1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:08:23.65 ID:T13jAvva0
唯「(遅れるー!学校遅れちゃうよー!)」
唯「(憂はクラスの用事で早く登校するって言ってたっけ
いつも憂に起こしてもらってるからすっかり油断しちゃったよー!)」
タッタッタ
唯「(ここの角を曲がればあとは一直線
あ、周りに登校してる人達けっこういるじゃん
ひょっとしてそんなに焦る事なかったかも?)」チラ
唯「って、うわぁ、あぶなっ!」
ドーン!
「きゃっ!」
唯「……」
「……」
唯「いててて…あ、ご、ごめんなさい!大丈夫ですか…?!」
「ええ、私は大丈夫…あ、それよりも…」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:12:02.20 ID:T13jAvva0
バラバラ
唯「あぁー、私の教科書が無残に散らばってしまったよ!」
「ふふ、今度からは気をつけてくださいね…?」
唯「あ、そんな拾ってもらわなくても…」
「いいのよ、一人で拾うのも大変でしょう?」
唯「なんだか、すみません…私が悪いのに…」
「はい、これで全部拾えたみたいね」
唯「あ、ありがとぅ、助かったよー!」
「どういたしまして♪朝から元気ですね」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:16:01.65 ID:T13jAvva0
唯「ちょっと寝坊しちゃって焦ってたんだぁ」
「まだ時間に余裕はあるみたいだけど、ひょっとして部活の朝練とかですか?」
唯「ううん、どうやら私が時間を間違えてたみたいで…ただの勘違いだったみたい」
「ふふ、勘違いで良かったですね」
唯「本当だよぉ、あ、でも部活はやってるんだぁ」
「そうなんですか、ひょっとして音楽関係ですか?」
唯「軽い音楽と書いて軽音部だよっ!ってなんで解ったの?!」
「ギター…転んだ時も大事にしてましたから」
唯「あ、そっか、これ見れば予想できちゃうよねー」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:20:21.82 ID:T13jAvva0
「ええ、大切なギターなんですね」
唯「うん、ギー太だよ!よろしくね…あ、えーと…」
「?」
唯「名前…教えてもらってもいいかな?」
「あ、ごめんなさい、私の名前は絢辻詞といいます」
唯「私は平沢唯!よろしくね、つかさちゃん!」
絢辻「ええ、よろしくお願いします」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:24:29.59 ID:T13jAvva0
……
唯「という事が今朝あったんですよ!」
律「それはまたベタな出会い方だなー」
紬「お互い怪我がなくて良かったわね」
唯「うん、でねでね、つかさちゃんって言うんだけど、
とっても優しくてすんごく美人さんだったんだよ」
律「ほぉー」
唯「それに澪ちゃんみたいな綺麗な黒髪だったよ!」
澪「へっ?」
律「それはそれは、澪もうかうかしてられないな」
澪「どういう意味だよ律!」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:27:50.33 ID:T13jAvva0
紬「そんなに美人さんなら是非会ってみたいわね」
唯「でしょ?リボン見たら私達と同じ学年みたいだよ」
律「同じ学年か……そんな人いたか…?」
唯「いるんですよ、これが」
……
さわ子「みんなー席に着いてー」
さわ子「出席の前に…皆さんに大事なお話があります」
がやがや
さわ子「絢辻さん、入ってきて」
絢辻「はい」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:30:32.47 ID:T13jAvva0
さわ子「これから皆さんのクラスの一員となる絢辻詞さんです」
絢辻「絢辻詞といいます
早く皆さんと仲良くなってこの素敵なクラスを盛り上げていきたいと思います
どうぞよろしくお願いします」
パチパチパチ
唯「つかさちゃん!」
さわ子「?」
絢辻「え?あ、今朝の…」
さわ子「知り合いなの?あなた達」
絢辻「え、ええ…今朝平沢さんと少しお喋りを…」
唯「よろしくねー、つかさちゃん」
さわ子「なるほどね
…はーい、じゃあ出席をとりまーす」
さわ子「秋山さん」
澪「はい」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:34:24.46 ID:T13jAvva0
………
<放課後>
律「確かに美人だなー」
紬「うん、唯ちゃんの言う通りね、それにお勉強も得意みたいだし
言う事無しって感じね、あっ今日はモンブランなの」
唯「でしょー?もうね、まさか転校生で同じクラスになるなんてびっくりだよ
あ、ありがとー、ムギちゃん」
澪「早速クラスにも馴染めてるみたいだな」
唯「放課後つかさちゃんの席に人だかりができてたもんね」
律「色々聞きだされてたもんなー、みんなから質問攻めにあってたよ
あ、おいしい、このモンブラン」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:38:13.17 ID:T13jAvva0
紬「とっておきですから♪」
澪「いつもありがとな、ムギ」
唯「ありがとー、ムギちゃん」
紬「どういたしまして♪…それにしても早速クラスの人気者ね、絢辻さん」
律「確かに、これじゃあ本当に澪の立場も危ういんじゃないのかな?」チラ
澪「へっ?」
梓「お疲れ様です、先輩方」
唯「あっ、あずにゃん、今日は遅かったんだね」
梓「ええ、日直だったので」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:42:44.71 ID:T13jAvva0
紬「はい、梓ちゃんの分」
梓「あ、ムギ先輩
ありがとうございます、頂きます」
梓「…なんの話してたんですか?
澪先輩の立場が危ういって…」
唯「今日ね、転校生が私達のクラスに来たんだよ
それもすっごく可愛くて、頭も良くて」
梓「へー、そうなんですか
澪先輩と何か関係あるんですか?」
澪「朝も同じような事言ってたよな?どういう事だよ、律」
律「いや、ほら、絢辻さんって澪となんとなく似てるだろ?」
唯「えー、そうかなぁ?」
紬「…言われてみれば…そうかも」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:46:41.47 ID:T13jAvva0
律「だからさ、澪もうかうかしてたら絢辻さんに人気取られちゃうぞ?
折角作ってくれたファンクラブもいつか乗っ取られたりして…」
澪「わ、私はそんなの気にしない!
元々注目されるのは…苦手…だし
それに絢辻さんは絢辻さん、私は私だよ」
梓「そうですよ!澪先輩は澪先輩です
みんなそれぞれ素敵な個性を持ってるんですから
比較するのは良くないと思います」
律「わかってるよ、冗談だって
悪かったな、澪」
澪「う、うん」
コンコン
「すみません」
律「ん?お客さんか、はーいどうぞー」
絢辻「すみません、軽音部はここで良かったですか?」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:50:39.58 ID:T13jAvva0
唯「つかさちゃん!どうしたの?」
絢辻「ごめんなさい、部活中に
お邪魔でしたか?」
律「あ、全然大丈夫!ちょうど休憩中だったから」
澪「(部活始めてもなかった癖に…まったく…)」
紬「(この人が転校生の絢辻さん)」ヒソヒソ
梓「(あぁ、なるほど…確かに綺麗な人ですね…)」ヒソヒソ
絢辻「余計なお世話かと思ったんだけど…
平沢さん、はい、これ」
唯「あ、私のお弁当箱!すっかり教室に忘れてたよ…」
絢辻「クラスのみんなに聞いたら平沢さんはここにいるって聞いたから…」
唯「わざわざ届けてくれたんだ!ありがとー、つかさちゃん」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:53:39.27 ID:T13jAvva0
絢辻「いいえ、こちらこそ」
唯「へっ?」
絢辻「ふふっ、転校初日に話しかけてくれてありがとう
ハプニングはあったけど、今朝は平沢さんと素敵なお喋りができて楽しかったわ」
唯「そ、そんな…素敵なお喋りだなんて…
元はと言えば私が時間勘違いしちゃったせいだし…」
絢辻「それでも嬉しかったんだよ?ありがとう平沢さん」
唯「あ、う…うん」テレッ
律「(唯が照れるなんて珍しいな)」ヒソヒソ
澪「(確かに)」ヒソヒソ
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 19:57:10.39 ID:T13jAvva0
唯「あ、もし良ければお茶飲んでいかない?
いいよね?ムギちゃん?」
紬「ええ♪勿論」
絢辻「えっ…お茶?」
梓「(唯先輩…それはマズいですよ…)」
澪「(軽音部が真面目にやってないって絢辻さんに言うようなもの…)」
律「(ま、そんなの机に並べられたティーセットを見れば一目瞭然ですけどね!)」
絢辻「うーん…」
唯「?」
絢辻「ごめんなさい…せっかくのお誘いなんだけど…」
紬「えぇ…」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:00:51.10 ID:T13jAvva0
絢辻「やっぱり、みんなの教室を私的に使う事って
あまり良い事じゃないと思うの
部外者がこんな事言ってしまってごめんなさい
ただ、ルールはちゃんと守りたいから…」
唯「そ、そっか…そうだよね…あはは…」
絢辻「本当にごめんなさい
でもそうやって友人とお茶する事自体は素敵な事だと思うわ
またの機会があったら、その時は是非誘ってね?」
唯「うん、絶対誘うよ!」
紬「残念ね…」
絢辻「あ、それじゃあ私、もう行くね?」
唯「うん、ありがとう、つかさちゃん」
絢辻「皆さんも練習頑張ってください」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:04:34.80 ID:T13jAvva0
澪「ありがとう」
律「わざわざごめんね、唯の為に」
梓「絢辻先輩、ありがとうございました」
絢辻「いいえ、失礼します」
パタン
唯「えへへ…お誘い、断られちゃった」
紬「仕方ないわよ、唯ちゃん」
澪「……」
梓「……」
唯「ん…?澪ちゃん?あずにゃん?」
律「どうしたんだー?二人とも」
澪「練習…」
律「…ん?」
澪「練習するぞ!!!」
律「うわっなんだよ、いきなり」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:07:26.66 ID:T13jAvva0
梓「なんだよじゃありませんよ!これが本来の軽音部のあるべき姿です!
さぁ唯先輩もギター持って、始めますよ!」
唯「わわっ、何か一気に熱血モードに…」
律「(絢辻さんに言われたからだな…)」
澪「ほら、律もムギも!始めるぞー!」
律「わかったよ、ちょっと待ってまだモンブランが…」
澪「もう!後でいいからっ!!」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:11:39.49 ID:T13jAvva0
………
唯「(なんだか絢辻さんに迷惑かけてばっかだなー…私)」
唯「(なにかお返ししたいんだけど…)」
唯「(うーん…何がいいかなぁ?プレゼントとか…?)」
唯「(何か名案浮かばないかなぁ…どうしよう…)」
………
和「あ、唯」
唯「和ちゃん、今帰り?」
和「ええ、唯も部活終わったの?」
唯「うん、一緒に帰ろう?」
和「ええ、いいわよ」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:15:50.22 ID:T13jAvva0
………
唯「和ちゃんもこんな時間まで大変だね」
和「学園祭も近くなってきたから…仕方ないわね」
唯「学園祭かぁ、今はどんな仕事をしてるの?」
和「今日、学園祭実行委員を正式に決めたの」
唯「学園祭実行委員?学園祭の事って生徒会の和ちゃん達がやるんじゃなかったっけ?」
和「去年まではそうだったんだけど…人数が少なすぎるんじゃないかって話になっててね
私達も生徒会の仕事を抱えている訳だから…」
唯「へー…そうなんだ」
和「だから今年は学園祭実行委員会っていうのを設けたのよ、各クラスから2人ね
私達のクラスは私と絢辻さんに決まったわ」
唯「絢辻さんが?!転校してきたばかりなのに」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:19:04.67 ID:T13jAvva0
和「うん、本人がやりたいって言ってたから」
唯「そうなんだ、凄いなぁ絢辻さん……ん?」
和「なに?」
唯「もう一人は和ちゃんなの?」
和「そうだけど…?」
唯「だって和ちゃんは生徒会があるでしょ?そうならない為の
実行委員じゃないの?」
和「唯にしては冴えてるじゃない
掛け持ちになっちゃうけど…しょうがないわね
立候補も無かった事だし…」
唯「立候補?そんな事クラスで話したっけ?」
和「朝のホームルームで話したじゃない…
っていうか何も聞いてなかったの?」
唯「…てへへ」
和「相変わらずね…」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:23:14.71 ID:T13jAvva0
唯「……」
和「……」
唯「ねぇ、和ちゃん」
和「なに?」
唯「学園祭実行委員って今から立候補しても間に合うかな?」
和「まだ間に合うけど…まさか唯?」
唯「うん、私…やってみようかなって…」
和「本気なの?唯だって軽音部との掛け持ちじゃない
両立は難しいわよ」
唯「が、頑張るよ!生徒会の和ちゃんよりは軽音部の方が融通利くと思うし!」
和「うーん…」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:27:28.46 ID:T13jAvva0
………
憂「ええ?!それでお姉ちゃん学園祭実行委員になったの?!」
唯「そうなのです!」
憂「大丈夫かなぁ…?」
唯「つかさちゃんにもあの時のお礼ができると思うし…
和ちゃんの仕事も減らせてあげられるし…
私はちょっと偉い人になった気持ちを味わえるし…
まさに一石三鳥だよね!」
憂「お姉ちゃんらしいなぁ…」
唯「これから忙しくなるよ!頑張って最高の学園祭にするからね!」
憂「張り切ってるね、お姉ちゃん
私も協力できるところは協力するからね」
唯「ありがとぉ…憂」
憂「えへへ」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:31:26.73 ID:T13jAvva0
………
唯「(…という訳で和ちゃんの推薦でとんとん拍子に学園祭実行委員となった私)」
唯「(記念すべき初仕事となる放課後を迎えた訳です!)」
唯「(転校してきて間もない、つかさちゃんに色々教えてあげなくちゃ!)」
唯「(…と勝手に意気込んでいたんだけど………)」
絢辻「じゃあ平沢さん、早速各クラスから集めたアンケート用紙を
まとめるところから始めよっか?」
絢辻「あ、ここは…こう…ね?」
唯「あ、なるほど…」
絢辻「それにここは…こうやると要領が良いわよ」
唯「あ、本当だ!すごい!」
唯「(逆にどんどん教えてもらっちゃってます!)」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:35:30.05 ID:T13jAvva0
唯「つかさちゃん、パソコン詳しいんだね!」
絢辻「人並みだと思うけど…けっこう家でも使ったりしてるから」
唯「ねぇ、つかさちゃんは…なんで実行委員に立候補したの?」
絢辻「んー…、早くみんなの役に立つ事がしたかったからかな?
こうやって先頭に立って学園祭のお手伝いができるなんて素敵な事じゃない?」
唯「り、立派な理由だね」
絢辻「平沢さんは?」
唯「あ、唯って呼んでくれていいよ」
絢辻「えっ、…でも」
唯「私初日からつかさちゃんって呼んじゃってるし…」
絢辻「えっと、じゃあ……お言葉に甘えて…
唯ちゃんは何で立候補したのかな?」
唯「私も良い学園祭にしたいなって気持ちは勿論あるんだけど…」
絢辻「違うの?」
唯「一番はつかさちゃんを助けてあげたい!って思ったからかな」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:39:47.14 ID:T13jAvva0
絢辻「えっ、私を?助けたい…?」
唯「うん…なんか最近迷惑掛けてばっかりだし…
少しでもお役に立てればと思って…」
絢辻「そんなの気にしなくていいのに…
でも唯ちゃんの気持ちはとっても嬉しいわ
ありがとう♪」
唯「えへへ…一緒に頑張ろう!」
絢辻「うん、頼りにしてます♪」
………
唯「(つかさちゃんは凄いなぁ…
あれだけのアンケート用紙すぐに終わらせちゃうんだもん)」
唯「(それに物知りで、優しくて、美人さんで、運動もできて…
まさに優等生だよね!将来結婚する人は幸せなんだろーなー)」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:44:04.09 ID:T13jAvva0
唯「(それにしても実行委員のお仕事って大変なんだなぁ…和ちゃんすごいよ…)」
唯「(つかさちゃんがいなかったら今日のアンケート絶対終わらなかったよ…)」
唯「(ん?そういえば私、つかさちゃんにお返しする為に立候補した筈なのに…)」
唯「(なんか逆にどんどん借りを作ってる様な…)」
唯「(……)」
唯「(ま、これからだよね!)」フンス
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:48:39.61 ID:T13jAvva0
………
絢辻「(平沢唯)」
絢辻「(不思議な人ね、些細な事なのに私に恩を返そうと必死になってる)」
絢辻「(要領が悪いのに軽音部と掛け持ちしてまでしちゃって…
自分がこなせる範囲内でそれなりに頑張ってれば良いのにね)」
絢辻「(自分で自分の首を絞めてるようにしか私には見えないけれど…)」
絢辻「(あ、いけないいけない…
どうも最近、この時間はあの人の事ばっかり考えちゃうなぁ)」
絢辻「(気になってる…?って事なのかな?)」
絢辻「(ってそんなワケないでしょ!女の子同士で!)」
絢辻「(とにかく勉強!集中してやるんだから!)」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:52:11.68 ID:T13jAvva0
………
和「唯、絢辻さん、お疲れ様」
唯「あ、和ちゃん!どうしたの?」
絢辻「真鍋さん、お疲れ様」
和「学園祭準備の方はどうかと思って様子を見に来たのよ」
唯「そうなんだ!」
和「絢辻さんどう?唯、ちゃんとやれてるかしら?」
絢辻「ふふ、ええ
唯ちゃんのおかげで大分捗ってるわ」
和「そう、良かったわ、迷惑かけてないか心配だったのよ」
唯「和ちゃん…保護者じゃないんだから…」
和「そう、何か手伝う事があったら言ってね?
生徒会も力になるから」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:55:59.11 ID:T13jAvva0
絢辻「今のところは大丈夫です
ありがとう、真鍋さん」
唯「和ちゃん、ありがとー」
和「もう日が暮れてきてるけど、あんまり遅くならない様にね?」
唯「はーい」
絢辻「ええ」
唯「(なんだか私…既につかさちゃんの補佐的な役割になっちゃってるよ…)」
唯「(………)」
唯「(ま、しょうがないよね!)」
唯「(私は私のやるべき事をやろう!)」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 20:58:52.92 ID:T13jAvva0
絢辻「唯ちゃん、ちょっとトイレ行ってくるわね」
唯「うん、いってらっしゃい」
唯「(ふぃ~…あともう少しだよ…えーと去年の発注データってこれだっけ…)」
唯「(大変だけど…けっこう慣れてきたかも!
つかさちゃんのおかげでようやくパソコンにも慣れてきたよ!
りっちゃんが見たらきっと驚くだろうなぁ、私のこのキーボード捌き)」タターン
唯「(唯!私にパソコン教えてくれ!…なーんて言ってきちゃったりして……ん?)」
唯「この手帳…誰のだろう?」
唯「床に落ちてるし…落し物かな?」
唯「っていうかさっきは落ちていなかったような…?」
唯「ひょっとしてつかさちゃんが落として行っちゃったのかな…?」ヒョイ
唯「名前、書いてないや…」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:01:37.50 ID:T13jAvva0
唯「うーん」パラパラ
唯「中にも書いてないなぁ」
唯「きれいな字だなー……って、うわっ」
唯「なんか別人…?の人の字も混ざってる…なんだろこれ」
唯「とりあえずさわちゃんに届けよ」
絢辻「唯ちゃん」
唯「あ、つかさちゃん!おかえり」
絢辻「それ…私の手帳なの」
唯「あ、そうだったんd」
絢辻「中…見てたよね?」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:04:58.52 ID:T13jAvva0
唯「えっ?…あ、えっ…(なに?近い!顔が近いよつかさちゃん?!)」
絢辻「 見 て た よ ね ? 」
唯「(えっ…なに…?!なんなの?!…この威圧感!)」
絢辻「答えなさい!」
唯「ひっ!」
絢辻「……」
唯「はいっ!…あっ…あの…見ました…けど…まずかったかな?」
絢辻「だよねー……ふーん…」
唯「ご、ごめん…悪い事しちゃったよね…?」
絢辻「はぁ…やっぱ鍵つけとくんだったわ
よりにもよってあんたみたいなどん臭い人間に見られるなんて」
唯「つ…つかさちゃん?」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:07:40.26 ID:T13jAvva0
絢辻「残念ね、平沢さん……私の手帳を覗くなんて…余計な詮索するからこうなるのよ?
あなたこれから…とても気の毒な事になるわ」
唯「ど…どういう事?(なんだかつかさちゃんが怖いよ…)」
絢辻「…で、どこまで見たの?」
唯「どこまでって…?」
絢辻「手帳の事よっ!いちいち確認しないで!」
唯「あっ、えーと、綺麗な字のところと…(怒鳴らないでよぉ…)」
絢辻「……」
唯「ちょっと汚い字のところ…かな?」
絢辻「…完全にアウトね……」
唯「えっ、アウトって…?」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:11:06.59 ID:T13jAvva0
絢辻「あーあ…クラスメイトが一人減ってしまうのは…」ジリジリ…
唯「…え……え?(手が…近づいて…なに?やだ!怖いよ……!)」
絢辻「とても残念な事ね!」ヒュッ…
唯「つ…つかさちゃん!待って!」
絢辻「……?」ピタ
唯「た…確かに手帳見ちゃったけど…中身は全然読んでないよ?!」
絢辻「証拠は?」
唯「えっと…ぴらぴらってめくっただけだし…!内容とか全然解らなくて!」
絢辻「証拠になってない、あたしはその現場を目撃していないし信用もできない」
唯「だ、だったら…!これで…どうかな?!」スッ
絢辻「…なにこれ?」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:16:01.98 ID:T13jAvva0
唯「ケロンだよっ!私の大切なケロンのお人形!」
絢辻「 は ? 」
唯「ケロンは私の大切なお人形だから…これをつかさちゃんに預けるよ!」
絢辻「意味が解らないんだけど、説明してくれる?」
唯「つまり…ケロンに誓ってあの手帳の中身は見てませんって事だよっ!」
絢辻「あたしは証拠を求めているんだけど?
論点がずれすぎていて、お話にならないわ」
唯「これで…納得してもらえなければ…つかさちゃんの思うようにすればいいよ!」
絢辻「………」
唯「私は本当にざっとしか見ていないんだよっ!信じて…つかさちゃん…」
絢辻「(本気で言ってるのか、ふざけているのか……)」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:19:55.62 ID:T13jAvva0
唯「…つかさちゃん……?」
絢辻「はぁ…」
唯「…?」
絢辻「なんだか、あなたと問答する気も失せてしまったわ」
唯「えっ…それは……?」
絢辻「平沢さんって本当に掴みどころのない人ね
何を考えているのかあたしにはまったく理解できないわ」
唯「そ、そうかな……?」
絢辻「自覚が無いのも大問題ね…もう…いいわ
今回の事は平沢さんの提案通りその人形で見逃してあげる」
唯「ほ、本当に!?ありがとう!つかさちゃん!」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:24:23.33 ID:T13jAvva0
絢辻「その変わり…今回の事…誰にも言わないって約束できる?」
唯「も、勿論だよっ!神様に誓って誰にも言いません!」
絢辻「神様じゃなくてあたしに誓いなさい、いいわね?」
唯「はい、つかさちゃんに誓って誰にも言いません!」
絢辻「………」
絢辻「絢辻さんは裏表の無い素敵な人です、はい復唱」
唯「えっ?」
絢辻「復唱してって言ったの!」
唯「あ、えっと…」
絢辻「絢辻さんは裏表の無い素敵な人です」
唯「あ、絢辻さんは裏表の無い素敵な人です」
絢辻「よくできました」ニコッ
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:27:55.84 ID:T13jAvva0
唯「(うぅ…まさかつかさちゃん…普段は猫かぶってたりするのかな…)」
絢辻「じゃあ、下校しましょうか、もうこんなに暗くなっちゃった事だし」
唯「う、うん」
絢辻「急いだ方がいいみたいね、見回りの時間もそろそろだし」
唯「あの…つかさちゃん……」
絢辻「なに?」
唯「手帳、勝手に見ちゃって…本当にごめんなさい…
誰だって勝手に覗かれたら嫌だよね」
絢辻「済んだ事だし…もういいのよ
私もまさか落とすなんて思ってもいなかったしね」
唯「…ご、ごめんなさい……」
絢辻「それより!!」
唯「わっ!」ビクッ
絢辻「…ちゃんと約束は守るのよ?」ニコッ
唯「は、はいぃ……(笑顔が怖いよ…つかさちゃん……)」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:31:07.66 ID:T13jAvva0
………
唯「はぁ……」
憂「どうしたの?お姉ちゃん、ため息なんてついちゃって…」
唯「憂ぃ……」
憂「…なにかあったの?」
唯「人は見かけによらないものだね」
憂「なあに?それ…」
唯「ううん、なんでもない!」
憂「…変なお姉ちゃん」
唯「(いつもにこにこで優等生のつかさちゃんにあんな一面があるなんて…)」
唯「(普段のつかさちゃんとのギャップが激しすぎるよ…)」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:35:02.75 ID:T13jAvva0
唯「(とにかく今日起こった事は誰にも言わない方が良いよね!)」
唯「(でないと…私の命が危ないし……)」
唯「(…でもなんだか、つかさちゃんの新しい一面が知れてちょっと嬉しい…かも?)」
唯「(これ知ってるの、きっと全校生徒の中で私だけなんだろうなぁ)」
唯「(でもなんかそう思うと、本当に嬉しくなってきた!
…どうしてだろう…?)」
………
絢辻「(あーあ…なんであんな人形渡されたくらいで納得してしまうのかなぁ
手帳の中身を見られた事は揺るぎない事実だっていうのに)」
絢辻「(あの子と会話すると、調子狂わせられるのよね
でも…口止めは成功した訳だし、現状できる事は何もない…か
あの性格…わざとやってる様には思えないけど…)」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:40:59.62 ID:T13jAvva0
絢辻「(それでも信用するのは危険ね
ま、漏れたら漏れたで最善の手を打てばいいだけの事
あの短時間じゃ見られたとしても多くは把握できていない筈
彼女の頭であれば特にね
あのクラスなら私であればうまく立ち回れる)」
絢辻「……」
絢辻「……もしもの時の為に追加しておくか…」
絢辻「……」
絢辻「真鍋和……生徒会所属、委員会は生徒会からの派生であるのにも関わらず
こちらからの要求が無い限り学園祭の仕事を一切受けようとはしない
生徒会の責務から考えるに積極性、責任感を欠いた行動である
また、部活と委員会の掛け持ちという無理がある形で平沢唯を委員会に
推薦した張本人である為、学園祭の仕事を軽んじているという認識に
疑いの余地は無い」
絢辻「………」
絢辻「……こんなところかな」カリカリ
絢辻「さて…勉強の続き続き…」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:45:02.76 ID:T13jAvva0
………
澪「何やってるんだよ!律!」
律「お許しくださいませー…!」
唯「ん?どうしたの二人共」
梓「あ、唯先輩」
唯「最近なかなか顔出せなくてごめんね?委員会の仕事が忙しくて」
梓「いえ、今日は練習できそうなんですか?」
唯「うん、早めに終わったから
それよりりっちゃんまた何かしでかしたのー?」
澪「律ったら講堂の使用届けの提出、また忘れてたみたいなんだ」
唯「へっ?」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:48:27.13 ID:T13jAvva0
澪「今日は唯が部活に出れるからみんなで講堂で練習しようって話になってただろ?」
律「すっかり忘れてました!ごめん!」
澪「まったくもう…」
唯「りっちゃん、使用届けの紙は書いてあるの?」
律「うん、一応これなんだけど…」
唯「これから使わせてもらえないかどうか、私が聞いてみるよ」
律「い、今からでも間に合うかな?!」
唯「学園祭準備に伴う講堂の使用はつかさちゃんが担当してるんだ
多分大丈夫だと思うよ」
澪「そうなんだ、ごめんな唯…」
唯「これくらいお手の物だよっ!」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:51:25.59 ID:T13jAvva0
律「宜しくおねがいしますっ!」
唯「うん、ちょっと待っててね?」
梓「(なんか唯先輩が別人みたいに頼れる存在になってきてる…)」
唯「あいたっ」ドガッ
澪「あっ、足元!気をつけて!」
唯「えへへ…転んじゃった…」
梓「(あっ、でもやっぱりちょっと抜けてるかも……)」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:54:46.94 ID:T13jAvva0
………
唯「(話の流れでつい引き受けちゃったけど……
昨日つかさちゃんとあんな事があったばっかりだし…)」
唯「(ちょっと緊張しちゃうなぁ……)」
唯「(あの時のつかさちゃん本当に怖かったなぁ…
もしかしてこの用紙も門前払いされちゃったりして…)」
唯「(えっと、確かつかさちゃんは図書室にいる筈なんだけど…)」
唯「(あ、みっけ!)」
唯「つかさちゃん!」
絢辻「あ、唯ちゃん、どうしたの?
今日はこれから軽音部の練習じゃなかったっけ?」
唯「(…どうやら優しいつかさちゃんの方だよっ、良かった…)」
絢辻「ふふ、どうしたの?」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 21:58:06.22 ID:T13jAvva0
唯「あのね、実は軽音部としてお願いがあるんだけど…」
絢辻「何かしら?」
…
絢辻「そういうことなら…仕方ないもんね」
唯「そ、それじゃあ!」
絢辻「うん、確かこの時間…ブッキングしてる部は無い筈だから
講堂使用してもらって問題無いわよ」
唯「やったぁ!」
絢辻「先生には私の方から言っておくから」
唯「ありがとう!つかさちゃん」
絢辻「ふふ、軽音部の練習…頑張ってね?応援してるわよ♪」
唯「うん!期待に応えられる様に頑張るよ!」
絢辻「………」
絢辻「(うーん……)」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:02:50.89 ID:T13jAvva0
………
唯「(ふいー…今日は講堂で良い練習できたなぁ
つかさちゃんのおかげだよ)」
絢辻「唯ちゃん」
唯「あ、つかさちゃん!さっきはありがとう」
絢辻「いいのよ、こんな時間までお疲れ様
もし良かったら一緒に帰らない?」
唯「うん、いいよ!一緒に帰ろう」
絢辻「良かった♪」
唯「(おぉ…弾けるような可愛い笑顔…)」
絢辻「あはは♪そうなんだぁ」
唯「(も…もしかしてこの前の事って夢でも見ていたんじゃ…)」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:06:45.43 ID:T13jAvva0
絢辻「へぇ…それは知らなかった
唯ちゃんのお話ってとっても面白いわ♪」
唯「(そうだよ、そうに違いないよ!この間の事は何も無かった
何も無かったんだ!夢だったんだ!)」
絢辻「…そろそろいいかな」
唯「えっ?」
絢辻「平沢さん、これ」
唯「これって…」
絢辻「ケロン…だっけ?」
唯「………」
唯「(現実でした……………)」
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:10:36.64 ID:T13jAvva0
絢辻「あたしが持っていても意味がないし
これは平沢さんにお返しするわ」
唯「でも…それじゃああの時の約束が…」
絢辻「いいのよ、大事なお人形なんでしょ?
だったら大切にあなたが持ってなさい」
唯「でも…どうして突然…?」
絢辻「……」
絢辻「あたしと違ってあなたは猫をかぶってないと思ったから」
唯「え?どういう事?」
絢辻「そんな人形を貰わなくても
あたしはあなたを信用するって言ってるの!」
唯「あ、えっと…」
絢辻「それともなに…?
私が猫かぶってる事…既に誰かに喋っちゃったとか?」
唯「それはないよ!つかさちゃんの約束は絶対守るよ!」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:14:22.52 ID:T13jAvva0
絢辻「よろしい
流石に私が見込んだだけの事はあるわね」
唯「………」
絢辻「なに?」
唯「つかさちゃんって…すごいよね」
絢辻「…なにが?」
唯「図書館で話した時も感じたんだけど
昨日の事って私が勝手に見た夢じゃないんだろうかって思ったんだぁ」
絢辻「それは…周りの目もあったしね
そう簡単にボロは出さないわよ」
唯「流石つかさちゃん…恐るべし…!だねっ!」
絢辻「割り切ってやってるだけ
慣れれば簡単よ?」
唯「そうかなぁ?…私にもできるかなぁ?」
絢辻「あなたには一生できない事かもしれないわね
人には得手不得手があるものだから」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:19:19.08 ID:T13jAvva0
唯「むむ…ばっさりだね…」
絢辻「ふふ、冗談よ」
唯「あ、つかさちゃん」
絢辻「ん?」
唯「つかさちゃん音楽とかって聴く?」
絢辻「ええ、勉強の合間に聴くようにしてるわ」
唯「そうなんだ!あの…これもし良かったら…」
絢辻「テープ?どうしたの?これ」
唯「気に入ってもらえるかどうか解らないんだけど…
私達軽音部の『ふわふわ時間』っていうのが入ってるんだ」
絢辻「へぇ、そうなの
ありがたく聴かせてもらうわね」
唯「えへへ…なんか照れるな」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:23:57.67 ID:T13jAvva0
絢辻「それじゃあ、私はこれで」
唯「うん、また明日ね」
絢辻「………」
唯「つかさちゃん?」
絢辻「平沢さん、一つ聞いてもいい?」
唯「なーに?」
絢辻「あたしに対してこんなに良くしてくれるのは何故なの?」
唯「え…?」
絢辻「だってあなたはこっちのあたしを知ってしまった訳でしょ?
それに放課後あんな事があったのなら
あたしだったらその人と距離を置くようにするわ
今後あたしと関わっていく中で、自分の身に不安を感じたりしない訳?」
唯「へ?だってそんなの…気にしないよ」
絢辻「どうして?」
唯「だって、つかさちゃんはつかさちゃんだもん
みんなの前でにこにこ可愛いのもつかさちゃん
私に厳しくパソコン教えてくれるのもつかさちゃん
全部ひっくるめて私の大好きな、つかさちゃんだもん」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:27:27.60 ID:T13jAvva0
絢辻「………」
唯「それにさっき、つかさちゃんはケロン無しでも
私を信用してくれるって言ってたでしょ?
そんな人に不安なんて感じないよ」
絢辻「まぁ、確かに言ったけど…」
唯「ね?」
絢辻「………」
唯「つかさちゃん?…どうしたの?」
絢辻「えっ…い、いや…
そんな事言われたの…初めての経験だから…」
唯「つかさちゃん?ほっぺた真っ赤だよ?」
絢辻「へっ?!…そ、そんな訳…無いじゃない?!」
唯「本当だよ~、えーと、はいっ鏡」
絢辻「…うっ」
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:31:26.28 ID:T13jAvva0
唯「大丈夫??つかさちゃん」
絢辻「へ、平気っ!ちょっと熱っぽかっただけ!」
唯「もしかして風邪ひいてるの?今日は早く寝ないとダメだよ~?」
絢辻「あなたにそんな事言われなくても解ってるわよっ!
いちいちうるさわいね!」
唯「うー…怒られた……心配してあげたのに…」
絢辻「………」
唯「?」
絢辻「……ぁりがと……」
唯「え?」
絢辻「 あ り が と う って言ったの!
バイバイ!また明日ねっ!」
唯「えっ…あの、つかさちゃん?」
バタンッ!
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:34:35.78 ID:T13jAvva0
唯「……」
唯「もぉ…素直じゃないんだから……」
唯「(でもでも…顔真っ赤にしたつかさちゃん可愛かったな~)」
………
唯「つかさちゃん!」
絢辻「……」
唯「おはよ~♪」
絢辻「あぁ、平沢さん、おはよう」
唯「風邪は治った?」
絢辻「ええ、大した事なかったからね」
唯「良かった~、私一人じゃ委員会の事できないもん」
絢辻「ええ、あたしもあなた一人に仕事を任せるのは心許ないもの
休む訳にはいかないでしょ?」
唯「う~…つかさちゃん…今日も言葉に棘が……」
絢辻「冗談よ、あ、平沢さん、これ」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:39:24.47 ID:T13jAvva0
唯「へっ?…なにこれ?」
絢辻「どう?できそうかな?」
唯「なんか円グラフできっちり書いてあるけど…これってもしかして…」
絢辻「そっ、あなたは純粋すぎて危なっかしいので
あたしがこれから管理してあげます」
唯「えぇ~~?!どういう事?!」
絢辻「まずは一日一日の時間の使い方を見直すところからね
委員会の仕事に加えて軽音部に所属している訳だから…厳しくなるわよ?
あ、それと勉強もあたしがきっちり教えてあげるから安心してね」
唯「そ、そんな突然言われましても…!」
絢辻「なに…?何か問題でも?」
唯「このスケジュール…少しというかそうとう無理がある気がするんですが…」
絢辻「あら…これでも甘めに組んだつもりなのよ?
こんなんで音をあげている様じゃ、先が思いやられるわね」
唯「せめてお菓子…ティータイムとか…」
絢辻「そんなものはありません!」
唯「やだぁぁぁぁぁ………!」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:42:54.57 ID:T13jAvva0
………
<放課後>
絢辻「それでここの予算の総計が…―――」
和「あ、それなら昨年度の数字を参考にしてもらって…―――」
唯「(…話についていけない……我ながら情けなし……)」
和「問題…無さそうね…すごいわ、絢辻さん」
絢辻「いえ、真鍋さんのアドバイスのおかげよ」
和「そんな事ないわ、私は何もしてないもの」
唯「(和ちゃんが感心してるよ、やっぱり凄いんだなぁ、つかさちゃん)」
絢辻「うーん……」
唯「どうしたの?…つかさちゃん」
絢辻「当日のスケジュール表、ここと…」
唯「うんうん」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:47:28.05 ID:T13jAvva0
絢辻「ここの間が、空きすぎている気がするの
当日、円滑に事を運ばせるには考え直す必要があるかもね」
唯「あっ、じゃあ軽いお芝居なんかやったらどうかな?」
絢辻「うーん…それだと、今からとりかかって間に合うかどうか不安だわ」
唯「そうかなぁ?」
絢辻「それに…肝心の人はどうするつもり?
わざわざやりたい人がいるとも思えないんだけれど…」
唯「ちょっと待ってて!」
絢辻「えっ?唯ちゃん?」
……
エリ「えっお芝居?」
唯「うん、少し時間が空いちゃいそうでさ…なんとかやってもらえないかな?」
エリ「うーん…」
唯「お願いエリちゃん!このとーり…!」ペコリ
エリ「ふふっ、わかったわ、私で良ければ力になるね」
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:52:29.78 ID:T13jAvva0
絢辻「(へぇ…)」
姫子「お芝居かぁ、私にできるかな?」
唯「姫子ちゃんなら大丈夫だよっ!なにより私が見てみたいしっ!」
姫子「あはは、唯の頼みじゃ断れないもんね、わかったわ」
唯「ありがとー!姫子ちゃん!」
絢辻「……」
信代「わかったよ唯、私の演技力見せつけてあげる」
唯「期待してますっ!」
……
唯「なんとか人は集まったよ!これで大丈夫かな?」
絢辻「これだけいれば十分だと思うけど…脚本とかはどうするつもり?」
唯「ムギちゃんに頼んでみるよ、ムギちゃんそういうの得意なんだぁ」
絢辻「へぇ…琴吹さんが…知らなかったわ」
唯「なんとか大丈夫そうだね」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 22:56:10.67 ID:T13jAvva0
絢辻「……」
唯「つかさちゃん?」
絢辻「すごいのね…あなた」
唯「へっ?そうかな?」
絢辻「だって普通、みんなの前でのお芝居なんて引き受ける人いないわよ?
こんな短時間にこれだけの人数集めちゃうなんて…呆れた…」
唯「み、みんなのおかげだよ」
絢辻「それもあるでしょうけど、一番はあなたの人望が為せる技という事ね
あたしじゃ到底不可能な事だもの」
唯「そ…そっかなぁ…」テレ
絢辻「(引き受けた人達の気持ちも、
彼女のこの笑顔を見れば解らなくもないかな…)」
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:00:00.20 ID:T13jAvva0
………
絢辻「……」カチャ
絢辻「……」
ボォォォォ………
絢辻「(委員会の仕事で、私が彼女に助けられる日が来るなんてね)」
ボォォォ…
絢辻「(どうかしてるわ、まさかこの手帳を自ら手放したいと思うなんて)」
絢辻「(彼女の屈託のない純粋な心が、あの人望に繋がるのでしょうね)」
ボォォ…
絢辻「(そんな彼女を近くで見ていると
必死にクラスメイトを観察して、粗探しに精を出していたあたしがバカみたい)」
絢辻「(本当に滑稽よね、惨めに思えるくらいに)」
シュウウゥ……
絢辻「全部燃えたみたいね…」
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:04:30.83 ID:T13jAvva0
絢辻「……」
絢辻「……」
絢辻「こんな気持ち…初めて……」
絢辻「……」
絢辻「……」
絢辻「(平沢唯…私は…)」
絢辻「私は…キミの事が……」
………
絢辻「はぁ…はぁ…嘘でしょ?!なんで…無くなってるの?!」
絢辻「もう…信じられない!…どういう事なの?!」
縁「詞ちゃん、どうしたの?朝から大声出して」
絢辻「別に…なんでもないわよ…探し物が見つからないだけ」
縁「何を探してるの?あ、ひょっとして…」
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:08:09.63 ID:T13jAvva0
絢辻「?」
縁「ピンク色のカセットテープかしら?」
絢辻「!」
縁「あはは、図星だ?」
絢辻「ええ、その通りよ、どこへやったの?」
縁「さぁ、わからない」
絢辻「は?」
縁「昨日私が捨てちゃったんだもん」
絢辻「はっ?…………嘘…よね?」
縁「だって汚くて古ぼけてたから…今頃はゴミ処理場に行っちゃってるかもね」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:11:49.94 ID:T13jAvva0
絢辻「………」
縁「詞ちゃん?」
絢辻「ばっかじゃないの?!誰に断ってそんな事したのよ?!
勝手な事しないでっ!!ホントありえない!!!」
縁「詞ちゃん、お姉ちゃんに向かってその言葉使いは良くないなー」
絢辻「そんな事今は関係ないでしょ!!返してよ…!!
返して!!……う…グス…」
縁「あらら、泣かせちゃったわ…どうしよう…」
絢辻「あたしの…ぐっす……大切な…ひっぐ!……」
「何事だ、朝から騒々しい」
「ご近所さんに迷惑だわ」
縁「あ、パパ、ママ」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:16:04.86 ID:T13jAvva0
「詞はどうしたんだ?」
縁「詞ちゃんの大切なカセットテープを私が昨日捨てちゃったみたいなの」
「なんだそんな事か?」
絢辻「そんな事……?」
縁「詞ちゃん、また買ってくればいいじゃない、そんな目くじら立てないの」
「縁の言う通りだ詞、なんなら父さんがお金出して…」
絢辻「そんな事ってなによ!!代わりの物なんかあるわけないじゃない!!!
あんた達にあのテープの重みは一生解らないわっ!!!」
「父親に向かってその口のきき方はなんだ!」
絢辻「もういい!!」
「待ちなさい詞!……詞!!」
縁「行っちゃった…もう…怒りっぽいんだから…詞ちゃんは」
「まぁ、帰ってくれば気持ちも落ち着いてるでしょ、さっ朝ごはんにしましょ」
縁「うん、そうしよっか」
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:21:15.75 ID:T13jAvva0
タッタッタ…
絢辻「はぁ…はぁ…はぁ…」
………
律「唯、最近忙しそうだけど、大丈夫なのか?」
唯「これ…」
澪「なんだ?この円グラフ…?」
唯「私の一日の予定はこんな感じです」
律「うわぁ…」
澪「唯…これ本当にこなしてるのか?」
紬「ハードスケジュールね…」
梓「唯先輩…大分疲れてますね…」
唯「そうだよ…あずにゃん…私のお墓は…見晴らしの良い所がいいな…」
ムギちゃん…最後に…何か甘いものを…それと紅茶を…」
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:25:24.37 ID:T13jAvva0
梓「縁起でもない事言わないで下さいよ」
紬「はい、唯ちゃん、レモンティーとショートケーキよ」
唯「わぁぁぁい♪」
唯「………」
唯「(`・ω・´)シャキーン」
唯「よし!委員会行ってくるよっ!」
律「頑張ってなー唯」
澪「無理しちゃダメだぞ」
梓「(唯先輩頑張ってるなぁ、私も見習わなきゃ!)」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:29:12.22 ID:T13jAvva0
………
唯「(いけない、いけない、けっこう遅くなっちゃったよ…)」
唯「(そういえばつかさちゃんに、ティータイム禁止されてたんだっけ)」
唯「(まさかバレたりしないよね?でもつかさちゃん鋭いからなぁ…)」
唯「(とりあえず早いところ行こう、確かつかさちゃんは図書館だっけ)」
唯「つかさちゃん!お待たせー」
絢辻「………」
唯「えっ…」
絢辻「あっ!ひ、平沢さん!遅かったわねっ!」
唯「う、うん…ごめんね!(今…つかさちゃん…泣いてた様な…?)」
絢辻「………」
唯「………」
唯「つかさちゃん…どうしたの…?…なにかあったの?」
絢辻「……べ、別に」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:33:07.98 ID:T13jAvva0
絢辻「平気っ!」
唯「そうは…見えないよ……」
絢辻「なんでもないのっ!放っておいてよっ!」
唯「放っておけないよ…!」ぎゅっ
絢辻「…あ……」
唯「…哀しい事でも…あったの…?」
絢辻「…………うん…」
唯「私でよければ…話してもらえない…かな?」
絢辻「………」
唯「………」
絢辻「キミから……」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:37:47.04 ID:T13jAvva0
唯「…?」
絢辻「キミからもらった…カセットテープ……失くしちゃったんだ……」
唯「…あ…ちゃんと聴いてくれてたんだ?」
絢辻「うん…素敵な歌声ね……」
唯「えへへ…ありがとう…」
絢辻「………」
唯「また録音してくるよ、次の新曲もn」
絢辻「あたし…もう……」
唯「………?」
絢辻「自分の居場所が無いの……」
唯「えっ?…え……?」
絢辻「帰る場所も無い……」
唯「えっと…」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/26(金) 23:41:55.48 ID:T13jAvva0
絢辻「誰も本当のあたしを…認めてくれない………」
唯「………」
絢辻「辛い…辛いよお……ぐっす…!」
唯「つかさ…ちゃん…」
絢辻「もう…どこかへ逃げちゃいたいよ……ひっぐ……」
唯「………」
絢辻「……ずず…」
唯「………」ぎゅ
絢辻「………」
………
唯「………」
唯「ねぇ憂」
憂「なに?お姉ちゃん?」
唯「私と憂は姉妹だよね?」
憂「えっ、う…うん、いきなりどうしたの?」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:00:42.53 ID:mkoUo5+M0
唯「ずっと昔から一緒に育ってきたんだよ」
憂「う、うん」
唯「年も近いから、隠したい事も相手に伝わっちゃったり…
性格もよく知ってるから見抜かれちゃったりしてさ…
時にはそういうのがすごく嫌だったりする事もあるけど…」
憂「お姉ちゃん?」
唯「でもさ、もし…もしもだよ…?」
唯「誰も本当の自分を認めてくれない環境におかれたら、
誰も本当の自分を知ろうとしてくれない環境におかれたら、
それはどんなに辛い事なんだろう」
憂「……」
唯「その本当の自分を上から塗りつぶして
別な自分を演じる事ってどんなに辛い事なんだろう」
唯「自分と向き合ってるのは自分だけ…
自分の本当の気持ちは相手に伝わらないんだよ…?
伝えられないんだよ…?」
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:05:18.41 ID:mkoUo5+M0
憂「お姉ちゃん…」
唯「……」グスッ…
憂「……」
唯「こんなに切ない事って…ないよ」
憂「……」
憂「お姉ちゃんは嫌かもしれないけど…
私はお姉ちゃんの妹だから…お姉ちゃんの気持ち…解っちゃうよ」
唯「……」
憂「お姉ちゃんは…その人を救ってあげたいって思ってる
傍にいてあげたいって思ってる」
唯「……でも…」
憂「具体的にどうすればいいのか…わからないんでしょ?」
唯「……うん」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:09:19.70 ID:mkoUo5+M0
憂「でも、それは…違うよ
お姉ちゃんはどうすればいいか知ってる筈だよ」
唯「…憂…」
憂「きっともうお姉ちゃんの中で答えは出てる筈だよ」
唯「……」
憂「お姉ちゃんが思う様にすればいいだけの事…だよ
それがその人の一番望んでいる事だと思う…」
唯「………」
憂「お姉ちゃん…がんばって」
唯「……うん」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:13:15.40 ID:mkoUo5+M0
………
パチパチパチ…
唯「すっごく良かったよっ!ありがとう姫子ちゃん達!」
和「順調に進んでるわね、これも絢辻さんのおかげよ」
絢辻「そんな事ないよ、でもまだ全部終わって無いから…」
『次は放課後ティータイムによる演奏です』
唯「じゃっ、行ってくるねっ!」
和「頑張ってね、唯」
絢辻「唯ちゃん、ここで見てるから」
唯「うん!」
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:20:00.78 ID:mkoUo5+M0
がやがやがや……
絢辻「……」
絢辻「すっごい人気なのね、放課後ティータイム」
和「ええ、本人達に自覚は無いみたいだけど……
去年も一番盛り上がった行事の一つね
この学校にもファンが数多くいるのよ」
絢辻「そうなのね…あ、始まるみたい」
……
絢辻「………」
キミを見てるといつもハートドキドキ
絢辻「………」
絢辻「(机の前に腰掛ける一人の時間になると、いつもキミは私の勉強を邪魔しにくる)」
揺れる思いはマシュマロみたいにふわふわ
絢辻「(もどかしいけれど、嫌いじゃないその時間)」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:24:22.57 ID:mkoUo5+M0
いつもがんばる
絢辻「(頭の中に思い浮かぶキミをどうしても振り払う事はできなくて、気がつくと…)」
きーみの横顔
絢辻「(この歌声を何度も繰り返し聴いていた)」
ずっと見てても気付かないよね
絢辻「(周りのみんなから愛されるキミが最初は憎かったのに)」
夢の中なら2人の距離縮められるのにな
絢辻「(いつのまにかその憎しみは、
分け隔てなく人と接する事ができるキミへの憧れへと変わっていって)」
絢辻「(その憧れがキミへの恋心に変わったのはそれから直ぐの事だった)
絢辻「(キミみたいな人に出会ったのは初めて)」
絢辻「(キミはあたしが、あたしでいる事を許してくれた…認めてくれた)」
絢辻「(できればこれからもずっとキミの傍で……キミの横で……)」
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:28:58.80 ID:mkoUo5+M0
唯「……つかさちゃん!」
絢辻「えっ?(手招き…?)」
和「……」
和「絢辻さん、唯が呼んでるわよ?ステージ上にどうぞ」
絢辻「えっ?…でも…あたし…」
姫子「行っておいでよ、絢辻さん」
エリ「この学園祭で絢辻さんが一番頑張ったんだからっ」
信代「ほーら、どうぞ、どうぞ」ぐいぐい
絢辻「えっあっ…あ…」
唯「つかさちゃん、歌えるよね?」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:33:23.03 ID:mkoUo5+M0
絢辻「一応…頭には入ってるけど……」
唯「じゃあ一緒に歌おう♪」
律「いってみよう♪」
澪「大丈夫だから、ね?」
紬「みんなも歓迎してくれてるわ♪」
梓「お願いします、絢辻先輩」
絢辻「……」
絢辻「ええ、ありがとう、みんな!」
ふとした仕草に今日もハートズキズキ――――
―――
――
―
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:36:32.24 ID:mkoUo5+M0
………
唯「終わったね…終わっちゃったねぇ…」
絢辻「もうっ!いきなり誘うなんて聞いてないっ!」
唯「えへへ…ごめんね?びっくりさせたかったんだぁ」
絢辻「あたし…うまく歌えてたかな…?」
唯「うん!みんな後でつかさちゃんの歌声褒めてたよ、すっごく良かった!」
絢辻「そう…なら……良かった」
唯「………」
絢辻「………」
絢辻「あたし…ね?」
唯「…うん」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:39:53.61 ID:mkoUo5+M0
絢辻「キミと出会えて…本当に良かった…」
唯「………」
絢辻「キミは…本当のあたしを好きって言ってくれた」
唯「………」
絢辻「こんな事初めてなの…人を…好きになる事って…
一緒にいたいって思う事って…」
唯「うん」
絢辻「唯……はさ、あたしの事どう思ってる?」
唯「………」
絢辻「こんな事考えてるあたしって…嫌…かな?」
唯「ううん」
唯「私も…つかさちゃんと一緒にいたい
ずっと守ってあげたい……」
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:54:19.33 ID:mkoUo5+M0
絢辻「………」
唯「………」
絢辻「………」
唯「……好き…だよ?」
絢辻「………」
唯「私つかさちゃんの事が大好き……」
絢辻「………」
唯「………」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/27(土) 00:56:50.20 ID:mkoUo5+M0
絢辻「今…唯がしたい事当ててあげよっか?」
唯「うん」
絢辻「…キス…でしょ?」
唯「…ん………」
絢辻「はっ……んむ……」
―――
――
―
もう、怖くないよ
強がりなんかじゃない、本当だよ
自分に偽り無く、真っすぐ生きていく事ができる
だってね
やっと自分の居場所を見つけたんだもん
終わり