2: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:27:23.58 ID:2ZfICL390
P「ここは…」
小梅「あ……お、起きた…お、おはよう…プロデューサーさん…気分はどう…?」
P「小梅…って事は、ここは…」
小梅「う、うん……そうだよ…シオンタウンの…おうち…ボランティアの…」
P「良かった…今回はかなり心臓に優しいとこに出たな…」
3: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:28:08.77 ID:2ZfICL390
加蓮「さあ、それは果たしてどうでしょう?」
P「加蓮か? あれ、でも家の中には…小梅しか…」
小梅「プロデューサーさん…後ろの…壁…」
P「…ん?」
加蓮「やっほー♪」(壁から首だけ)
P「」
ーーーーーーー
4: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:28:49.19 ID:2ZfICL390
ーーーーーーーー
P「……はっ!?」がばっ…
加蓮「あ、生き返った」
小梅「魂…抜けてたもんね…♪」
加蓮「ねー♪」
P「お前らなあ…」
ーーーーーーーーー
5: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:29:25.18 ID:2ZfICL390
P「つまるところ、加蓮…お前は霊体なんだな」
加蓮「うん、この世界での私はこの通り、とっくの昔に天に召されちゃったみたい」
加蓮「……って、成仏しないでふわふわ漂ってるだけだから、召されてはいないんだっけ…あはは」
P「…………お前…」
加蓮「そんな悲しそうな顔しないでよ、ちゃんと実体だって作れるんだもん」
加蓮「ちょっと体力を使っちゃうけど…ほら、こうして触れるでしょ?」
6: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:29:58.71 ID:2ZfICL390
P「……冷たいな」
加蓮「霊体だからねー。…まあ、私のことだもん、どうせ無茶やって体が付いてこなかったとか、そんなとこでしょ」
加蓮「本当は前に会った時に言おうと思ってたんだけど…その、なんて言うか」
加蓮「ちょっぴり、ほんのちょっとだけ勇気が足りなかったっていうか…ダメだね、私、こういうの柄じゃないのに」あはは…
加蓮「湿っぽいの嫌いだから、どうせバラすなら面白い方がいいかなー、なーんて…はは…」
P「……………加蓮」
7: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:30:43.76 ID:2ZfICL390
加蓮「あ、あー、ちょっと忘れ物思い出しちゃった」ぱんっ…
加蓮「ちょっと出てくるから…小梅ちゃんの事、お願いね、じゃあ!」
P「お、おい、待てよ加蓮!」
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
8: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:31:24.19 ID:2ZfICL390
小梅「お茶…熱いから、気をつけてね…」こと…
P「ずいぶんヒビだらけの湯呑みだな…相当に年季モノだろ、これ」
小梅「わかんない…私は、この家の主じゃないから…」
P「…それは…?」
小梅「私の親はね…間違えて連れて行かれちゃったみたいなの…多分…私のせい、なんだけど…」
P「連れて行かれる…?」
9: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:32:04.95 ID:2ZfICL390
小梅「霊能力の強い人ってね…それだけで、あの子達を連れて来ちゃうんだけど…」
小梅「あの子達は実体がないから…体が欲しくて、生きてる人の魂を追い出そうとするの」
小梅「けど…それは、失敗することが多いんだ…実体を持てないって事は、それだけ元々の力が弱いって事だから」
小梅「魂だけを引き抜いて…中に取り憑くことも、できないから…」
小梅「カラッポになった体が、突然動かなくなって残されちゃうの」
小梅「あの時は…びっくり、したな…突然、動かなくなって……そのまま、置いていかれちゃった、から…」
10: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:32:52.18 ID:2ZfICL390
小梅「身寄りがない私は、そのままこの辺りをさまよって…」
小梅「そしたら、ここに拾って貰えたんだ…」
P「……その、拾った相手って」
小梅「…………」
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
11: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:33:29.43 ID:2ZfICL390
ざああああああああ………
小梅『お腹…空いたな』
小梅『もう何日も…なんにもたべてない…から…』
小梅『このまま、食べなかったら…会いに行けるのかな』
小梅『…………』
加蓮『もしもーし、生きてますかー?』
小梅『え…』
12: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:34:18.57 ID:2ZfICL390
加蓮『あ、よかった…まだ生きてるね』
カラカラ『から。』
小梅『…あ…手、冷たいな…迎えに…来てくれたんだ…』
加蓮『………』
加蓮『ん、そうだよ。今から良いところに連れて行ってあげる』
小梅『……えへ』
13: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:35:02.00 ID:2ZfICL390
小梅『……じゃあ…よろしく、ね…』
小梅『…………』かくん…
カラカラ『から!?』
加蓮『大丈夫だよ、まだ体、暖かいし』
カラカラ『から…』ほっ……
加蓮『じゃ、いこっか…とっておきの天国みたいな場所に、さ』
ーーーーーーーーーーー
14: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:36:01.03 ID:2ZfICL390
小梅「それで…気が付いたら、ベッドの上で…パンと…スープと…」
小梅「加蓮さんはポテトを食べててね…それで、一口貰ったけど、とっても冷たくて」
小梅「けど……あんなにあったかいの、初めてだったなぁ…」
P「……小梅……加蓮……」
P「……俺、やっぱり加蓮を追いかけるよ…それ聞いたら、なんかますます…」
小梅「大丈夫…だよ」
15: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:36:30.69 ID:2ZfICL390
小梅「加蓮さんには、さっきあの子が付いて行ったから…」
P「あの子って…小梅の、いつも側にいるって言う、あの子か?」
小梅「そっちじゃない…プロデューサーさんの…モンスターボール…」
P「……あれ、カラカラは?」
ーーーーーーーーー
16: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:37:03.75 ID:2ZfICL390
ざああああああ…
加蓮「雨、か…」
加蓮「なんて言うか、私ってよく降られるんだよね…雨」
加蓮「まあ、自分でも明るいほうじゃないって自覚はあるし?それに」
加蓮「涙を隠したい時に、ちょうど良いタイミングで降ってくれるのは…結構ありがたい、かな」
カラカラ「からから。」
17: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:37:53.62 ID:2ZfICL390
加蓮「アンタのことも勝手に連れて来ちゃったし、私ってばダメだなぁ、全然吹っ切れてないじゃん」
カラカラ「から…」
加蓮「まあ、プロデューサーなら、きっと許してくれるって思うけどさ」
カラカラ「かららら…」ぶるるっ…
加蓮「…寒くなってきたね、そろそろ戻ろっか」
18: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:38:27.31 ID:2ZfICL390
加蓮「ごめんね、地面タイプなのに雨の中連れ出しちゃって…」
カラカラ「からかーら。」ふりふり
加蓮「えー? 全然平気、もうちょっといてもいい…って、絶対ウソでしょそれ」くすっ
カラカラ「……くしっ!」
加蓮「ほら、言わんこっちゃない…風邪ひかないうちに帰ろ?」
加蓮「雨だって、多分まだ激しくなるだろうし……あれ?」
ぽと…ぽと、ぽと、ぽとととと…!
19: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:38:58.12 ID:2ZfICL390
加蓮「これ…氷…あられ?」
加蓮「こんなことって、今まで………」
カラカラ「から!かーらら!」わたわた…
加蓮「……え…何あれ…飛行船…?」
カラカラ「からら…」ぶるぶる…
加蓮「…うん………私でも感じる……すごい冷気…! 」
加蓮「アレは……!」
ーーーーーーーーーー
20: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:39:38.34 ID:2ZfICL390
P「そうだよ、驚いてすっかり忘れてた…!こんなノンビリ話し込んでる場合じゃなかった!」がちゃっ!
P「あの概要書、あれに書かれてることが本当なら…!」
P「寒っ…!なんだ…!?」
P「いつの間に、一面雪景色に…」
小梅「こ、こんなの…ここは、雪なんてぜんぜん降らないのに…」
P「出てこい、リザード!」ぼんっ!
リザード「ガウ!」
21: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:40:17.64 ID:2ZfICL390
P「ふう…あったかいな、お前の側は…小梅もこっち来い、あったまるぞ」
小梅「う、うん…!」
P「アレが今回のボスキャラってわけだ…とうとう姿を現しやがった」
小梅「見て…ポケモンタワーの…最上階に…」
P「横付けするつもりか…! あの飛行船…ロケット団はここでエネルギー実験をするって言ってた」
P「天候まで、バトルフィールドの範囲どころじゃない、こんなに広範囲で操るなんて…」
P「とにかく急ごう! アレをほっとくととんでもないことになる!」
22: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:40:58.91 ID:2ZfICL390
小梅「待って…! うかつに、中に入っちゃだめ…!」
小梅「私の両親と…同じ目にあうかも…」
P「何!?」
小梅「せめて…幽霊が、プロデューサーさん自信でもちゃんと見えてないと…」
小梅「実際に視える私が教えたところで、口で言うのと視えるのとではぜんぜん違うもん…」
23: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:41:38.53 ID:2ZfICL390
小梅「私…喋るのも…うまくないし…早くもないから…ごめんなさい」
P「……いや、いい。気にすんな」
P「どうにか手はないもんか…! あの中に入って、無事に戻ってこれるような…」
紗枝「そういうと思て、御入り用なモン、持ってきましたえ~」
P「紗枝!」
24: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:42:13.31 ID:2ZfICL390
紗枝「桃華はんに聞いたんやけどな? これはシルフスコープ言う発明品で」
紗枝「かけるだけで、その幽霊が見えるようになるんやて」
P「何、うってつけじゃないか! じゃあ早速…」
紗枝「……あきまへん」すっ
P「へ」
25: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:42:41.90 ID:2ZfICL390
紗枝「これは交換条件どす。プロデューサーはん、この「すこーぷ」が欲しかったら」
紗枝「このピッピ、私に譲っておくれやす♪」
ピッピ「ぴー♪」すりすり……
P(めちゃくちゃ懐いてやがる…)
ーーーーーーーーーー
26: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:43:18.95 ID:2ZfICL390
P「…ほら…ピッピのモンスターボールだ」
紗枝「わあ、おおきに♪ いやぁ、弱みに付け込んだみたいで悪いわあ♪」
P「なんかもう幽霊よりもお前が怖いよ俺は」
紗枝「言うたやろ、プロデューサーはん? 京女は転んでもただでは起きんもんや♪」
紗枝「せやからプロデューサーはんはウチのこと、根性がある言うて気に入ってくれたんとちゃいますか?」
27: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:44:07.82 ID:2ZfICL390
P「ああ、根性と勝負度胸、ついでに色気と優しさもな」
紗枝「ついでじゃあかんですやろ、そっちが「めいん」やないと…」
紗枝「それに、誰にでも言うてるんちゃいますのん? 口達者のプロデューサーはんは」
P「う…反論できん…」
P「だが、とにかく助かった! 俺は急いで頂上へ向かう!」だだだ…
ぽろっ…
28: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:45:10.32 ID:2ZfICL390
紗枝「プロデューサーはん、何か落としていかはったけど…これは…」
R団計画概要書だ…
紗枝「……これは……」
紗枝「…………もしもし」
紗枝「…せや。おそらくそこに、二人は捕まっとるいうことやね…」
紗枝「任せて、大丈夫やろか? ……おおきにな」
紗枝「…………」ぴっ…
紗枝「……うちがチカラになれるのはここまでや。後は、プロデューサーはん達にお任せしますえ…」
29: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:45:47.70 ID:2ZfICL390
ーーーーーーーー
P「ここが…ポケモンタワーか…」
リザード「がる…!」
小梅「はぁ…はぁ…プロデューサー…さん…早いよ…」
P「小梅?」
リザード「ガル…」
30: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:46:18.98 ID:2ZfICL390
小梅「私も、連れて行って…足手まといには、絶対にならないから…」
小梅「それに…上にいるのが、四天王だって言うなら、なおさら放っておけないし…」
P「……? よくわからんが…わかった!」
P「行くぞ、敵は一気に蹴散らして最上階だ!」
小梅「う、うん…!」
リザード「ガル!」
ーーーーーーーー
31: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:47:39.08 ID:2ZfICL390
ーその頃、ポケモンタワー・最上階ー
ランス「…御覧なさい、この街の変わり果てた姿」
美波「…………」
ランス「あれは貴女の力が招いたものなのです…正確には、貴女の力を使い、この」
フリーザー「………………」ひゅおおお……
ランス「伝説の三鳥、フリーザーが形作った氷の芸術」
32: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:48:18.10 ID:2ZfICL390
ランス「これから一日をかけ、街は全て雪に、氷に、白銀の棺の中に沈むでしょう」
ランス「逃れる術は最早ありません…逃げる先から凍りついていくでしょうね」
美波(こんな…何て事を…!!)
美波(私のチカラ…この氷のチカラは本当に大切なものなのに…!)
美波(私はーーー)
33: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:48:51.46 ID:2ZfICL390
ーーーーーーーーーーーー
ー数年前・ハナダシティジムー
ゆかり『…本当に、よろしいのですか…? 私は、まだ未熟で…』
ゆかり『とても美波さんの後を継いで、ジムリーダーなど…』
美波『ううん、ゆかりちゃんなら大丈夫だよ』
美波『それにね…私だって、最初から完ぺきだったわけじゃない。』
美波『ううん…きっと誰だってそうなんだよ』
美波『私は、もっともっと強くなってみたい。 そのために、これから世界を回ってお勉強するつもり。』
34: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:49:34.06 ID:2ZfICL390
美波『未熟なのはお互い様だよ。…それにね?』ぎゅっ…
ゆかり『あ……手を…』
美波『私は、ゆかりちゃんの奏でるフルート、大好きだから…だから、任せてみたいって思ったの』
美波『全然関係ない事だって思うかもしれないけど、そうじゃないの。』
美波『何か一つの事を極めたり、それに向かって努力できる人は、きっとどこまでだって強くなれる』
ゆかり『そんな…それならなおのこと、私は、美波さんのように器用では…』
ゆかり『あなたは私の理想なんです…私は……万能に、なんでもこなせる美波さんのようには…』
35: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:50:19.22 ID:2ZfICL390
美波『私は…浮気性だから。…色んなことに手を出して、器用だって言われちゃうけど、ただの器用貧乏だもの』
美波『だからね…一途に頑張るゆかりちゃんを見て、私も何か見つけようって思ったの』
美波『ゆかりちゃんは気づいてないかもしれないけど…あなたは私の、目標だから…』
ゆかり『………!』
美波『……ダメ、かな?』
36: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:50:57.29 ID:2ZfICL390
ゆかり『……ずるいです』
ゆかり『断れるわけないじゃないですか…こんなの…』
美波『……じゃあ…』
ゆかり『……ジムは、お任せください。先代のあなたの名に負けないよう、立派にリーダーの任、果たしたいと思います』
美波『ありがとう…ゆかりちゃん…!』
ーーーーーーーーー
37: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:51:37.28 ID:2ZfICL390
ーそれから幾ばくか時は過ぎ…シンオウ地方ー
美波『う……。ここ、は…私……』
アーニャ『アー……目を、覚ましました、ね…?』
美波『あなたは…?』
アーニャ『ミーニャ ザヴート アナスタシア……アーニャと、呼んでください。ニックネーム、ですね。』
美波『私…ここで、何を…』
38: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:52:17.71 ID:2ZfICL390
美波『そうだわ…乗ってた船が事故で…それで私、海に投げ出されて…』
アーニャ『かなり長い間、水の中、いましたね…? すごくびしょびしょで…大丈夫ですか?』
美波『水は…私、水のチカラを使えるから平気なんだけど…寒さが…』
アーニャ『ここにいてください…暖かい飲み物、用意します…ね』
美波『……………』ふう……っ
美波『……外は雪…こんなに積もってるところ、見た事ないかも…』
39: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:52:54.46 ID:2ZfICL390
アーニャ『ココア、熱いですよ…』コトッ…
美波『あ…どうも、ありがとう…』
美波『……あつっ…ふー…ふー…』ずず…
美波『…美味しい』…ぽろっ…
美波『あれ…変だな、視界がぼやけて…』
美波『……やだ、涙…止まらない……』
アーニャ『…………』よしよし…
ーーーーーーー
40: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:53:42.86 ID:2ZfICL390
アーニャ『いい調子です、そのまま、撃ち込んで…!』
美波『はあああああっ!!』きぃいいい……ん!!
ラクロスのクロスから放たれた球体エネルギーが、炸裂と同時に冷気を撒き散らした…
美波『はぁ…はぁ…できた…!』
美波『私の水のチカラを…新しく手に入れた氷のチカラと、融合して…氷塊を内側から水圧で炸裂させる…』
美波『これが、私の…私だけの『アイスボール』……!』
41: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:54:17.70 ID:2ZfICL390
アーニャ『ミナミ、すごいです!完璧です!カッコいいです!!』キラキラ…
美波『…ありがとう、アーニャちゃん…これは、あなたと…もう一人、私の大切なお友達のおかげで出来たチカラよ』
アーニャ『アー…いつも話してくれますね。ユカリのコトを話す時のミナミ、とっても嬉しそうです♪』
美波『うん。ジムを任せっきりで飛び出して来ちゃったけど…今頃、どうしてるのかな…』
美波『また会えた時のために…この技にももっと、磨きをかけなくちゃ』
美波『私の、大切な友達二人から貰った大事なチカラだから…』
ーーーーーーーーー
42: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:55:07.75 ID:2ZfICL390
美波(久しぶりにこっちに戻って来る用事が出来て…早く会いに行かなきゃって思ってた矢先、捕まって…)
美波(その上…いいようにチカラを使われるなんて………悔しい…!!)
美波(こんなコトのために、チカラを付けたわけじゃないのに…!)
ランス「フハハハハ……絶景ではないですか…まさしく…」
43: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:56:06.30 ID:2ZfICL390
ランス「息を呑むほどに真白な、完全なる無の世界…」
ランス「時も、人も、空間も!全てを塗り替え、私が!」
ランス「私が世界を創り上げた!この氷の世界で私は王となるのです!」はははははは…
加蓮「トチ狂ったこと言ってんじゃないよ」
ランス「……は?」
ひゅんひゅんひゅん…! ばりいいいい……ん…
ランス「……カプセルのロックを、破壊して…!?」
カラカラ「……から!」ぱしっ!
44: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:56:45.58 ID:2ZfICL390
加蓮「時間を塗り替える? 空間を塗り潰す? 世界の王になる? バカ言わないで」
ランス「貴女は…!? ここへ一体、どうやって…」
カプセル「……ウィーーーン」プシュー…
カプセルが開いたようだ…
美波「あ……」がくっ…
美波(身体が動く、けど…力が……意識も……)
45: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:57:44.77 ID:2ZfICL390
加蓮「………」すう……っ…
ランス「消えた…!?」
加蓮「よっと…」だきっ…
美波「…………」かくん……
ランス「一瞬で消えたかと思えば、いきなり背後に現れナイト気取りですか?いただけませんね…」
加蓮「騎士なんて大層なものじゃないよ…ただのユーレイ。」
加蓮「ここへは、外から手だけ実体化して、この子を連れて飛んできただけ」
46: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:58:21.31 ID:2ZfICL390
加蓮「それに、そもそも私には戦うだけの力なんてないし…ここに来るだけでもう、体力も気力もほとんどカラッポだし」
ランス「では、何故…?」
加蓮「決まってるでしょ」
加蓮「…この子の借りを返しに来た、それだけだよ」
カラカラ「からら…!」
ランス「……ふうん…」
ーーーーーーーーーーー
47: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:59:01.17 ID:2ZfICL390
P「邪魔だどけェ!!」バキィッ!
R団員「ぐおおおっ!!」
リザード「がああああっ!!」ぼおおおっ!
R団員「あちちっ!あちちちちっ!!」
P「く……こう数が多くちゃキリがない…急がなきゃ街がやばいってのに…!」
小梅「プロデューサーさん…先に行って…!」
48: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 12:59:35.30 ID:2ZfICL390
P「小梅!?」
小梅「泣いてるの…ここに住んでる…みんなが…」
小梅「私は…ここでこいつらを食い止めるから…だからプロデューサーさん…早く行って…!」
P「……必ず追いついてこいよ」
小梅「大丈夫だよ…もしやられても…演出用の血糊ケチャップならたくさんあるから…」
P「何が大丈夫なんだよオイ…むしろ不安でいっぱいだよ俺は」
49: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:00:17.77 ID:2ZfICL390
R団員「………」じり……
小梅「……行って!」
P「く…!すぐに戻る!!」
P(信じていいんだよな…! 小梅…!)
ーーーーーーーーー
ーーーーー
50: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:00:47.08 ID:2ZfICL390
小梅「行っちゃった…」
小梅「うん……うん、大丈夫だよ…それに、みんなも、手伝ってくれるよね…?」
R団員「何をさっきからごちゃごちゃと…」
R団員小隊長「薄気味悪い娘だ…おい、いいからタコっちまえ!!」
R団員「うおおおおおおお!!」
ばき!どご!ぐしゃ!ばこぉおん……
51: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:01:33.82 ID:2ZfICL390
R団員小隊長「がはっ……」
R団員小隊長「なんで俺がタコられ…れ、れる…」ばたっ……
R団員「な…身体が、勝手に…!」
R団員「うわああああすいやせんリーダー!!」
小梅「『あやしいひかり』…ふ、ふふふ……♪」
小梅「スプラッタショーの…始まり…始まり…♪」(背後に無数の霊)
R団員「ヒィッ!!」
R団員「こ、こけおどしに決まってら!こんどこそやっちまえー!!」
うおおおおおおおおお………
ーーーーーーーーーーーー
52: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:02:11.59 ID:2ZfICL390
P「はぁ、はぁ、はぁ…! はっ、はぁ、はぁ…!」だだだだだっ…!
リザード「ガウガウ!」だだだだだ…
P「見えた…あの入り口が最上階だ…!」
P「間に合え…! はぁ…げほっ! 間に合え…!」
ばっ……!
53: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:02:55.17 ID:2ZfICL390
P「はぁ…はぁ…っ……こ、れは…!」
加蓮「……………」
美波「………………加蓮ちゃん!」
カラカラ「………から、ら…」
ランス「驚きましたねえ…ユーレイでも実体化すれば風除け程度には役立つらしい」
ランス「しかしユーレイが凍るとは…クク、これは新発見ですよ、まったく…ハハハハハ…!」
54: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:03:51.00 ID:2ZfICL390
P「………何があった」
美波「プロデューサーさん…! 私、私のせいでこんな…私が、動けない身体で前に出ちゃったから…!」
P「……加蓮…」
ランス「そうですよ、悪いのは貴女です、氷の四天王。」
ランス「ろくに動けもしないのに、つまらない怒りで我を忘れ、前に出るなど…正気の沙汰ではない」
ランス「そして、ようこそ侵入者…この私の創り上げた……凍える世界へ!」
加蓮「…………」
55: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:04:28.71 ID:2ZfICL390
P「………やりきった顔で寝やがって…リザード」
リザード「ガル…?」
P「加蓮と美波を連れて下まで下がれ。炎で少しづつ解凍するんだ」
P「生身の人間なら無事じゃ済まないだろうが…こいつは、実体があっても霊体だ」
P「助かる見込みはある」
リザード「がる…!」こくん…
56: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:05:34.14 ID:2ZfICL390
美波「プロデューサーさん…でも、私のせいで…」
P「ゴメンな…怖かったろ」
美波「!」
P「待ってろ、すぐに終わらせる、そしたらみんなで…飯でも食おう」
P「久々に作ってくれよ、美波の手料理…前のパーティの時みたいにさ」
美波「………! 必ず…」
美波「必ず戻ってきてくださいよ!? 私、夕飯だけ作って、一人で帰りをずっと待つなんて、イヤですからね!」たたた…
57: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:06:11.24 ID:2ZfICL390
P「…………行ったな」
P「……カラカラ、行けるよな」
カラカラ「からら…!」
ランス「そもそもの話…解せませんね、何故残るのです、一緒に逃げればいいでしょうに」
ランス「どの道逃げ場などないのです。逃走劇を演じるのなら、皆で仲良く逃げ惑えばいい」
ランス「そうすれば、少しはマシな絵面になるというもの…氷の世界で、絶望の表情を永遠に貼り付けて…」
58: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:06:52.02 ID:2ZfICL390
ランス「芸術品と呼ぶにはいささか不出来でしょうが…枯れ木でもまあ、賑やかしくらいにはなると思いませんか?」
P「……小梅、わかったよ、お前の言ってたこと」
P「俺にも見える…スコープなんて付けなくても、カラカラの母さんが泣いてるのがくっきり見えるんだ」
P「大好きなこの街をこんなにされて…大好きな子供がこんなに傷ついて」
フリーザー「…………………」
P「そんで、大好きな子供が大好きな街を守るため…大好きな親の無念を晴らすため」
P「こうして立派に、自分の意思で戦ってる」
カラカラ「…………!」こくっ…
59: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:07:44.62 ID:2ZfICL390
ランス「親愛の情…フン、くだらない……全て凍りつかせれば、その浮かれた頭も少しは冷えてくれますかね」
P「凍らないさ」
ランス「何を…」
P「相手が誰で、どんなに強くて、勝ち目がなかろうと…」
P「母ちゃん泣かす奴は、反省するまで尻叩きに会うもんだ」
カラカラ「からっ!」ばっ!
ランス「フン、聴けば聴くほどに下らない!見るに堪えないとはまさにこの事です」
60: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:08:22.90 ID:2ZfICL390
ランス「やりなさいフリーザー! 全てのエネルギーを使って構いません!」
ランス「どの道あの四天王は逃げられないのです…また後でゆっくりエネルギーを吸い出しましょう」
ランス「今度は吸わせすぎて、命を落とすかもしれませんがね!」
ランス「さあ、やってしまいなさい!フリーザー……」
フリーザー「…………」ギロっ……
ランス「え」
61: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:09:00.16 ID:2ZfICL390
ランス「何故そこで私を睨むのです!敵はあちらです、やってしまいなさい!」
ランス「何をしているのです!さあ、早く!」
ランス「く…馬鹿な、この氷の支配者である私には、逆らえる者などいるはずが…」
ランス「まして、下僕たる手持ちポケモンがこのような…」
P「そもそもフリーザーは操られてただけでお前の手持ちじゃないよな」
ランス「……は?」
62: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:09:48.65 ID:2ZfICL390
ランス「操る…操るには、催眠を…催眠は四天王に…それをカプセルでリンクして…カプセル…」
ランス「あ」
カプセル「………」ぼろっ……
P「…妄言を吐いて浸って、気が大きくなって周りが見えてない」
ランス「う、うるさい!うるさいうるさいうるさい!」
63: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:10:35.64 ID:2ZfICL390
ランス「こちらにはまだ手持ちポケモンがいるのです!いきなさいマタドガス!」
マタドガス「マータドガース!」
ランス「食らいなさい!『ヘドロ…』」
………斬…ッ…!
64: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:11:20.28 ID:2ZfICL390
P「……『かたきうち』!」
カラカラ「……から」
マタドガス「ドガ…ガス…ガス…」ばたっ…
ランス「…………ぐはっ…!」どさっ…
P「…安心しろよ…刃なんてない…『みねうち』だからさ」
P「だが…その腐った魂には、こいつの剣が届いたはずだ…」
カラカラ「…………………」ぱあああああ……
ガラガラ「……ガラ!」
65: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:12:15.81 ID:2ZfICL390
P「……これで、お前の母さんも…笑って眠ってくれればいいよな、ガラガラ」
ガラガラ「……ガラ…」
フリーザー「………」ふっ…
ばさ…ばさっ……
P「フリーザー…行っちまった…」
66: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:13:22.05 ID:2ZfICL390
P「これで雪もやむ…これ以上被害が広まる事はないだろう」
P「さて…問題はこの氷漬けの街だが…」
P「建物もほとんど埋まっちまってる…」
P「……そもそもこの雪じゃ外に出られないじゃないか…!」
P「唯……法子…!」
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67: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:13:57.39 ID:2ZfICL390
ぴぴぴぴぴ…かちっ…
P「…………やけに寒いな」ぶる…っ
P「……って、外は雪じゃないか…っと、ニュースニュース」
「近年類を見ないほどの豪雪で…各交通機関にも大きく影響が…」
P「……事務所、大丈夫かな…」
P「あ、もしもし。おはようございます…はい、今日の予定についてなんですが…」
シルフスコープ「…………」
68: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:14:23.94 ID:2ZfICL390
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69: ◆tPHkm/jYV. 2015/12/16(水) 13:14:51.82 ID:2ZfICL390
ーおしまい。