オレンジペコ「異議ありません!」
アッサム「D・V・D! D・V・D!」
奈緒「それ、外では絶対に言っちゃダメだから!」
ダージリン「ローズヒップ、お願い?」
ローズヒップ「うぅぅ……ダージリン様が仰るなら……」
みほ「報告書のことは私が詳しいので安心してください、ローズミックさん!」
ローズヒップ「分かりました! 分かりましたからいい加減、そのローズミックさんはやめてくれですわー!」
62: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:11:28.27 ID:aBoOYQhC0
ローズヒップ「……とはいっても、実際にはあまりすることはありませんの」ガサゴソ
ローズヒップ「……お言葉に甘えて、服を脱がせていただきますわ」プチプチ
ローズヒップ「とにもかくにも、この貧胸(バストダウン)ブラを脱ぎまして……」ボロンッ
アッサム(でかっ!!)
オレンジペコ(綺麗……///)
ダージリン(ぐぬぬ)
李衣菜「そのわがままボディ、ずっと隠してるの?」
ローズヒップ?「もう、おっぱいパンっパンですわ!」
奈緒「ハーフなら、妙にスタイルが良いのも頷けるわー」
ローズヒップ?「今日はお気に入りの猫チャンブラをつけて……」ヨイショヨイショ
凛「そのサイズで、よくそんな可愛いの見つけたね?」
ローズヒップ?「実はコレ、前のライブの衣装をもらいましたの」
凛「あっその手があったか……!」
63: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:12:43.75 ID:aBoOYQhC0
ローズヒップ?「猫チャンしっぽは……今日はスカートにつけますわ」カチャッ
ローズヒップ?「あとはみくウィッグをつけて……」パチッパチッ
ローズヒップ?「11ヶ所とめて……」パチッパチッ
奈緒「多いwww」
李衣菜「アイドルへの気合いがスゴい伝わってくる……」
李衣菜「あれ!? それじゃ、今まで一緒にお風呂に入ったときも……?!」
ローズヒップ?「『今日は髪洗わない日だから』って、いつもタオル頭に巻いてたでしょ?」パチッパチッ
李衣菜「……確かに!」
64: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:13:38.98 ID:aBoOYQhC0
ローズヒップ?「あとは、モードをアイドルに変更すれば……」ティンッ
??「完成!」
みく「猫アイドル・前川みくの誕生にゃ!」ニャニャーン
65: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:15:35.99 ID:aBoOYQhC0
アッサム「ローズ……ヒップ……?!(混乱)」
オレンジペコ「わぁ……可愛いですよ、ローズヒップ様!」
みく「のんのん! 今の私は前川みくにゃ! お分かりかにゃ、オレンジペコチャン?」ニャーン
オレンジペコ「あ、はい……///」ドキッ
ダージリン「フフフ……オレンジペコったら」クスクス
オレンジペコ「あぅぅ……///」
凛「それじゃみくは、高2だったんだね」
※遅ればせながら、本SSはローズヒップ高校2年生説を採用していますの
みく「中1でアイドルを始めたんだけど、小学生って言った方がウケが良いって聞いたから……」
奈緒「理由が俗い」
66: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:16:20.29 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「人は必ず、誰にも知られていない秘密を抱えているの」
ダージリン「でも、時にはそれが驚異となって、私たちに襲いかかることがあるわ」
ダージリン「大洗との親善試合で、一瞬にして4台も仲間を失った時のように……」
みほ「ダージリンさん……」
ダージリン「それを受け入れて、どれだけ私たちの戦車道を貫き通せるか――これはあなたの宿題よ、オレンジペコ」
オレンジペコ「分かりました」
オレンジペコ「必ず答えを見つけ、証明して見せます」
奈緒「なんか、すごく良い現場に立ち会ったみたいだな」
凛「部活って良いなぁ……」
みく「聖グロリアーナの戦車道は選択授業にゃ」
67: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:17:00.83 ID:aBoOYQhC0
みく「あの……みくは正体を隠してアイドルをしてるから……」
みく「本当は、こうして正体をバラすのは、すっっっごい問題行為なの……」
みく「だからお願いします……この事は、ここだけの秘密に……!」ドゲザァ
ダージリン「……」
ダージリン「あら、ローズヒップが見当たりませんわね?」
アッサム「変装でもしているのでは?」
ダージリン「それはないでしょう。ねぇ?」
アッサム「そうですわね」
オレンジペコ「はい、仰る通りです」
みく「……ダージリンチャン、ありがとにゃあ!」ギュウゥゥ!!
ダージリン「あらあら、甘えん坊な子猫ちゃんだこと」ナデナデ
奈緒(……これが聖グロの外交力……!)ゴクリ
68: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:17:52.79 ID:aBoOYQhC0
凛「私も、あんな風に頼れる先輩が欲しいな……」
みほ「卯月さんがいるじゃないですか」
凛「卯月は違うかな」
奈緒「即答」
李衣菜「バッサリ」
凛「それだったら、加蓮や奈緒の方が、頼れる先輩って感じかな?」
みほ「あ、はい///」
奈緒「急にデレるなよ///」
李衣菜「……」ニヤニヤ
69: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:19:30.15 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「ローズヒップがいないなら、仕方ないわね」
ダージリン「みくさん、ご一緒にお茶は如何かしら?」
みく「みく、イギリスのティータイムなんて初めてにゃ……」
ダージリン「私たちが教えますから、気楽にどうぞ」
みく「それじゃ、お呼ばれしまーす♪」
奈緒(そこまでなりきるのか……流石はトップアイドル)
アッサム「ここまで出来るのに、私の時はどうして1年半もかかったのかしら……」アタマカカエ
みく「いやぁ……さすがに淑女弁は難しくって……」
アッサム「ちょ゛?!」
ダージリン「フフ……淑女弁……フフフ……」テカクシー
オレンジペコ「言い得て妙です」
みほ(ダージリンさん、肩震えてますよ!)
70: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:20:21.94 ID:aBoOYQhC0
しばらくして――
奈緒「いやぁ~……もうお腹いっぱいだぁ~……」
李衣菜「こんなに本格的なティータイム、生まれて初めて!」
凛(……桃華も将来、ここに通うのかな?)
オレンジペコ「楽しんでいただけたようですね」
みほ「はい。ありがとうございました」
みく「楽しかったにゃ!」
ダージリン「フフ……」
71: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:20:55.23 ID:aBoOYQhC0
アッサム「……ところで、皆さんはこれから、どうなさるつもりですか?」
李衣菜「え?」
アッサム「いえ、もう学園艦は出港していますし……」
凛「え」
奈緒「あ」
李衣菜「ウソ!?」
アッサム「……もしかして、考えていなかった……とか?」
凛「ち、違うの! そこまで考えが至らなかっただけで……!」
みく「人はそれを『考えていなかった』って言うにゃ!」
奈緒「ぐっ……正論はやめろぉ……!」
アッサム「アッサムです!」
72: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:21:30.32 ID:aBoOYQhC0
オレンジペコ「みほさんは、どうするつもりでしたか?」
みほ「うん……やろうと思えば何とでもなるから、大丈夫かなって」
オレンジペコ「なるほど」
アッサム「まぁ、そうですわね」
李衣菜「えっ? そんなものなの!?」
凛「さすが学園艦暮らしが長いだけあるね」
73: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:22:50.81 ID:aBoOYQhC0
みほ「それに、いざとなったら、飛行機を所有している学園艦に連絡して、乗せてもらうって手もあるから」
奈緒「はぁ?! 何だそれ!?」
みほ「たとえばケイさんに――あ、サンダースの戦車道の隊長さんなんだけど」
みほ「たとえば『学園艦間輸送訓練に付き合いたい』と話をつけて、『聖グロリアーナ→サンダース→東京→大洗』で空輸を行うのがスムーズかな?」
アッサム「今の学園艦の位置情報を踏まえると、それが最短経路ですわね」カタカタ
ダージリン「その時は、聖グロリアーナ名物のきゅうりを贈りましょう」
みほ「うちは干し芋のストックがありますから、それでいきます」
オレンジペコ「私、そろそろサンダース流のピザが食べたいと思っていました」ワクワク
みほ「うちはスペアリブ用のお肉が欲しいかなぁ……」
李衣菜「何この別世界の会話」
凛「さすが戦車道歴が長いだけあるね」
奈緒「というか、そんな無茶苦茶な計画を通せる力を持ってるみほがやべぇ」
74: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:24:00.74 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「皆さんは、明日以降の予定は大丈夫かしら?」
奈緒「えっと……明後日までなら」パラッ
李衣菜「こっちも大丈夫!」ピッピッ
凛「……うん、何とかなるよ」
奈緒(せめて手帳か何かを見てから言えよ……)ゴクリ
李衣菜(シンデレラガールの『何とかなる』は威圧感がすごい……)ゴクリ
ダージリン「それなら宿舎に空きがあるので、そこに泊まったらどうかしら?」
奈緒「良いんですか!?」
ダージリン「みほさんの大切なお友達ですもの、丁重におもてなししなくては……ね」
李衣菜「よ、良かった~……」ホッ
75: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:28:51.28 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「そうだ。折角ですから、私たちの練習でも見学なさる?」
奈緒「え! 良いんですか!?」
ダージリン「そうね……『来賓への催し及び聖グロリアーナの戦車道の宣伝のため』という口実でどうかしら?」
アッサム「さっそく各車長に連絡します」
ダージリン「ありがとう」
李衣菜「これって、もしかしてスゴいこと?」
奈緒「ロックなことだな」
李衣菜「マジで!? ウッヒョー!!」
奈緒「おいクールアイドル」
みほ「やみのま!」
李衣菜「やみのま!(条件反射)」
ダージリン「フフ……やみのま」
奈緒「やみのまー」
凛「やみのま」
アッサム(えっなにこれ)ヒソヒソ
オレンジペコ(何かの儀式でしょうか?)ヒソヒソ
76: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:30:19.99 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「それではアッサム、凛さんたちを宿舎へご案内してあげて」
ダージリン「みほさんは私と打ち合わせをしますので。その後で私が案内するわ」
アッサム「分かりました」
ダージリン「後は、そうね……みくさんはオレンジペコに、芸能界の話をしてもらえるかしら?」
みく「任せるにゃ!」
オレンジペコ「ありがとうございます」wktk
ダージリン「それではみほさん、こちらへ」トコトコ
みほ「はい、失礼します……」トコトコ
77: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:31:33.30 ID:aBoOYQhC0
学園艦――艦内廊下――
みほ「こんなにしていただいて、ありがとうございます」
ダージリン「構いませんわ。みほさんの新しいご友人には、私たちも興味津々ですので」
みほ「あはは……」
ダージリン「……」
みほ「あの……」
ダージリン「何?」
78: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:32:20.53 ID:aBoOYQhC0
みほ「どうして嘘ついているんですか?」
ダージリン「……」
79: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:33:07.77 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「……フフ」
ダージリン「突然何を言うかと思えば……」フフフ
ダージリン「みほさんは、いつも私たちを驚かせてくれるのね?」
みほ「はぁ……」
ダージリン「それで、私が嘘をついていると思ったのは、何故かしら?」
みほ「やみのまー!」
ダージリン「えぇ、やみのま」
みほ「……ダージリンさんがこれを知っているのは、不自然なんです」
ダージリン「……」
80: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:34:32.12 ID:aBoOYQhC0
みほ「ダージリンさんを始め、あの場にいた聖グロリアーナ生は全員『アイドルに詳しくない』と証言しました」
みほ「アイドルの中でも特に知名度の高いシンデレラガールの3代目・凛さんを見ても、初代・愛梨さんの名前を出しても、それは同じでした」
みほ「それはつまり、2代目・蘭子さんのことも知らないのが自然です」
みほ「なのにダージリンさんは、私の熊本弁に驚くことなく、むしろ楽しそうに聞き入っていました」
みほ「熊本弁は、蘭子さんの登場によって広く知れ渡った方言です。彼女なくして熊本弁は語れません」
ダージリン「……」
81: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:35:50.51 ID:aBoOYQhC0
みほ「極めつけはやみのまです」
みほ「あの時私は、文脈を無視して言いました」
みほ「普通は、あれが挨拶だなんて思いませんよ?」
ダージリン「……その前に『闇に飲まれよ』と仰っていたわ、その略だと思って――」
みほ「あの短時間で、しかも略称だと思いつく人はそういません」
ダージリン「……意味は分からなくても、挨拶だと思ったから――」
みほ「いえ、その言い分も厳しいです」
ダージリン「なぜ?」
みほ「そもそも、あれを初回で聞き取れる人って、まずいないんです」
みほ「『やみ……え、何て?』って言われるのがオチですから」
ダージリン「そう……」
ダージリン「……」
82: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:36:21.83 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「おやりになるわね?」フゥ
83: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:38:07.94 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「みほさんの言うとおりよ」
ダージリン「私は、そこまでアイドルに疎くはないし、皆さんのことも全員知っていました」
みほ「それなら、どうして……?」
ダージリン「単純に、イメージの問題ですわ」
ダージリン「歴史と伝統の聖グロリアーナ女学園の戦車道隊長・ダージリンが、アイドルのことに詳しいと知られて、プラスになるとは思えませんもの」
みほ「本当は、どのくらい詳しいんですか?」
ダージリン「一通り……かしら? 深い話題でなければ、たいていのアイドルのことは理解しているつもりよ」
ダージリン「少なくとも隊員たちの話題は、おおよそ理解しているわ」
ダージリン「ちなみに私、箱では推さない主義なので」
みほ「い、意外と詳しい……」
84: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:39:24.60 ID:aBoOYQhC0
みほ「さっき『全員知っていた』って言いましたよね?」
みほ「それってもしかして、みくさんのこともですか?」
ダージリン「……」
ダージリン「こんな言葉を知っているかしら?」
ダージリン「『深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ』」
みく「……そこでみくが、仁奈チャンを迎えに行ったにゃ!」
オレンジペコ「ニーチェですね」
みく「仁奈チャンだよ!?」
ダージリン「詮索したくなる気持ちは分かるけれど、深追いしてはいけないわ……元の自分に戻れなくなってしまうから」
みほ「は、はい……」
みほ(これってもしかして……聖グロリアーナの闇……?!)ゴクリ
85: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:40:05.17 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「……今の状況に意訳すれば……」
ダージリン「『恥ずかしいからこれ以上聞かないで』……という意味よ……///」
みほ「あっゴメンなさい///」
86: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:41:07.59 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「……」コホン
ダージリン「とはいえ、黙っていると根掘り葉掘り聞かれてしまいそうだから……」
ダージリン「私の推しメンを紹介して、この話題は終わりましょう」
みほ「分かりました」
みほ(想像以上にダージリンさんがアイドルに詳しい……)
みほ「でも、ダージリンさんのお眼鏡にかなう子って、なかなかいなさそうですよね」
ダージリン「……確かに、3人しかいないわ」
みほ「3人もいるんだ」
ダージリン「感想はご自由に」
みほ「それって、誰ですか……?」
ダージリン「……」フフ
87: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:41:58.38 ID:aBoOYQhC0
ダージリン「推しが前川みく」
ダージリン「激推しが北条加蓮」
ダージリン「神推しがオレンジペコよ」
88: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:42:38.74 ID:aBoOYQhC0
みほ「……フフ……そうですね、アイドルですね」クスクス
ダージリン「えぇ、最後だけは譲れないわ」ニコリ
みほ「それにしても……そっか、ダージリンさんにはバレてたんですね」
ダージリン「これでも、大勢の隊員を預かる隊長ですのよ?」
みほ「やっぱりダージリンさんは凄いです……!」
ダージリン「フフ……」
89: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:44:16.08 ID:aBoOYQhC0
ダージリン(言えない……)
ダージリン(本当は、公衆トイレでのやり取りを全部見てしまったから、とは言えないわ――!!)
90: ◆ag9TZfREZs 2016/10/20(木) 00:45:53.82 ID:aBoOYQhC0
同刻――
CGプロ――
P「おーい! お待たせー!」
P「あれ? どこ行ったかな?」
P「……あ、電話中か」
??「えぇー! また変なこと言って、相手困らせてるの?!」
??「今は私無理だから、そっちでなんとかできそう? ……本当? それじゃお願いね?」ピッ
P「忙しかったか?」
??「あ゛……んんっ! いえ! もう済みました!」
P「今から車回すから、玄関口で待っててくれ」
有香「押忍! 今日もお願いします!」
続く?