1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:44:35 ID:BlXLUHWU
P4とISのクロスオーバーですが、厳密にはP4風味のIS SS、という感じです。
転校してくるのは、ゲームクリア時のハイスペック能力を持った
アニメ版の番長…と、思ってください。
注意事項
1) P4に関しては、ネタバレが多少あります(PS2版)。
2) >>1独自のIS戦術理論で展開しますが、ぐっとこらえて見てください。
3) 番長の専用機の詳しいスペックは 後々語られます。
4) P4を知らなくても読める…かと思いますが、
P4を知っていると更に楽しめるかと…。
5) >>1はISを、アニメでしか知らない。
以上です。 それでは、始めます。
少し長いので、数日がかりで投下します。
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:45:55 ID:BlXLUHWU
-2組の教室-
??「はじめまして。 鳴上 悠です」
モブ子「ふわあ…、ほ、ホントに男の子だぁ…」
モブ美「これで1組の織斑君、『世界唯一の』って言うブランドは消えたのね」
モブ枝「それにしても背、高いね…。 落ち着いた感じだし、一年生に見えない」
鈴「………」
鈴(ふうん…。 カッコいいけど、一夏の方がいいな、やっぱ)
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:47:02 ID:BlXLUHWU
2組の先生「ええと…鳴上君、何か一言ありますか?」
鳴上「……」
鳴上「俺は、落ち武者じゃ ありませんので」
ズコーーーー!!
鈴(……な、なんか変わった奴ね)
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:48:11 ID:BlXLUHWU
-昼休み・食堂-
鈴「…って 感じの奴だった」
一夏「……? 何かのギャグなのか? それ」
鈴「知らないわよ、そんな事」
鈴「どこかの地方出身って言ってたから、そこで流行ってたんじゃないの?」
一夏「まあとにかく、合同授業が楽しみだな。 早く手合わせをしてみたい」
一夏「…正直、男にとって肩身が狭いからな…IS学園は」
鈴「聞き捨て ならないわね…。 もっと幸せに思いなさいよ!」
一夏(……これだもんなあ)
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:49:17 ID:BlXLUHWU
-2組・IS実習授業-
鈴「……へえ、あんたも専用機持ちなの」
鳴上「……?」
鈴「ああ、ごめん。 あたし鳳 鈴音。 鈴、でいいわ」
鳴上「鳴上 悠だ」
鈴「悠って、呼んでもいいかしら?」
鳴上「かまわない」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:50:02 ID:BlXLUHWU
鳴上「……鈴も専用機持ちなのか?」
鈴「そうよ。 そして中国の代表候補生」
鳴上「すごいな」
鈴「まあね。 でさ、一つ手合わせしてみない?」
鳴上「俺はまだ、乗り始めたばかりだが……。 かまわないか?」
鈴「ふふん、ちゃんと手加減してあげる」
鳴上「助かる」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:50:52 ID:BlXLUHWU
鈴「甲龍!」 スウウウウンッ!
鳴上「………」 スチャ…(メガネ装備)
鳴上「イザナギ!」 スウウウウンッ!
鈴「……?」
鈴「……なんでメガネをかけるの? 目が悪いの?」
鳴上「そうじゃないが…」
鈴「ないが?」
鳴上「ハイカラだろ?」
鈴(………いまいちキャラが、つかめないわね)
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:51:44 ID:BlXLUHWU
鈴「じゃあ、始めていいかしら?」
鳴上「かまわない」
鈴「…はあああっ!」
ガキン! ガァン!
鳴上「………」
鈴「………」
鈴(……何? こいつ?)
ギギンッ! ゴアンッ!
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:52:35 ID:BlXLUHWU
鳴上「……」
鈴(…武装は、白式の雪片二型に似た 近接武器のみ、かしら…?)
鈴(それにしても…。 確かにISの扱いは、つたないけど…)
鈴(なんなの? この落ち着き様は…?)
鳴上「……」
ガァンッ! ギガンッ!
鈴「悠!」
鳴上「?」
鈴「…悪いけど、少し本気を出してもいいかな?」
鳴上「……」
鳴上「わかった」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:53:28 ID:BlXLUHWU
鈴「……じゃあ、いくわよ! 龍砲!!」 ドオンッ!
鳴上「!?」
ボゴンッ!!
鳴上「ぐあっ!」
鈴(……まともに食らった!?)
鳴上「……くっ!」
鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ
鈴「!? 爆弾!?」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:54:13 ID:BlXLUHWU
バリバリバリバリッ!!
鈴「ああああっ!! ス、スタン・グレネード!!」
鳴上「今だ!!」
鈴「くっ…!!」
ガアアアアンッ!!
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:55:34 ID:BlXLUHWU
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鈴「……あんた、何者なの?」
鳴上「…ただの高校生だが?」
鈴「…う~ん、上手く言えないけど悠の動きは、とても素人とは思えない」
鈴「戦い慣れしてる? 感じだった……」
鳴上「……でも結果は、俺の負けだ」
鈴「…まあ、そうだけど」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:56:20 ID:BlXLUHWU
鳴上「ありがとう、得るものの大きい戦いだった…」
鈴「…どういたしまして」
鳴上「良かったら また手合わせしてくれ」
鈴「ええ、いいわよ」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:58:36 ID:BlXLUHWU
-放課後・談話室-
セシリア「で、どうですの? 噂の転校生さんは?」
鈴「ん? まあ悪い奴じゃないと思うわ。 変わってる所はあるけど」
箒「変わってる? どんな風に?」
鈴「そうね…。 誰か『ペルソナ』って言葉知ってる?」
ラウラ「………知らないな」
シャル「確か……心理学用語じゃなかったかな?」
鈴「ふうん…。 その心理学用語?の『ペルソナ』を やたらと使うのよ」
鈴「あたし達で言うなら、『えいっ!』とか『とうっ!』みたいにね」
箒「………確かに変わってるな」
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 17:59:53 ID:BlXLUHWU
ラウラ「強さはどうだ?」
鈴「ISの扱いは、まだまだって感じ。 でも…」
セシリア「でも?」
鈴「…妙に落ち着き払っていて、ケンカ慣れしてる様な気がするの…」
シャル「へえ? チラッと見たけど、そんな風には見えなかったよ?」
鈴「そうなのよね…。 まあ見た目で判断しちゃ、いけないのかも」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:01:09 ID:BlXLUHWU
-夜・IS学園寮・一夏の部屋-
鳴上「鳴上 悠です」 ペコリ
一夏「おう、同室の織斑 一夏…です」 ペコリ
一夏(……な、なんか大人びた同級生だな?)
一夏「…まあ堅苦しい挨拶はこれぐらいにして、俺の事は一夏、と呼んでくれ」
鳴上「わかった、一夏。 俺の事も、好きに呼んでくれてかまわない」
一夏「そっか。 じゃあ…悠、と呼んでもいいか?」
鳴上「ああ」
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:02:10 ID:BlXLUHWU
一夏「悠は専用機持ちらしいけど……、どういう経緯でIS学園に?」
鳴上「………………」
一夏「……? 悠?」
鳴上「……多分、言っても信じてくれないと思うが」
一夏「お、おう」
鳴上「突然、空からニンジンの形の」
一夏「なるほど…よく分かった」
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:03:36 ID:BlXLUHWU
鳴上「…まだ導入部だぞ?」
一夏「…そのニンジンの形した輸送ポッドの中から」
一夏「ウサ耳をつけたメイド服の女性が出てきて」
一夏「『おおう! いっくんの他に男性のIS適正者発見!! さ、一緒に来て~!』と言われ」
一夏「有無を言わさず、専用のISを渡されたあげく…」
一夏「いつの間にかIS学園の転入が決まっていた、と」
鳴上「……………………」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:05:16 ID:BlXLUHWU
鳴上「……見てたのか?」
一夏「単なる推測だよ」
鳴上「台詞も一言一句、間違いなかったぞ?」
一夏「そりゃどうも…」
鳴上「…知り合いなのか?」
一夏「ああ、幼馴染のお姉さんなんだ」
鳴上「そうなのか…」
一夏「………はあ」
鳴上「……………」
鳴上(…そっとしておこう)
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:06:23 ID:BlXLUHWU
-翌日・昼休み・食堂-
一夏「悠! ここで食わないか?」
鳴上「…いいのか?」
シャル「どうぞ、歓迎するよ」 ニコ
シャル「あ、自己紹介がまだだったね?」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:07:11 ID:BlXLUHWU
シャル「ボクは、シャルロット・デュノア。 フランスの代表候補生」
鳴上(…ボク?)
セシリア「わたくしはセシリア・オルコット。 イギリスの代表候補生ですわ」
鳴上(いかにも、な、お嬢様…)
ラウラ「私はラウラ・ボーデヴィッヒ。 ドイツ代表候補生だ」
鳴上(…眼帯)
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:08:04 ID:BlXLUHWU
箒「私は篠ノ之 箒。 代表候補生ではないが、専用機持ちだ」
鳴上(この娘が、篠ノ之博士の妹さん)
鳴上(一夏との幼馴染か…)
鈴「あたしは、知ってるよね? 悠」 クス
鳴上「もちろん」 クス
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:08:52 ID:BlXLUHWU
鳴上「俺は、鳴上 悠。 よろしく」
鳴上「それにしても、そうそうたるメンバーだ…」
一夏「ああ、多国籍IS専用機持ちばかりだ」
一夏「でもみんな、いい奴だぜ? 気兼ねしないでくれ」
鳴上「わかった」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:09:42 ID:BlXLUHWU
セシリア「鈴さんから お聞きしましたけど、変わった掛け声をなさるとか…」
鈴「ちょっ…、セシリア!」
セシリア「あ…ごめんなさい」
鳴上「いや、気にしないでくれ。 …色々あって、口癖になってしまったんだ」
ラウラ「心理学用語…なのだろう?」
鳴上「響きが、ハイカラだろ?」
箒(ずいぶん古風な 言い回しをするのだな…)
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:10:41 ID:BlXLUHWU
シャル「専用機の名前もかっこい…ハイカラだね」
箒「イザナギ、だったな。 イザナギのミコト…日本の神の名前だ」
鳴上「ああ、自分でも気に入ってる」
鳴上「篠ノ之博士に 名前を付けていいと言われて、命名した」
一夏「さ、みんな、質問はそれくらいにして飯にしようぜ!」
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:12:38 ID:BlXLUHWU
-数日後・IS学園・第一アリーナ・1組2組合同実習-
千冬「…転校生の 鳴上 悠 か」
鳴上「はい」
千冬「……束に気に入られた様だが、大丈夫か?」
鳴上「…?」
千冬「…まあいい」
千冬「よし、それでは…織斑、鳴上と模擬戦をやれ」
一夏「おしっ! わかりました」
鳴上「よろしくな、一夏」
一夏「こっちこそな、悠」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:13:40 ID:BlXLUHWU
鳴上「……」 スチャ…(メガネ装備)
鳴上「イザナギ!」 スウウウウンッ!
一夏「白式!」 スウウウウンッ!
鳴上「行くぞ… 一夏」
一夏「ああ…、いつでもいいぞ」
鳴上「はあああああっ!!」
ガキンッ!! ガアンッ!!
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:14:21 ID:BlXLUHWU
千冬(………)
箒(………)
セシリア(………)
シャル(………)
鈴(………)
ラウラ(………)
キンッ!! ガァンッ!!
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:15:07 ID:BlXLUHWU
千冬「……篠ノ之、どう見る?」
箒「…ISに乗っていなければ」
箒「一夏に…勝ち目はないでしょう」
セシ・ラウ・シャ・鈴「「「「…!?」」」」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:16:58 ID:BlXLUHWU
千冬「同感だな。 鳴上の動きは、実戦をくぐり抜けてきた者の動きだ」
千冬「俗に人、一人を切れば、初段の腕、と言うが、」
千冬「鳴上の動きは、まさにそれだ」
箒「型にはまらない我流の動きだが…、間合いの取り方が素人のそれではない」
千冬(…だが、気になるのは『何』と戦って来たのか? ということだ)
千冬(動きから、まるで人ならざる者との戦いを 想定しているように見える…)
千冬(束め…どこからこんな逸材を…)
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:18:20 ID:BlXLUHWU
鳴上「…ペルソナ!」 ポウ ポウ
一夏(来た!…鈴の言っていた、小型のスタン・グレネード!!)
一夏「その手は、食わないぜ!」 回避行動
カッ!!!
一夏「!? ま、眩し…!!」
鳴上「はあああああっ!!」
バゴオオンッ!!
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:19:58 ID:BlXLUHWU
-授業終了後・男子更衣室-
一夏「……負けたぜ」
鳴上「油断したな」
一夏「ちえ…、スタン・グレネードじゃなくて フラッシュ・グレネードとはな…」
鳴上「だが一夏の零落白夜は、凄い武器だ」
鳴上「俺の勝利は、紙一重にすぎない」
一夏「ま…白式には、それしかないけどな」
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:20:43 ID:BlXLUHWU
鳴上「一夏は、きっと強くなれる。 大丈夫だ」
一夏「ああ、これからさ」
一夏「…次は負けないぜ?」
鳴上「その意気だ」
ハハハ…
一夏(うん…、こういう会話 すげー久しぶり。 楽しいな)
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:27:37 ID:BlXLUHWU
-放課後・IS学園寮・ロビー付近-
鈴「一夏! 今度の休み、空いてる?」
一夏「ん? ああ、空いてるが?」
鈴「そ! じゃあさ! 一緒に映画を見ない? タダ券二枚あるの!」 ピラッ
一夏「へえ…。 お! 『山本五十嵐』じゃないか! この前、封切りしたばかりの…」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:28:28 ID:BlXLUHWU
一夏「……って、これ硬派な戦争映画だぞ?」
鈴「あ、あたしは、一夏と見れれば文句はないわ!」 ///
一夏「う~ん…。 鈴には、退屈だと思うけどなあ。 男じゃないとわからないぞ? こういうの」
鈴「…別に構わないって」
一夏「けどなあ…」
鈴「……もういい! だったら券はあげるから、悠とでも見に行けば!!」 フン!
一夏「!? お、おい鈴!?」
一夏「………なんだよ、ったく」
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:29:24 ID:BlXLUHWU
-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「……という事があってな」
鳴上「………」
一夏「なんで鈴が怒ったのか、わからない」
鳴上(…本当にこんな奴が、存在するんだな)
一夏「やっぱり謝るべきかな?」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:30:17 ID:BlXLUHWU
鳴上「…止めておいた方がいいと思う」
鳴上「むしろ今回の事に礼を言った上で、別の休みに鈴好みの映画を見に行くか…」
鳴上「もしくは…二人で、どこかに出かける約束をしたらいいと思う」
一夏「…そうなのか?」
鳴上「多分だが……きげんは治ると思う」
一夏「そうか! よし、明日にでも鈴に伝えよう!」
鳴上(その前に根本的な所が、ダメダメな気がする……)
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:31:28 ID:BlXLUHWU
-次の日・休み時間・廊下-
一夏「鈴!」
鈴「……何よ」
一夏(うっ…。 露骨に怒っていらっしゃる…)
一夏「き、昨日のタダ券、ありがとうな」
一夏「それで、そのお礼…と言っちゃなんだが、この次の 次の休みに」
一夏「どこか出かけないか?」
鈴「……ふえっ!?」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:32:20 ID:BlXLUHWU
鈴「…………」
鈴「…ホント?」
一夏「ああ、本当だとも! 鈴が見たい映画があれば、一緒に見に行くし」
一夏「ないなら、買い物でも遊園地でも付き合うぜ?」
鈴「ホ、ホントにホント!?」 ///
一夏「本当だって」
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:33:36 ID:BlXLUHWU
鈴「ふ、二人だけ、で!?」 ///
一夏「おう、もちろん!」
鈴(や、やたっ! い、一夏と デ、デートの約束!) ///
鈴「しょ、しょうがないわね! 付き合ってあげるわ!」 ///
一夏(…すげえ、悠の言う通りにしたら、きげんがすんなり治った!)
一夏(休みは減ったけど…)
一夏(悠……頼りになるぜ!)
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:34:55 ID:BlXLUHWU
-授業中・2組教室-
鈴(んふふ~、デート。 一夏とデート!) ニコ ニコ
モブ子(……なんか気持ち悪いわね、鳳さん) ヒソヒソ
モブ美(休憩終わってからずっと、ああだもんね…) ヒソヒソ
モブ枝(何があったのかしら…?) ヒソヒソ
鳴上(……一夏、上手くいったようだな) ヤレヤレ…
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:35:58 ID:BlXLUHWU
-昼休み・屋上-
鳴上「……ふう」
シャル「……あれ? 鳴上くん?」
鳴上「……? デュノア?」
シャル「どうしたの? お昼食べたら、急用とか言って」
シャル「すぐに食堂から出て行っちゃったと思ったら…」
シャル「こんな所にいるなんて…」
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:37:05 ID:BlXLUHWU
鳴上「……なんとなく居心地が悪くて」
シャル「…そっか」
シャル「鈴…なんかテンション高かったし、そのせいかな…?」
鳴上「………?」
シャル「……ボクも、ちょっと居心地、悪くて、ね。 空気を吸いに」 テヘへ
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:37:52 ID:BlXLUHWU
鳴上(……まさか)
鳴上「デュノアは…、一夏の事が好きなのか?」
シャル「……うん、好き」
シャル「って、わかるよね? 普通…」
鳴上「恐ろしいまでの鈍感力だ…」
シャル「あそこまでいくと才能だよ…ホント」 フウ…
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:38:54 ID:BlXLUHWU
鳴上「……気持ちは伝えたのか?」
シャル「……ううん」
鳴上「なぜ、伝えない?」
シャル「……いろいろアピールしてダメだったし」
シャル「ボクには、家庭の事情もあって」
シャル「今の関係が壊れるのが…怖いの」
鳴上「…………」
鳴上「いいのか? それで?」
シャル「……わかってるよ、そんな事」
鳴上「…………」
鳴上(あまり、口を出さない方が いいのだろうけど…)
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:40:50 ID:BlXLUHWU
鳴上「……少し、独り言を言っても かまわないか?」
シャル「……どうぞ」
鳴上「……ある人物が、恋をしていた」
鳴上「寝ても覚めても…と、いうわけではなく その想いは、ほのかなものだった」
鳴上「…でも、突然その想い人は亡くなってしまう」
シャル「……!」
鳴上「もちろん、そいつは悲しんだ…。 それは事実だ。 でも…」
シャル「…………」
鳴上「ある時、気が付いてしまった」
鳴上「想い人が亡くなった事よりも」
鳴上「想い人が亡くなって、自分はなんて可哀想なのだと 酔っている自分に……」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:41:44 ID:BlXLUHWU
シャル「……何が言いたいの?」
シャル「ボクが…自分を哀れんで 喜んでいる、とでも言いたいの!?」
鳴上「……………」
鳴上「違うのか?」
シャル「!!」
パァンッ!!
シャル「違う! ボクは……ボクは、そんな事 思っていない!!」 ダッ
タッ タッ タッ…
鳴上(……………)
鳴上(……言い過ぎた、かな)
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:44:40 ID:BlXLUHWU
-放課後・IS学園寮・談話室-
セシリア「あら…鳴上さん、ごきげんよう」
鳴上「…オルコット」
セシリア「…? どうかなさいましたの? その頬」
鳴上「そっとしておいてくれ……」
セシリア「はあ……」
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:46:29 ID:BlXLUHWU
セシリア「それにしても…」
鳴上「?」
セシリア「鈴さん……気持ち悪いくらい上機嫌でしたけど…」
セシリア「鳴上さん、何かご存知ありませんこと?」
鳴上「……いや」
セシリア「そうですの…。 まあおそらく、一夏さんがらみでしょうけど…」 フウ…
鳴上(…………)
鳴上(……まさか)
鳴上「もしかして…、オルコットも一夏が好きなのか?」
セシリア「!! ……えと…その…、はい」 ///
鳴上「…そうか」
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:48:04 ID:BlXLUHWU
セシリア「………」
セシリア「鳴上さん、『も』って言う事は、どなたかにも同じ質問を?」
鳴上「………デュノアに」
セシリア「……ははあ、その頬はシャルロットさんが?」
鳴上「……少し、言い過ぎて」
鳴上(ひょっとして…。 一夏と親しそうにしている女子全員…)
鳴上(…ありうるな)
鳴上「一夏は……誰かと付き合っていたりするのか?」
セシリア「わたくしの知る限りでは…いないと思います」
鳴上「……それはそれで凄いな」
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:49:59 ID:BlXLUHWU
鳴上「オルコットは…」
セシリア「はい?」
鳴上「……いや、なんでもない」
セシリア「…どうして告白しないのか? ですか?」
鳴上「…!」
セシリア「……実を言うと、わたくしにもよく分からないのです」
セシリア「一夏さんをお慕いしているのは…間違いありません」
セシリア「わたくしは 精一杯淑女として一夏さんに接していると、自信もあります」
セシリア「……ですが、何かが足りない様な気がして…」
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:50:59 ID:BlXLUHWU
鳴上「…………」
鳴上「知り合いの話をしてもいいか?」
セシリア「……はい。 かまいませんわ」
鳴上「…そいつは普通だった」
鳴上「俺と…なんら変わらない、健全な高校生」
鳴上「だがそいつは、家名を継ぐという 見えない鎖で繋がれていた」
セシリア「…………」
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:51:54 ID:BlXLUHWU
鳴上「しかし……ある日、唐突にその鎖が外された」
鳴上「俺は、そいつの継ぐべき家名を汚さない努力を、それなりに見てきた」
鳴上「見た目は平静を装っていたが…」
鳴上「落胆しているのは、手に取るようにわかった」
セシリア「…………」
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:52:42 ID:BlXLUHWU
鳴上「…オルコットも同じじゃないのか?」
セシリア「!?」
鳴上「自分のやってきた事を、これまでを」
鳴上「一夏に否定されるかもしれない、と思っているんじゃないのか?」
セシリア「なっ……!?」
セシリア「そんな事…そんな事、ありませんわ!!」
セシリア「あなたなどに、わたくしの何がわかるとおっしゃるの!?」
鳴上「………」
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:53:25 ID:BlXLUHWU
セシリア「…不愉快ですわ。 失礼します!」 タッ
コッ コッ コッ…
鳴上「………」
鳴上「……またやってしまった」
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/14(土) 18:54:09 ID:BlXLUHWU
-同・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-
ラウラ「……シャルロット?」
シャル「………」
ラウラ(……何があったのだ?)
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:54:05 ID:4nXGrPXk
-翌日・昼休み・食堂-
一夏「あれ? 今日、セシリアとシャルは?」
箒「セシリアは、何か用事があると言っていた」
ラウラ「シャルロットは、気分がすぐれないそうだ」
一夏「そうなのか? セシリアはともかく、シャルは元気そうだったのに」
鈴「ふうん…」
鳴上「………」
63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:55:26 ID:4nXGrPXk
鳴上「……ごちそうさま」 ガタッ
一夏「? おい悠、まだいいじゃないか」
鳴上「…すまない、ISについて勉強したいんだ」
鳴上「なにしろ いきなりの転校だったからな。 しばらく図書室にこもろうと思って…」
一夏「…そういえば、寮でも勉強していたっけ」
鳴上「できるだけ早く学科に追いつきたくてな…」
一夏「わかった…じゃあな」
鳴上「ああ…」
ラウラ「…………」
64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:57:33 ID:4nXGrPXk
-同・図書室-
鳴上「…………」 カリカリ…
ラウラ「鳴上」
鳴上「?」
鳴上「……ボーデヴィッヒ」
ラウラ「少しいいか?」
鳴上「…ああ」
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 07:58:54 ID:4nXGrPXk
ラウラ「昨日からシャルロットの様子が、おかしいんだ」
ラウラ「何か知らないか?」
鳴上「………多少は」
鳴上「俺にも責任がある…」
ラウラ「…詳しく話せ」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:00:18 ID:4nXGrPXk
----------
鳴上「……という話をしたんだ」
ラウラ「それは…シャルロットを侮辱したのか?」
鳴上「その意図はない」
鳴上「……ただ、感じた事を言ったまでだ」
ラウラ「…………」
鳴上「…………」
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:01:01 ID:4nXGrPXk
ラウラ「…………」
ラウラ「シャルロットは……元気になるか?」
鳴上「乗り越えるべき壁を、乗り越えた時に」
ラウラ「………シャルロットしだい、か」
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:02:19 ID:4nXGrPXk
ラウラ「ところで鳴上」
ラウラ「……私は一夏を嫁にする、と本人に伝えているが」
ラウラ「これは告白になるか?」 ///
鳴上「…………えっ?」
ラウラ「だから、一夏に公衆の面前で『嫁にする』と宣言しているのだが……」 ///
鳴上「……………………」
鳴上「……いろいろツッコミたい事はあるが」
鳴上「おそらく一夏は……そう思ってない」
ラウラ「!? そ、そんな!?」
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:03:21 ID:4nXGrPXk
ラウラ「ク、クラリッサが言うには、これで一夏の『はあと』をがっちり掴めると!」
鳴上「………誰?」
ラウラ「私の副官だ」
ラウラ「さらに、止めにその時、唇も奪っている!」
ラウラ「そして、時折 裸で一夏のベッドにも潜り込んでいるぞ!」 ドヤッ!
鳴上(………この学び舎は、無法地帯か? それとも俺がおかしいのか?)
ラウラ「なあ、鳴上……」
鳴上「落ち着け」
ラウラ「う? ……うむ」
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:04:14 ID:4nXGrPXk
鳴上「……俺の意見を聞くか?」
ラウラ「………す、少し怖いが…聞きたい」
鳴上「…………」
鳴上「はっきり言ってボーデヴィッヒは、幼すぎる」
ラウラ「な!? …そ、それは仕方ないだろう!?」
ラウラ「発育には個人差というものが……」
鳴上「内面の事を言っているんだ」
ラウラ「……!」
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:05:53 ID:4nXGrPXk
鳴上「…俺には、小学二年生の従兄弟がいるが」
鳴上「それよりも幼く感じる」
ラウラ「…………」
鳴上「…事情があるのか?」
ラウラ「私は…試験管から生まれ、兵器として育てられた…」
鳴上「…………!」
ラウラ「皆の様な教養など、受けていない……」
ラウラ「だから、人から聞き、教えられた事でしか 自分の気持ちを表現できない」
ラウラ「私には、あれが精一杯なんだ……」
鳴上「…………」
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:07:48 ID:4nXGrPXk
鳴上「………俺の知り合いに、自分を探し続けた奴がいる」
ラウラ「…………」
鳴上「探して…探して…、傷ついて。 それでも探し続けて…」
ラウラ「…………」
鳴上「ある日…俺の前から突然消えた」
ラウラ「…死んだのか?」
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:08:40 ID:4nXGrPXk
鳴上「いや、二、三日後にひょっこりと 帰ってきた」
ラウラ「むう?」
鳴上「………でもな」
鳴上「一回り大きく成長していた」
鳴上「ああ、物理的にって意味じゃない」
鳴上「精神的に……こう、吹っ切れていた、という意味だ」
ラウラ「…………」
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:10:09 ID:4nXGrPXk
ラウラ「何があったのか、知りたい」
鳴上「…自分を見つけたんだ」
ラウラ「…私をバカにしているのか?」
鳴上「そうじゃない。 そうとしか言えないんだ」
ラウラ「…っ! もういいっ! 聞いた私が愚かだった!」 ダッ
ツカ ツカ ツカ…
鳴上「…………」
鳴上(………またか) ハア…
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:11:57 ID:4nXGrPXk
-放課後・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「明日は休みだし、鈴にもらったタダ券の映画を見に行くつもりだが…」
一夏「悠、一緒にどうだ?」
鳴上「…すまない。 今週と来週の休日、2組の先生に補習授業をお願いしているんだ…」
一夏「……お前って、ホント勉強 好きだな」
鳴上「明日は雨だし、はかどると思う」
一夏「げっ、そうなのか!?」
鳴上「雨音を聞くと、集中出来るんだぞ?」
一夏「いや、そうじゃなくて、明日雨なのかよ!って事なんだけど……」
76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:14:27 ID:4nXGrPXk
-翌日・休日の雨天・朝・2組教室-
2組の先生「……ということです。 わかりましたか?」
鳴上「はい、絶対防御……。 凄い技術ですね」
2組の先生「そうですね、ここ数年の技術的進歩は」
2組の先生「産業革命以来の歴史的発展、と言われていますから……」
鳴上(…俺が今まで習ってきた、科学のレベルを完全に超えている)
2組の先生「それでは次に行きますね」
鳴上「はい」
77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:15:46 ID:4nXGrPXk
-昼・食堂-
鳴上「…………」 モグモグ…
箒「鳴上。 ここ、いいか?」
鳴上「篠ノ之…」
鳴上「どうぞ」
箒「…鳴上は、部活動に興味あるか?」
鳴上「…? 勧誘か?」
箒「まあな…」
箒「この前の一夏との模擬戦を見て、剣道部はどうかと思って」
鳴上「……考えておく」
箒「そうか……。 ぜひ、前向きに検討してみてくれ」
78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:17:03 ID:4nXGrPXk
鳴上「……篠ノ之は今日、部活か」
箒「ああ、そうだ」
箒「鳴上は何をしている?」
鳴上「先生に頼んで補習授業をしてもらってる」
箒「ほう? 熱心だな。 一夏とは大違いだ」 クスッ
箒「一夏は最初、間違いとは言え 教本を捨ててしまってな」
箒「本当にどうしようもない奴で……」
79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:18:17 ID:4nXGrPXk
鳴上(……この流れは)
鳴上(やばい……!)
鳴上(しかし…俺は、食事を始めたばかり…)
鳴上(おまけに時間もまだまだ たっぷりある!)
鳴上(だがここは、勇気を振り絞って……!)
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:19:48 ID:4nXGrPXk
箒「そういえば、今日一夏は何をしているのだ?」
鳴上(くっ…! 先手を打たれた!)
鳴上「……映画を見に行く、と言っていた」
箒「な、なに!?」
箒「そんな話、初耳だぞ!? だ、誰と行くつもりか、聞いてないか!?」
鳴上「いや、誘われたんだが俺は 補習があるから断った」
鳴上「中学時代の友達……弾? とかいう奴を誘ったと……」
箒「…そ、そうか」
鳴上(…わかりやすすぎる)
鳴上(あきらめよう……) ハア…
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:21:09 ID:4nXGrPXk
鳴上「…篠ノ之は、一夏の事が好きなんだな?」
箒「ななななななっ!? なな、なにを言って!?」 ///
鳴上「…わざとやっているのか?」
箒「そ、そんなわけあるか! お前が変な事を言うからだ!」 ///
鳴上「落ち着け…」
箒「ぐっ…む…」 ///
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:22:06 ID:4nXGrPXk
箒「…………」 ///
箒「そ……そんなに」 ///
箒「バレバレか?」 ///
鳴上「……かなり」
箒「~~~~~っ!」 ///
鳴上「落ち着け」
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:23:12 ID:4nXGrPXk
鳴上「…もう告白したらどうだ?」
箒「い、いまさら……できない」 ///
鳴上「なぜ?」
箒「……は、恥ずかしいからに決まっているだろう!?」
鳴上「…………」
鳴上「それでいいのか?」
箒「良いも悪いも……無い」
箒「……臆病なんだ、私は」
鳴上「…………」
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:23:55 ID:4nXGrPXk
鳴上(また……きげんを損ねるかな?)
鳴上(……まあいいか)
鳴上「俺の知り合いに、音楽の好きな女の子がいるんだが…」
箒「…? なんだ? いきなり?」
鳴上「…とりあえず、聞いてくれ」
箒「……む」
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:25:02 ID:4nXGrPXk
鳴上「その娘は、音楽が人を幸せにすると、一途に信じていて…」
鳴上「吹奏楽部でトロンボーンを使っていた」
箒「…………」
鳴上「本当はフルートを吹きたかったそうだが…」
鳴上「経済的な理由で、元々家にあったトロンボーンを 使うようになったそうだ」
箒「…………」
鳴上「小柄なその娘に トロンボーンは大きすぎて、扱いづらそうだった」
鳴上「……でも、彼女は必死に練習した」
鳴上「失敗して、笑われる事を 恐れながらも…な」
箒「…………」
86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:26:02 ID:4nXGrPXk
鳴上「篠ノ之は…一夏の事で、どんな努力をした?」
箒「!!!」
鳴上「一夏に想いを寄せながら…何をした?」
鳴上「ただ、振り向いてくれるのを待っている様だが…」
鳴上「自分ではない誰かが 一夏のそばにいないか、そればかり気にしている…」
鳴上「……滑稽だ」
箒「黙れ!!!」 ガタッ!
87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:27:04 ID:4nXGrPXk
鳴上「…………」
箒「お前に・・・! お前なんかに、私の何がわかる!?」
鳴上「…………」
箒「…………っ」
箒「………くそっ!!」 タッ
ツカ ツカ ツカ…
鳴上「…………」
鳴上(…やっぱり 怒らせてしまった) ハア…
88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:29:19 ID:4nXGrPXk
-夕方・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
鳴上「おかえり」
一夏「おう、ただいま! 悠!」
鳴上「…? なんだ、その荷物?」
一夏「これか? フッフッフッ…じゃーん!」 バッ!
鳴上「………プラモデル?」
一夏「ああ! 映画に出てきた、戦闘機や戦艦だ!」 ニカッ
鳴上「……買いすぎじゃないか?」
一夏「ああ…。 いきおいって怖いな…」 ズーン…
89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:30:35 ID:4nXGrPXk
一夏「悠も作らないか? 金は いらないから」
鳴上「気が向いたらな」
一夏「おう、待ってるぜ!」
一夏「じゃあさっそく、零戦、いってみるか!」 ガサゴソ…
鳴上「…………」
90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:31:36 ID:4nXGrPXk
-翌日の休日・朝・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
鳴上「………ふあ」
鳴上(……もう起きないと)
鳴上「…そうだ、テレビ」 ピッ
アナタノ、テレビニ、ジカネットタナカ~
ミ、ン、ナ、ノ、ヨクノトモ!
鳴上(…………)
鳴上(今日は、欲しいものは無かったな) ピッ
91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:32:12 ID:4nXGrPXk
鳴上「おい、一夏」
一夏「…………ん」
鳴上「そろそろ起きないと、鈴との約束 間に合わなくなるぞ?」
一夏「……ん、ふあああっ………」
一夏「もう…そんな時間か…」
92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:33:21 ID:4nXGrPXk
鳴上「……三機も作ったのか」
一夏「ん…ついついな…」
一夏「零戦作ったら 九九艦爆と、九七式艦攻も作って…」
一夏「真珠湾攻撃を再現したくてなあ…」 ボリボリ…
鳴上「……一夏、シャワーぐらいは浴びて行けよ?」
一夏「ん~…わかってる」
一夏「目を覚ます為にも浴びるさ…」
鳴上「しっかりしろよ? ……じゃあな」
93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:34:20 ID:4nXGrPXk
-昼過ぎ・IS学園・中庭付近のベンチ-
鳴上(…よし、ISの基本構造と概要はだいたい理解できた) セノビー…
鳴上(後は復習して、よりしっかり覚えよう……)
鳴上(…………ん?)
鳴上(……鈴?)
鳴上(一夏はどうしたんだ? ……それに帰って来るには、随分早い)
鳴上(…………)
94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:35:23 ID:4nXGrPXk
鈴「あ………。 悠……」
鳴上「…やあ」
鈴「何してんの?」
鳴上「補習の後、昼を食べて くつろいでいる」
鈴「そっか…、そういやお昼 まだだっけ…」
鳴上「…………」
鳴上「………一夏は?」
鈴「…!」
鈴「……もう知らない! あんな奴!!」 ダッ
タッ タッ タッ…
鳴上「…………」
鳴上(一夏、何かやらかしたな)
95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:36:22 ID:4nXGrPXk
-夕方・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「…ただいま」
鳴上「…おかえり」
鳴上「……鈴、先に帰ってきてた」
一夏「…知ってる」
鳴上「……何があった?」
一夏「映画見てて…爆睡しちまった」
96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:37:30 ID:4nXGrPXk
鳴上「…………」
鳴上「ひょっとして」
鳴上「今まで…か?」
一夏「返す言葉もありません……」
鳴上「今すぐ謝って来い」
一夏「…帰ったその足で 真っ先に鈴の部屋に向かったよ」
一夏「………会ってもくれなかった」
鳴上「……………………」
97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:38:48 ID:4nXGrPXk
鳴上「一夏……」
一夏「ん?」
鳴上「今日の鈴を見て……何か感じた事はあるか?」
一夏「感じた事?」
一夏「そうだな……」
一夏「私服だったな。 そういえば、いつもより可愛かったような…」
一夏「後は…テンションが、やたら高かったけ……」
一夏「う~ん…、それぐらいかな…」
98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:39:46 ID:4nXGrPXk
鳴上「………そうか」
一夏「なんだよ、いったい……?」
鳴上「俺が見た限りでは…かなり気合が入っていた」
一夏「気合?」
鳴上「まず……、リボンが違っていた。 服に合うものを選んだのだろう」
鳴上「化粧も多少濃かったし…、いつもはしていない 口紅をしていた」
鳴上「……きっと、今日という日を 楽しみにしていたのだろう」
一夏「…………」
99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 08:41:22 ID:4nXGrPXk
鳴上「一夏は、鈴に対して何か気を使ったか?」
一夏「…………いや」
鳴上「そうか…」
一夏「で、でも、鈴は友達で…気の許せる相手で…」
鳴上「それに甘えた、と?」
一夏「!! そ、そんなつもりは!」
鳴上「…………」
一夏「…………」
一夏「…もう、飯食って、寝る」
鳴上「おやすみ」
103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:20:03 ID:4nXGrPXk
-????-
シャル「ボクは一夏の事が好き…」
シャル「でも…、ボクは妾の子…」
シャル「そんなボクが 一夏に告白なんて出来ない」
シャル「出来るわけがない…」
シャル「ああ…、ボクって、なんて不幸なんだろう……」
!?
104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:21:46 ID:4nXGrPXk
シャル「こんな不幸な星の元に生まれた僕を」
シャル「きっと一夏は放っておかない……」
…………
シャル「うふふ…きっと一夏は、僕を選んでくれる…」 アハハ…
シャル「不幸なボクを望んでいる…」
シャル「そうに決まっている…」 アハハ…
………違う
105: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:22:59 ID:4nXGrPXk
シャル「違う? なにが違うのかな?」
シャル「一夏がボクに優しくしてくれるのは、ボクが不幸だからだよ?」
シャル「ボクから不幸を取ったら……な~んにも無くなっちゃう!」 アハハ…
違う!
106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:24:03 ID:4nXGrPXk
シャル「違わないよ。 だって……」
シャル「キミはボク。 ボクはキミだもん」
シャル「なんだって知ってるよ……?」 アハハ…
違う…違う…! …違う!!
ボクはそんな事、思ってなんかいない!!
107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:25:02 ID:4nXGrPXk
シャル「そんな事言って…」
シャル「誰よりも不幸のぬるま湯が 好きなくせに……」 クスクス…
シャル「もっと自分に正直になりなよ!」 アハハ…
ち、違う!! キミなんて…キミなんて! キミなんて!!
ボクじゃないっ!!!!!!
108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:26:03 ID:4nXGrPXk
シャル「…………」
シャル「ふ…うふふ……」
シャル「あはははははははははははっ!!」
!!?
109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:31:28 ID:4nXGrPXk
シャル「我は影………真なる我………」
シャル「これからも……ボクは、汚れ続ける」
や…いや…やめて!!
シャル「不幸で在り続ける…。 一夏をモノにする為に…」 アハハ…
シャル「ISだって、ウソだって、体だって……、何だって使うんだから!!」 アハハ…!
いやああああああああああああっ!!!!
110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:32:59 ID:4nXGrPXk
-朝・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-
ラウラ「シャルロット!」
シャル「…ううっ………くうっ」
ラウラ「シャルロット!!」
シャル「……はっ!」
111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:33:44 ID:4nXGrPXk
ラウラ「大丈夫か? ずいぶん うなされていたぞ?」
シャル「………夢」
ラウラ「……シャルロット?」
シャル「……あ、ごめん、ラウラ」
シャル「…酷い夢を…見ちゃって」 フウ…
ラウラ「そうか…」
112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:34:37 ID:4nXGrPXk
-授業中・1組-
シャル(…鳴上くんのせいだ)
シャル(鳴上くんが、あんな事言うから…)
シャル(…………)
シャル(ボクは…あんな事…望んでなんか…)
シャル(…………)
113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:35:37 ID:4nXGrPXk
-昼休み・図書室-
シャル「…鳴上くん」
鳴上「! …デュノア」
シャル「一夏に 多分ここだろうって聞いて…。 今…いいかな?」
鳴上「かまわない」
114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:38:04 ID:4nXGrPXk
シャル「この前はごめん…。 ひっぱたいちゃって…」
鳴上「…俺も言いすぎた」
シャル「……うん」
シャル「それで、ね。 この前の…『ある人』の話の続きを、ぜひ聞きたいんだ」
鳴上「…わかった」
鳴上「俺は、どこまで話した?」
シャル「……自分が可哀相だと、酔っている事に気づいたって」
鳴上「…そこからそいつは、自分を見つめ直す事を始めた」
鳴上「これまで自分の意思で取り組んできた事も」
鳴上「実は、単なる ごまかしでやってきた部分が あった事に気が付いた」
シャル「…………」
115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:39:07 ID:4nXGrPXk
鳴上「……俺は、そいつに言った」
鳴上「それが、お前のすべてじゃない」
鳴上「それを含めたすべてが、お前だ、と」
シャル「……!」
鳴上「俺の言葉がきっかけになったかは わからないが…」
鳴上「そいつは少しづつ、自分を理解して行くつもりだ、と言っていた」
シャル「…そう」
116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:40:23 ID:4nXGrPXk
シャル「今、その人はどうしてるの?」
鳴上「以前より明るくなって、毎日が楽しいと言ってる」 クスッ
シャル「…そっか」
シャル「ボクも…その人みたいになれるかな?」
鳴上「…………」
鳴上「デュノアが、あいつみたいに なることは無い」
鳴上「デュノアが デュノアのやり方で、デュノア自身と向き合えばいい」
シャル「ボクが…ボクのやり方で…」
117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:41:16 ID:4nXGrPXk
鳴上「…………」
鳴上「……そいつが、つぶやいた言葉がある」
鳴上「自分と向き合うって…難しいな…って」
シャル「……!」
鳴上「デュノアだけじゃない」
鳴上「俺も、そいつも、一夏も…」
鳴上「この学園にいる一人一人も、みんな」
鳴上「自分と向き合うことは、難しい事なんだ…」
118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:42:30 ID:4nXGrPXk
シャル「…………」
シャル「…………」
シャル「…………」 ホロリ
シャル「…………あれ?」
鳴上「…………」
シャル「どうして…ボク」
シャル「………泣いてるの?」
シャル「ふふ…変なの」 クスッ
鳴上「そんな事、ない」 ニコ
119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:43:34 ID:4nXGrPXk
シャル「…ありがとう、鳴上くん。 ボク…やってみるよ」
シャル「自分に向き合ってみる」
シャル「また…お話 聞かせてくれるかな?」
鳴上「もちろん」
シャル「じゃ…またね」
鳴上(デュノアの事が少し、わかった気がする…)
鳴上(デュノアの表情は どこか寂しげだが…目に輝きが灯った)
鳴上(…どうやら、デュノアの力になれた様だ)
120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:45:26 ID:4nXGrPXk
-放課後・屋上-
鈴「…………」
鈴「…………はあ」
鳴上「……鈴?」
鈴「………?」
鈴「悠…」
121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:46:16 ID:4nXGrPXk
鳴上「一夏から、おおよその事は聞いた」
鳴上「とても反省している…」
鈴「…………」
鳴上「…会ってやったらどうだ?」
鈴「…………」
鳴上「一夏の事が、好きなんだろう?」
鈴「!!」 ドキッ ///
122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:47:42 ID:4nXGrPXk
鈴「…………」
鈴「もう…わかんない」
鈴「あたしは 一夏の事…、好き…だと思う」
鈴「でも…一夏は…」
鳴上「…………」
鳴上「鈴は、一夏に気持ちを伝えたのか?」
鈴「……ううん」
鳴上「一夏が告白するのを待っている?」
鈴「あの超絶 朴念仁が、するわけ無いじゃない!」
鳴上「俺もそう思う」 クスッ
123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:48:44 ID:4nXGrPXk
鳴上「それだけ一夏の事を理解しているなら」
鳴上「後は、鈴しだい じゃないのか?」
鈴「…………」
鈴「あたしだって、そう思うわよ…」
鈴「昨日だって…そのつもりだった」
鳴上「…………」
124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:51:23 ID:4nXGrPXk
鈴「いい雰囲気になったら、自然な感じで…こ、告白しようって…」 ///
鳴上「…………」
鈴「……でも一夏は、いつも通りの一夏だった」
鈴「あたしなんか いろいろオシャレして、昨日をすごく楽しみにしてたのに…」
鈴「一夏は…一夏のままで、あたしだけ舞い上がって…」
鈴「なんだか バカバカしく思えちゃって…」
鳴上(一夏に軽く殺意を覚えるな…)
鳴上「でも…伝えるべき事は伝えないと」
鈴「今は…いい」
鳴上「………そうか」
125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:52:40 ID:4nXGrPXk
鳴上「…俺の親戚に」
鈴「………?」
鳴上「いや…家族に、不器用な生き方をしていた人がいる…」
鈴「うん…」
鳴上「その人には、小学生の一人娘がいたけど…」
鳴上「奥さんを…少し前に無くしたばかりだった」
鈴「…………」
126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:54:43 ID:4nXGrPXk
鳴上「突然に家族を亡くした、その人は…娘さんを ないがしろにしてた訳じゃないけど…」
鳴上「仕事の事もあって、どこか遠ざけていた…」
鈴「…………」
鳴上「…ある日、俺は その女の子にたずねられた」
鳴上「『本当のお父さんって、何?』って…」
鈴「…………」
鳴上「…俺は、とっさに答える事ができなかった」
鳴上「血が繋がってるって事だよ、と言うと」
鳴上「不思議そうな顔をされた…」
鈴「…………」
127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:56:40 ID:4nXGrPXk
鳴上「鈴も同じじゃないかな?」
鳴上「俺も驚いたけど、あの超絶 朴念仁に」
鳴上「一夏にわからせる為には、はっきり言う事が一番だと思う」
鈴「…………」
鈴「…簡単に言ってくれるわね」
128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:57:14 ID:4nXGrPXk
鳴上「…………」
鈴「今さらって感じもあるし、一夏の幼馴染って『友達』あつかいだし…」
鳴上「…………」
鈴「……でも」
鈴「その通り、だね…」 クスッ
129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:58:23 ID:4nXGrPXk
鳴上「鈴のペースで、やっていけばいい」
鳴上「あせる事は…」
鈴「それがあるの」
鈴「悠も見たでしょ? あのそうそうたるライバル達を」
鳴上「……確かに」
鈴「ふふ…とりあえず、一夏に会ってくる。 まずはそれから、だよね…」
鳴上「それがいい」
130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 12:59:51 ID:4nXGrPXk
鈴「…ところで、さっきの話に出てきた親子だけど…」
鈴「その後…どうなったの?」
鳴上「いろいろあったけど…」
鳴上「俺もふくめて『家族』になれた」 ニコ
鈴「そっか…」
鈴「良かった…」 ホッ…
鈴「じゃ、行って来るね!」 ニコ
鳴上「ああ…」
鳴上(鈴の声や表情は明るい…)
鳴上(鈴の力になれた様だ)
131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:03:28 ID:4nXGrPXk
-夜・IS学園寮・ラウラとシャルの部屋-
ラウラ「…シャルロット」
シャル「ん?」
ラウラ「ずいぶん機嫌が良い様だが、何かあったのか?」
シャル「う~ん…どうだろう? 良い事って言えるのかな…?」
ラウラ「?」
132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:04:14 ID:4nXGrPXk
シャル「…ボクは、嫌な自分がいる事に…」
シャル「ううん…そういう自分もボクだって、認めようって 思える様になったの」
ラウラ「……!!」
ラウラ「それは…」
ラウラ「自分を見つけた、という事か?」
133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:05:00 ID:4nXGrPXk
シャル「うん…ある意味では、そうかも」
ラウラ「ど、どうやって見つけたのだ!?」
シャル「…ラウラ?」
ラウラ「あ…、す、すまない…」
シャル「…………」
シャル「ボクだけで見つけたわけじゃないよ…」
シャル「鳴上くんと…話をして、気づけたの」
ラウラ「鳴上に…」
シャル「うん」
134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:05:49 ID:4nXGrPXk
-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「…悠」
鳴上「ん?」
一夏「鈴の事、ありがとうな」
一夏「おかげで、仲直り出来た」
鳴上「そうか…。 良かった」
135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:06:50 ID:4nXGrPXk
一夏「…なんかお前って、ホント凄いな」
一夏「その落ち着き様は、とても同級生とは思えないよ」
鳴上「…そうかな」
一夏「ああ、まるで…」
コン コン
ラウラ「…鳴上、いるか? 話がしたい…」
一夏「ラウラ? どうしたんだ、もうすぐ消灯時間だぞ?」
鳴上「明日じゃ ダメなのか?」
ラウラ「…そこをなんとか、頼む」
一夏「…………」
鳴上「…………」
136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:07:38 ID:4nXGrPXk
-同・IS学園・どこかの個室-
鳴上「…それで、何の話を?」
ラウラ「…うむ、その」
ラウラ「シャルロットが…自分を見つけた、と言っていて…」
ラウラ「それは…お前と話をしたからだと…」
鳴上「…………」
137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:08:18 ID:4nXGrPXk
ラウラ「………私は、ずっと気になっていた」
ラウラ「自分を探す?」
ラウラ「どういう意味だ?」
ラウラ「それじゃあ、今、ここに居る私は、何なんだ?」
鳴上「…………」
ラウラ「鳴上に言われてから…何がなんだか わからなくなって…」
ラウラ「………わからなくて…、怖くて…」
鳴上「…………」
138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:09:09 ID:4nXGrPXk
鳴上「ボーデヴィッヒ」
ラウラ「…! な、なんだ?」
鳴上「この前、俺はある人物が『自分』を見つけた、と言ったが…」
鳴上「あれは正確じゃない」
鳴上「正しくは…『自分の出生の秘密』を見つけた、だ」
ラウラ「……!」
139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:10:09 ID:4nXGrPXk
鳴上「そいつの為に、本当の事は話せないが…」
鳴上「そうだな……」
ラウラ「…………」
鳴上「ボーデヴィッヒは、日本の…いや、」
鳴上「第二次 世界大戦での日本の事を知っているか?」
ラウラ「……我がドイツ共々敗戦国だ」
鳴上「確かにそうだが…、一つ違う事がある」
鳴上「原子爆弾を使用された…」
ラウラ「…………」
140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:10:44 ID:4nXGrPXk
鳴上「…原爆はただの一発で軍人も民間人も、男も女も、大人も子供も」
鳴上「大勢殺した」
ラウラ「…………」
鳴上「もし……もし、だ」
ラウラ「…………」
141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:11:24 ID:4nXGrPXk
鳴上「その原爆の発射スイッチを 自分の親が押してたと仮定して」
鳴上「今、目の前で仲良く話している人物が、原爆で親を亡くしていたら」
鳴上「ボーデヴィッヒは、どんな気持ちになる?」
ラウラ「…私に 親はいない」
鳴上「…じゃあ尊敬できる人は?」
ラウラ「一人いる」
鳴上「その人がスイッチを押した、と仮定してみてくれ」
142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:11:58 ID:4nXGrPXk
ラウラ(教官が…殺戮兵器のスイッチを…)
ラウラ(…そして、目の前の人の血縁者が その犠牲者)
ラウラ(…………)
ラウラ(…………)
143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:12:43 ID:4nXGrPXk
ラウラ「……複雑な気持ちになった」
鳴上「それだけ?」
ラウラ「だって…そうだろう? 確かに忌むべき行為だが…自分の責任ではない」
鳴上「…相手は、そう思ってくれるだろうか?」
ラウラ「!!」
ラウラ「そ、それは…!」
ラウラ「…………」
144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:14:10 ID:4nXGrPXk
鳴上「…俺の話のそいつも、そういう悩みを抱え込んで」
鳴上「一時……姿を消したのだと思う」
ラウラ「…………」
鳴上「そいつが帰って来た時」
鳴上「自分の出生の秘密を明かしてくれた…」
鳴上「その上で…こう聞いてきた」
ラウラ「…………」
鳴上「『みんなのそばに、いてもいい?』って…」
ラウラ「…………」
鳴上「…………」
ラウラ「…………?」
145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:15:10 ID:4nXGrPXk
鳴上「…………」
ラウラ「お、おい、鳴上! ど、どうして黙る!?」
ラウラ「………ま、まさか」
鳴上「俺も含めて、みんな『あたりまえだ!』って言った」 ニコ
ラウラ「!!………そうか、良かった」 ホッ…
ラウラ「…って鳴上! 不必要に間を空けるな!」 プンプン!
鳴上「ハハハ……」
146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:16:17 ID:4nXGrPXk
ラウラ「…そいつは今、どうしてる?」
鳴上「元気に働いて、お金を貯めていると言っていた」
鳴上「何に使うつもりか聞いてみたけど、話してくれなかったな」
ラウラ「そうか…。 いつか会ってみたいな」
鳴上「…きっと喜ぶ。 ボーデヴィッヒみたいな可愛い女の子が」
鳴上「あいつは大好きだからな…」 クスッ
ラウラ「か、可愛い!? 私が!?」 ///
鳴上「もちろん」
147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:17:49 ID:4nXGrPXk
ラウラ「…結局、自分を探すには どうしたらいい?」
鳴上「…………」
鳴上「その前に、」
鳴上「ボーデヴィッヒは、一夏の事をどんな風に『好き』なんだ?」
ラウラ「……え?」
鳴上「『好き』にもいろいろある…」
鳴上「友達として『好き』、異性として『好き』、家族として『好き』…」
ラウラ「……そ、それは」
鳴上「答えなくていい。 考えてみるんだ」
148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:18:37 ID:4nXGrPXk
鳴上「誰かに意見を聞くのもいいが、あくまで参考程度にしておけ」
鳴上「自分で考えて、考えて、考え抜いて、はじめて」
鳴上「自分に…いや、」
鳴上「自分の一部に会えると…俺は思う」
ラウラ「…………」
149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:19:13 ID:4nXGrPXk
鳴上「…………」
鳴上「…あまり足しにならないか?」
ラウラ「…………」
ラウラ「……いや」
ラウラ「そんな事はない」 ニコ
鳴上「……そうか」
150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:19:55 ID:4nXGrPXk
ラウラ「ありがとう、鳴上」
ラウラ「私は、答えを出してみる」
ラウラ「…手間をかけた」
鳴上「…またな」
ラウラ「ああ。 またな」 ニコ
鳴上(突然だったボーデヴィッヒの訪問…)
鳴上(思いがけず、彼女を少し知る事ができた)
鳴上(どうやら、彼女の力になれた様だ…)
151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/15(日) 13:20:40 ID:4nXGrPXk
-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「…お帰り」
鳴上「…ただいま」
一夏「…何を話したんだ?」
鳴上「…悩みを相談された」
一夏「ど、どんな?」
鳴上「それは話せないが…俺なりのやり方を伝えた」
一夏「…そうか」
鳴上「…そろそろ寝よう」
159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:53:24 ID:58FkMhBI
-翌日の昼休み・食堂-
箒「…………」
箒「………む」
箒(鳴上…) チッ…
箒(…………)
箒(仕方ない、また夕食に一夏を誘うとしよう…) ハア…
箒(…鳴上め) クルッ
160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:54:14 ID:58FkMhBI
セシリア「…………」
セシリア「………あ」
セシリア(鳴上さん…)
セシリア(…………)
セシリア(あまり顔を合わせたくありませんわ…)
セシリア「………はあ」 クルッ
161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:54:54 ID:58FkMhBI
-同・購買部-
箒「…おにぎり弁当をくれ」
セシリア「サンドイッチセットを…」
箒・セシ「「!」」
箒「セシリア?」
セシリア「箒さん?」
162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:55:26 ID:58FkMhBI
-同・IS学園・中庭付近のベンチ-
箒「…………」 モクモク…
セシリア「…………」 モクモク…
箒「…………」 モクモク…
セシリア「…………」 モクモク…
163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:56:11 ID:58FkMhBI
箒「…何かしゃべったらどうだ? セシリア」
セシリア「…箒さんこそ」
箒「…いい天気、だな」
セシリア「…そうですわね」
箒「…………」 モクモク…
セシリア「…………」 モクモク…
箒・セシ(か、会話が続かない…)
164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:56:59 ID:58FkMhBI
セシリア「はあ…」
セシリア「最近、一夏さんと お話しておりませんわ…」
箒「…! セシリアもか?」
セシリア「…!? 箒さんも?」
箒・セシ「…………」
165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:58:00 ID:58FkMhBI
箒「…実は、鳴上と…その、顔を合わせたくなくて…」
セシリア「…! …わたくしもですわ」
箒「セシリアも? …という事は」
箒「鳴上に何か言われたのか?」
セシリア「!!」
セシリア「そ、それは、その…」
セシリア「…………」
セシリア「…箒さんも?」
箒「…ぐっ!! …その」
箒・セシ「「…………」」
166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 07:59:04 ID:58FkMhBI
箒「…ここは、だな、」
箒「奴の事を知る上でも、お互いが持っている情報を 交換すべきではないだろうか?」
セシリア「そ、そうですわね」
箒「…で、では、セシリアは、鳴上に何を言われたのだ?」
セシリア「なっ!? ず、ずるいですわ! 箒さん!」
箒「わ、私も必ず言う!」
セシリア「くっ…約束ですわよ…」
167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:00:05 ID:58FkMhBI
----------
箒「………………」
セシリア「………………」
箒(鳴上 悠…何者なんだ…)
セシリア(どうして数日前に、転校してきたばかりのお人が…)
箒(こうも的確に心を見透かせるのだ???)
セシリア(わけがわかりませんわ…)
168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:01:15 ID:58FkMhBI
箒「セシリア…」
セシリア「なんですの…?」
箒「お前の目から見て…、鳴上の私の評価は正しいと思うか?」
セシリア「…同じ事を わたくしもお聞きしたいですわ…」
箒「…………」
セシリア「…………」
169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:02:33 ID:58FkMhBI
箒「…やっぱりいい」
セシリア「…わたくしも」
セシリア「…………」
セシリア「わたくし、放課後に鳴上さんと会ってきますわ…」
箒「!…そ、そうか」
箒「わ、私は…どうするかな」
箒「…………」
箒「良かったら…その、経緯を話してくれ」
セシリア「…はい」
170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:06:32 ID:58FkMhBI
-放課後・屋上-
鳴上「…オルコット」
セシリア「あ…鳴上さん」
鳴上「話って?」
セシリア「……えと」
セシリア「前に、談話室でお話しした『お知り合い』の方は」
セシリア「どうなったのか、お聞きしたくて…」
鳴上「…………」
鳴上「俺はどこまで話した?」
セシリア「家名を継ぐ継がないで、ショックを受けていた、と…」
171: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:07:28 ID:58FkMhBI
鳴上「……あの後、あいつは」
鳴上「何もかもに やる気を無くした」
セシリア「…………」
鳴上「俺も、友達も」
鳴上「見ていて辛かったが…」
鳴上「見守る事しか出来ずにいた」
セシリア「…………」
172: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:08:30 ID:58FkMhBI
鳴上「ある日、俺達は、少し強引にバスケの試合に誘った」
鳴上「…汗を流す内にあいつは段々、目に輝きを戻して行った…が」
セシリア「……そ、それで?」
鳴上「…………」
鳴上「あいつは……自分の価値を無くす恐怖感に抗えず」
鳴上「…力尽きた」
セシリア「そんな…!」
173: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:11:24 ID:58FkMhBI
鳴上「でも」
セシリア「…!」
鳴上「ひとしきり泣いた後…」
鳴上「あいつは自分で立ち上がったよ」
鳴上「はにかみながら、『俺達のおかげだ』と、言ってくれたがな」 クスッ
セシリア「………ホッ」
セシリア「その方は今、どうされていますか?」
鳴上「正式に家名を継ぐ事になった、と連絡があって」
鳴上「この前、十も年の離れた人と お見合いをさせられた、って嘆いていた」 クスッ
セシリア「まあ…」 クスッ
174: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:12:39 ID:58FkMhBI
セシリア「…………」
セシリア「鳴上さん」
セシリア「わたくし、なんだか分かった気がします」
鳴上「…………」
セシリア「わたくしは…一夏さんを恐れてもいるのですね…」
鳴上「…………」
セシリア「わたくしの『好き』は、単なる押し付けで…」
セシリア「それを一夏さんに拒絶されるかもしれないと」
セシリア「心のどこかで恐れている…と、鳴上さんは言いたかったのですね…」
鳴上「…………」
175: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:13:21 ID:58FkMhBI
鳴上「………もう大丈夫だ」
セシリア「えっ?」
鳴上「それに気づけたのなら…」
鳴上「オルコットは、一夏に気持ちを告げられるだろう」 ニコ
セシリア「鳴上さん…」
176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:14:16 ID:58FkMhBI
セシリア「…わたくし、がんばってみますね」
セシリア「ライバルは、多いですけど…負けませんわ!」 ニコ
鳴上「そうか…」
鳴上「…実るといいな」 クスッ
セシリア「はい!」 ニコ ///
鳴上(オルコットの表情は、実に晴れやかで曇りが無い…)
鳴上(どうやら、オルコットの力になれた様だ…)
177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:15:11 ID:58FkMhBI
-夜・IS学園寮・談話室-
セシリア「…あ、箒さん!」
箒「…セシリア?」
箒(な、なんだ? 昼間とは、まるで別人だ…)
セシリア「お待ちしておりました」 ニコ
箒「…………」
178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:16:04 ID:58FkMhBI
----------
箒「…………」
セシリア「……ですので、箒さんも 鳴上さんに会うべきですわ」
箒「…………」
セシリア「…箒さん?」
箒「!? あ、いや…」
箒「…そうだな」
179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:18:18 ID:58FkMhBI
箒「なあ、セシリア…」
セシリア「はい?」
箒「…い、いや、何でもない」
セシリア「変な箒さん」 クスッ
箒(…今のセシリア)
箒(女の私から見ても…)
箒(魅力的だ…)
箒(………鳴上の話を聞くだけで、こうも変われるものなのか?)
箒(…………)
180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:19:21 ID:58FkMhBI
-数日後・1組2組合同実習-
千冬「…それでは、模擬戦を行ってもらう」
千冬「篠ノ之、鳴上、前に」
箒「! はい!」
鳴上「はい」
千冬(鳴上は、このところ格段に腕を上げたと 2組の担任に聞いた…)
千冬(どの程度か見てみよう)
181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:20:56 ID:58FkMhBI
箒(…鳴上か)
箒(結局……あれから、一夏とあまり話せていない)
鳴上「…………」 スチャ…(メガネ装備)
鳴上「イザナギッ!」 スウウウウウンッ!!
箒「紅椿!」 スウウウウンッ!!
箒(…お前の)
箒(せいだ!!)
182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:22:11 ID:58FkMhBI
箒「……はああああああっ!!」 ゴウッ!!
鳴上「!?」
ドガアッ!!
千冬「!?」
一夏「おい、箒!?」
セシリア「何の前置きも無く、いきなり攻撃するなんて…!」
シャル「鳴上くん!!」
ラウラ「…いや、大丈夫だ! あれを見ろ!」
鈴「すごい…! 箒の多角的な複数の攻撃を なんとか受けきった!!」
ガギッ! グバッ! ガゴッ!
183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:23:02 ID:58FkMhBI
鳴上「くっ…! ペルソナッ!」 ポウ ポウ
箒「あまいっ!」 ズバッ! ズバッ!
鳴上(!! 炸裂する前に すべて切り伏せられた!!)
箒「はああああああっ!!」
ドガガガガガガッ!!
鳴上「ぐあああああっ!!」
184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:24:27 ID:58FkMhBI
箒(お前が…! お前なんて、居なければっ!)
箒「くらええええっ!!」
鳴上「ペルソナ!!」 ポポウッ!
箒「あまいと言っ」
ブゥシュウウウウウ!!
箒「!?」
185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:25:47 ID:58FkMhBI
鈴「上手い! あえて、ほぼ射出と同時に炸裂させた!」
セシリア「でも、あれは…スモーク・グレネード??」
シャル「…いや!」
ラウラ「…箒の右腕が凍っている!?」
一夏「なんだ!? あの武器は!?」
千冬(圧縮した液体窒素爆弾…の様なものか?)
186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:26:55 ID:58FkMhBI
箒「くっ…! こんなものでっ!」 バリンッ!
鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ
箒「!!」
バリバリバリバリバリッ!!
箒「あああああああああっ!!」
鳴上「はあああああああっ!」
箒「……っ! 負けるかああああああああっ!!」
ドガアッ!!
187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:27:39 ID:58FkMhBI
-昼休み・医療室-
箒「…………?」
箒「…ここは」
一夏「…気が付いたか? 箒」
箒「…一夏?」
188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:28:41 ID:58FkMhBI
箒「…私は、負けたのか?」
一夏「ああ……、それもかなり一方的にな……」
一夏「どうしたんだよ、箒? ……らしくないぜ?」
箒「…………」
一夏「千冬姉も怒ってた…と言うより、あきれてた」
一夏「それと…悠から伝言」
箒「…………?」
一夏「すまない…って」
189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:29:21 ID:58FkMhBI
箒「…そうか」
一夏「…………」
一夏「…腹、減ってないか?」
箒「………いや」
一夏「そうか…じゃ、腹減ったら一緒に食おうぜ」 ニコ
一夏「サンドイッチを買っておいたから」
箒「…一夏?」
一夏「いいだろ? しばらく箒とロクに話してないし、さ」
箒「……一夏」
箒「…………」
190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:30:30 ID:58FkMhBI
箒「一夏、ありがとう」
箒「でも…」
箒「今は……、一人になりたい」
一夏「…………」
一夏「………そうか」
一夏「わかった、箒」
箒「…すまない、一夏」
一夏「いいさ…」 クスッ
一夏「昼、ちゃんと食えよ?」
箒「ああ…」
ガラガラッ…… ガラガラッ… パタン
191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:31:17 ID:58FkMhBI
箒「…………」
箒「…完全に」
箒「私の負け…だな」
箒「…………」
箒「…ふ、…うぐ」 ポロッ
箒「………ううっ」 ポロ ポロ
箒「うっ…うっ…」 ポロ ポロ
192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:32:01 ID:58FkMhBI
-放課後・図書室-
鳴上「…………」 カリカリ…
鳴上「…………」 カリカリ…
鳴上「…ふう」
鳴上「…あ、もうこんな時間か」
鳴上(………集中しすぎた)
193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:33:27 ID:58FkMhBI
箒「…鳴上」
鳴上「…! 篠ノ之…」
鳴上「…体は大丈夫か?」
箒「問題ない」
鳴上「そうか…。 すまなかったな…」
箒「…いや、それは仕方ない」
箒「みんなの…千冬さんの静止すら振り切って…」
箒「私は…気絶するまで、お前への攻撃を止めなかった」
箒「今、千冬さんに こってり絞られてきた所だ」 クスッ…
鳴上「…………」
194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:34:34 ID:58FkMhBI
箒「…よければ、話がしたい」
鳴上「かまわない」
箒「剣道部の…入部は、考えてくれているだろうか?」
鳴上「…今は、ちょっと」
箒「そ、そうか…」
鳴上「…………」
箒「………そ、その、あの時の話で出てきた 女の子の話の続きを」
箒「聞きたいのだが…」
195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:35:30 ID:58FkMhBI
鳴上「………俺は、どこまで話しただろうか?」
箒「音楽が好きで、必死に稽古している、と…」
鳴上「…俺も彼女の練習に付き添いながら、部活動の日々を送っていた」
鳴上「そんな時」
鳴上「演奏会に向けて反復訓練をしていたさなか、彼女にチャンスが巡ってきた」
箒「…………」
196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:44:11 ID:58FkMhBI
鳴上「彼女と同じ、トロンボーンの奏者が怪我をしたんだ…」
箒「………!」
鳴上「そのお陰で……と言うと語弊があるが、抜擢された」
鳴上「でも…彼女は喜ぶよりも ちゃんと演奏できるかどうかの不安の方が」
鳴上「大きかった…」
箒「…………」
197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:45:54 ID:58FkMhBI
鳴上「以前にも増して、練習を繰り返す彼女…」
鳴上「……でも、正直、公平な目で見て、彼女の演奏は」
鳴上「まだまだ、つたなかった」
箒「…………」
鳴上「いよいよ演奏会が数日後に迫ったある日…」
鳴上「先のくだりで脱落したトロンボーン奏者が、怪我を治して戻ってきたんだ」
箒「!!」
198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:47:21 ID:58FkMhBI
鳴上「……吹奏楽部の誰かが言った」
鳴上「彼女ではなく、そいつに戻そう、と」
箒「…なっ」
鳴上「俺は……彼女にやらせてやってくれ、と、皆に頼んだ」
箒「……!」
鳴上「…………」
鳴上「……しかし、元に戻した方がいい、と」
鳴上「他ならぬ、彼女が言い出した…」
箒「…えっ」
199: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:48:11 ID:58FkMhBI
鳴上「彼女は 俺の気持ちは嬉しいが、自分の演奏力は良く分かっている」
鳴上「今の自分の演奏では、きっとみんなを 幸せな気持ちに出来ない」
鳴上「だから、これでよかったのだと……」
箒「そ…そんな…!」
鳴上「…でも、そう言った後、泣き出した」
鳴上「泣きながら、悔しい 悔しいと言う」
鳴上「…才能の無さ、…練習不足。 とにかく自分の不甲斐なさが悔しい、と…」
箒「…………」
200: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:49:02 ID:58FkMhBI
箒「…………」
箒「………鳴上」
鳴上「…うん」
箒「経緯は違うが…、今の私も 彼女と同じ気持ちだ」
鳴上「…………」
201: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:50:46 ID:58FkMhBI
箒「私は…お前の言う通り、ただ待ってただけだ…」
箒「私が一夏の事を好きだから、一夏も私の事が好きだと」
箒「根拠なく…そう思っていた…」
鳴上「…………」
箒「だから、一夏の周りに たかるハエを払えばいい」
箒「そんな事を 心のどこかで、考えていた…」
箒「……自意識過剰にも程がある」
鳴上「…………」
202: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:51:20 ID:58FkMhBI
箒「…ありがとう、鳴上」
箒「お前のおかげで、私は大事な事に気づけた…と思う」
箒「…………」
箒「もっと早く…お前と話をすれば良かった」
鳴上「そうか…」
203: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:52:04 ID:58FkMhBI
箒「…時に」
箒「今、その女の子は どうしているだろうか?」
鳴上「変わらずトロンボーン奏者として頑張ってる」
鳴上「今度の演奏会で、正式にメンバーとして加わっているそうだ」 ニコ
箒「…そうか!」
箒「良かった…」 ニコ
204: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 08:52:59 ID:58FkMhBI
箒「…私も負けてられないな」
鳴上「あまり力まない方が……」
箒「ふ…わかっている」 ニコ
箒「そういえば、鳴上は どんな楽器を使っていたのだ?」
鳴上「トランペットを」
箒「ほう? …いつか聞いてみたいな」
鳴上「…そういえば、ここの所吹いていないな」
ハハハ…
鳴上(篠ノ之の笑顔は、さわやかでまぶしい…)
鳴上(どうやら篠ノ之の力になれた様だ…)
205: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:30:17 ID:58FkMhBI
-数日後・昼休み・食堂-
一夏「…………」
鈴「どうしたの? 一夏?」
一夏「…いや、なんかさ、このメンバー全員集まるのって、久しぶりの様な気がして」
箒「…私が、しばらく居なかったからな」
セシリア「ま…いろいろありまして…。 ね? 鳴上さん」 ニコ
鳴上(どうしてそこで俺に振る…)
鳴上「そ、そうだな…」
206: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:31:23 ID:58FkMhBI
鳴上「そういえば、もうすぐタッグマッチ・トーナメントが あると聞いたが…」
鳴上「みんなはもう、組む相手を決めたのか?」
ラウラ「前回……私には苦い思い出だ」 シュン…
シャル「ああ…例のトーナメント戦ね。 ボクはまだだよ?」
一夏「そっか…じゃあまた俺と組むか? シャル?」
207: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:33:36 ID:58FkMhBI
シャル「……ううん、ゴメン 一夏。 今回は遠慮しておくかな…」
一夏「えっ?」
箒「…………」
セシリア「…………」
鈴「…………」
ラウラ「…………」
鳴上「…………」
208: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:34:55 ID:58FkMhBI
シャル「良かったら、ボクは鳴上くんと組みたいんだけど…どう?」
鳴上「…えっ?」
一夏「…………」
鈴「ちょっと待って、私も悠と組みたいの」
一夏「……鈴!?」
箒「……そうか。 ではラウラ、どうだろう? 私とまた組まないか?」
ラウラ「!?…いいのか? 私は前回同様、自動抽選に任せようと思っていたのだが」
一夏(箒にラウラまで……)
209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:35:39 ID:58FkMhBI
セシリア「では一夏さん、わたくしと組んで いただけますか?」
一夏「!!」
一夏「セ、セシリア! おう! よろしくな!」 ウルウル…
シャル「鳴上くん、どうする?」
鈴「別に恨んだりしないから、好きに選んでいいわよ」
鳴上「…………」
210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 09:36:39 ID:58FkMhBI
鳴上「…鈴、頼めるか?」
鈴「うん! よろしくね!」
シャル「あらら…、振られちゃったか」
鳴上「…すまない」
シャル「いいよ。 鈴が言ってた通り 恨みっこなし、だから」 ニコ
シャル「戦い方は他にもあるよ」
215: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:08:53 ID:58FkMhBI
-放課後・第三アリーナ-
一夏「セシリア、まだトーナメントまで少しあるのに」
一夏「もう訓練、始めるのか?」
セシリア「…………」
一夏「…セシリア?」
216: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:09:50 ID:58FkMhBI
セシリア「一夏さん」
一夏「ん?」
セシリア「まさかと思いますが、どうして他の皆さんが 自分と組まなかったか」
セシリア「お分かりになっていませんの?」
一夏「…え?」
セシリア「……そうですか」
217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:11:26 ID:58FkMhBI
セシリア「それでは、ご説明いたしましょう」
一夏「お、おう」
セシリア「まず、みなさん 自分のISとの相性を考えたのですわ」
セシリア「わたくしは、中、長距離型…。 相性としては」
セシリア「中、近距離…もしくは近距離型が望ましいと言えます」
一夏「なるほど…」
セシリア「ラウラさんは、本人もおっしゃっておりましたが、自動抽選でもいいと…」
セシリア「つまりこれは、どなたがパートナーになっても臨機応変に対処する、と言う事」
セシリア「シュバルツェア・レーゲンは長、中、近距離、どれにも対応可能な万能機」
セシリア「彼女お一人でも相当に厄介な相手ですわ」
一夏「むむ…確かに」
218: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:12:32 ID:58FkMhBI
セシリア「箒さんは、一夏さんとはタイプが違いますが、近距離型」
セシリア「わたくしかラウラさんが、もっとも良いパートナーと言えます」
一夏「フムフム…」
セシリア「でも彼女はラウラさんを選んだ…なぜか?」
セシリア「推測ですが、箒さんは ご自分が牽制とかく乱に回り、」
セシリア「止めをラウラさんに やって頂こうと思っているのではないかと…」
一夏「う……やっかいなコンビかも」
219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:13:30 ID:58FkMhBI
セシリア「最後に シャルロットさんと鈴さん、双方ともに 中、近距離型」
セシリア「相性としては、あまり相手を選びませんけど……」
セシリア「組む相手として…より強い方を選んだのですわ」
一夏「なるほど…」
一夏「…………」
一夏「……えっ?」
220: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:14:21 ID:58FkMhBI
一夏「ちょっと待てよ…。 じゃあ何か?」
一夏「シャルも鈴も、俺より悠の方が強いから 組みたがったって言うのか!?」
セシリア「……その通りです」
一夏「ぐっ…!」
セシリア「では、お聞きしますが、この前の箒さんと鳴上さんとの模擬戦闘」
セシリア「一夏さんは、あの時の箒さんに 勝てる自信がおありですか?」
一夏「……!!」
221: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:15:32 ID:58FkMhBI
セシリア「もう お分かりですね? みんな本気で勝ちに来ているのですわ」
一夏「…………」
一夏「一つ、聞かせてくれ…」
一夏「セシリアが俺を選んだのは、同情か?」
セシリア「まさか」 ニコ
セシリア「わたくしは中、長距離型ですけど…どちらかと言えば」
セシリア「ロングレンジに大きくウェイトしております」
セシリア「わたくしが牽制と援護に徹し、止めを近接型が刺す……」
セシリア「この戦法のベスト・パートナーは、一夏さんと判断いたしましたの」
222: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:16:30 ID:58FkMhBI
一夏「悠でも やれるんじゃないか?」
セシリア「確かにそうですが、『止め』を刺すのは 零落白夜を持つ」
セシリア「一夏さんに分があります」
セシリア「平たく言えば、頼りにしている、という事ですわ」 ニコ
一夏「…そうか」
一夏「……よく分かった、セシリア。 訓練を始めよう」
セシリア「はい、一夏さん」
223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:17:29 ID:58FkMhBI
-夜・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「悠、話がある」
鳴上「なんだ?」
一夏「明日、放課後の第三アリーナに予約を入れておいた」
一夏「良かったら…俺と模擬戦をして欲しい。 頼めるか?」
鳴上「…………」
鳴上「わかった、受けて立とう」
一夏「…よし、約束だぜ?」
鳴上「ああ」
224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:18:41 ID:58FkMhBI
-翌日の放課後・第三アリーナ-
一夏「白式!!」 スウウウウウウンッ!!
鳴上「…………」 スチャ…(メガネ装備)
鳴上「イザナギ!」 スウウウウウウンッ!!
225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:19:27 ID:58FkMhBI
一夏「…さて、始める前に 話しておきたい事がある」
鳴上「……?」
一夏「正直に言う。 俺は、お前に嫉妬している……」
鳴上「…………」
一夏「みっともないけど……、悠が転校してきてからこっち、」
一夏「前ほどチヤホヤされなくなった」
鳴上「…………」
226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:20:18 ID:58FkMhBI
一夏「そして…今回も以前の様に、みんなで俺を取り合うと思っていたら、」
一夏「まさか、幼馴染の箒や鈴にすら 相手にされないなんて……」
一夏「本当にショックだった」
鳴上「…………」
一夏「…情け無いな、俺」
鳴上「そんな事は無い」
鳴上「そうやって自分の醜い部分を さらけ出せるのは」
鳴上「お前の『強さ』だ」
227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:21:22 ID:58FkMhBI
一夏「…そうかな。 今、こうやって私闘を 申し込んでる様な奴だぜ? 俺は」
鳴上「そして、そうやって その『強さ』から目を背ける事が、お前の『弱さ』だ…」
一夏「…………」
一夏「…お前って、本当に凄い奴だよ」
鳴上「来い! 一夏!」
一夏「……ああ! 行くぜ! 悠!」
ゴウッ!!
228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:23:26 ID:58FkMhBI
-同・第三アリーナ男子更衣室前-
セシリア「…………」
ガチャ…
一夏「あ…セシリア」
セシリア「一夏さん…」
一夏「…………」
一夏「セシリアの言う通りだったよ…」
一夏「悠には…イグニッション・ブーストも、零落白夜も」
一夏「俺の持てるすべてを出し尽くしても……」
一夏「勝てなかった…」
セシリア「…………」
229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:24:19 ID:58FkMhBI
一夏「………セシリア、俺」
一夏「悔しいよ…!」 ポロッ
一夏「こんなに負けて、悔しいと思ったのは……」 ポロポロッ
一夏「初めてだ…!」 ボロボロ…
一夏「うぐっ…ひぐっ…」 ボロボロ…
セシリア「…………」
230: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:25:03 ID:58FkMhBI
----------
一夏「……はあ、なんか情け無い所、見せちゃったな」 ///
セシリア「いえ…」
一夏「………でも、」
一夏「スッキリした」 クスッ
セシリア「…………」 クスッ
一夏「次は…必ず勝つ!」
セシリア「はい、その意気ですわ!」
231: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:25:50 ID:58FkMhBI
一夏「そうと決まれば、特訓しないとな……」
一夏「セシリアとの連携に磨きをかけないと」
一夏「何でも言ってくれ! 俺は耐えてみせる!」 ガバッ!
セシリア「は、はい…、あ、あの一夏さん、ち、近いですわ、お顔が…」 ///
一夏「と!? …す、すまん」 ///
セシリア(も、もう…鈍感な所は相変わらずですわね…) ///
232: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:26:58 ID:58FkMhBI
-同・第三アリーナ-
鈴「…ずいぶん一方的な戦いだったわね」
鳴上「そう見えたか?」
鈴「違うの?」
鳴上「一夏は、イグニッション・ブーストと零落白夜の使い所を わかっていないだけだ」
鈴「…………」
233: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:28:09 ID:58FkMhBI
鳴上「今度の戦いはタッグマッチ」
鳴上「もし」
鳴上「混戦のさなかに、死角を突いてブーストをかけた 零落白夜が来たら…」
鳴上「どんなISも ひとたまりも無い」
鈴「……!」
鳴上「ましてや、セシリアのブルーティアーズは」
鳴上「360度、どこからでも攻撃できる恐ろしい武器だ…」
鳴上「これ程、互いの長所を生かしたコンビは ないだろう」
鳴上「セシリアに戦いの主導権を握られたら……おしまいだ」
鈴「…………」 ゾクリ…
234: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:28:49 ID:58FkMhBI
鈴「…それにしても あんたって、ホント冷静ね」
鳴上「…そうか?」
鈴「落ち着き払いすぎて…同い年に見えない」
鳴上「よく言われる」
235: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:29:35 ID:58FkMhBI
鈴「まあいいわ、一夏とセシリアコンビの対処法は、おいおい考えるとして…」
鈴「あたし達の基本戦術は、箒達とほぼ同じになるわね?」
鳴上「ああ…俺が牽制とかく乱、鈴の龍砲で止め」
鳴上「これがベストだろう」
鈴「オッケー。 じゃ、まずその辺りから連携の訓練をしてみる?」
鳴上「ああ」
236: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:30:36 ID:58FkMhBI
-数日後・放課後の第二アリーナ-
ラウラ「今のはどうだ?」
箒「…悪くは無かったが」
箒「正確さに欠けるな…」
ラウラ「ふむ…となるとBパターンが一番無難だな」
箒「そうだな…」
箒「…少し、休憩しよう」
ラウラ「うむ、異論はない」
237: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:31:16 ID:58FkMhBI
箒「ラウラ、ドリンクを作ってきた。 飲むか?」
ラウラ「えっ? …い、いただこう」
箒「口に合えばいいが」
ラウラ「……うん、美味い。 冷えたレモンティーだな」
箒「そうか。 良かった」
238: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:32:51 ID:58FkMhBI
ラウラ「…箒、一つ聞いても いいだろうか?」
箒「ああ、いいぞ」
ラウラ「なぜ、私と組む気になったのだ?」
ラウラ「福音の時…お前のIS、紅椿は、一夏の白式と対になる存在とわかったはず…」
ラウラ「だから、一夏と組みたがると思っていた」
箒「…………」
箒「……以前の私なら、そう願っただろう」
ラウラ「…………」
239: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:34:16 ID:58FkMhBI
箒「でもそれは、『私の実力』で勝ち取ったモノではない」
箒「私の姉がそう作ったからだ」
ラウラ「……!」
箒「私は……私の力で、私の努力で、一夏と向き合いたい」
箒「だから……、一夏と組むという選択肢は、まず捨てた…」
箒「おかしいか? 私は?」
ラウラ「戦力判断としては、な」
ラウラ「しかし…気持ちは、わからなくも無い」 クスッ…
箒「…………」
240: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:35:24 ID:58FkMhBI
箒「意外、だな。 ラウラにそんな風に言ってもらえるなんて…」
ラウラ「……私も、以前の私なら、一笑の元にふしただろうな」 クスッ…
ラウラ「自分の気持ちに向き合って、それを選んだのなら」
ラウラ「私が口を挟む事ではない」
ラウラ「それに…」
箒「…それに?」
ラウラ「頼られる、というのも悪い気はしない」 クス
箒「ふふ…そうか」 クス
アハハ…
箒「さて…そろそろ訓練に戻るか」
ラウラ「そうだな…」
241: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:36:17 ID:58FkMhBI
-同・第一アリーナ-
モブ美「デュノアさん…こんな感じかな?」
シャル「うん、上出来だよ」
モブ美「…でも、どうせ専用機持ちの勝利は、決まってるんじゃない?」
モブ美「いくら努力しても、私の練習用ISじゃ…」
シャル「かも、しれない…」
シャル「けど」
シャル「何にもしないで、ただ負けを認めて…それでいいのかな?」
モブ美「…………」
242: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:37:08 ID:58FkMhBI
シャル「ボクは…いやだよ」
シャル「たとえ負ける公算が大きくても、ほんのわずかでも勝てる可能性があるのなら」
シャル「ボクは、その確率を上げる努力を おろそかにしたくない」
モブ美「…………」
シャル「ふふ…そんな顔しないで。 もっと気楽に行こう?」
シャル「別に負けてもいいんだよ…。 ただ負けるのが嫌ってだけだから」
シャル「たくさん努力して…自分が納得して負けたなら…きっとそれは」
シャル「次につながる…と思うから」 クス
モブ美「…………」
243: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:38:15 ID:58FkMhBI
モブ美「…ごめん、デュノアさん」
シャル「うん、がんばろう、モブ美さん」
シャル「それに、もっと自信を持ってもいいと思うよ?」
シャル「ボクはキミが、専用機を持たない一年生で」
シャル「一番機動力に優れているから パートナーをお願いしたんだよ?」
モブ美「エヘヘ…逃げ回るのが上手いってだけなんだけどね…」
シャル「それは、大きな『武器』になるって事を 証明してあげるから」 クス
244: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:41:00 ID:58FkMhBI
-数週間後-
-タッグマッチ・トーナメント・当日の朝-
一夏「…いよいよか」
セシリア「やれる事は、すべてやりましたわ」
一夏「もちろん狙うのは、優勝の二文字だ……」
一夏「がんばろうな、セシリア!」
セシリア「はい、一夏さん!」
245: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:41:39 ID:58FkMhBI
鳴上「いよいよだな」
鈴「うん…」 キュッ…
鳴上「…? そのリボンは、いつもと違うな」
鈴「ふふん…ハイカラでしょ?」
鳴上「よく似合ってる」 クスッ
鈴「ま……あんたのメガネと一緒で、あたしの気合を入れるために、ね」
鳴上「そうか…お互いがんばろう」
鈴「うん!」
246: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:42:56 ID:58FkMhBI
ラウラ「…不思議な気持ちだ」
箒「何がだ?」
ラウラ「どう言えばいいか、わからない…」
ラウラ「……緊張はしている」
ラウラ「でも…それがとても心地よい、とでも言うか…」
箒「…ふふ、それは『自信に満ちている』という表現が適当だな」
ラウラ「なるほど…」
247: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:43:24 ID:58FkMhBI
箒「でもそれは…『過信』に変わるかもしれない、恐ろしい気持ちでもある」
箒「私は……福音の時に、そのせいで一夏に大怪我をさせてしまった 苦い経験がある…」
ラウラ「…! …肝に銘じよう」
箒「さ…行くか」
ラウラ「ああ」
248: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/16(月) 11:43:59 ID:58FkMhBI
モブ美「うう…き、緊張する…」
シャル「大丈夫、気楽に行こう?」
モブ美「う、うん…」
モブ美「…でも、あんなに頑張ったんだもん」
モブ美「優勝…したい」
シャル「…うん、ボクもだよ」
シャル「頼りにしてるからね? モブ美さん!」
モブ美「もちろん! がんばろっ! デュノアさん!」
253: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:03:09 ID:yYdB2LDw
-全アリーナ管制室-
山田「あ…織斑先生」
千冬「トーナメントの進行具合は?」
山田「はい、今の所、タイムスケジュールに大きな支障は ありません」
千冬「そうか…」
山田「専用機持ちのみなさんは、順当に一回戦を勝ち上がりました」
千冬「まあ、そうだろうな」
254: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:04:20 ID:yYdB2LDw
山田「特に篠ノ之、ボーデヴィッヒ組は、圧倒的な強さですね……」
山田「前回、ボーデヴィッヒさんは、完全に独り相撲を取ってましたから」
山田「よりコンビネーションバトルの良さが目立ちます」
千冬「ふむ…他はどうだ?」
山田「織斑・オルコット組は セオリー通り、と言うか、」
山田「オルコットさんが牽制と援護に回り、止めを織斑君が行っています」
千冬「互いの長所を 生かしている様だな」
山田「その様です。 しかも織斑君は、まだブーストも零落白夜も未使用です」
千冬「ほう…腕を上げた、か…」
255: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:05:54 ID:yYdB2LDw
山田「鳴上・鳳組は、戦法が篠ノ之・ボーデヴィッヒ組と同じですが、」
山田「こちらは やや火力で劣っているように思えます」
千冬「ふむ…」
山田「デュノア・モブ本組は、デュノアさんの動きばかりが目立ちますね…」
千冬「ほう?」
山田「モブ本さんは、デュノアさんの指示か…、積極的に戦闘に参加しようとしません」
千冬(面白いな…。 デュノアには秘策があると見える)
千冬(次は、いよいよ専用機とあたる…。 見ものだな)
256: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:06:40 ID:yYdB2LDw
-第一アリーナ・観戦席-
一夏(注目の試合だな…)
セシリア(…残念ですけど、シャルロットさんのペアは、圧倒的に不利)
鳴上(だが…デュノアには、何か隠し技がある)
鈴(見せてもらうわよ…シャルロット)
257: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:07:22 ID:yYdB2LDw
-第一アリーナ・グラウンド上-
箒「…さて、こちらの有利は不動のものだが」
ラウラ「油断するな、箒」
ラウラ「勝利をあきらめている者は、あんな顔をしない」
箒「同感だ」
258: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:08:07 ID:yYdB2LDw
モブ美「……ううっ、近くで見ると凄い迫力」
シャル「大丈夫、お互いベストを尽くそう!」
モブ美「う、うん! がんばる!」
シャル「その意気、その意気!」 ニコ
259: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:09:04 ID:yYdB2LDw
千冬「それでは…二回戦第五試合…開始!!」
バアアアアッ!!
一夏「…!?」
セシリア「モブ美さんが…前に出た!?」
鈴「どういう事!?」
鳴上(…俺がデュノアの立場なら)
鳴上(…………)
鳴上(そうか…もしかしたら)
260: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:10:23 ID:yYdB2LDw
箒(何のつもりか、わからないが…)
箒(打鉄(うちがね)で正面から紅椿を相手にするなど…血迷ったか、シャルロット!)
ズアッ! ヒュバッ!!
モブ美「うひゃあっ!」 回避 回避!
箒「…はあっ!」
モブ美「ひいいいいっ!!」 回避 回避!
箒「くっ…、ちょこまかと!!」
261: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:18:37 ID:yYdB2LDw
-回想-
シャル「いい? モブ美さん、とにかく箒に攻撃を仕掛ける、と見せかけて」
シャル「回避に専念して欲しいんだ」
シャル「それも」
シャル「常に箒にラウラが隠れるように、ね」
シャル「そうすれば、ラウラからの砲撃は無くなる」
シャル「無茶なお願いだけど……きっとモブ美さんなら、できるよ」 ニコ
----------
モブ美(とは言うけど…言うほど楽じゃないよう!!)
モブ美(デュノアさん、早いトコ決めちゃって!!)
262: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:20:21 ID:yYdB2LDw
ラウラ(…ち、これではキャノンで狙えん!)
ラウラ(ならば…先にシャルロットを…!?)
タタタタタタタッ!!
箒「くっ!! シャルロットめ!」 キン! カン! カン!
箒(完全に出鼻をくじかれた…!)
モブ美「はああああああっ!」
箒「このおっ!」 ブンッ
モブ美「うひいっ!!」 回避!
263: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:22:41 ID:yYdB2LDw
ラウラ「く…! シャルロットの狙いは、箒か!?」
ラウラ「ならば…!!」 ズアアアッ!
箒「! 待てラウラ! うかつに近づくな! シャルロットの狙いは…!」
ラウラ「!?」
ボウボウボウッ!!
一夏「何だ!? シャルの奴、地面に榴弾を打ったぞ!?」
セシリア(あれは、煙幕代わり…おそらくAICの目標を隠すために…!)
鳴上(となれば狙うのは)
鈴(ラウラの機体!!)
264: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:23:50 ID:yYdB2LDw
ラウラ(くっ!! 停止結界は、対象物が見えないと効果が薄い!!)
ダン! ダン! ダン!
ラウラ「ぐあっ!」(シャルロットのアサルトライフルか!!)
箒「ラウラ!」
箒(くっ!レーダーで確認できるが、なぜあの二人はこんなに動き回っている!?)
箒(かといって空に上がれば、シャルロットのライフルの餌食だ…)
箒「……!!」
箒「まさか!!」
265: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:25:12 ID:yYdB2LDw
ラウラ「くっ! まだ砂煙が晴れない!」
???「………」 ダン! ダン! ダン!
ラウラ「シャルロットめ!」
???「……呼んだ?」
ラウラ「!?」
鳴上「あ…!?」
一夏「ライフルを撃っていたのは…」
セシリア「モブ美さんの方でしたのね!!」
鈴「前と同じように システムアンロックしてたのね…。 すっかり忘れてた」
266: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:27:15 ID:yYdB2LDw
シャル(狙いは外さない!!)
シャル「シールド・ピアーズ!!」
ラウラ「うわあああっ!!」
ドガアッ!! ドガアッ!!
箒「ラウラッ!!」
モブ美「たあああああああっ!!」
箒「…じゃまだあっ!」 ブンッ!! ブンッ!!
モブ美「ひゃあああああっ!!」 回避 回避!!
267: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:28:25 ID:yYdB2LDw
シャル「もう一発!!」
ドガアッ!! ドガアッ!!
ラウラ「くっ! くそっ!!」
箒「くっ!!」
モブ美「おりゃあああっ!!」
箒(…少々のダメージは覚悟だ!!)
箒「ラウラ! 今行く!!」
モブ美「うひゃあ…えっ?」 回h…
箒(むっ…!?)
268: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:29:51 ID:yYdB2LDw
シャル「止め…!!」
箒「させるかあ!!」
シャル「!? くっ!!」
ヒュバッ!!
鳴上(……勝負あったな)
一夏(……惜しかったな、シャル)
セシリア(この劣勢の条件の戦いで…、見事な作戦でした)
鈴(凄いよ…シャルロット)
269: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:31:05 ID:yYdB2LDw
箒「大丈夫か? ラウラ?」
ラウラ「なんとか…な」
ラウラ「…はっきり言って、シュバルツェア・レーゲンの性能に助けられた」
箒「…そうか」
箒「してやられた、な」
ラウラ「ああ…」
270: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:31:58 ID:yYdB2LDw
モブ美「…………」
モブ美「…どうしよう」
シャル(…正直もう どうしようもない)
シャル(あれで決められなかったら お手上げだ…)
シャル(…鳴上くんなら、もっと箒を引き付けて くれたんだろうけど…)
271: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:32:27 ID:yYdB2LDw
シャル(……ううん、そんな事思っちゃ駄目だね)
シャル(モブ美さんは、良くやってくれた…本当に感謝しないと)
モブ美「ねえ! デュノアさん!」
シャル「…もう打つ手なし、だよ」
モブ美「!」
272: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:33:23 ID:yYdB2LDw
シャル「………降参する?」
モブ美「…………」
モブ美「…いや!」
モブ美「絶対…あきらめない!」
シャル「うん、そう言ってくれると思ったよ」 ニコ
シャル「もう、モブ美さんが回避しかしないのは、バレてると思うから」
シャル「ボクに攻撃を集中すると思う」
シャル「モブ美さんは、その隙を突いて 今度は本気で攻撃してみて?」
モブ美「わかった! やってみるよ!」
シャル「…さあ、来るよ!!」
273: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:34:34 ID:yYdB2LDw
-第一アリーナ・女子更衣室-
モブ美「うえっ…うえっ…ひっく」
シャル「…………」
モブ美「悔しいっ…悔しいよっ…」
シャル「モブ美さん…ありがとう」
モブ美「…!?」
シャル「ここまで戦えたのは…モブ美さんのお陰だよ」
シャル「ボク達は、正々堂々死力を尽くして戦って 負けた…」
シャル「もっと胸を張ろう?」 ホロリ
モブ美「…………」
モブ美「デュノア…さんっ!……うああああっ…………」 ボロボロッ…
274: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:35:36 ID:yYdB2LDw
-同・第一アリーナ控え室-
箒「どうした? ラウラ?」
ラウラ「…単刀直入に言う。 停止結界が使えなくなった」
箒「…なっ!?」
ラウラ「シャルロットの攻撃は、見事に頭部のシールドを狙っていた」
ラウラ「知っていたわけでは無いだろうが…制御システムは大抵ここにあるからな」
ラウラ「その中のAICの制御システムが、ダメージを負った」
275: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:36:25 ID:yYdB2LDw
箒「修理は?」
ラウラ「本国から部品を取り寄せないと不可能だ…」
箒「…………そうか」
箒「なに、心配するな、ラウラ」
箒「この事実は我々しか知らないのだ。 問題ない」
ラウラ「うむ。 だが心に留め置いてくれ」
箒「わかった」
276: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:41:14 ID:yYdB2LDw
-第三アリーナ・観客席-
シャル「…さて、注目の試合だね」
ラウラ「シャルロット…さっきは見事な作戦だった」
シャル「ふふ…ありがと」
箒「決して油断していたわけでは なかったのに…翻弄されてしまった」
シャル「ボクだけの力じゃないよ。 モブ美さんのおかげ。 ねー?」
モブ美「ねー!」 ///
ラウラ(さて…私が見る限りでは一夏とセシリアが、やや有利だが…)
ラウラ(だが、鳴上の戦闘力は 計り知れないものがある…)
箒(鍵を握っているのは、やはり鳴上…)
箒(いずれにしても、この試合の勝者が、私達の相手になるだろうな)
277: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:49:31 ID:yYdB2LDw
-第三アリーナ・グラウンド上-
一夏「…さて、リターンマッチだな」
セシリア「一夏さん、落ち着いて行きましょう」
一夏「わかってる…けど、次の試合の事は 考えない」
一夏「ここですべてを出し切るつもりで行く!」
セシリア「…確かに、力を温存して勝てる相手では ありませんわね」
セシリア「わかりましたわ!」
278: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:50:52 ID:yYdB2LDw
鳴上「一夏……」
鈴「強敵ね…でも、負けない!」
鳴上(この前と顔つきが違う…)
鳴上(何か策があるのか、それとも…)
鈴「悠、狙いは一夏のまま?」
鳴上「ああ、それで行く…!」
279: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:56:09 ID:yYdB2LDw
千冬「それでは 三回戦、第二試合…開始!!」
ゴウッ!!
一夏「はああああっ!!」
鳴上「でやあああっ!!」
ガギイッ!!
シャル(二人とも開始の合図とともに…!)
ラウラ(真っ向勝負か!!)
箒(面白い!!)
280: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:57:24 ID:yYdB2LDw
セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!
鈴「させない! 龍砲!」 ドォン!
セシリア「くっ…! 照準が…!!」
セシリア(鈴さんの空間圧砲は、弾数に制限が無くて正確に当てなくてもいい…)
セシリア(牽制としては、最高の武器ですわ!!)
281: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 08:58:41 ID:yYdB2LDw
一夏(さすがだぜ…!! 鳴上!!)
一夏(俺も腕を上げたつもりだったが…! 強い!)
鳴上(やる…! この前の模擬戦とは、比べ物にならないっ!)
鳴上(だが、俺も負けん!)
ゲンッ! キンッ!! ガギンッ!!
一夏「だあああっ!!」
鳴上「くあああっ!!」
ゴガンッ!! ギィンッ!! ズガンッ!!
282: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:00:26 ID:yYdB2LDw
シャル(どっちも相手の出方を見ている…!?)
ラウラ(先に仕掛けるのは、どっちだ?)
箒(どちらもタイミングがすべてだ…!!)
鳴上(…そろそろ、仕掛けてみるか…!)
一夏(…!? 来るか!?)
283: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:02:20 ID:yYdB2LDw
-回想-
一夏「…戦術を読む?」
セシリア「はい」
セシリア「わたくしは鳴上さんのデータを集めて、彼のおおよその行動を予測してみました」
一夏「へえ…」
セシリア「まず、彼の爆弾ですが これまでの実習授業等で4種類確認されています」
セシリア「そして…使った爆弾は、同じ模擬戦では 一度も再使用しておりません」
一夏「!!」
セシリア「つまり、二発対で各種一発ずつしか装填出来ないのではないか? と思われます」
一夏「すげえ…! すげえ情報だ!」
284: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:03:43 ID:yYdB2LDw
セシリア「さらに…今回はタッグマッチです」
セシリア「わたくしが鳴上さんの立場なら…、一つだけ使いにくい爆弾があります」
セシリア「そして…パートナーに被害が及ばないように」
セシリア「一発目は この爆弾にする、と示し合わせる可能性が高い」
セシリア「その爆弾は」
285: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:05:06 ID:yYdB2LDw
----------
鳴上「…ペルソナ!!」 ポウ ポウ
一夏(来た!!)
カッ!!
セシリア(やはり! フラッシュ・グレネード!!)
一夏「もらったあああああ!!」 ショート・ブースト!!
鳴上(!? 読まれた!?)
ズガアッ!!!
286: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:06:17 ID:yYdB2LDw
鳴上「がああああっ!!!」
鈴「悠っ!!」
鳴上「だ、大丈夫だ!! オルコットから目を離すな!!」
一夏(くそっ!! 浅い!! 横からのブーストだったのに!!)
一夏(これもセシリアの言う通りかよっ!!)
287: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:07:11 ID:yYdB2LDw
-回想-
一夏「じゃあ、その虚を突いて攻撃すれば、倒せるな!」
セシリア「…残念ですが、難しいでしょう」
一夏「えっ?」
セシリア「彼ほどの達人ならば…むしろ目の届かない 後ろやサイドは」
セシリア「もっとも警戒しているでしょうし…」
一夏「…確かに」
288: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:07:44 ID:yYdB2LDw
一夏「じゃあどうする…? って、俺が腕を上げるしかないか…」
セシリア「…手はありますわ」
一夏「!!」
セシリア「ただ…これは、一夏さんに とてつもないスペックを要求しますが…」
一夏「…言ってみてくれ」
289: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:10:16 ID:yYdB2LDw
セシリア「それは…イグニッション・ブースト」
セシリア「現段階で使えるだけでも凄い技ですが…」
セシリア「さらに、極短距離で使える様になって欲しいのです」
一夏「ごく…短距離?」
セシリア「数字で言うなら、4、5メートル前後…と言った所でしょうか?」
一夏「げっ!?」
セシリア「それも…最低2連続で使える様に」
一夏「…体、持つかな」
セシリア「慣性制御があるとはいえ…急加速、急旋回を連発するのですから…」
セシリア「体にかかるGは、相当なものでしょうね…」
一夏「…………」
290: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:11:37 ID:yYdB2LDw
セシリア「しかし、大きなメリットもあります」
セシリア「従来のブーストより 遥かに消費エネルギーが少ない」
セシリア「つまり、長期戦にとても有効、と言えますわ」
一夏「…なるほど」
一夏「セシリア、俺もエネルギーつながりで思いついた技がある・・・」
セシリア「はい?」
一夏「零落白夜を」
一夏「インパクトの瞬間だけに発動できないか? と考えている」
セシリア「!!」
291: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:13:11 ID:yYdB2LDw
一夏「理由は…セシリアのブーストと同じ」
セシリア「…で、でも可能なんですの?」
セシリア「あれは…確か、一夏さんの感情の高ぶりに呼応して 発動するのでは?」
一夏「そうとう難しいと思う…」
一夏「でも」
一夏「かならずモノにしてみせる!」
セシリア「一夏さん…」
292: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:14:20 ID:yYdB2LDw
----------
鳴上(…く、今のブースト、スピードは やや劣るものの)
鳴上(2連続で出してきた…!)
鳴上(一夏…厄介な技を……!)
鳴上「…鈴!!」
鈴「!!」
鳴上「プラン『D』で行く!!」
鈴「わかったわ!!」
293: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:15:36 ID:yYdB2LDw
鈴(プラン『D』…肉を切らせて骨を絶つ作戦)
鈴(あたしは、セシリアを狙うと見せかけ)
鈴(悠が一夏に わざと切られて油断した所に 特大の龍砲を打ち込む!!)
鈴「龍砲、連射モード!!」 ドドドドドドッ!!
セシリア「!? くっ…!!」
一夏「セシリア!!」
鳴上「はあああああっ!!」
一夏「うわあっ!!」
294: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:16:48 ID:yYdB2LDw
箒「一夏…、いつの間にあんな技を……」
シャル「驚愕するね……」
ラウラ「体にかかる負担は、相当なものだろうに…」
シャル「それにしても鈴、いきなりセシリアに攻撃をしだしたね?」
箒「目標をセシリアに変えた…か?」
ラウラ「裏がありそうだな」
295: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:18:19 ID:yYdB2LDw
鳴上「はあああっ!!」
ゴインッ! ガキィン!! ギィンッ!
一夏「おおおおおおっ!!」
ゴガッ!! ギィン!! カンッ!
セシリア「やられてばかりでは、ありませんわよ!」
セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!!
鈴「くっ!!」 回避!
鈴「龍砲!」 ドドドドドドッ!!
296: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:19:01 ID:yYdB2LDw
鳴上(よし…! 上手いぞ! 鈴!)
鳴上(セシリアの気がそれた!!)
鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ
鈴(……!! 龍砲を一夏に!!)
297: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:20:22 ID:yYdB2LDw
一夏(…来た!! 2発目!!)
一夏(今度は逆サイドで…)
一夏「ショート・ブースト!!」 ギュン!
一夏(あれを決めるっ!!!)
298: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:23:02 ID:yYdB2LDw
鳴上(今度は逆サイドか!!)
鳴上(…なっ!?)
バリバリバリバリッ!!
スパアンッ!!
鈴「!?」
鈴(ちょっと悠! 何で避けるのよ!?)
セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!!
鈴「くっ…!!」
一夏(くそっ!! 今度は、カスった程度かっ!!)
一夏(だが、セシリアの予測通り!!)
299: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:24:04 ID:yYdB2LDw
鳴上(い、今のは、零落白夜!?)
鳴上(ほんの…ほんの一瞬、発動させた…だと!?)
鳴上(なんて奴だ…! 一夏!!)
鳴上(これでは、プラン『C』の零落白夜を発動した後)
鳴上(エネルギー切れを待つ作戦は、意味を成さない…!!)
鳴上「鈴!! プラン『B』だ!!」
鈴「!!」
鈴(どういう事!? プラン『B』は、『D』の前に戻るだけ…)
鈴(つまり、当初の作戦に戻るだけじゃない…!)
鈴「…わかった!!」
300: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:25:03 ID:yYdB2LDw
ラウラ「…見たか? 今の」
シャル「えっ? 」
箒「何かが…キラッと光った様に見えたが?」
ラウラ「あれは…零落白夜だ」
シャ・箒「「!?」」
301: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:26:07 ID:yYdB2LDw
ラウラ「おそらく…インパクトの瞬間だけ、発動させたに違いない」
シャル「出来るの!? そんな事!?」
箒「………零落白夜の発動条件は、感情の高ぶり」
箒「一夏は、どうにかして感情を コントロール出来る様にしたんだ…」
シャル「…………凄い」
ラウラ「…これで 鳴上と鈴は、さらに不利になった」
箒「ああ…最初に真っ向勝負をしたのも おそらく」
箒「一夏の感情を高ぶらせるため…」
シャル「白式のエネルギー切れは、絶対 狙っている策の一つのはず…」
シャル「これは…勝負あり、かも…」
302: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:27:25 ID:yYdB2LDw
鳴上「くっ!!」
一夏「ショート・ブースト!」 ギュン!
ギィン! ガインッ! ガァンッ!!
鳴上(このままじゃ、ジリ貧だ…!)
鳴上(どうする…? 残りの爆弾は、コールドとノ-マル…)
鳴上(だが、まともな方法では、食らってくれないだろう…)
鳴上(目標をセシリアに…、いや、一夏を倒さないままでは 危険が大きすぎる!)
一夏「はああああっ!!」
鳴上「おおおおおっ!!」
ゴキンッ! ガインッ! ダガンッ!
303: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:28:23 ID:yYdB2LDw
鈴(…悠、なんだか余裕がない…!?)
鈴(このまま・・・セシリアの牽制を続けてて、いいの!?)
鈴(…………)
鈴(…いいえ! あたしが…あたしが悠を…)
鈴(パートナーを信頼しなくてどうすんの!?)
鈴(きっと…きっと悠は、何とかしてくれる!)
鈴(あたしは、それを信じる!!)
鳴上(…よし! 一か八か!!) キッ!
一夏(…!! 来る!? 三発目!!)
304: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:29:25 ID:yYdB2LDw
-回想-
一夏「それで? 仮にブーストが使える様になったとして…」
一夏「どんな策が?」
セシリア「鳴上さんの虚を突くためには、仕込みをする必要があります」
セシリア「勝負を仕掛けるのは」
セシリア「鳴上さんが三発目の爆弾を使った時…」
一夏「三発目の…?」
305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:31:07 ID:yYdB2LDw
セシリア「爆弾を使用した直後に 『死角』から攻撃してくる」
セシリア「こう思わせておいて」
セシリア「真正面からブーストを かけて攻撃するのですわ」
一夏「……!!」
一夏「しかし…そう上手くいくだろうか?」
セシリア「残念ながら…『賭け』になるでしょう」
一夏「それに…なぜ『三発目』の時なんだ? 最後の一発の時でもいいんじゃないか?」
セシリア「ふふ…それは、一夏さんの体に負担が かかりすぎる前に勝負を決めたいのと、」
セシリア「『まだ後一発ある』という余裕がある内に、虚を突いて混乱させたいから、ですわ」
一夏「なるほど」
306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:33:02 ID:yYdB2LDw
----------
鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ
一夏(来た!! だが…ここは!!)
一夏(急ブレーキ!!) キキィー!
ブシュウウウウウッ!! ビキビキビキビキッ!!
一夏(やはり! 箒の時のように、射出と同時に炸裂させた!!)
鳴上(くっ…! また、読まれた!!)
一夏「はあああああっ!」 ショート・ブースト!!
鳴上「くっ!?………ペ、ペルソ…」
ズバアアアアッ!!
307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:34:24 ID:yYdB2LDw
鳴上「ああああああああっ!!」 スウウウウンッ…(IS機能停止)
一夏「やったあああああっ!!」
ボウンッ!!
一夏「ぐああああああああっ!?」
セシリア「一夏さん!!」
鈴「……ごめんね! 一夏!! 龍砲!!」
ドグォオオオオオンッ!!
一夏「わあああああああっ!!」 スウウウウンッ…(IS機能停止)
308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:36:08 ID:yYdB2LDw
シャル「一夏…! 鳴上くん…!」
箒「一夏の奴…鳴上を切った事で油断したな」
ラウラ「鳴上にグレネードを 仕込まれた事に気づかないとは……」
シャル「でも鳴上くん、あの一瞬で とっさにそんな事するなんて……」
一夏「………くっそおっ」
鳴上「一夏、立てるか?」
一夏「…悠」
鳴上「ここは危ない、退避しよう」
一夏「そうだな…」
309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:37:40 ID:yYdB2LDw
鳴上「…どう見る?」
一夏「ひいき目かもしれないが…セシリアが勝つかな」
鳴上「鈴には悪いが、俺もそう思う。…俺は、チームメイト失格だな」
シャル「ブルーティアーズの 四方八方からの攻撃をさけて近づくのは」
シャル「イグニッション・ブーストも使えない鈴にとって、至難の業……」
ラウラ「かと言って、ロングレンジで龍砲を 動く目標に当てるのは難しい」
箒「パートナーを失っては…セシリアの精密射撃がものを言う……」
箒「…勝負あったな」
310: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:38:36 ID:yYdB2LDw
鳴上「一夏…、今回は 完全に俺の負けだ」
一夏「俺もそう思ったが…最後のグレネードに気が付かなかった」
一夏「完全には勝ってない…」
鳴上「あんなもの、ただの苦し紛れだ」
一夏「…それに、今回 お前の行動の予測をしたのは」
一夏「セシリアだしな…」
鳴上「!…そうなのか?」
一夏「ああ…。 気持ち悪いくらい、ドンピシャだった」
鳴上(………もう、敵に回したくないな)
311: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:39:27 ID:yYdB2LDw
-同・第三アリ-ナ・控え室-
鳴上「…すまない、鈴」
鈴「悠……」
鈴「ううん…そんな事無い」
鈴「悠が頑張ってくれなきゃ、一夏も倒せなかった」
鳴上「鈴……」
312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:40:43 ID:yYdB2LDw
鈴「それにしても、悠の話を聞いて驚いたわ」
鈴「ショート・ブーストに 零落白夜の瞬間発動だなんて…」
鈴「一夏って、どんだけ規格外の急成長してんのよ…」 ハア…
鳴上「…まったくだ」
鈴(はあ…。 あたしは…)
鈴(まだまだ一夏の事を 知らないのね…)
313: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:42:28 ID:yYdB2LDw
-第一アリーナ-
鳴上「決勝戦…か」
鈴「ここまで来たら優勝しなさいよ! 一夏!」
シャル「う~ん…でもどっちが勝つかな? 鳴上くん?」
鳴上「篠ノ之達だと思う」
鈴「…即答する? ……そういう事」
シャル「…理由を聞いてもいい?」
314: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:43:19 ID:yYdB2LDw
鳴上「一夏達は、俺と鈴との戦いで 手の内を明かしてしまった」
鳴上「そして…要の一夏が、もうフラフラだと思うからだ」
鈴「…!? どういう事?」
鳴上「見ていれば わかると思うが…、ブーストの使いすぎで」
鳴上「体中が悲鳴を上げていると思う…」
シャル「…! そ、そんな状態なの!?」
315: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:45:41 ID:yYdB2LDw
鳴上「少し計算してみたんだ…」
鳴上「イグニッション・ブーストは慣性制御された上で約2,8G…」
鳴上「一夏のショート・ブーストは イグニッションに比べると、やや劣るとはいえ」
鳴上「ブーストをかけた上、更に別方向からGが加わる」
鳴上「わかりやすく言えば、急加速した車に 横から同等の速度の車が、ぶつかる様なものだ」
鳴上「単純には言えないが…」
鳴上「一夏の体には ブーストのたびに、7~8Gの衝撃が加わっていたんじゃないかな…」
鈴・シャ「「!!!!!!」」
316: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:46:30 ID:yYdB2LDw
鈴「……あ、あたし、止めてくる!」 ダッ
シャル「あ! ま、待ってよ! 鈴! ボクも行く!」 ダッ
タッ タッ タッ…
鳴上「…………」
鳴上「俺も…止めたんだが、な」
鳴上「決勝戦に出ても おそらく試合にならない」
317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:47:22 ID:yYdB2LDw
-第一アリーナ・控え室-
セシリア「一夏さん!! どうして…どうして、黙っていましたの!?」
一夏「い、いやぁ…」
セシリア「準決勝の時も 動きが おかしいと思っていましたが……」
セシリア「まさか…痛み止めの薬を飲んでいたなんて!!」
一夏「…………」
318: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:50:00 ID:yYdB2LDw
一夏「でもセシリア、せっかく決勝戦まで来たんだし…」
セシリア「だめです!! 今すぐ医療室へ行きましょう!!」
一夏「でも……!!」
バァン!!
鈴「でももクソもないわよ! 一夏!!」
シャル「早く医療室に……」
セシリア「!! 鈴さん! シャルロットさん!」
319: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:51:24 ID:yYdB2LDw
鈴「」
シャル「」
鈴「い、一夏……!? ど、どうしたの、それ!?」
シャル「顔にまで…! 体中、アザだらけじゃない!!」
セシリア「……恐らく」
セシリア「ブーストによるGで…体中の毛細血管がダメージを……」
鈴・シャ「「!!」」
320: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:52:42 ID:yYdB2LDw
鈴「一夏……」
一夏「…………」
鈴「あんた、わかっているんでしょ?」
鈴「医療室に行ったら、ドクターストップが かかるって?」
一夏「…………」
シャル「一夏…もしかして、ブーストの提案は セシリアが?」
一夏「………!」
シャル「…セシリアに気を使って、なんでもないって」
シャル「フリを してるんじゃないの?」
一夏「…そ、そんな事は!」
321: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:53:34 ID:yYdB2LDw
セシリア「…一夏さん、だとしたら逆です」
セシリア「わたくしは……悲しい」 ポロ…
セシリア「わたくし達は…タッグパートナーなのでしょう…?」 ポロポロ
セシリア「どうして…、どうして黙っていたのですか…?」 ポロポロ…
セシリア「そんなの…わたくしに対する裏切りです……!!」 ポロポロ…
一夏「…!」
一夏「…………」
322: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:54:21 ID:yYdB2LDw
一夏「…わかった、行くよ 医療室に」
鈴「最初からそう言いなさいよね! まったく…」
シャル「セシリア…ボクから棄権する事を伝えようか?」
セシリア「…………」
セシリア「いえ…わたくしから伝えますわ」
セシリア「ありがとうございます、シャルロットさん……」
シャル「ううん…」
323: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:55:47 ID:yYdB2LDw
-同・第一アリーナ-
箒「………? そろそろ時間だが」
ラウラ「一夏達が 来ないな?」
千冬「選手ならびに観戦者一同に連絡」
千冬「タッグマッチ・トーナメント決勝戦の時間だが」
千冬「織斑・オルコット ペアに重大な負傷が発生し 棄権する、との申し出があった」
箒「…!?」
ラウラ「…!?」
324: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 09:56:48 ID:yYdB2LDw
千冬「よって」
千冬「織斑・オルコット ペアの不戦敗とし」
千冬「篠ノ之・ボーデヴィッヒ ペアの優勝とする!」
鳴上「…………」
鳴上「一夏…お前は」
鳴上「幸せ者だ」 クスッ
328: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:03:38 ID:yYdB2LDw
-二日後・医療室の個室-
箒「…本当に大丈夫なのか?」
一夏「ああ、ドクターにも驚かれた」
一夏「多分…福音の時みたいに、白式が治してくれたんだろう…」
箒「昨日のお前の姿は酷かったからな…」
箒「命に別状は無い、と聞いても……にわかには信じられなかった」
一夏「薬が切れたら、とんでもない痛みが襲ってきたけどな……」
329: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:07:31 ID:yYdB2LDw
箒「…………」
箒「…………」 ///
箒「一夏……」 ///
一夏「ん?」
箒「その…言っておきたい事が、ある」 ///
箒「決して…ふざけている訳でも、冗談でもないから…な?」 ///
一夏「…ああ?」
箒「う、うむ…。 一夏…私は、篠ノ之 箒は」 ///
330: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:08:29 ID:yYdB2LDw
箒「お、お前の事が……好きだ!」 ///
一夏「…………」
一夏「……うん?」
箒「ゆ、友人として、ではないぞ?」 ///
箒「一人の女として…異性の…、一夏の事が、好きなんだ」 ///
一夏「…え」
一夏「ええっ!?」 ///
箒「…………」 ///
331: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:09:31 ID:yYdB2LDw
一夏「…………」 ///
一夏「…その」 ///
一夏「いつから?」 ///
箒「……小さい頃から、ずっと」 ///
一夏(マジっすか…) ///
箒「…………」 ///
一夏(やべ…箒、すげえ可愛い……) ///
332: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:10:45 ID:yYdB2LDw
箒「…今まで、私はずっと素直になれなかった」
箒「幼い頃の私達のままで…これからもそうなんだと、根拠も無く思っていた」
箒「でも…お前は、私以外の女達と 戯れてばかりで…イライラして」
一夏「そ、そんなつもりは!」
箒「……わかっている。 これは 私が、そう思っていただけなんだ…」
一夏「…………」
箒「…でも、ずっと、ずっと、一夏を想っていて、き、気持ちが落ち着かなくて…」 ///
箒「ああ、もう…。 何を言っているんだ? 私は…」 ///
一夏「……箒」
333: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:12:10 ID:yYdB2LDw
一夏「………お、俺は、その…」 ///
箒「…! 一夏、待ってくれ!」
一夏「…え?」
箒「返事は…後でいい」
一夏「………はい?」
箒「…す、すぐに どうしてか、分かる」 ///
箒「さ…最後に、もう一度だけ、言う」 ///
箒「私は、一夏の事が…好きだ」 ///
334: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:13:15 ID:yYdB2LDw
----------
一夏(…………)
一夏(…びっくりした)
一夏(まさか)
一夏(箒が…俺の事を好きだったなんて) ///
一夏(いつも問答無用で殴る蹴るされてたから)
一夏(そんな風に想われてた、なんて思いもしなかった…)
一夏(……それにしても返事は、後でいいって…すぐに分かるって……)
一夏(どういう事なんだ?)
335: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:14:11 ID:yYdB2LDw
コン コン ガチャ…
ラウラ「一夏……体は大丈夫か?」
一夏「お、ラウラ」
一夏「ああ、大丈夫だ」 ニコ
ラウラ「そうか…良かった」
ラウラ「…………」
ラウラ「…………」 ///
336: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:15:08 ID:yYdB2LDw
ラウラ「一夏……」
一夏「……ん?」
ラウラ「つ…伝えたい事がある」 ///
一夏「お?…おお」
一夏(…え? これってまさか?)
ラウラ「私は…鳴上に…ある事をたずねられた」
一夏「……うん」
337: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:16:25 ID:yYdB2LDw
ラウラ「『お前は、どんな風に一夏の事が好きなんだ?』と……」 ///
一夏「……!」
ラウラ「…言われて私は、即答できなかった」
ラウラ「今まで私は、人から聞いた事、そのままで表現していたからだ……」
ラウラ「鳴上は、そんな私に『考えろ』と言った」
ラウラ「……いろんな人に聞いてみた、いろんな本も読んでみた」
ラウラ「その結果……私なりに答えを出す事が出来た……」
一夏「うん……」
ラウラ「私は」
338: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:18:07 ID:yYdB2LDw
ラウラ「男女の関係で…恋愛の対象という意味で……」 ///
ラウラ「一夏の事が好きだ」 ///
一夏「………そ、そうか」 ///
ラウラ「…………」 ///
ラウラ「つ…伝わった、だろうか?」 ///
一夏「お、おう、十分過ぎるほど!」 ///
ラウラ「そ、そうか! 良かった…」 ニコ ///
339: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:18:58 ID:yYdB2LDw
ラウラ「ありがとう…一夏。 聞いてくれて…」 ///
ラウラ「私は、お前に出会えて、本当に良かったと思う」 ///
ラウラ「それでは、また後で、な……」 ///
一夏「…えっ!? ラウラ!?」
一夏「……………………」
一夏(…おいおい)
一夏(まさかと思うけど…)
一夏(こ、これって…) ///
340: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:20:03 ID:yYdB2LDw
コン コン ガチャ
シャル「一夏、調子はどう?」
一夏「…シャル」
シャル「えっと……もう、分かっているかな? さすがに…」 ///
一夏「……う、その」
一夏「シャルも…なのか?」 ///
シャル「……うん!」 ニコ ///
シャル「でも……だからって『わかった』つもりにならないで?」
シャル「ボクは、ちゃんと一夏に向き合って」
シャル「気持ちを…伝えたいの」 ///
一夏「……そう、か」 ///
341: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:21:38 ID:yYdB2LDw
シャル「一夏は…覚えてる?」
シャル「一緒に お風呂に入った時の事……」 ///
一夏「……わ、忘れられるわけないだろ」 ///
シャル「一夏のえっち」 ///
一夏「は、話を振ってきたの、そっちだろ!?」 ///
シャル「うふふ、ごめん」 ///
342: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:22:50 ID:yYdB2LDw
シャル「………あの時はね」
シャル「ボク、一夏へのお礼のつもりだった…」
一夏(……にしては、かなり過激だ)
シャル「でも…ボクは、自分と向き合うようになってから」
シャル「あの時の…ボクの行動は……」
シャル「一夏と、既成事実を作りたかったんじゃなかったの? と思ってる……」
一夏「……!?」
シャル「……幻滅した?」
一夏「!? い、いや、そんな事は!」
343: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:23:44 ID:yYdB2LDw
シャル「もしかしたら………今こうして話しているボクも」
シャル「何かの結果を求めて…あざとく行動しているのかも知れない……」
シャル「でも」
シャル「そんなボクにも」
シャル「たった一つだけ…」
シャル「純粋に自信を持って 言える事があるの」
一夏「…………」
344: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:29:48 ID:yYdB2LDw
シャル「一夏の事が、好き…」 ///
一夏「…………」 ///
シャル「………ふう」 ///
シャル「えへへ…やっと言えた」 ///
一夏「…そ、そうか」 ///
シャル「あ、言っとくけど、友達として じゃないからね?」
一夏「わ、わかってるよ…!」
345: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:31:06 ID:yYdB2LDw
シャル「良かった…ちゃんと伝える事ができて……」
シャル「一夏、聞いてくれて、ありがとう」
シャル「……大好き」 ニコ ///
----------
一夏(…シャル)
一夏(…………) ///
一夏(友達としてじゃない) ///
一夏(か……) ///
346: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:32:46 ID:yYdB2LDw
コン コン ガチャ
鈴「一夏~? 調子はどう?」
一夏「……鈴」
一夏「…………」 ///
鈴「……す、少し、休憩しない?」 ///
一夏「…休憩、か」 ///
一夏「あ、ありがたい」 ///
鈴「えと…飲み物、持ってきたの。 飲む?」 ///
一夏「おう、も、もらおうかな…」 ///
347: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:34:25 ID:yYdB2LDw
----------
一夏「……おかげで落ち着いた」
一夏「ありがとう、鈴」
鈴「どういたしまして!」 フフッ
348: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:36:26 ID:yYdB2LDw
鈴「一夏は…気づいてるかな?」
一夏「…ま、まあ、な」 ///
鈴「……ううん、そっちじゃなくて」
鈴「あたしが言ってるのは順番の事」
一夏「? 順番?」
一夏「最初が 箒で、ラウラ、シャル、そして鈴、セシリア……」
一夏「…なにか法則性があるのか?」
鈴「事の発端は…箒の一言かな」
鈴「突然、『私は一夏に告白しようと思う』って言い出してね」
一夏「………!」
349: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:37:10 ID:yYdB2LDw
鈴「ま、一夏の知らない所で、ひと悶着あって……」
鈴「今度のタッグマッチ・トーナメントの成績で」
鈴「告白の順番を決めよう、って事になったの」
一夏「……!?」
350: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:39:03 ID:yYdB2LDw
一夏「…………」
一夏「……じゃあ」
一夏「みんなが、勝ちにこだわっていたのは…」
一夏「俺のため、なのか?」
鈴「平たく言えばそう」
一夏「…………」
鈴「…………」
鈴「悠には…迷惑かけちゃったな」
鈴「あんたにも…セシリアにも……」
一夏「……? どういう意味だ?」
鈴「悠は、強敵だったでしょ?」
一夏「ああ……」
351: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:40:02 ID:yYdB2LDw
鈴「セシリアは、その強敵に勝つために」
鈴「一夏に無理をさせ、医療室送りにした……」
一夏「!! それは違う! 俺だって悠に勝ちたかった!」
鈴「セシリア自身は、責任を感じているわ……」
一夏「…………」
鈴「箒とラウラの後、『わたくしは、トリを狙っていたのですわ!』とか、ワザとらしく言って」
鈴「一番最後を選んだのが証拠………」
一夏「…………っ!」
352: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:41:22 ID:yYdB2LDw
一夏「…………」
一夏「…………鈴」
一夏「お前もそうなのか?」
鈴「…………」
一夏「…でなきゃ」
一夏「そんな話…しないよな」
鈴「…………」
353: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:42:52 ID:yYdB2LDw
一夏「………聞かせてくれるか?」
一夏「鈴の気持ち……」
鈴「!!」
鈴「…あ、あたしは」
鈴「す、…好き、…一夏の事」 ///
一夏「…子供のころから?」
鈴「! …そ…そうよ!」 ///
鈴「ずっと、ずっと! 好き!」 ///
鈴「あたしは…… 一夏が」 ///
354: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:43:43 ID:yYdB2LDw
鈴「一夏の事が…大好き」 ///
一夏「…ありがとう、鈴」
一夏「俺は…」
鈴「へ、返事は、後でいいから!」 ///
一夏「い、いや俺は…」
鈴「も、もう行くね!? あたし!」 ///
一夏「あっ!……鈴!」
ガラッ……パタンッ…
355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:44:45 ID:yYdB2LDw
一夏(…まったく鈴の奴)
一夏(昔からああだよな…) クスッ
一夏(いつも他の人の事を気遣って…自分の事を後回しにする)
一夏(でもな…)
一夏(凄くうれしいよ……鈴)
356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:46:05 ID:yYdB2LDw
ドドドドドドドドドッ バァンッ!!
セシリア「い、一夏さん!!」 ハアッハアッ
一夏「うおっ!? なんだ!?」
セシリア「…あ、あれ?」
一夏「…よ、よお」
セシリア「…………」
一夏「どうしたんだ? いったい?」
セシリア「い、いえ、その…な、鳴上さんが、一夏さんの容態が急変した、と…」
一夏「…………」
セシリア「…………」
357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:46:47 ID:yYdB2LDw
セシリア「………もしかして」
セシリア「騙されましたの? わたくし…」
一夏「…多分な」
セシリア「……はうううう」 ヘナ ヘナ ヘナ……
一夏「ははは…」
358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:47:37 ID:yYdB2LDw
一夏「セシリア…聞かせてくれるか?」
一夏「その…気持ちを…」 ///
セシリア「!!!!」
セシリア「わ、わたくしは…そのっ!」
一夏「……責任なんて、感じなくていいから」
セシリア「!!!!」
セシリア「…でも…わたくしは…」
セシリア「自分が許せません…!」
359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:48:33 ID:yYdB2LDw
一夏「……だったら俺も」
一夏「タッグパートナーとして…セシリアを裏切った自分が許せなくなる…」
セシリア「! 一夏さん!?」
一夏「………お互い許さないか?」
一夏「自分を…」 ニコ
セシリア「…………」
セシリア「…一夏さん」
セシリア「…ずるいですわ」 ポロ
セシリア「…ううっ…ひっく」 ポロ ポロ
360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:49:19 ID:yYdB2LDw
----------
一夏「…落ち着いたか?」
セシリア「…はい」
一夏(…悠が、セシリアについたウソは)
一夏(鈴の話から推測すると、おそらく…)
一夏(セシリアが告白自体を 止めると思ったんだろうな……)
一夏(タイミングもドンピシャで、相変わらず凄い奴だ)
361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:50:15 ID:yYdB2LDw
セシリア「えっと…その」 ///
セシリア「わ、わたくしは…」 ///
一夏「……うん」 ///
セシリア「………最初は…わかりませんでした」
セシリア「気が付いたら一夏さんの事ばかりを…考えているようになってて」
セシリア「いつの間にか、目であなたの事を追っていて…」 ///
セシリア「ああ……これが、こ、恋なのだと…思いました……」 ///
一夏「……う、うん」 ///
362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:51:02 ID:yYdB2LDw
セシリア「わたくしは…一夏さんの事が好きです」 ///
一夏「…………」 ///
セシリア「…………」 ///
一夏「…ありがとう、セ、セシリア。 す、凄く、うれしいよ」 ///
セシリア「は、は、はい…!」 ///
セシリア「あ! で、でも! 友人として、では ありませんから!」 ///
一夏「わ、わかってるから!」 ///
一夏(な、なぜ、みんな念を押す!?)
363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:51:50 ID:yYdB2LDw
一夏「………その」 ///
一夏「返事は…やっぱり後でいいのか?」
セシリア「…はい」 ///
セシリア「……みなさんとの取り決めで」
セシリア「特に期限は、決めませんけど…」
セシリア「でも…お心が決まったら」
セシリア「全員を集めた上で……おっしゃってください」
一夏「……えっ?」
一夏「ええっ!?」
364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:52:50 ID:yYdB2LDw
一夏「ちょ、ちょっと待ってくれ…」 ///
一夏「みんなを集めてって…ええっ!?」 ///
セシリア「なにか問題が?」
一夏「!!…だ、だって…その…」 ///
セシリア「わたくし達は…皆、真剣に一夏さんに向き合いました」
セシリア「その気持ちを 偽ることなく話し合って……」
セシリア「この人達なら、一夏さんとお付き合いしても許そう、と…」
セシリア「みんなで決めたのです」
一夏「…………」
365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:53:40 ID:yYdB2LDw
セシリア「…ですので」
セシリア「一夏さんも、わたくし達に向き合って」
セシリア「お答えください」
セシリア「全員を選ばない…という選択でもかまいません」
一夏「…………」
セシリア「……もちろん、選ばれなかった人は」
セシリア「しばらく時間が、必要になると思います………」
セシリア「でも」
セシリア「必ず…選ばれた人を祝福できると、確信しておりますわ」 ニコ
一夏「…………」
366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:54:28 ID:yYdB2LDw
----------
一夏(…………)
一夏(…………)
一夏(………みんな)
一夏(凄いな……)
一夏(正直、俺が五人いればいいのにって思う)
一夏(俺も真剣に答えを見つけないと………)
367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:55:18 ID:yYdB2LDw
コン コン ガチャ
鳴上「一夏、今、いいか?」
一夏「…悠」
鳴上「実はな…俺」
一夏(…え?)
鳴上「前から思っていたんだが…」
一夏(ちょ…ま、まさか!?)
368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:56:28 ID:yYdB2LDw
鳴上「どうして、素組するんだ?」
一夏「い、いや! 待ってくれ! お、俺にそっちの趣味は……!」
一夏「へ? 素組?」
鳴上「……プラモの話をしているんだが?」
一夏「……………………」
一夏「よ」
一夏「よかったぁ………」 ヘナヘナヘナ…
鳴上「?」
369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:57:22 ID:yYdB2LDw
鳴上「……で? 五人の多国籍美少女から、告白を受けた感想は?」
一夏「正直、滅茶苦茶つらい……」
鳴上「世界中の男に殴られるぞ?」
一夏「……でも本音だ」
一夏「誰かを選べば、他の四人が傷つく…」
一夏「俺は…誰も傷つけたくないのに」
鳴上「…………」
370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:58:08 ID:yYdB2LDw
鳴上「残念だが……もう誰も傷つかない事はない」
一夏「…………」
鳴上「………でも」
鳴上「今なら…『すり傷』程度ですむと思う」
一夏「……!」
鳴上「誰も傷つかない……」
鳴上「確かに理想だ」
一夏「…………」
371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:58:59 ID:yYdB2LDw
鳴上「なんだか放っておけない…守ってあげたい…」
鳴上「支えてあげたい…望みを叶えてあげたい…」
鳴上「…そんな気持ちに、すべて答えている内に」
鳴上「俺は…いつの間にか、六股かけていた…」
一夏「………………」
一夏「はあ!?」
鳴上「………………」
372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 13:59:55 ID:yYdB2LDw
一夏「……マジで?」
鳴上「マジで」
一夏「お前が…………六股?」
鳴上「…ああ」
一夏「…………」
一夏「…………で」
一夏「どうなった?」
鳴上「阿鼻叫喚の渦……」
一夏「Oh…………」
373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/17(火) 14:01:49 ID:yYdB2LDw
鳴上「お前もそうなりたいか?」
一夏「全力でお断りします」
鳴上「それでいい」
鳴上「俺みたいに全身複雑骨折する事はない」
一夏(冗談に聞こえねえ…)
鳴上「…難しく考えるな」
鳴上「ただ…自分に正直になればいい」
一夏「…自分に」
一夏「正直に、か……」
一夏「……………………」
386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:10:53 ID:Ub0Siy1A
-半月後・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
鳴上「…じゃ、俺は席を外す」
一夏「お、おう。 すまんな…」
キィ… パタン…
箒「…………」
鈴「…………」
シャル「…………」
セシリア「…………」
ラウラ「…………」
387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:15:08 ID:Ub0Siy1A
一夏「…………………」
一夏「…………えっと」
一夏「まず、みんなにお礼を言っておく」
一夏「俺を…好きだと言ってくれて、ありがとう」
一夏「本当にうれしかった」
ヒロインズ「………………」
388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:15:53 ID:Ub0Siy1A
一夏「悠に、自分に正直になれ、と言われて」
一夏「いろんな事を考えて、自分と向き合って…」
一夏「でも、なかなか答えが出せなくて……」
ヒロインズ「………………」
389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:16:35 ID:Ub0Siy1A
一夏「これは、お世辞でもなんでもなく、みんな魅力的で…」
一夏「この中の一人だけを選ぶなんて、とんでもない贅沢で、その…」
一夏「ああ、もう、なにを言ってんだ? 俺は………」 ///
ヒロインズ「………………」 ///
390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:17:17 ID:Ub0Siy1A
一夏「………だけど」
一夏「俺は、答えを……出した」
ヒロインズ「…!」
一夏「スーハー、スーハー…………ふう」
一夏「お、俺は、」
一夏「織斑 一夏は…」 ///
ヒロインズ「…………」 トクン、トクン…
391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:18:08 ID:Ub0Siy1A
一夏「シャルが、一番好きだ!」 ///
シャル「!!!!!!!!!!」
鈴「……うっ」 ダッ
箒「……鈴!」
セシリア「…鈴さん」
ラウラ「…行こう、みんな」
392: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:19:07 ID:Ub0Siy1A
一夏(…………やっぱり胸が痛むな)
シャル(…………みんな)
シャル「……えっと、一夏」
一夏「…うん」
シャル「ボクで…いいの?」
一夏「シャルでなきゃ、駄目なんだ」
一夏「……あの時、」
一夏「トーナメントで箒達と戦っていた時」
一夏「俺だったらこうするのに…俺だったら、もっとシャルの力に なれるのにって」
一夏「歯がゆく思っていたんだ……」
393: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:20:09 ID:Ub0Siy1A
シャル「!!」 ///
シャル「…………」
シャル「………でも」
シャル「ボクは、鳴上くんを…選ぼうとしたんだよ?」
シャル「勝つために、一夏を…拒んだんだよ?」
一夏「…ああ、凄いショックだった」
シャル「…………」
394: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:21:15 ID:Ub0Siy1A
一夏「鈴や箒もそうだったけど……、シャルに断られたのが一番こたえた」
一夏「どうして? なぜ?」
一夏「…………」
一夏「それは……きっと」
一夏「シャルの事が一番好きだから」 ニコ ///
シャル「一夏…」 ///
395: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:21:59 ID:Ub0Siy1A
一夏「………………」 ///
シャル「………………」 ///
一夏「………………」 ///
シャル「………………」 ///
一夏「……え、えと、その」 ///
シャル「………う、うん」 ///
一夏「お、俺と…付き合ってもらえますか?」 ///
シャル「…こ、こちらこそ、よろしくお願いします」 ///
396: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:22:47 ID:Ub0Siy1A
-数週間後・IS学園・校門付近-
??「おー…、ここが、IS学園ってやつか!」
??「いきなりのアポなし訪問だけど…、楽しみだぜ!」
??「悠の奴…元気にしてっかな…」
397: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:23:51 ID:Ub0Siy1A
シャル「…………」 テク テク
シャル「………?」 ピト
??「そこを何とか!! 守衛さん!!」
守衛「…そう言われましても。 基本IS学園は、関係者以外の立ち入りは…」
??「身分証明証も提示してますし…お願いします!!」
??「悠に…鳴上 悠に会ったら、すぐ帰りますから!!」
シャル「…!」
シャル(鳴上くんの友達?)
398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:25:09 ID:Ub0Siy1A
守衛「すみませんが…今は、付き添いの人員が いませんので…」
??「そ、そこを何とか!!」
シャル「あの…」
??・守衛「「?」」
シャル「鳴上くんの友達…なんですか?」
??「…え? お!? …は、はい!」
??(な、なんだよ、この超絶金髪美少女は…!!) ///
399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:26:07 ID:Ub0Siy1A
シャル「守衛さん、良かったら ボクが付き添いましょうか?」
守衛「…しかし」
シャル「ボクは専用機持ちです。 いざとなったら撃退できますし」
守衛「!…名前と学年を言ってください」
シャル「シャルロット・デュノア。 一年生です」
守衛「…………」 ピピピ…
守衛「…確認」
守衛「わかりました、お任せしましょう」
??「!! おっしゃ!!」
400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:26:51 ID:Ub0Siy1A
守衛「ただし、何か問題が発生した場合、あなたにも責任がおよびます」
守衛「かまいませんか?」
シャル「はい」
守衛「…では君、この腕章を着けて。 くれぐれも軽率な行動を 取らないように」
??「モチのロンです!!」
401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:27:59 ID:Ub0Siy1A
??「いや~助かったよ……って言葉、わかる?」
シャル「IS学園入学の必須なんです、日本語は」 ニコ
??(…うは、か、可愛えぇ…) ///
??「っと! 自己紹介がまだだった!」
??「俺は、花村 陽介! よろしく!」
シャル「シャルロット・デュノアです。 よろしくね、花村くん」 ニコ
花村(くうっ…! 悠! 心底お前が、うらやましい!!) ウルウル…
シャル「?」 ニコ ニコ
402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:39:07 ID:Ub0Siy1A
-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
コン コン
シャル「一夏~? 鳴上くん、いる~?」
一夏「ん~? シャルか? 悠もいるぞ」
ガチャ
シャル「良かった、鳴上くんに お客さんだよ?」
鳴上「? 俺に客?」
546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/19(木) 10:29:23 ID:zdWlo8d2
花村「…悠!」
鳴上「…陽介!」
花村「久しぶりだなあ…相棒!!」
鳴上「陽介、どうしたんだ? 突然?」
鳴上「連絡してくれたら、迎えに行ったのに…」
花村「いやあ…なに? こういうのって、サプライズさせた方が もりあがんじゃん?」 ニヤリ
鳴上「変わってないな…陽介」 クスッ
403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:40:47 ID:Ub0Siy1A
----------
鳴上「ジュネスの店長会議にくっついて来たのか…」
花村「そ! 会場がこの近くなんで、親父に頼み込んでムリヤリ、な」
一夏「へえ……ジュネスって あの全国展開してる、大手の」
シャル「エブリデイ・ヤングライフ・ジュ・ネ・ス♪ ……だね?」
花村「くううう! ありがとう! お嬢さん!」
シャル「あはは…」
404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:41:51 ID:Ub0Siy1A
花村「ところで、悠、IS?ってやつ? 良かったら見せてくれるか?」
鳴上「ああ、かまわない」
花村「よっしゃ! 楽しみぃ~!」
一夏「お? それなら、俺と模擬戦形式で見せるってのは、どうだ? 悠?」
鳴上「…おもしろいな」
花村「マジで!? すげえ!!」
花村「一夏? だっけ? サンキューな!」
花村「俺の事も 陽介って呼んでくれ!」
一夏「ああ、よろしく、陽介」
405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:43:28 ID:Ub0Siy1A
花村「こう言っちゃ何だが、俺も悠とは 殴りあった仲なんだ」
花村「だから、気兼ねしないでくれよ?」
一夏「へえ? いったい何が原因で?」
花村「ははは…そいつぁ、ちょっと…なあ、悠?」
鳴上「陽介に一方的に殴りかかられた…」 ハア…
花村「おまっ!? そういう事、言っちゃう!?」
アハハハ…
406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:44:17 ID:Ub0Siy1A
-同・第三アリーナ-
鳴上「…………」 スチャ(メガネ装備)
鳴上「イザナギ!」 スウウウウウンッ!
一夏「白式!」 スウウウウウンッ!
花村「おおっ! すげえぇぇぇ!」
花村「どっちもかっけぇぇぇ!」
シャル(この人、ホントに楽しそう…) クス
407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:45:21 ID:Ub0Siy1A
一夏「対戦成績はタッグマッチを含めて、俺の三勝四敗…」
一夏「今日こそ、イーブンに持ち込む!」
鳴上「……そう上手くは、いかないぞ?」
鳴上「陽介に いい所を見せたいしな…」 クスッ
408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:46:57 ID:Ub0Siy1A
花村「くううう! がんばれ! 悠~!」
シャル「花村くん…楽しそうだね」 クスッ
花村「おおよ! 俺は、毎日楽しんで生きてるんだぜ?」
花村「どんな些細な事も…何でもない日常も、」
花村「俺にとっては、生きてる事そのものが 楽しいんだ!」
シャル「…!!」
シャル(もしかして…)
409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:48:10 ID:Ub0Siy1A
シャル「花村くん…」
花村「うん?」
シャル「自分と向き合うって…難しいね?」
花村「いっ!?」
シャル「うふふ…」 ニコッ
花村(ゆ、悠のやつ…!) ///
花村(でも…これって脈アリじゃね!?) ///
シャル「一夏~! がんばって~!」
花村「…………」
花村「…っきしょおおおおお!!」
花村「悠ー!! 負けるなー!!」
410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:49:04 ID:Ub0Siy1A
-夜・屋上-
シャル「花村くんて面白い人だったね」
一夏「ああ、いい友達になれそうだ」
一夏「…悠との勝負は、負けちまったけどな」
シャル「ふふ、気にしない気にしない」 ニコ
411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:50:03 ID:Ub0Siy1A
一夏「それにしても、悠にあんな友達がいるなんてな…」
シャル「ホント、花村くん、楽しそうだった」
シャル「ちょっと話をしてみたんだけど…」
シャル「どんな些細な事も、なんでもない日常も、」
シャル「花村くんは 生きている事、そのものが楽しいんだって 言ってた」 ニコ
一夏「……すごいポジティブ思考だな」
シャル「ボクから見たら 凄くうらやましく思えたけどね」 クスッ
412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:50:43 ID:Ub0Siy1A
一夏「…そ、それにしても」
シャル「?」
一夏「陽介の事…ずいぶん話すのな」
シャル「??」
一夏「…………」 ///
シャル「…………」
シャル「…………あ」
シャル「もしかして……焼いてる?」
一夏「…ぐ、わ、悪いかよ」 ///
413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:51:56 ID:Ub0Siy1A
一夏「アリーナのスタンドで、陽介とシャルが 仲よさそうに話してるの見て…」
一夏「落ち着かなくて……」 ///
シャル「! 鳴上くんに負けたのって……」
一夏「…………」 ///
シャル「…ふふ、なんだか、うれしい」
シャル「一夏が、ボクにやきもちを 焼いてくれるなんて」 ///
ギュッ
414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:53:10 ID:Ub0Siy1A
一夏「! …シャル」 ///
シャル「…こ、これで、安心してくれる?」 ///
一夏「…お、おう。 でも抱きしめられるとは、思わなかった」 ///
シャル「よ…良かったら」 ///
シャル「一夏も ボクを抱きしめて欲しいな…」 ///
一夏「…! よ、よし…!」 ///
ギュッ
シャル「ん…一夏、暖かい」 ///
415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:54:14 ID:Ub0Siy1A
一夏「シャル……」 ///
シャル「一夏……」 ///
シャル「大好き…!」 ///
おしまい
417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:58:36 ID:Ub0Siy1A
>>391から
-鈴エンド-
一夏「鈴が、一番好きだ!」 ///
鈴「!!!!!!!!!!」
セシリア「…………」
箒「…………、一夏」
シャル「…………っ」
ラウラ「…行こう、みんな」
418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 18:59:32 ID:Ub0Siy1A
鈴(…! みんな……)
一夏(…やっぱり、胸が痛むな)
鈴「…………うっ」
鈴「ひぐっ……」 ポロポロ
一夏「!? …鈴?」
鈴「ごめ…ん、一夏」 ポロポロ
鈴「あ、あたし…多分だめ、だと思ってて…」
鈴「なんか…わかんないけど…とまらない、…の」 ポロポロ
一夏「…そうか」
419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:00:21 ID:Ub0Siy1A
一夏「俺…その、気づいてやれなくて、ごめん」
鈴「…………」
一夏「鈴は、子供の頃から存在が近すぎて…」
一夏「鈴も俺と同じように……友達として付き合っているって思ってた」
一夏「…でも」
一夏「悠に色々言われた事や…鈴の告白で…」
一夏「ああ、そうかって…やっとわかった」
鈴「一夏…」
420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:01:36 ID:Ub0Siy1A
一夏「俺は、鈴をちゃんと見てなかったんだ、って」
一夏「…ごめんな、鈴」
鈴「…ううん、もういい」 ///
一夏「…………えっと」 ///
鈴「…?」
一夏「……その、鈴」 ///
鈴「う、うん。 なに?」 ///
一夏「俺と…付き合ってもらえますか?」 ///
鈴「!! ……はい!」 ///
421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:02:27 ID:Ub0Siy1A
-数週間後・IS学園・校門付近-
???「お父さん! 早く、早く!」
??「おおい、ちょっと待ってくれ…」
守衛「はい、確認取れました。 堂島さん、この腕章を必ず着けてくださいね」
堂島「わかりました…おい、菜々子。 ほら……これを着けるんだ」
菜々子「は~い!」
422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:04:18 ID:Ub0Siy1A
----------
鳴上「伯父さん!」
堂島「悠! 久しぶりだな!」
菜々子「お兄ちゃん!!」
鳴上「菜々子、久しぶり。 大きくなったな…」
菜々子「うん! あのね、菜々子、3㎝も伸びたんだよ!」
鳴上「そうか…よかったな」 ニコ
423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:05:53 ID:Ub0Siy1A
堂島「悠…、学校はどうだ?」
鳴上「楽しいですよ」
堂島「はは…聞くまでも無かったな」
堂島「これだけ可愛い娘さん達に囲まれていたら…」
菜々子「…お父さん!!」 ペシペシ!
堂島「うおっ! い、痛い、菜々子! 悪かった、お父さんが悪かった!」
鳴上「ハハハ…」
424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:06:49 ID:Ub0Siy1A
-同・第三アリーナ-
一夏「甘いぜ! 鈴!」
鈴「…くっ!」
ドンッ ドンッ ドンッ!!
一夏「はあっ」
ヒュバッ!
鈴「…………」
鈴「…?」
一夏「…チェックメイト」
鈴「もう…また負けた…」
425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:07:48 ID:Ub0Siy1A
一夏「でも、イグニッション・ブーストも 大分モノになって来たな」
鈴「…う~ん、使い所が難しいわね。 エネルギーもけっこう食うし…」
鈴「あたしには、向いてないかも……」
一夏「ま、おぼえといて損は無いと思うぜ?」
鈴「まあね……」
鈴「………あれ?」
一夏「ん? どうした? 鈴?」
鈴「ほら、あそこ」
一夏「…お、悠。 と、誰だ? あの親子?」
426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:08:36 ID:Ub0Siy1A
鈴(…親子?)
鈴(あ! …もしかして!)
鈴「そういえば、近く親戚が訪ねて来るって、言ってなかった?」
一夏「…ああ! 言ってた言ってた!」
一夏「あれ、今日だったのか……」
鈴「ねえ、休憩がてら、挨拶しておかない?」
一夏「お、いいな。 行ってみるか!」
427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:10:53 ID:Ub0Siy1A
菜々子「うわあ……かっこいい!」
鈴「うふふ、ありがと!」
菜々子「そっちのお兄さんのも、真っ白でかっこいい!」
一夏「ハハ、ありがとう、菜々子ちゃん!」
菜々子「菜々子、お兄ちゃんのあいえすも見たい!」
鳴上「え?」
一夏「いいじゃないか、悠。 見せてやれよ」
鳴上「しかし…今は一夏達が……」
鈴「ああ、それなら気にしないで。 あたし達は、もういいから、ね?」
鳴上「そうか……。 じゃあ、お言葉に甘えるかな」 ニコ
428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:11:49 ID:Ub0Siy1A
鳴上「…………」 スチャ(メガネ装備)
鳴上「イザナギ!」 スウウウウウンッ!
菜々子「わああああっ! 見て見て! お父さん!」
菜々子「お兄ちゃんのあいえす、すっごくかっこいい!!」
堂島「ははは…良かったな、菜々子」
429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:12:44 ID:Ub0Siy1A
一夏「ようし、菜々子ちゃん、ちょっとお兄ちゃんと戦っていいかな?」
鳴上「お、おい! 一夏…!」
菜々子「えっ!? お兄ちゃんと!?」
鳴上「…あまり刺激的な事は……」
一夏「わかってるよ。 せっかくなんだし……悠のいい所、見せてあげたいんだ」
鳴上「…う、う~ん」
鈴「じゃ、あたし、観客席に行って解説する!」
鈴「菜々子ちゃん 可愛いし、近くで見たいし!」 ニコ ///
鳴上「…わかった。 でも、激しいのは 絶対無しだぞ?」
一夏「ああ、わかってるって!」
430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:13:49 ID:Ub0Siy1A
菜々子「わあああっ! お兄ちゃん! がんばって!」
コンッ! キンッ! カァンッ!
堂島「ほう…これは凄いな」
鈴「ふふっ…ま、本来の実力の1%も出していませんが…」
堂島「これが…1%にも満たない!?」
鈴「あの二人が本気を出したら、目で追うのも大変なんですよ?」
堂島「そ、そんなにか!? ……信じられん」
菜々子「いけー! お兄ちゃん!」
431: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:14:45 ID:Ub0Siy1A
鈴「あの……」
堂島「ん?」
鈴「悠に…少しだけ聞いたんです。 堂島さん一家の事」
堂島「! ……それは、妻の事も、か?」
鈴「はい…」
堂島「……参ったな」
鈴「あたし…少し悩んでいた時期があって、その時に聞きました」
鈴「想っているだけじゃ、伝わらないって」
堂島「…!」
堂島「…………」
堂島「…そうか」
432: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:15:38 ID:Ub0Siy1A
堂島「その…あいつは、悠は、何か言ってたか?」
鈴「自分を含めて…」
鈴「『家族』になれた、って言ってました」 ニコ
堂島「…………」
堂島「…ふふ、嬉しいものだな」 クスッ
鈴「………」 ニコ ニコ
433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:16:24 ID:Ub0Siy1A
堂島「…ところで、君は 伝えたのかい? 想いを…」
鈴「……ええ」
鈴「…………」 ///
堂島「………?」
堂島(……ああ、あの男子生徒の事を……。 年頃の娘さんだものな)
堂島「…青春、だな」 クスッ
434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:17:15 ID:Ub0Siy1A
-同・IS学園・食堂-
菜々子「すごかったね! お父さん!」
菜々子「お兄ちゃんがビューンって来て、」
菜々子「一夏お兄さんの事、倒しちゃったんだよ!」 キラキラ
堂島「ああ、お父さんも見てたぞ。 凄いな、悠は」
菜々子「うん! お兄ちゃん、強いんだね!」 キラキラ
堂島「ははは…」
435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:18:20 ID:Ub0Siy1A
鳴上「おまたせ、菜々子」
菜々子「わあ! プリン! 菜々子、大好き!」
鳴上「ジュースもあるからな」
菜々子「うん!」
一夏「堂島さん、あんぱんと牛乳でしたっけ?」
堂島「お、すまないな一夏君」
一夏「悠は、スパゲティか」
鳴上「ああ。 一夏はいつものラーメン、鈴はクレープか・・・めずらしいな」
鈴「ま、たまには、ね」
鈴「さ、食べましょ!」
436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:19:31 ID:Ub0Siy1A
堂島「しかし、こんな時間に学食が開いてるんだな…」
一夏「IS学園は全寮制ですから。 夕方…つまり今くらいから、また開店するんですよ」
堂島「なるほど」
菜々子「おいしい! ジュネスのプリンと同じくらい、おいしい!」
鳴上「よかったな、菜々子」
鈴「ふふ…IS学園は、スイーツメニューも充実してるからね」
437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:21:37 ID:Ub0Siy1A
菜々子「……あのう、一夏お兄さん」
一夏「うん? なに?」
菜々子「お兄ちゃんに負けちゃって……痛い所とか、無い?」
一夏「はは、全然ないよ? ありがとう、心配してくれて」
鈴「ISはね、ケンカしても怪我しないように出来てるの。 だから大丈夫だよ?」 ニコ
菜々子「そうなんだ! よかった…」
一夏「それに、菜々子ちゃんのお兄ちゃんは、強いけど…」
一夏「とっても優しいんだ。 だから怪我なんてしないよ」 ニコ
菜々子「うん! 菜々子も知ってるよ! お兄ちゃん、とっても優しい!」
ハハハ・…
438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:22:49 ID:Ub0Siy1A
菜々子「だから菜々子、お兄ちゃんと結婚するの!」 ///
一夏「お、よかったな、悠!」
鳴上「お、おう…」
鈴「ふふ……悠、覚悟しときなさいよ?」
鈴「女の子の『一途』は、馬鹿にすると怖いんだからね!」 ニコ
一夏・鳴上(鈴が言うと、説得力あるなぁ…)
鈴「菜々子ちゃん。 お姉ちゃん、応援するから、頑張ってね!」
菜々子「うん!」 ///
ハハハ…
439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:23:38 ID:Ub0Siy1A
堂島「………さて、菜々子」
堂島「そろそろ…帰らないと いけない時間だ」
菜々子「!!」
菜々子「………うん」
堂島「また、来よう。 な?」
菜々子「………うん」
鈴「…………」
一夏「…………」
鳴上「…………」
440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:24:20 ID:Ub0Siy1A
-同・IS学園・校門付近-
堂島「すまないな、見送ってもらって…」
一夏「いえ…」
鈴「あたし達も楽しかったです!」
鈴「菜々子ちゃん、また一緒にプリン食べようね?」
菜々子「うん!」
441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:25:25 ID:Ub0Siy1A
鳴上「おじさん、実は…今度の連休、八十稲羽に帰ろうかと思っているんです」
菜々子「!!」
菜々子「ホント!? お兄ちゃん!?」
堂島「おお、そうか! いつでも歓迎するぞ!」
堂島「よかったな、菜々子……」
菜々子「うん!!」
菜々子「お兄ちゃん、いっぱい、いっぱい! 遊ぼうね!」
鳴上「ああ、菜々子、いっぱい遊ぼうな」
442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:26:45 ID:Ub0Siy1A
一夏「…………」
鈴「…………」
鈴「いい家族だね」 クスッ
一夏「……ああ」 クスッ
ギュッ…
一夏(! …鈴、手を握って) ///
鈴「…ちょ、ちょっと気が早いけど」 ///
鈴「あたし…」 ///
鈴「一夏と…あんな家族になれたらって、思う……」 ///
一夏「………うん」 ///
一夏「俺も、そう思う」 ///
443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:27:50 ID:Ub0Siy1A
鈴「ふふ…ありがと、一夏」 ///
鈴「大好き!」 ///
おしまい
444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:30:25 ID:Ub0Siy1A
>>391から
-箒エンド-
一夏「箒が、一番好きだ!」 ///
箒「!!!!!!!!」
鈴「………っ」 ダッ
セシリア「! …鈴さん」
シャル「…………」
ラウラ「…行こう、みんな」
445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:31:22 ID:Ub0Siy1A
一夏(…やっぱり、胸が痛むな)
箒(……みんな)
箒「……どうしてだろう」
一夏「……うん?」
箒「こうなる事を 望んでいたハズなのに……」
箒「複雑な心境だ…」
一夏「箒…」
446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:32:40 ID:Ub0Siy1A
一夏「…それは、俺もだ」
箒「一夏…」
一夏「告白してくれた時まで…」
一夏「箒が、俺を想ってくれているなんて」
一夏「想像もしてなかった」
箒「…………」
447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:33:51 ID:Ub0Siy1A
一夏「でも、ハッキリ言ってくれて 俺は嬉しかった」
一夏「箒の本音が 初めて聞けたって、思えた」
箒「…うん」 ///
一夏「だから、言える」
一夏「福音の時みたいに、その場の雰囲気で流された、とかじゃなく」
一夏「俺も…、箒の事が好きだ、って…」 ///
箒「い、一夏…!」 ///
一夏「………箒」 ///
一夏「俺と……、付き合ってくれるか?」 ///
箒「…ああ! もちろんだ…!」 ///
448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:35:08 ID:Ub0Siy1A
-数週間後・IS学園校門付近-
??(…………)
??(…………)
??「…あ、鳴上…じゃなくて、悠先輩!」
鳴上「すまない、ちょっと遅れた…」
??「いえ…、私の方が突然 訪ねたんですから…」 ///
449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:37:57 ID:Ub0Siy1A
鳴上「腕章は…着けているな」
鳴上「…? どうして楽器を持ってきたんだ? 荷物になるだろうに」
??「あ……その、三校交流合唱会の宿は、ここからちょっと遠かったので…」
??「行きしなに寄ろうと思って」 ///
鳴上「そうか…」
鳴上「じゃあ、それは俺が持とう、綾音」 ニコ
綾音「あ、すみません、悠先輩」
450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:38:41 ID:Ub0Siy1A
ザワ… ザワ…
箒(…………?)
箒(…なんだか、騒がしいな?)
モブ子「……見た?」
モブ美「見た見た! 鳴上くん、可愛い他校の彼女を連れてたの!」
モブ枝「や~ん! 鳴上くん、狙ってたのに~!」
箒(ほう?)
モブ子「で、で!? 今どこに!?」
モブ美「さっき校舎の前にいたから…、次はアリーナ辺りを見せるんじゃない?」
モブ枝「いいなあ…、校内でデートかあ…。 あこがれちゃう!」
キャハハハ…
451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:39:15 ID:Ub0Siy1A
箒(…………)
箒(ちょっと、興味があるな) クスッ
箒(見に行ってみよう……)
452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:40:30 ID:Ub0Siy1A
-同・第二アリーナ・スタンド-
綾音「す、凄いです! 八十神高校とは、比べ物に成りませんね」
鳴上「比べるものにもよる」 クスッ…
鳴上「ここは近代的だけど…人工物ばかりで、落ち着かない時もある」
鳴上「それに…」
綾音「…?」
鳴上「綾音がいない」 ニコ
綾音「!! ゆ、悠先輩! …も、もう、恥ずかしいです…!」 ///
鳴上「ははは…」
箒(…………) ///
箒(…ち、近寄りがたい、雰囲気だ) ///
453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:41:21 ID:Ub0Siy1A
一夏「あれー? 悠?」
鳴上「一夏」
一夏「何してるんだ? こんな所で?」
箒(…………)
箒(……さすが一夏だ) ハア…
454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:42:18 ID:Ub0Siy1A
一夏「…お? そっちの女の子は?」
鳴上「俺の彼女」
一夏「はあ!?」
綾音「ゆ、悠先輩!」 ///
箒(……鳴上は鳴上で、規格外だな) 唖然…
455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:43:23 ID:Ub0Siy1A
一夏「…そ、そうなのか。 でも、悠」
鳴上「うん?」
一夏「お前…中学生の女の子を 彼女にするなんて……いいのか?」
綾音「ちゅ、中学生じゃありません!」
綾音「そ、そりゃ、私、ちっちゃいですけど…」 ///
綾音「こう見えても、高校二年生です!!」
一夏「…………へ?」
一夏「…だって、悠の事、先輩って?」
鳴上「…………」
鳴上「…………あ」
456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:44:49 ID:Ub0Siy1A
一夏・箒「本当は18!?」
一夏「って、箒!? いつの間に!?」
箒「こ、細かい事は置いておけ!」 ///
箒「それより……18って、どうして一年生に転入して来たんだ!?」
鳴上「一番の理由は、ISの基礎学力がまったく無かったからだ」
鳴上「そんな状態でいきなり三年生など出来ないだろ?」
箒「…た、確かに」
一夏「聞いてみれば、至極まともな理由だな…」
鳴上「それに…周りが女子だけ、というのもちょっと、な」
綾音「…………」
一夏(…その気持ち、わかるぜ、悠!)
457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:46:02 ID:Ub0Siy1A
一夏「…通りで大人びている訳だ」
箒「妙に落ち着き払っているのも、その為か…」
鳴上「篠ノ之博士に、無理矢理 転入させられる事になったけど……」
鳴上「俺にISを使える才能があるのなら」
鳴上「それを生かす方法を見つけたい」
鳴上「今は、そう思っている」
鳴上「多少……回り道になるけどな……」 クスッ
一夏「…………」
箒(…立派だ)
綾音(さすがです…悠先輩) ///
一夏(俺なんてされるがまま、ここに来て、なんとなく通っているのに…)
458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:47:06 ID:Ub0Siy1A
箒「…? 鳴上、その荷物は?」
鳴上「ああ、これは…」
綾音「私の荷物です。 悠先輩が持ってくれるって言うので、甘えました」 ///
一夏「何かのケースだな」
綾音「楽器です。 トロンボーン奏者なんですよ、私」 テヘ
箒(…!)
一夏「へえ…そりゃ聞いてみたいな」
箒「…そうだな、音楽室にトランペットもあるだろうし」
箒「聞かせてくれないか? 鳴上と二人で」 ニコ
綾音「ええっ!?」
鳴上「!?」
459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:48:47 ID:Ub0Siy1A
-同・IS学園・音楽室-
綾音(悠先輩……私の事、話したんですか?) ヒソヒソ
鳴上(……色々あって) ヒソヒソ
綾音(も、もう…) ヒソヒソ///
一夏「ほら、悠、トランペット」
一夏「それにしても……お前って多才だな」
鳴上「……はっきり言って、本当に久しぶりなんだ」
一夏「いいじゃないか、聞かせてくれよ」 クスッ
綾音「えと…悠先輩、あの時の曲ならできますか?」
鳴上「ああ。 と言うか、多分それしか出来ない……」
綾音「ふふ、わかりました」 クスッ
460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:50:52 ID:Ub0Siy1A
~♪ ~♪ ~♪
…その曲は、私の知らない曲だった。
後で綾音に聞いたのだが
とある学校での 少年の物語の曲なのだそうだ。
無慈悲な言葉の羅列や
世間の常識、そして、目に翻弄され
少年の日常は、狂ってしまう…。
461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:51:49 ID:Ub0Siy1A
それはまるで、濃い霧の様に
光を奪い、少年の心を荒廃させ
人を 信じる事を出来なくさせる。
でも、ある日、悩み続けた彼に
友人から、手紙が届く。
少年は、やっと気づく。
462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:52:34 ID:Ub0Siy1A
『一人ではない』事に。
みんなと過ごした日々
幼い頃に交わした約束
大切な言葉…
463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:54:01 ID:Ub0Siy1A
いつの間にか忘れていたけど
それは、心の奥に
いつもあった事を思い出す。
目には見えないけど
人同士のつながり
『絆』を……。
~♪ ~♪ ~♪
464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:55:01 ID:Ub0Siy1A
一夏「…………」
箒「…………」
鳴上「…………」
綾音「…ど、どうでしたか?」
一夏「なんだよ……上手いじゃないか!」 パチパチパチ!
箒「ああ…とても」
箒「幸せな気持ちになれた」 ニコ
綾音「!!!」
鳴上「…よかったな、綾音」 ニコ
綾音「…も、もう、ずるいです、みなさん…」 グスッ…///
一夏(………あれ、なんで泣くの? あの娘?)
465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:56:00 ID:Ub0Siy1A
-夜・屋上-
一夏「そうか……そんな理由があったのか」
箒「…ああ」
箒「私が、一夏に告白できたのも…彼女のおかげかもしれない……」
一夏「違うよ」
箒「えっ?」
一夏「それは、きっかけに過ぎない」
一夏「あの告白は…箒の努力のたまものさ」
箒「一夏…」
466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:56:59 ID:Ub0Siy1A
一夏「そうそう、俺も悠の秘密を話そうか?」
箒「? なんだ?」
一夏「実は……悠って、六股掛けてたんだって」
箒「……は?」
一夏「だから、悠は六股を…」
箒「…バカも休み休み言え。 鳴上が、そんな事をするはずが無い」
一夏「……俺もそう思った。 けどな、」
467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:57:40 ID:Ub0Siy1A
一夏「なんだか放っておけない…守ってあげたい…」
一夏「支えてあげたい…望みを叶えてあげたい…」
一夏「……そんな気持ちに、すべて答えている内に」
一夏「六股かけていたそうだ」
箒「…!」
468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:58:28 ID:Ub0Siy1A
箒「………なるほど」
箒「そうだったのか……」
一夏「……今のうちなら、みんな傷つくけど『すり傷』ですむ」
一夏「悠は、自分みたいに全身複雑骨折する事は無い、って」
一夏「俺の背中を押してくれた」
箒「…冗談に聞こえないな」
一夏「ああ…でも、だからこそ言えるんだろう」
469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 19:59:20 ID:Ub0Siy1A
箒「……あの娘、綾音は、不安だろうな」
一夏「…………」
箒「一夏以外は、みんな女という環境に、自分の彼氏がいる……」
箒「しかも自分は、鳴上のそばに いられないのだから……」
一夏「………箒」
ギュッ…
箒「!? い、一夏!?」 ///
一夏「…い、嫌、だったか?」 ///
箒「い、いや、そ、その…心の準備が…いきなり後ろから、抱きしめるなんて…」 ///
一夏「…その、箒も…不安なのかな? と思って…」 ///
箒「…!」 ///
470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 20:01:21 ID:Ub0Siy1A
箒「そ、その、一夏…、嫌がってるわけじゃない」 ///
箒「……でも、はなしてくれないか?」 ///
一夏「…お、おう」 ///
スッ…
箒「…………」 ///
一夏「…………」 ///
471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 20:03:34 ID:Ub0Siy1A
ギュッ…
一夏「! …箒」 ///
箒「…こ、こういう事は、向き合って行うものだろう?」 ///
一夏「……箒」 ///
一夏「そうだな…」 クスッ///
ギュッ…
箒「んっ…。 ありがとう、一夏…」 ///
箒「私は、幸せだ」 ///
おしまい
476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:39:07 ID:Ub0Siy1A
>>391から
-ラウラエンド-
一夏「ラウラが、一番好きだ」 ///
ラウラ「!!!!!!!!!」
鈴「…………っ」 ダッ
箒「! …………鈴」
セシリア「…鈴さん」
シャル「…行こう、みんな」
477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:40:03 ID:Ub0Siy1A
一夏(…やっぱり、胸が痛むな)
ラウラ(…………)
ラウラ「………いいのか? 一夏。 私なんかで…?」
ラウラ「正直……私が選ばれるなど、無いと思ってた」
一夏「ラウラの告白が効いた」 クスッ
ラウラ「!?」 ///
一夏「そりゃ確かに、あんまり気の効いた台詞ってわけじゃ無かったけど…」
一夏「初めてラウラの姿が 見えた気がした」
ラウラ「私の…姿?」
一夏「ラウラは、見た目以上に幼いんだなって…」
ラウラ「…!」
478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:41:18 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…それは、保護者的な目線だ」
ラウラ「私は…そんな風に見てもらいたくない…!」
一夏「悪い…、言葉が足りなかったな」
ラウラ「…?」
一夏「表現の仕方が幼かった、だ…」
ラウラ「!」
一夏「ラウラは、育てられた環境が、俺達とかなり違う」
一夏「そんな中で、一生懸命考えてくれた あの言葉は」
一夏「本当に嬉しかった…」
ラウラ「一夏…」
479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:42:30 ID:Ub0Siy1A
一夏「だから、俺もそれに答えたい、と思う」
一夏「ラウラ…」
ラウラ「う、うむ…」 ///
一夏「俺と…」
一夏「男女の関係で、恋愛の対象として」
一夏「付き合ってくれるか?」 クスッ
ラウラ「!!」 ///
480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:43:22 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…………」 ///
ラウラ「ずるいぞ、一夏…」 ///
ラウラ「私の告白を まるまる盗用しているではないか…」 ///
一夏「すまん…。 返事は?」 ニコ
ラウラ「そんなもの、決まっている」 クスッ
ラウラ「異論は無い!」 ニコッ ///
481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:44:10 ID:Ub0Siy1A
-数週間後・IS学園校門付近-
??「およよ~! これがセンセイのいる、IS学園クマね…」
??「八十稲羽とは、全然違うクマ」
??「…………」
??「ぬふふ…、センセイ、今行くクマ~!!」
482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:45:13 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…………」 テク テク
ラウラ「…………?」 ピト…
守衛「だーかーらー! 身分証の提示も無しで入れられないって!」
??「クマはクマクマ! それ以外の何者でもないクマ!」
守衛「わからん奴だな! 人を呼ぶぞ!」
クマ「クマは、それでもかまわないクマよ?」
クマ「IS学園は、女の子いっぱいクマ! だから、ぜひそうして欲しいクマ!」
守衛(…話が噛み合わん)
ラウラ(なんだ? あの金髪の男は?)
483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:46:00 ID:Ub0Siy1A
クマ「あ、そうそう! クマはセンセイの友達クマ!」
守衛「先生? 教師に知り合いが いるのか?」
クマ「センセイは センセイ、クマ! 鳴上 悠って名前クマ!」
ラウラ(…!?)
守衛「ふむ、ま、そんなに言うなら ちょっと調べて…」
ラウラ「おい」
守衛・クマ「「?」」
ラウラ「お前…クマ、と言ったか? クマの言う鳴上とは、生徒の事ではないのか?」
クマ「おおう! ぷりち~が~る! そうクマ! ここの寮にいるクマ!」
守衛「…………」
484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:47:23 ID:Ub0Siy1A
----------
鳴上「………クマ」
クマ「センセ~イ! 会いたかったクマ~!」
守衛「…君の友人なのは、間違い無いと?」
鳴上「はい…」
守衛「…それでは、身分証の提示が無いので、この…クマ?君の住所と名前を」
鳴上「はい…」
鳴上(クマの住所は…陽介の所でいいか…) カリカリ…
鳴上(!? …ってクマの氏名って!?)
鳴上(…………)
鳴上(…………) カリカリ…
485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:48:06 ID:Ub0Siy1A
鳴上「…どうぞ」
守衛「…ふむ、八十稲羽市の…ずいぶん遠くから来たものだ…?」
氏名 熊田 熊男
守衛「………………………………」
鳴上「………………………………」
守衛「君はふざけて」
鳴上「待ってください! 守衛さん!」
鳴上「これには…少し事情があるのです!」
鳴上「まず、クマの両親が別れた事が、最初でした…」
486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:48:46 ID:Ub0Siy1A
20分後…
守衛「うう…そうだったのか…再婚相手が熊田で…」 ボロボロ…
鳴上「そうです…。 彼は、何も悪くないのに あんな氏名になってしまい…」
鳴上「あのような人格に…!」
守衛「わかった…わかったよ…。 私だって突然、そんな名前になったら」
守衛「やりきれない気持ちになる…」
守衛「さあ、腕章だ。 いつまでもクマ君の友達でいてくれよ?」
鳴上「もちろんです」
487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:49:32 ID:Ub0Siy1A
鳴上「待たせたな、ク…」
鳴上「………ボーデヴィッヒ、クマは?」
ラウラ「トイレに行きたい、と言うので場所を教えた」
鳴上「どれくらい前だ?」
ラウラ「そろそろ、10分になる」
鳴上「……………………」
ラウラ(!)
ラウラ(…はじめて見た)
ラウラ(鳴上が頭を抱えている様を…!)
488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:50:19 ID:Ub0Siy1A
-同・食堂-
クマ「ここは凄いクマ! 右を向いても 左を向いても 女の子祭りクマ~♪」
クマ「クンクン…、それにいい匂いクマ~」
ザワ… ザワ…
モブ子「…誰? あの男子?」
モブ美「もしかして…第三の男のIS適正者! …とか?」
モブ枝「まさか…」
クマ「ねえねえ、君たち♪」
モブ子「うえっ!?」
モブ美(話しかけて来た!?)
モブ枝「…な、何かな?」
489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:51:01 ID:Ub0Siy1A
クマ「君たち、可愛いクマねぇ~」
モブ子「は、はあ…」
クマ「クマの逆ナン魂が、揺さぶられるクマ…」
モブ美(…逆ナン?)
クマ「でも、その前に、どうやってご飯を注文するのか、教えて欲しいクマ!」
モブ枝「えっと…?」
490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:51:50 ID:Ub0Siy1A
クマ「むっほー! おいしいクマ~!」 バクバクバク…
モブ子「ふわぁ…よく食べるわね」
モブ美「ま、見てて気持ちいいけど」
モブ枝「…私は逆。 食欲なくすわ…」
モブ子「それで? クマくんは、何しにIS学園に来たの?」
クマ「もっちろん、逆ナンクマ!」
モブ美(意味わかって言ってるのかな…)
クマ「あと、センセイに 会いに来たクマ!」
モブ枝「へー。 先生って?」
クマ「センセイは、センセイ、クマ! 鳴上 悠って人クマ!」
モブ三人娘「「「!!!」」」
491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:52:30 ID:Ub0Siy1A
ツカ ツカ ツカ ツカ
鳴上「…………クマ」
クマ「およよ! センセイ!」
クマ「見て見て! クマの逆ナンの成果!」
モブ子「え!?」
モブ美「あたし達、逆ナンされてたの!?」
モブ枝「えっと・・・クマくん?」
ラウラ「…………」
鳴上「……とにかく、クマ、これを着けておけ」
モブ子「あ、外来の腕章」
モブ美「私、着けてあげよっか?」
クマ「およよ~、モブ美さんは優しいクマ~…」
492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:53:17 ID:Ub0Siy1A
モブ美「じゃあね! クマくん! 逆ナン、楽しかったよ!」
モブ子「モブ美、心広すぎ~」
モブ美「いいじゃん! 悪い人じゃないと思うし」
モブ枝「いい意味でも悪い意味でも、欲望に正直なのね・・・たぶん・・・」
クマ「みんな、またね! クマ~!」
鳴上「……………………」
ラウラ(…また頭を抱えた)
493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:54:09 ID:Ub0Siy1A
鳴上「…クマ、どうやって ここまで来た?」
クマ「もちろん電車クマ! クマ、初めて新幹線に乗ったクマ!」
鳴上「まさか…お前がお金を貯めてたのって…」
クマ「そうクマ! センセイのいる、IS学園に来たかったからクマ!」
クマ「陽介にIS学園が女の子パラダイスって聞いて…」
クマ「クマの逆ナン魂が、ビンビンにいきり立ったクマ!」
鳴上「…………」
鳴上「…あのな、クマ」
鳴上「気持ちは嬉しいんだが…、俺にも都合と言うものがあって…」
クマ「それで、センセイのお部屋は どこクマ?」
鳴上「…………」
ラウラ(…………)
494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:55:07 ID:Ub0Siy1A
-同・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
クマ「およよ~! ここがセンセイの部屋クマか~!」
ラウラ(一夏は留守のようだな…)
鳴上「クマ、あまり はしゃぐな。 ここは俺だけの部屋じゃない」
鳴上「そっちは、同室の男のベッドだ」
クマ「およ? そうクマか…? ん?」 クンクン…
クマ「でも何故か、ラウッちのニオイがするクマ…?」
鳴上・ラウラ「「そっとしておけ!!」」 ///
495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:55:53 ID:Ub0Siy1A
鳴上「とにかく、俺にも予定がある…」
鳴上「すまないが、今日は これで帰ってくれ」
クマ「わかったクマ。 クマは、ここで大人しくしているクマ!」
鳴上「そうか、わかってく」
鳴上「…『ここで』?」
クマ「そうクマよ? しばらくここに住むクマ!」
鳴上「」
ラウラ「」
496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:56:40 ID:Ub0Siy1A
鳴上「…………!」 カチャ…(携帯オープン)
新着メール 件数 11
陽介
陽介
陽介
…
鳴上「…クマ」
鳴上「お前…陽介に黙って来たのか?」
クマ「そうクマ!」
鳴上「…………はうっ」 クラッ…
ラウラ「な、鳴上!? し、しっかりしろ!」
497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:57:42 ID:Ub0Siy1A
----------
鳴上「……すまない、ボ-デヴィッヒ、しばらくクマを見ていてくれ…」
鳴上「ここは、携帯が通じにくい。 ちょっと部屋からでる…」
ラウラ「わかった…」
パタン…
クマ「~♪~♪」
ラウラ「…おいクマ」
クマ「なにクマ?」
498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:58:38 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「お前は…自分を探していたのでは ないのか?」
クマ「…!」
ラウラ「やはりか…」
クマ「センセイから、聞いたクマか?」
ラウラ「お前の出生の秘密は、秘密のままだ」
ラウラ「だが…お前は、鳴上とその仲間に秘密を明かした上で」
ラウラ「そばにいてもいい? と尋ねたと聞いている」
クマ「みんな、いいって、言ってくれたクマ!」 ニコ
499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 21:59:35 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…それも知っている」
ラウラ「ならばなぜ、鳴上を困らせる?」
クマ「えっ?」
ラウラ「見て分からなかったのか?」
クマ「そ、そんな事ないクマ!」
クマ「センセイは、喜んでくれているクマ!」
ラウラ「では、聞くが…お前がここに来てから鳴上は、笑っていたか?」
クマ「…………」
クマ「………無いクマ」
500: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:00:09 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…非常に厄介だが、人同士の付き合いには、」
ラウラ「目に見えないルールが存在する」
クマ「………………」
ラウラ「お前は、まずそれを 学ばなければならない」
ラウラ「そうしなければ…」
クマ「しなければ?」
ラウラ「おそらく、だれもお前を必要としなくなる」
クマ「およ、およよー!?」
クマ「そ、そんなの嫌クマ~!!」
501: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:01:01 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…落ち着くんだ、クマ」
クマ「…クマ?」
ラウラ「人はな、誰でも間違いをしてしまう」
ラウラ「だが…そこから目を背けては駄目だ」
ラウラ「間違いから自分を見つめなおし、学習する事が大切なんだと思う」
クマ「…クマは、どうしたらいいクマ?」
502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:01:34 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「考えるんだ」
ラウラ「自分の行動で、どうして鳴上は 笑ってくれなかったのか?」
ラウラ「きっとお前は、鳴上が喜んでくれると思っていたが…そうではなかった」
ラウラ「それは何故か?」
ラウラ「考えてみるんだ」
クマ「………………」
503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:02:11 ID:Ub0Siy1A
ガチャ
鳴上「…クマ」
クマ「…センセイ」
鳴上(…? 何だか、いきなり大人しくなった?)
鳴上「どうした?」
クマ「クマは…クマは…、センセイを困らせたクマ?」
鳴上「!?」
504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:02:57 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「…………」
クマ「ラウッちに言われて、クマ、考えてみたクマ」
クマ「…でもクマは、頭悪いからよく分からなくて…それでセンセイに聞いてみたクマ」
鳴上「…………」
鳴上「……そうだな、確かに困った」
クマ「!!」
鳴上「いきなり連絡も無しに来た上に、学園内を勝手に歩き回ったあげく」
鳴上「唐突に、ここに住みたいとまで言う…」
クマ「およ…およよ」
505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:03:56 ID:Ub0Siy1A
鳴上「それに陽介も、お前が突然いなくなって 凄く心配している」
鳴上「陽介だけじゃない、里中も天城も…菜々子だって心配している」
クマ「…!! ナナちゃんが…!?」
鳴上「そうだ」
クマ「そ、そんな…。 クマは、クマは、そんなつもりは無かったクマ…!」
ラウラ「…………」
鳴上「…………」
506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:05:04 ID:Ub0Siy1A
クマ「お、およよ~、センセイ、ごめんなさいクマー!!」 ぶわわっ…
鳴上「…クマ、わかればいい」
クマ「…?」
鳴上「俺は、確かに困ったけど…お前が来てくれたのは、嬉しく思ってる」 ニコ
クマ「!! セ、センセイ」
鳴上「でも…、次からは、」
鳴上「ちゃんと事前に連絡を入れる事」
鳴上「陽介に黙って出かけない事」
鳴上「これを守るんだ。 わかったな?」
クマ「わかったクマ!!」
ラウラ「…………」 クスッ
507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:05:45 ID:Ub0Siy1A
-同・IS学園校門付近-
ラウラ「…いいのか? 鳴上」
ラウラ「今日は、実技試験があるのだろう?」
鳴上「かまわない。 クマを一人で帰らせる方が心配だしな…」 クスッ…
鳴上「あいつは、大事な友達なんだ」
ラウラ「そうか…」 クスッ
鳴上「それに事情を話したら、担任の先生が別の日に試験をしてくれる、と言ってくれたし」
ラウラ「なら、一安心だな」
鳴上「ああ」
508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:06:24 ID:Ub0Siy1A
鳴上「迷惑かけた…ボーデヴィッヒ」
ラウラ「気にするな、たいした事じゃない」 クスッ
鳴上「メールを入れておいたけど、一夏にもよろしく言っておいてくれ」
鳴上「明日の午前中には戻る」
ラウラ「わかった」
鳴上「じゃ…」
ラウラ「………」
509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:07:32 ID:Ub0Siy1A
-夜・IS学園寮・一夏と鳴上の部屋-
一夏「………そいつはまた、強烈なキャラだな」
ラウラ「しかも本人に、悪意が無いだけに始末が悪い…」
一夏「ははは…、そりゃ確かに」
ラウラ「…………」
一夏「…? どうした? ラウラ?」
ラウラ「いや…なんと言うか、身につまされた」
一夏「…………」
ラウラ「つい、クマに説教したが…、私だって同じようなものだった」
ラウラ「一夏を『嫁にする!』とか言ったりしてたし」 ///
ラウラ「人の事を とやかく言えない…」
510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:08:07 ID:Ub0Siy1A
一夏「…それは、考えすぎだ」
ラウラ「………うん」
一夏「俺だって偉そうな事は言えないけど…」
一夏「ラウラのした事は、間違っていないと思う」 クスッ
ラウラ「一夏…ありがとう」 ニコ
一夏「ふふ…やっと笑ったな」
511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:08:58 ID:Ub0Siy1A
一夏「ところで…」
ギュ…
ラウラ「い、一夏…!?」 ///
一夏「…今日は、悠がいないけど…どうする?」
ラウラ「う、うむ、一緒に、いたい…」 ///
一夏「! …そ、そうか」 ///
ドサッ… ギシ ギシ
512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:10:35 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「……!」 ///
ラウラ「い、一夏…腹に、硬くなったものを押し付けるな…!」 ///
一夏「ごめん、無理」 ///
ラウラ「ま、まだ、時間が早い! 落ち着け!」 ///
一夏「だめ」 ///
一夏「せっかく、悠が気を利かせてくれたしな…」 ///
一夏「朝まで…ゆっくりと…」 ///
513: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:11:21 ID:Ub0Siy1A
ラウラ「あ、朝まで!? む、無理っんぐっ!?」 ///
ラウラ「んんっ…! う…んっ! んんんっ…」 ///
ラウラ「…………ぷはっ…!」 ///
一夏「………まだ、嫌か?」 ///
ラウラ「……………………」 ///
ラウラ「…私が壊れたら」 ///
ラウラ「お前のせいだからな…?」 ///
514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:12:15 ID:Ub0Siy1A
一夏「ふふ、じゃあ、明かりを消すぞ?」 ///
ラウラ「…ああ」 ///
フッ…
おしまい
515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:13:43 ID:Ub0Siy1A
>>391から
-セシリアエンド-
一夏「セシリアが、一番好きだ」 ///
セシリア「!!!!!!!!!」
鈴「…………っ」 ダッ
箒「鈴………!」
シャル「……鈴」
ラウラ「…行こう、みんな」
516: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:14:42 ID:Ub0Siy1A
一夏(……やっぱり、胸が痛むな)
セシリア(……みなさん)
セシリア「…あの、一夏さん」
一夏「ん?」
セシリア「わたくしは ここ最近…、皆さんの中で」
セシリア「一番一夏さんと接してきた時間が長かったと思いますが…」
一夏「…………」
セシリア「それが影響していませんか?」
一夏「…………」
一夏「…まったく無い、と言えば…嘘になる」
セシリア「…………」
517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:15:35 ID:Ub0Siy1A
一夏「でも」
一夏「出来うる限り、公平に考えて…俺は答えを出した」
一夏「セシリアが、タッグマッチのパートナーとして 俺を選んでくれた様に」
セシリア「…………」
一夏「告白も…告白の時に悠に騙されて、慌てて駆けつけてくれたのも」
一夏「トーナメントで泣いてくれたのも全部」
一夏「俺の為にしてくれた事だ」
セシリア「…………」
518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:16:09 ID:Ub0Siy1A
一夏「もちろん、みんなもそうだったと思う」
一夏「だけど…上手く言えないけど…」
一夏「セシリアが、一番いいって思った…」 ///
セシリア「一夏さん…!」 ///
一夏「…セシリア」 ///
セシリア「…はい」 ///
一夏「俺と…付き合ってもらえますか?」 ///
セシリア「はい! 喜んで!」 ///
519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:16:58 ID:Ub0Siy1A
-数週間後・夜・都心・高層ビル・パーティー会場-
ガヤ ガヤ…
一夏(…うは、この場違い感)
セシリア「一夏さん、そんなに強張らないでくださいな」 クスッ
一夏「と、言われても…緊張する」
セシリア「単なる立食パーティー、と思えばいいのですわ」
一夏「お、おう」
一夏(…ま、セシリアのドレス姿を拝めただけで満足かな) ///
セシリア「? 一夏さん?」
一夏「はは…、なんでもない」
520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:18:05 ID:Ub0Siy1A
令嬢「あの…」
一夏「はい?」
令嬢「よろしければ…踊っていただけますか?」
一夏(き、来た…!)
-回想-
セシリア「いいですか? 一夏さん」
セシリア「社交場では、基本的にダンスに誘われたら お受けするのが礼儀です」
セシリア「それも」
セシリア「女性側からの誘いを断るのは、紳士として もっとも非礼とされています」
セシリア「気を付けてくださいね?」
----------
521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:18:53 ID:Ub0Siy1A
一夏(セ、セシリア…) チラ見
セシリア(一夏さん、礼儀ですわよ?) ニコ
一夏「…………」
一夏「よ、喜んで、お嬢さん」
令嬢「ふふ…、ありがとうございます」 ニコ
522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:19:32 ID:Ub0Siy1A
??「これは…麗しい」
セシリア「…?」
??「よろしければ、踊っていただけますか?」
??「美しいご令嬢様」
セシリア「あら…、お上手ですわね」 ニコ
セシリア「謹んで、お受けいたしますわ」
523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:20:14 ID:Ub0Siy1A
~♪ ~♪ ~♪
??「…………」
セシリア「…………」
??「失礼ながら…」
セシリア「はい?」
524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:20:59 ID:Ub0Siy1A
??「オルコット家のご息女、とお見受けしますが…」
??「何でも、IS学園にお通いとか?」
セシリア「あら…どこかでお会い いたしました?」
??「いえ…、風の噂で知っている程度です」 クスッ
セシリア「ふふ、その通りですわ」
セシリア「お転婆で、がっかりしたでしょう?」 クスッ
??「はは…まさか」 クスッ
525: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:21:34 ID:Ub0Siy1A
セシリア「お名前をうかがっても よろしいですか?」
??「一条…一条 康、と申します」
セシリア(一条…?)
セシリア(確か…、日本の企業グループ主賓者の姻戚に)
セシリア(そのような名前が、ありましたわね…)
526: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:22:20 ID:Ub0Siy1A
一条「ふふ…すみません、今日の主賓に お情けで参加させていただいたのです」 クスッ…
一条「がっかりされたでしょう?」
セシリア「あら…、レディの心の内を見透かすのがお得意で?」
一条「いいえ。 先ほどのお返しです」 ニコ
~♪ ~♪ ~♪ キャ…! ス、スミマセンッ!
セシリア(一夏さんかしら…)
一条(鳴上かな…)
527: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:23:22 ID:Ub0Siy1A
~♪ ~♪ ~♪…
一条「お飲み物でもいかがです?」
セシリア「ええ、いただきましょう」
鳴上「お、おい、一条、助けてくれ…」
一条「なんだ、だらしないぞ?」 クスッ
鳴上「ダンスの事は聞いてない。 このままだと誰かの足を、踏み折ってしまう…」
セシリア「! 鳴上さん!?」
鳴上「!? オルコット!?」
一条「ん? 二人は知り合いなのか?」
鳴上「あ、ああ…実は…」
528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:24:28 ID:Ub0Siy1A
----------
一条「…なるほど、IS学園でか」
一条「噂に聞いてた第二の男性IS適正者が、お前だったとはな」 クスッ
鳴上「すまん…黙っているつもりじゃなかったんだが…」
一条「いいって、いいって」 ニコ
529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:25:08 ID:Ub0Siy1A
令嬢2「あの…」
鳴上「!!」 ビクッ
令嬢2「踊っていただけますか?」 ニコ
鳴上「い、一条…!」
一条「なにしてる? レディのお誘いを断るのは、最大の非礼だぞ?」 ニコ
鳴上「」
ヨ、ヨロシク… ハイ… ~♪ ~♪ ~♪
530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:25:51 ID:Ub0Siy1A
セシリア「く…ふふふ」
一条「? なにか、可笑しいですか?」
セシリア「…すみません、鳴上さんは、学園でいつも すました表情でいて」
セシリア「あんなに狼狽した顔は、初めて見たので…つい」
一条「ああ…わかります、それ」
ハハハ…
531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:26:44 ID:Ub0Siy1A
一条「…ところで、ぶしつけな質問なのですが」
一条「誰かと、お付き合いしておられますか?」
セシリア「…ええ」
一条「ふふ、やはり」
セシリア「どうしてお分かりに?」
一条「雰囲気で…かな?」
セシリア「あら…。 ではなぜ、ダンスに?」
一条「それは…あなたと踊ってみたかったから…では いけませんか?」
セシリア「できれば、お聞きしたいですわ」
一条「そうですか…」
532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:27:37 ID:Ub0Siy1A
-同・ラウンジ付近-
一条「飾り気なく言うのならば…、度胸試し、です」
セシリア「度胸試し?」
一条「ええ」
一条「実は…この前、お見合いをさせられましてね」
一条「もちろん相手の方に非は無いのですが…」
一条「家柄の都合だけで、妻を決めてしまうのが納得いかなくて」
一条「そこで…こうやって自分と家族の得心のいく相手を 探しているんです」
セシリア「…………」
533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:28:20 ID:Ub0Siy1A
一条「もちろん、わがままかもしれません」
一条「でも…あなたを見て、こういう世界にも 想う人と付き合える人がいる」
一条「俺にも…もしかしたら、できるかもしれない」
一条「そんな気持ちを あなたに少し、ぶつけてみました」 クス
セシリア「…………」
セシリア「一条さん…」
一条「はい?」
セシリア「それは…つまらないですね」
一条「つまらない?」
534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:29:07 ID:Ub0Siy1A
セシリア「あなたの気持ちは、分からなくは無いですが…」
セシリア「少なくとも わたくしは、周りの目を気にして相手を選んでおりません」
セシリア「このお方だから…この人だから、わたくしは想いを告げたのです」
セシリア「たとえ実らなくとも、後悔したく無い…」
一条「…………」
セシリア「ふふ…もちろん成就したから、言える事なのかもしれませんが」
一条「………いえ、そんな事はありません」 クスッ…
535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:30:07 ID:Ub0Siy1A
一条「ありがとう、とても参考になりました」
一条「やはり…あなたは美しい」 ニコ
セシリア「どういたしまして」 ニコ
一条「では、私はこれで…」
一夏「おーい、セシリ…」
ドン…
一条「…っと、失礼」
一夏「あっ…す、すみません」
一条「では…」
一夏「………ふー…」
536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:30:41 ID:Ub0Siy1A
セシリア「あら、一夏さん」
一夏「こんな所にいたのか…探したぞ」
セシリア「ふふ…ちょっと、仮面の紳士とお話をしておりました」
一夏「仮面?」
セシリア「ええ…。 自分を覆い隠して、自分を偽っている方でした…」
一夏「………?」
セシリア「少しだけ、本音をさらしてくれましたけどね」 クスッ
一夏(…よく分からないな)
537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:32:21 ID:Ub0Siy1A
-同・パーティー会場前のベンチ-
一条「鳴上」
鳴上「一条…」
一条「そろそろ帰るか?」
鳴上「ああ、ぜひ、そうしたい」
一条「そっか、うんじゃ、帰るか!」 ニッ
鳴上「………?」
鳴上「一条、なにかいい事でもあったか?」
538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:33:10 ID:Ub0Siy1A
一条「おう! すっげぇ美人に盛大に振られた!」 ハハッ!
鳴上「……? いい事、なのか?」
一条「ああ…、俺は まだまだだって事が、よく分かったからな」
一条「さ、帰りにラーメンでも食おうぜ!」
鳴上「…乗った」 クスッ
539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:33:56 ID:Ub0Siy1A
-同・ラウンジ付近-
一夏「ふう…、オレンジジュースが美味い」
一夏「それにしても疲れた~…」
セシリア「一夏さん、今日は、お付き合いさせてすみません」
一夏「いや、楽しかったぜ? 俺もこういう経験は、なかなか出来ないしな」 ニコ
一夏「それにしても…ダンスは教えてもらってて助かった」
一夏「誰だか知らないが、女の子の足、踏みまくっている奴がいてさ…」
一夏「しょっちゅう『痛い!』とか、『キャア!』とか、聞こえてくるんだ」
セシリア「まあ…」 クスッ
セシリア「きっと…悪いお友達に誘われて来たのでしょう」 ニコ
一夏「…………?」
540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/18(水) 22:35:01 ID:Ub0Siy1A
一夏「…さて、セシリア」
セシリア「はい」
一夏「俺と…踊ってくれるかな?」
セシリア「ふふ。 ええ、いいですわよ?」
セシリア「大好きな、一夏さん」 ニコ
おしまい