【俺ガイル・クロスSS】スネーク「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」【メタルギア】

1: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:24:16.88 ID:zGP8zphN0
(注意)
・MGSと俺ガイルのクロスSS
・転生要素あり
(転生しても八幡の人格は足す)
・時系列はアニメの2話以降
(前後する可能性あり)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405099456

2: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:24:59.77 ID:zGP8zphN0
~MGS4ラスト~

ビッグボス「蛇は…一人で…いや、蛇はもういらない」

スネーク「……」カチッ

ビックボス「はぁぁ………良い物だな」

ビックボス「……」

スネーク「ビッグボス…」
ビッグボス(来世は…静かに暮らしたいものだな…)

3: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:25:29.62 ID:zGP8zphN0
~しばらく時が経ち~

スネーク「俺も…いよいよだな」

オタコン「スネーク…」グスッ

スネーク「オタコン…今までありがとう」

オタコン「うん。所でスネーク」

スネーク「なんだ」

オタコン「来世は…どんな人生を送りたい?」

スネーク「そうだな…闘いとは無縁の」
スネーク「静かに穏やかに、平凡な人生を歩みたい」

~~~

4: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:26:07.36 ID:zGP8zphN0
~17年後~

八幡「やはりプリキュアは素晴らしい」ホロリ

八幡「……」

八幡「俺もあんな風に強いヒーローになれないものか」

八幡「……はは。厨二病乙」

八幡「……」

八幡「たまには散歩でもして体を鍛えるか…」

5: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:26:38.38 ID:zGP8zphN0
~道中~

八幡「……ま、散歩しただけで強くなれたら苦労しないけどな」

八幡「ふぁあ…眠い…帰りたい…」ボヘ~

犬「キャンキャン!」

八幡「犬が道路のど真ん中で陽気に走り回ってやがる」

八幡「危ない奴だな」

ブロロロロロ

八幡(おいおいおいおい。車が来てるじゃねぇか。シャレになんねぇぞ)

八幡(……アレ?前にもこんなシチュエーションが)

八幡「って、んな事を言ってる場合じゃないよな」ダダッ

犬「キャンキャン!!」

ブロロロロ

八幡「……間に合え!!」
ドォォォォォォン!!!!

6: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:27:37.90 ID:zGP8zphN0
~病院~

八幡「」

結衣「ヒッキー目を覚まして!!」ボロボロ

雪乃「比企谷君……」

八幡「……っ」パチッ

結衣・雪乃「!!」

八幡「……」

結衣「ヒッキー!!」ダキッ

八幡「……」ムギュ

結衣「もう…バカ!!何でまた無茶するの…」ボロボロ

八幡「……」

7: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:28:43.28 ID:zGP8zphN0
雪乃「全く…心配かけさせて」

八幡「……」ボーッ

雪乃「あなたみたいな腐った人を、こうやってお見舞いに着てあげてるんだから有難く思いなさい」

八幡「……」

結衣「ゆきのんと私はね、ヒッキーを一晩中看病してたんだよ?」

雪乃「ちょ、由比ヶ浜さん。それは言わなくても」

結衣「もうゆきのんったら!そんなに照れなくても良いのに!」

八幡「……」

結衣「あ…ごめん騒いじゃって。体はその…やっぱ痛いかな…?」

八幡「……」ガタッ

雪乃「比企谷君…何処に?」

八幡「トイレ」

結衣「あ、ああ、あんま無理しちゃダメだよ!」

八幡「心配はいらねぇ。なんとか歩ける」テクテク

結衣「ヒッキー…?」

雪乃「事故にあったとはいえ、様子がおかしすぎるわね」

8: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:29:12.56 ID:zGP8zphN0
~トイレ個室~

八幡「……」

八幡(初めは事故のショックで、また厨二病に目覚めたのかと思っていた)

八幡(いや、本気で頭がおかしくなったと錯覚した)

八幡(だが違う。これは厨二病から来る妄想なんかとは訳が違う)

八幡(生々しく刻み込まれている闘いの記憶)

八幡(俺は前世…伝説の男…)

八幡(―――だったんだ)

9: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/12(土) 02:29:51.80 ID:zGP8zphN0
八幡「……」

八幡「確かに俺は、平穏な人生を望んだ」

八幡「だが…違う。今の俺の人生は平穏なだけで、充実感が不足している」

八幡「俺は…またしても闘わなければ成らない」

八幡「今度は…銃を握るリア銃でなく、平凡で平穏なリア充になる為に」

77: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:30:53.66 ID:IjbfuMS+0
~数日後~

八幡「……」ブツブツ

八幡(そういえば…あの時代の他の者はどうしてるだろうか)

八幡(ゼロも生まれ変わったのか?現代では上手くやっているのだろうか)

八幡(カズの行方も気になる…まあアイツなら元気良くしてそうだが)

結衣「……ねーヒッキー?」

八幡「……」ブツブツ

雪乃「あなた、耳まで腐ってしまったのかしら?聞こえてるなら返事しなさい。由比ヶ浜さんに失礼よ」

八幡「……」ブツブツ

結衣「ねー!!ヒッキー!!!」

八幡「~~っ!!な、なんだいきなり叫んで…」

結衣「さっきからずっと呼んでたでしょ!!無視しないでよ!!」

八幡「あ、そ、そうか。気がつかなくてわるい」

結衣「もう」プンプン

八幡「……」ボーッ

八幡(しかしあれから17年…バーチャスミッションからだと60年以上か)

雪乃「……また上の空状態になってるわよ比企谷君」

78: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:31:49.77 ID:IjbfuMS+0
平塚「やあ、調子はどうだ?」

結衣「あ、先生!」

雪乃「こんにちは先生。ノックぐらいして下さい」

平塚「いやーすまない。所で比企谷は…」チラッ

八幡「……」ゝ

平塚「……なぜ敬礼?」

八幡「はあ…何かおかしいでしょうか」

平塚「いや、別に悪くは無いが」

八幡「……」

平塚「まあ何にしても、命に別状が無くて良かった」

平塚「しかし…」ジーッ

八幡「?」

平塚「君は…………比企谷八幡で良いんだよな?」

八幡「何処からどう見てもそのハズですが」

79: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:33:03.47 ID:IjbfuMS+0
結衣「あ、わかるわかる!!なんか雰囲気変わったよね?」

雪乃「確かに何処となくまとってるオーラが…」

八幡「な、なな、何をいってるんだお前ら…厨二病も大概にしとけ」ドキッ

平塚・雪乃・結衣「……」ジーッ

八幡「あのージロジロ見るの止めてくれませんか…」

平塚「……目だ」

八幡「は?」

雪乃「確かに…目が違うわ」

結衣「あ、本当だ!目が腐ってない!!」

八幡「お、おう…」

雪乃「良かったわね。目の濁りが消えて。少しはマトモになったんじゃない?気持ち悪いけど」

八幡「結局、低評価には変わりはないんだな」

雪乃「事故のショックが原因のかしら?良かったわね事故にあって。気持ち悪いけど」

八幡「お前はとにかく俺を罵倒したいんだな。しかも患者にいう事じゃないぞ今の台詞」

80: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:33:47.38 ID:IjbfuMS+0
平塚「まあいい、差し入れにリンゴを持ってきた。食べると良い」

八幡「っ!!それはありがたい!!」ガタッ

平塚・結衣・雪乃「!?」

八幡「ん、どうした?」

平塚「いや、まさかそんなに喜んでくれるとは思わなくてだな」

八幡「早く食べたいんで渡してください」ウズウズ

結衣「あ…私がリンゴ剥いてあげるよ」

八幡「悪いな」

ブ~ン

雪乃「…?きゃっ!!」

結衣「いやああ!!ハチが…」

平塚「窓から入ってきたな…しかたない。上手く追い払うとするか」

81: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:34:32.94 ID:IjbfuMS+0
八幡「……由比ヶ浜、ナイフを貸せ」ササッ

結衣「え?」

雪乃「比企谷君何を?」

八幡「全員危ないから伏せろ。ほら先生も」

結衣・雪乃「……??」サッ

平塚「何をする気だ?」サッ

八幡「フン!」ビュンッ

ズバンッ!

ハチ「」

八幡「よし」

結衣・雪乃「」

平塚「ナ、ナイフがハチごと壁に突き刺さっている…だと…」

82: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:35:21.52 ID:IjbfuMS+0
結衣「」ポカ―ン

八幡「ありがとう。ナイフを返す」

八幡「ん?どうした由比ヶ浜。俺は早くリンゴを食べたいんだ」

結衣「えと…その…」

八幡「ああもういい。俺が剥く」ススッ

結衣「ああ、ちょっと待て!ちゃんと洗わないと汚いよ!」

八幡「汚い?大げさだな。俺がジャングルで任務を行ってた時は……」

平塚・結衣・雪乃「……は?」

八幡「あ…………その、今のは聞かなかったことにして欲しいです」

雪乃「流石に本気で引くわよ比企谷くん」

結衣「ヒ、ヒッキー…本当にどうしちゃったの?まさか事故で頭がおかしくなっちゃったの?」

八幡「いや、その、ジョ、ジョークだ」

平塚「……」

八幡「先生もそんな哀れみな目で俺を見ないで下さい」
86: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 05:53:00.72 ID:IjbfuMS+0
八幡(いかん。つい前世での事を…これじゃただの電波じゃないか)

八幡(今の俺はジョン・ドゥでもビッグボスでもない。平凡で孤独な高校生、比企谷八幡だ)

八幡(態度を気をつけないとな)

結衣「はいヒッキー!リンゴ向けたよ」

八幡「サンキュ」スッ

八幡「……」シャリ…モグモグ

八幡「美味すぎる!!!」

平塚「!?」

雪乃「比企谷君…アナタ…」

結衣「やっぱりヒッキーおかしいよ…」

89: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:13:19.00 ID:IjbfuMS+0
~退院後・自宅~

小町「あ、お兄ちゃんおはよ!」

八幡「朝からパン食べながら雑誌読むとか余裕だな」

小町「へへ~ん、小町は毎日早起きで健康的なんだよ!お兄ちゃんも小町を見習ったら?」

八幡「時間見て行動取れるように成ったらな」

小町「え?あ、やっば!もうこんな時間!」

八幡「先に口を拭け」

小町「え、ジャムってる?」

八幡「ああ。食べながら雑誌読むのは止めておけ。だからジャムなんて起こすんだ」

小町「うん!気をつけるね」

八幡(シャレでいったつもり何だが通じてしまった)

小町「それにしても」ズイッ

八幡「なんだ?」

小町「お兄ちゃんどうしたの?事故にあってから目の濁りが消えたけど」

八幡「……さあな」

小町「力強い目になったのは良いけど、何か別人みたいになって寂しいかも。あ、今の小町的にポイント高い!」

90: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:14:22.52 ID:IjbfuMS+0
~教室~

八幡(久しぶりの教室…ま、別に変わりは無いな)

ガヤガヤ

クラスメイト1「なあ、アイツ誰?」

クラスメイト2「さあ」

八幡(しかしいい加減俺のこと覚えないのかコイツら)

クラスメイト3「あんな目つきが鋭い奴うちのクラスにいたか?」

八幡(……ああそうだよな。よけい認知しにくい訳だ)

91: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:16:13.68 ID:IjbfuMS+0
八幡「そうだ。生物のレポートをまだ出してないな。もう書き終えてるけど」

八幡「しかしこのレポート。自分で作っといて難だが酷いな」

八幡「『生まれ変わったら孤高なクマになりたい』…か。前世は蛇だった訳だが」

キャッキャッ

八幡「ん?」

三浦「それでさ~~~」

葉山「へぇ~そうなんだ」

海老名「ははは」

結衣「マジ受けるんだけど~きゃはは!」

八幡(カースト上位メンバーも特に変わらず…か)

92: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:17:05.06 ID:IjbfuMS+0
八幡(しかしどうしようか)

結衣「あ、ヒッキーおはよう」

八幡(俺はこれまで孤独なボッチ生活を送ってきた。それを良しとしてきた)

八幡(一方、前世は戦いに明け暮れていた。その最中、裏切られたり、悲惨な体験もした)

八幡(人間不信になりかけたのは前世も一緒だ)

八幡(だが……)

――PW編ラスト回想――

『俺たちは必要とされてるからこそ闘う。持てぬ者たちの抑止力となる』

『ここは俺達にとって唯一無二の家。天国でもあり地獄でもある』

『それが、俺たちのアウターヘブンだ!』

VIC BOSS!VIC BOSS!VIC BOSS!VIC BOSS!
―――

八幡(あの時には生死を共にした多くの仲間もいた)

八幡(前世の記憶を覚醒した今だから言える。カラに閉じこもった生き方は良く無い)

93: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:17:40.02 ID:IjbfuMS+0
八幡(しかし良いのだろうか…いきなり比企谷八幡という男がガラリと変わってしまうのは…)

八幡(今なら葉山の人格を素直に評価も出来る…だが俺はまたリーダーのような生き方をする気は無い)

八幡(こんどは小さく平穏に生きたい。だが充実した生活も送りたい)

結衣「ヒッキー、聞こえてる?」

八幡(本当に平凡で良い。カースト上位など望まん。だが孤独はイヤだし友人は欲しい)

八幡(後できれば彼女も)

八幡(しかし…どう変化していこうか)

結衣「ヒッキー!!!」

八幡「わわわ!?な、なんだよいきなり!!」

結衣「さっきからずっと呼んでたんだよ!」

八幡「わ、わるい」

結衣「もう!!しっかりしてよ!!」

95: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:18:27.19 ID:IjbfuMS+0
~昼休み~

三浦「結衣、最近付き合い悪くない?」

結衣「えと…止むに止まれぬ私事で恐縮ですというか…」

八幡(……全く飯の時間に)

八幡「……」ガタッ

八幡「その辺にしておこうか」

三浦「うっさい…!」

八幡「うるさいだと?」ズイッ

三浦「っ!?」ビクッ

三浦(な、なによヒキオの癖に…凄い目力)

葉山「ヒキタニくん…?」

八幡「俺はな、今カロリーメイトを食べてるんだ」

三浦「……は?」

八幡「どんな好物もこれじゃ飯がまずくなる。由比ヶ浜の意志を尊重してやったらどうなんだ?」

三浦「アンタには関係ないでしょ!?」

八幡「あるさ。同じ奉仕部の仲間だ」

結衣「っ!!」

96: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:21:35.65 ID:IjbfuMS+0
八幡「由比ヶ浜と友達なら、その意志を尊重すべきじゃないのか?」

八幡「お前がやってるのは嫉妬から来る一方的な束縛だ。それはいい事なのか?」

八幡「それに由比ヶ浜に非があるとは思えん」

三浦「……!」

戸部(な、なあアレ本当にヒキタニくんなのか!?)ヒソヒソ

大岡(なんか違う人に見えるぞ)

大和(あの優美子を圧倒してる…)

葉山「ま、まあまあ、もうその辺にして…優美子もさ?」

優美子「ちっ…」

八幡「葉山」

葉山「ん?なんだいヒキタニくん」

八幡「お前にもしリーダーとしての自覚あるなら、もう少し早く三浦を説得したらどうだ」

葉山「え…」

八幡「部外者である俺が先に止めに入るようでは、まだまだだ」

クラスメイト全員「」ポカーン

葉山「ヒキタニくん…」

97: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:23:17.16 ID:IjbfuMS+0
結衣「ヒッキーありがとう。さっき立ち上がってくれて」

八幡「俺は仲間を庇った。それだけ」

結衣「でも奉仕部の仲間ってだけの理由じゃイヤだな」

八幡「どういう意味だ?」

結衣「えっと……」

結衣「~~~~!!」ブンブン

八幡「?」

結衣「あの……友達。グループ違うけど…友達だから助けたと言うか…」

八幡「……」

結衣「だから次に私に何かあったら、奉仕部の仲間ってだけじゃなくて、友達として私を助けて…ね?」

八幡「……ああ。わかった」

98: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:24:19.38 ID:IjbfuMS+0
~廊下~

八幡(友達……良い響きだ)ジーン

八幡(真の平凡生活への第一歩だな)

雪ノ下「さっきは少し見直したわ」

八幡「ん?なんだ雪ノ下か」

雪ノ下「さっきのような啖呵、なかなか出来ないわよ」

雪ノ下「初めは私が注意しようと思ったのだけど…お役をとられたわ」

八幡「そうだったのか」

雪ノ下「それと良かったわね」

八幡「ん?」

雪ノ下「友達、一人目が出来て」

八幡「……」

結衣「ゆきのん行こう!」

雪ノ下「それじゃ。また放課後」

八幡「……」

八幡(一人目…か。まだまだこれからだな)

99: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/14(月) 16:25:13.10 ID:IjbfuMS+0
~翌日~

結衣「あ、ヒッキー!」

八幡「おうどうした」

結衣「昨日のお礼に、またクッキー焼いてきたんだけど」

八幡「お、おう…」ビクッ

結衣「何よ!そんなビビらなくても良いじゃん!」

八幡「だ、だってよぉ…おまえ…」

結衣「あれから猛練習したんだよ!前よりも上手に焼けてるんだから!」

八幡「……まあせっかくだ。頂いてやる」

結衣「はい!」

八幡「サンキュ」

モグモグ
八幡「不味過ぎる!!!」

結衣「」ガーン

八幡(まだ昔のレーションの方がマシだ…)グッタリ

116: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 03:57:07.12 ID:UVrOTsyG0
~放課後~

結衣「あ、やっはろー」

雪乃「こんにちは由比ヶ浜さん」

結衣「あれ、ヒッキーはまだ?」

雪乃「ベランダにいるわ」

結衣「ベランダ?」

雪乃「良く分からないけど、絶対に入ってくるなと言われてるわ」

結衣「なんだろう…気になるな」

雪乃「確かに、何か怪しい事でも……ん?あれは煙」

117: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 03:59:00.53 ID:UVrOTsyG0
八幡「……」カチッ

八幡「スー…ハァー…やはり良い物だ」

八幡(葉巻を吸ったのは…我が息子スネークに看取られた時以来か)

八幡「現代日本では葉巻を入手するのが困難だった」

八幡「しかも未成年という立場のせいで、人前で堂々と吸えんのが難点だ」

結衣「ヒッキー!!何やってんの!!」

八幡「っ!!しまった…」

雪乃「最低ね。学校で煙草を吸うなんて…どこまで根性が腐ってるのかしら」

結衣「ヒッキーが不良になっちゃったよ…」

八幡「人聞き悪いこというな。それにこれは煙草ではない、葉巻だ」

八幡「それに葉巻は良いぞ。どうだ?一本吸うかお前たち」

結衣「いらない!」

雪乃「少なくとも奉仕部の部室で吸わないで頂戴。これは没収ね。」スッ

八幡「楽しみが一つ減ったな…」シュン

118: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 03:59:51.70 ID:UVrOTsyG0
~翌日・体育~

八幡「……」イライラ

材木座「どうしたのだ八幡!物凄く不機嫌そうだが」

八幡「法律というのは時に人に害を与える物だな」

材木座「ふむ、良ければ我が相談に乗ろうか?」

八幡「いや、いい」

材木座「そういうな我が相棒!言ってみたまえ」

八幡「葉巻が吸いたい」

材木座「……え?」

八幡「せっかく手に入れたのに、没収された」

材木座「」

119: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 04:03:43.62 ID:UVrOTsyG0
八幡「はあ…放課後はダンボールでも被って落ち着こうか」

戸塚「あの…比企谷くん。大丈夫?元気無さそうだけど」

八幡「」ドキッ

戸塚「体調悪いの」

八幡「いや、たった今元気になったところだ」キリッ

戸塚「え、そう?それじゃ一緒にテニスしよ!」

八幡「ああ、喜んで」

~~

戸塚「比企谷君凄いね。もしかして経験者?」

八幡「いや」

八幡(……体を動かすのはやはり良いな。イライラが吹き飛んだ。半分は戸塚のおかげだが)

八幡(俺も何かスポーツでも始めようか…)

八幡(そうだ。またCQCの訓練でも始めよう)

八幡(いざとなった時のための、護衛術にもなるしな)

121: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 04:04:40.50 ID:UVrOTsyG0
戸塚「比企谷君、お願いがあるんだけど…」

八幡「ん?どうした」

戸塚「うちのテニス部って人数も少なくて弱いんだ」

戸塚「比企谷君さえ良ければテニス部に来てくれないかな」

八幡「ふむ…」

八幡(CQCの訓練もしたいが…よくよく考えると、一人じゃ出来ない)

八幡(よし…それなら)

八幡「考えてもいいぞ。テニス部」

戸塚「本当!?」

八幡「ああ、奉仕部と掛け持ちになるがな」

八幡「そのかわり…CQCの訓練に付き合ってくれないか?」

戸塚「CQC…?」

122: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 04:08:37.50 ID:UVrOTsyG0
~放課後~

雪ノ下「却下。集団活動を出来るとでも思ってるの?それにアナタみたいな生き物受け入れてくれるハズないでしょ」

八幡(……否定はしない。『比企谷八幡』ならな。だが前世は軍の首領だった)

八幡(雪ノ下の意見を覆す自身はある)

八幡(しかし元兵士としてのプライドに固執する気も、過去の栄光にすがる気もない)

八幡(今の俺の人生は、小さく平穏に生きる事が目標だ)

八幡(『比企谷八幡』としての答えを出して諦めよう)

八幡「……ああ、諦めるよ。入部しない」

~数分後~

結衣「やっはろー」

戸塚「失礼します」

八幡「おおう、来たか」

123: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 04:11:27.16 ID:UVrOTsyG0
~~~

八幡「すまんな、やはりテニス部に入部できん」

戸塚「そっか…」

雪ノ下「でも、戸塚君の依頼は引き受けるわ」

結衣「やったね彩ちゃん!」

戸塚「ありがとう雪ノ下さん!」

雪ノ下「されじゃ明日の昼休み、テニスコートに」

八幡「戸塚。依頼は引き受けたが、約束は守れなかった」

八幡「だからCQCの件も忘れてくれ」

124: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/15(火) 04:11:58.14 ID:UVrOTsyG0
戸塚「いや、CQCだけど僕も興味あるんだ」

八幡「いやしかし」

戸塚「お願い八幡!僕にCQCを教えて!」

八幡「お、おう。わかった」

結衣「CQC?」

雪ノ下「クローズクォーターズコンバット…アナタ使えるの?」

八幡「まあな。てか良く知ってるな」

雪ノ下「英雄であり狂人と呼ばれた男…ビックボスが編み出した近接戦闘術でしょ?」

八幡「………………」

結衣「ゆきのん詳しいね!」

八幡「………厳密にはザ・ボスと二人で作った技術だ」ボソッ

137: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:04:50.86 ID:5y0G8H9O0
~翌日・テニスコート~

雪乃「それじゃ早速、練習を開始しましょ」

結衣・戸塚「うん!」

雪乃「さて、その前に比企谷君」

八幡「何だ?」

雪乃「……その頭に巻いてるバンダナは一体?」

八幡「何となくだ。気合を入れるためにな」

八幡(バンダナ巻くのも随分久しぶりだな)

雪乃「気持ち悪い」

八幡「ほっとけ」

戸塚「比企谷くんカッコいいね!」

八幡「お前だけに理解してもらえればそれで良い」

結衣(なんかヒッキー、ワイルドでカッコいい…)ドキドキ
八幡「ん?このキノコは…うん!結構いけるな!」モグモグ

138: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:05:54.88 ID:5y0G8H9O0
結衣「えい!」パンッ

戸塚「やあ!」パンッ

雪乃「もっと力強くボールを打てるように意識して」

戸塚「分かった!えい!」バコン

八幡「」グッタリ

雪乃「ところで比企谷君。なぜ地面に転がってるのかしら?」

八幡「実は…コートの隅に生えていたキノコを食べてから腹の調子が…」グルル

雪乃「…アナタ事故にあってから食べ物への執着が異常よ?本当に頭大丈夫なかしら」

結衣「ヒッキー…キモすぎるよ…」

材木座「我でもそんな事はしないぞ八幡…」

八幡「い、良いじゃないか!葉巻を奪われた俺からこれ以上楽しみを奪うな!」

139: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:06:46.11 ID:5y0G8H9O0
八幡「は、腹が…くそ…」グルル

戸塚「痛たたた…膝を擦りむいちゃった…」

雪乃「……はぁ、仕方ないわね。由比ヶ浜さん後はお願い」テクテク

結衣「あ、ゆきのん…」

八幡「待て雪ノ下」ガクガク

雪乃「何?」

八幡「もし保健室に行くのなら、解毒剤も持ってきてくれ」

雪乃「……あったらね」

140: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:07:47.67 ID:5y0G8H9O0
~~

三浦「ねえ~あーしらもここで遊んで良い?」

戸塚「三浦さん、僕たちは遊んでるわけじゃなくて」

三浦「え、何?聞こえないんだけどぉ?」

戸塚・結衣「……」

八幡「戸塚は許可を得て使っている。テニス部としてな」

三浦「は、またアンタ?つーかアンタだって使ってるじゃん」

八幡「俺は奉仕部として任務を遂行してるだけだ」

三浦「はぁ?意味わかんないだけど」

葉山「まあまあ喧嘩腰になんなって。皆でやったほうが楽しいしさ」

八幡「葉山。皆でやるという前提で事を進めるのは止めてくれないか」

葉山「……」

八幡「任務の邪魔になる。融通利かなくて申し訳ないが、戯れは後にしてくれ」

葉山「……それならこうしよう。テニスで勝負して事を決めるのは?」

八幡「闘いで事を決する…か。良いぞ」

141: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:08:56.10 ID:5y0G8H9O0
~~~

三浦「えい!!」

結衣「きゃっ!」ズザザザ

戸塚「ゲーム!」

八幡「大丈夫か?」

結衣「足捻っちゃった…でも負けちゃったら彩ちゃん困るよね…」

八幡「……分かった。お前はコートの中で立ってるだけで良い」

八幡「後は俺に任せろ」

結衣「え、でもヒッキーもお腹の調子悪いんじゃ」

八幡「気合でどうにかする。それに後で雪ノ下が保健室から帰ってくる」

八幡「そしたらお前は雪ノ下と交換すれば良い。俺は解毒剤で回復できる」

結衣「でも…一人で大丈夫?」

八幡「大丈夫だ。俺の真の本気を見せてやる」

八幡「このバンダナに誓ってな」

142: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:10:26.85 ID:5y0G8H9O0
三浦「せい!!」バコンッ

八幡「ふん!!」バコンッ

葉山「でや!!」

八幡「ぜぇぜぇ…」

三浦(どうなってんのよヒキオの奴!?)

葉山(さっきと力が見違えてる…追い詰められてるとは言え凄い)

ギャラリー1「おいおい…もう5分以上ラリー続いてるぞ」

ギャラリー2「スゲェ体力だ!」

八幡「ぜぇぜぇ…!」

葉山(まるで次に、何処にボールが飛んでくるか分かっているかの様な動きだ…)

~~~

三浦「ぜぇぜぇ…こいつ、本当に素人なの!?」

八幡「は、早く来い雪ノ下…!!このままじゃ倒れてしまう…」グルル

八幡(『八幡』の体じゃこれ以上、ラリーを続けるのは限界だ…)
雪乃「比企谷君が一人であの二人に善戦してる…!?」

143: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:10:57.58 ID:5y0G8H9O0
~~~

雪乃「それじゃ交換ね」

結衣「頑張ってゆきのん!」

八幡「おかげさまで、体調も良くなってきた」

雪乃「もう二度と落ちてるキノコなんて食べない事ね」

八幡「それは出来ない約束だ。これ以上俺の楽しみを減らすな」

雪乃「馬鹿は死んでも治らないのね」

八幡「俺が馬鹿じゃないのは、テニス勝負で照明してみせる」

144: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:11:58.28 ID:5y0G8H9O0
ギャラリー全員「すげええ雪ノ下さん!」

八幡「県選抜に選ばれた三浦をあそこまで圧倒するとは…やるな」

雪乃「でもそろそろ限界みたいね…体力には自信がないの」

八幡「そうか。ならここから先は俺がどうにかしよう。お前は休め」

雪乃「……期待しておくわ」

~~~

三浦「ぜぇぜぇ…何なのよアイツの動き!なんであーしの球を全部打ち返すのよ!」

葉山「返してくる球の勢い自体は弱い。でも確実に打ち返してくる…!!」

ギャラリー「もう15分以上ラリーやってるぞ!?」

八幡(解毒したとは言え…やはり体力的に限界だ)

八幡(前世の俺ならまだ平気なハズだった…鍛え方が足りないな)

八幡(潮風を利用した魔球を打つ手もありだが、今の俺にそれを打つ余裕はない)

八幡(このままラリーを続けて、せめて引き分けまで…)

146: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:12:50.63 ID:5y0G8H9O0
八幡(やばい、もう限界だ)グラッ

八幡「……っ」バタッ

結衣「ヒッキー!」

雪乃「っ!!」

八幡「頼む雪ノ下…」

雪乃「時間を稼いでくれたお陰で、少しは体力も回復したわ」

雪乃(でも膝が…ガクガクしてる。マズイわね)ガクガク

雪乃「ゼェゼェ…!」バコンッ

三浦「弱いっつーの…とりゃ!」バコンッ

戸塚「ゲ、ゲーム…三浦さんチームの勝ち…」
結衣「そ、そんな…」

雪乃「ご、ごめんなさい…」

八幡(負けた…任務失敗か…)ガクッ

147: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:14:14.77 ID:5y0G8H9O0
パチ…パチパチパチ…

八幡(ん、拍手…?)

ギャラリー1「すげえ勝負だった!」

ギャラリー2「メチャクチャ熱い戦いだったぜ!」

八幡(……)

雪乃「ごめんなさい戸塚君、あなたの依頼を台無しにしてしまって」

戸塚「ううん、皆頑張ってくれたし…」

三浦「……」コツコツ

雪乃「三浦さん。私たちが勝負に負けたから約束通り…」

三浦「あーしらが勝ったけど、テニスコートの権限はあんた達の物で良いよ」

雪乃・結衣・戸塚「え…?」

三浦「……じゃあね」

結衣「えっと、つまり」

雪乃「試合に負けて、勝負に勝ったという事かしら」

八幡(結果オーライ…だな)

148: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:15:55.39 ID:5y0G8H9O0
葉山「ヒキタニ君、驚いたよ。凄い動体視力と体力だね」

八幡「……いや、まだまだ。これでも衰えた方だ」

八幡「でも良いのか?コートの権限は」

葉山「ああ…もういいよ。それにあそこまで必死にやり合ったんだ」

八幡「そうか」

テニス部員1「えっと…比企谷君で良いのかな?」

八幡「ん?ああ」

テニス部員2「さっきの試合、見させてもらったよ」

テニス部員1「戸塚からも聞いてるけど…やっぱりウチの部員になる気はないかな?」

テニス部員2「君は才能あるし、すぐにエースになれる」

テニス部員1「いやもういっその事、次期キャプテンになってほしい」

149: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:17:22.66 ID:5y0G8H9O0
八幡「キャ、キャプテン!?おいおい新入部員の素人がそれはいかんだろう」

戸塚「比企谷君が次期キャプテンか…僕は大賛成だよ!」

戸塚・テニス部員1・2「キャプテン!キャプテン!キャプテン!」

八幡「……」

結衣「あのヒッキーが崇められてる…!?」

雪乃「」

八幡(……俺が雪ノ下の言うとおりテニス部への入部をやめた理由)

八幡(それは俺が雪ノ下に煽られた事が原因で、無意識に見返してやろうと、リーダーシップを取ってしまう気がしたからだ)

八幡(戸塚に誘われた時はそんなつもり無かったが、もうリーダーとして生きる気はない)

八幡(俺は平凡に小さく生きたい。だからやめた)
八幡「俺は…」

雪乃「良いんじゃない?テニス部に入っても」

八幡・結衣「!?」

150: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:18:25.16 ID:5y0G8H9O0
八幡「何だって?」

雪乃「比企谷君だって元々は、不本意ながら奉仕部に入ったのでしょ?」

雪乃「本当にやりたいことが見付かって良かったじゃない」

八幡「いや待て、仮に入るにしても掛けm」

雪乃「掛け持ちなんて中途半端しなくて良いじゃない」

雪乃「私は元々、平塚先生にアナタの『腐った根性と孤独体質』の改善を命じられ、アナタの入部を許可したハズよ」

雪乃「もうアナタは孤独体質じゃない。ウチの部にいる意味もない」

結衣「ゆきのん…それはいくらなんでも…」

雪乃「強制的に入らせられ、部に仕方なく来られてるよりマシだと思うけれど」

結衣「……」

雪乃「それじゃ比企谷くん。さよなら」

八幡「……」

151: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:19:12.44 ID:5y0G8H9O0
~放課後・部室~

結衣「ゆきのん…あんな言い方、無いと思う」

雪乃「いえ、お互いのためよ」

結衣「でも…あれじゃヒッキーが」

雪乃「彼はいずれ、この部を去るわ」

結衣「え…?」

雪乃「ずっと孤独だった人間が、いきなりあんな風に称えられてしまっては、反動で天狗にもなるわ」

雪乃「強制的に入れられた地味な部より、やりがいのある華やかな運動部を優先するに決まってるじゃない」

結衣「……」

雪乃「そんな裏切りを受けるくらいなら……早めに見切ったほうが良いわ」

結衣「ゆきのん…もしかして嫉妬してる?」

雪乃「……馬鹿なこと言わない。そんなわけ」

ガラガラ

八幡「よお」

152: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:19:48.76 ID:5y0G8H9O0
雪乃「っ!!」

結衣「ヒッキー!!!」

八幡「まだ依頼は来てないか?」

雪乃「……どうしてまたココに来たの」

八幡「俺が奉仕部の人間だからだ」

雪乃「テニス部に転部すれば良いじゃない。そっちのほうが未来は明るいわよ?」

八幡「いや転部はしない。掛け持ちもだ。テニス自体は面白いがな」

雪乃「もうアナタが抱えてる問題は解決したのよ?どうして」

153: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:20:23.51 ID:5y0G8H9O0
八幡「確かにこの部に来たのは、不本意な始まりではあった」

八幡「だが孤独だった俺に居場所をくれたのも事実だ」

八幡「そのおかげで由比ヶ浜とも友達に成れたしな」

八幡「俺はお前らに感謝してる」

八幡「これからもこの部での任務、使命を全うしたい」

結衣「ヒッキー…」

八幡「それにな雪ノ下、俺はまだ問題を解決していない」

雪乃「……どういうことかしら?」

154: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:21:01.93 ID:5y0G8H9O0
八幡「俺には…まだ友達に成りきれてない奴がいる」

雪乃「……?」

八幡「雪ノ下、俺と友達に成って欲しい」

雪乃「」ドキッ

八幡「この奉仕部での活動を通して、俺はお前と『友達』になりたい」

雪乃「…………」

八幡「今はまだ奉仕部のただの『仲間』で良い。だがいずれは友達にもなりたい」

雪乃「…………」

155: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/17(木) 23:22:01.72 ID:5y0G8H9O0
雪乃「まさかそんな事を言ってくるなんて思わなかったわ」

八幡「………」

雪乃「でも、その………ありがとう」

雪乃「これからも…よろしく」

八幡「ああ、よろしく頼む」ススッ

雪乃「……」アクシュ

雪乃「……」ドキドキ

結衣「ゆきのん?なんか顔が赤いけど…」ジーッ

雪乃「き、気のせいよ」ドキドキ

181: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/21(月) 11:28:42.70 ID:TMNbHXle0
~~~~

八幡「そうだ職業見学の調査票を出さないと。どこに見学しようか」

八幡「……正直迷う。闘いばかりしてきた俺にどうしろと」

八幡「もしも『八幡』としての意見なら、専業主夫と書いて見学先は自宅だろうな」

八幡「前世での意見なら米軍へ入隊、もしくは自衛隊とでも書くのだろう」

八幡「だが平穏に暮らしたいし…」

八幡「今回は八幡としての意見を通し、専業主夫にしてみよう」

182: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/21(月) 11:29:41.21 ID:TMNbHXle0
平塚「ふざけてるのかキミは?」ゴゴゴ

八幡「すいません。やり直します」

平塚「全く…最近は男前になったかと思ったら、まだ性根が腐っていたとは、先生は残念でならないぞ」

八幡「……はぁ」

平塚「む?何か不満でもあるのかね」

八幡「先生。俺はもう苦労(地獄の様な)したくない。のんびりしたいんだ」

ボゴォォン

八幡「ぐはぁぁ!?」

平塚「キミは社会を舐めすぎだ」
平塚「撃滅のセカンドブリットを喰らいたくなかったら、それ以上変なことを口にしないことだ」

八幡「な…なんてパンチ力だ…」ガクッ

~~~

八幡(見学先は後で考えるか)

八幡(しかし将来はどうしようか)

八幡(息子も俺も蛇としてでなく、人として生きる事にしたが…何をすれば)

183: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/21(月) 11:31:04.02 ID:TMNbHXle0
~部室~

八幡(あの後、葉山から依頼が来た)
八幡「……変な噂をメールで流す奴がいる、か」

葉山「ああ」

雪ノ下「クラスで何か変わったことはあったかしら?」

八幡「……職場見学とか?」

由比ヶ浜「ああそれだよ!イベント事のグループ分けは、その後の関係性にも影響あるからね」

八幡「仲間はずれにあいたくない…だから誰かを蹴落とそうと言う訳か」

雪ノ下「つまり葉山君のグループ三人の中から、犯人がいる可能性があるという事ね」

葉山「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺はアイツらの中に犯人がいるなんて思いたくない」

八幡「仲間を悪く言いたくない…か。まあ気持ちは痛いほど分かるが」

八幡「…………」

由比ヶ浜「ヒッキー…?」

八幡(俺も前世での体験あったからな…確執、裏切り)

184: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/21(月) 11:31:56.55 ID:TMNbHXle0
~後日~

八幡(俺は『八幡』としての答えを導き出し、葉山の悩みを解決した)

葉山「おかげで丸く治まった。サンキュな」

八幡「俺は何もしてない」

葉山「俺がアイツらと組まないって言ったら驚いてたけど、これがキッカケで本当の友達成ってくれればそれで良い」

八幡「……そうか」

葉山「そういえばまだグループ決まってないよね。一緒に組まない?」

八幡「ああ。戸塚もいるが良いよな?」

葉山「勿論だ」

185: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/21(月) 11:33:33.31 ID:TMNbHXle0
八幡「戸塚、葉山も一緒に見学に行きたいって言ってたが良いよな?」

戸塚「うんいいよ八幡!」

葉山「ありがとう。それにしてもヒキタニくん」

八幡「ん?どうした」

葉山「最近、雰囲気変わったよね」

八幡「……まあ友達は増えたな」

葉山「そっか。そういえばキミが見学に行く場所なんだけど」

葉山「自衛隊って…驚いたよ」

八幡「ああ、平塚先生にも調査票を再提出したら異様に驚かれた」

八幡「お前は行き先は自衛隊で大丈夫なのか?」

葉山「うん。実際に自衛隊目指してる訳じゃないけど…ああいう世界を見るのも良いかと思うし」

186: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/21(月) 11:35:21.90 ID:TMNbHXle0
三浦「あーしも隼人と同じところにするわ」

クラスメイト1「あ、俺も隼人と一緒にしようかな!」

クラスメイト2「私も私も!」

葉山「ははは、みんなも来るのか」

八幡(自衛隊の基地に大勢で見学か…部隊が出来上がる人数だな)

八幡(しかし、俺はなぜ自衛隊なんて選んだんだ?)

八幡(その気になれば選択肢なんていくらでもあったハズだ)

八幡(たしかに前世の俺は闘う事でしか生きられなかった…しかし…)
八幡(俺はまだ戦場に未練がある…?)
八幡(馬鹿な、そんなはずがない。俺はこんどこそ平穏に生きるんだ)

八幡(……戦友だったゼロやカズには会いたいのは事実だが)
結衣(ヒッキーどうしたんだろ?難しい顔して)

200: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:46:18.77 ID:KJOmkArA0
~数日後~

八幡(今日は同じクラスの、川崎沙希の問題を解決し任務を完了した)

八幡(今回も『八幡』としての答えを出して解決へと導いた)

八幡「眠いな…朝日が見える」

小町「ふあぁ~…あ!そうだお兄ちゃん。ちゃんと会えてたんだね」

八幡「ん、何のことだ?」

小町「ほらお菓子の人!良かったね~骨折ったおかげで、結衣さんみたいな可愛い人と知り合えて~」

八幡「!?」

八幡「な、なんだと…」

小町「お兄ちゃん?」キョトン

201: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:47:06.71 ID:KJOmkArA0
~職場見学・自衛隊基地~

大佐「本日は見学に来ていただき光栄に思う!!」ゝ

先生「ほら、みんなも敬礼だ」ゝ

クラスメイト全員「はい」ゝ

大佐「本日は安全性を考慮し、銃での訓練は行わない」

大佐「基礎訓練とハイポート、それと最後に近接格闘術を行う」

八幡(……)

八幡(由比ヶ浜が、助けたい犬の飼い主だとはな)

八幡(……帰りに由比ヶ浜とあの一件について話してみるか)

八幡(以前の俺なら由比ヶ浜と距離も置いただろう。だがこんな事で動揺してどうする)

八幡(ともかく、今は見学に集中するか)

202: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:48:14.85 ID:KJOmkArA0
~~~

大佐「では最後に近接格闘術を披露しようと思う」

大佐「さあ!来い!」

隊員「でや!!」ササッ

大佐「ふん!」ガシッ

ドサッ

隊員「くっ…!」

クラスメイト全員「おおお!!」パチパチ

八幡(CQCが自衛隊にまで伝わっていたとわな)シミジミ

大佐「さて今のは基本的な物だが、この中で私と訓練をしたい者はいるか?」

クラスメイト1「隼人、お前いってみれば?」

大岡「お、いいね。隼人行ってみなよ」

葉山「おれ?ははは、参ったな…でもせっかくだし。お願いします」

三浦「隼人ガンバー!」

葉山「お願いします」

大佐「いいか?まずは…」

203: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:48:58.20 ID:KJOmkArA0
葉山「せい!」ガシッ

大佐「そうだ。その調子」ググッ

戸部「やっべー!隼人マジパネェ」

八幡(初心者にしては中々の腕前だな)

大佐「他にも誰か訓練したい者はいるか?」

クラスメイト全員「……」

葉山「そうだ、ヒキタニ君はどうだい?」

八幡「俺が?」

結衣「そういえば前にヒッキー、格闘技を彩ちゃんに教えるとか言ってたよね」

戸塚「うん!今度教わる予定なんだ」

八幡「……まあいいけど」

204: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:50:04.30 ID:KJOmkArA0
クラスメイト1「なあ、アイツだれ?」

クラスメイト2「さあ?」

クラスメイト3「前に優美子に口喧嘩やテニスで圧倒させてた奴じゃない?」

クラスメイト4「え、アイツだっけ?」

ヒソヒソ

八幡(コイツら本当にいつになったら俺の存在を認知するんだ)

八幡(まあいい、この演習を名刺代わりにして俺の存在を認知してもらおう)

大佐「それではもう一度、基本を…」

八幡「いや、その必要はありません。CQCには自信あるんで」

大佐「ほう?ならまずは、そこの隊員達と組手してもらおうか」

~数分後~

隊員達「くっ…」ボロッ

クラスメイト「」アゼン

八幡「ぜぇぜぇ…体が重い…」

八幡(やっぱりこの体じゃ体力がすぐ無くなるな…しんどい)

205: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:50:54.41 ID:KJOmkArA0
葉山「ヒキタニ君…キミ、一体そんな技術を何処で」

八幡「昔にちょっとな」

大佐「比企谷君と言ったな?」

八幡「はい」

大佐「キミの実力には驚いた。最後に私と手合わせ願いたい」

八幡「わかりました。よろしくお願いします」

大佐(この少年、一体何処でCQCを学んだのか知らんが相当なやり手だ)

大佐(体は華奢だが、技術は達人の粋にある。下手すれば私も負ける)

大佐(ココは…少々汚いが、心理的に意表を突こう)チャキッ

八幡「!」

クラスメイト全員「!?」

隊員全員「大佐!!?何を!!」

葉山「拳銃を構えた!?」

206: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:51:43.21 ID:KJOmkArA0
大佐(彼も驚いてる。この隙に…)ススッ

八幡「……」ダダッ

ガシッ

大佐「!?」

大佐(銃を掴まれた!)

八幡「ふん!!」ガチャッ

大佐「なっ…銃を分解しただと!?」

八幡「せい!!」ヒジウチ

大佐「ぐはぁ!!」

八幡(後は俺の腕で、相手の体を1回転させて…)ブンッ

八幡「チェックメイトだ」

ドサッ

大佐「がはぁっ!!」

隊員全員「た、大佐にまで勝ちやがった…!」

207: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:53:03.25 ID:KJOmkArA0
クラスメイト1「す、すげぇ…なんだアイツ」

クラスメイト2「えーっと…名前は…」

八幡「比企谷八幡だ。いい加減クラスメイトの名前くらい覚えておけ」

八幡(これで流石にもう覚えてくれるだろう)

大佐「比企谷君。すまないなさっきは」

八幡「いえいえ」

大佐「しかし私が銃を構えてもよく冷静でいたな」

八幡「初めに言ってたじゃないですか。今日は安全を考慮して銃は扱わないって。それなら弾薬だって入ってるわけも無い」

大佐「……」

八幡「それでは、今日はありがとうございました」ゝ

大佐「……待ってくれ、話がある」

八幡「はい?」

208: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:53:48.69 ID:KJOmkArA0
~帰り~

八幡「はぁ…やっと解放された」

結衣「ヒッキー遅い!もう皆バスの中で待機してるよ!」

八幡「ああ、すまん。待っててくれたのか」

八幡(あの後、学校を卒業したら自衛隊に来てくれとせがまれて大変だった)

結衣「それにしても今日凄かったね!!私ビックリしちゃったよ」

八幡「おう。そうか」

結衣「あの訓練のおかげで、やっとみんなヒッキーの存在に気付いたみたいだし」

八幡「全くアイツらは…まあいい。それより由比ヶ浜、話があるんだ」

結衣「?」

209: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:54:47.84 ID:KJOmkArA0
八幡「この間、小町に言われてやっと思い出したよ。お前があの犬の飼い主だってな」

結衣「あっ…」

八幡「あの一件について俺は気にしちゃいない。だが聞きたい事がある」

八幡「今日まで俺と友達でいてくれたその意味をな」

結衣「……意味?」

八幡「奉仕部に入ってもクラスでまだボッチだった時から、お前は俺に優しかった」

八幡「だがそれが義理や同情からくるものなのか…気になってな」

結衣「えと…あの、ヒッキーはそれを知ってどうしたいの?」

八幡「どうもしない。どんな出会いであれ、お前が大事な友達である事には変わりない」

結衣「ヒッキー…」

八幡「ただ確かめて起きたかった」

210: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:55:26.20 ID:KJOmkArA0
結衣「べ、別に…義理とか同情で声をかけた訳じゃなくて…」

結衣「奉仕部に来るまでは、私達よく話したりとかしてなかったし…」

結衣「仲良く慣れたのは奉仕部に悩みを解決してもらって、入部したのがキッカケであって…」

八幡「……そうか。変なことを聞いてすまなかったな」

結衣「ううん!それはそうと…今更だけど、あの時はごめんね」

八幡「気にするな。ハプニングやアクシデントで出会った人間ほど後々、頼りになるもんだ」

結衣「そ、そっか…えへへへ///」

結衣「あれ?でもアクシデントで出会った人ほどって、ヒッキーってそんなに交友関係広かったっけ?」

八幡「む、昔にそういう事が合っt…じゃなくて、聞いた事があってな」

211: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:56:10.43 ID:KJOmkArA0
八幡「さて、バスに戻るか」

結衣「あ、待って」

八幡「なんだ?」

結衣「その…事故で知り合って、部活で仲良く慣れたのは良かったというか…」モジモジ

結衣「ああでも!ヒッキーが事故にあって良かったって意味じゃなくて」

八幡「……?どうした」

結衣「あ、その…サブレ助けてもらった事に感謝してるし、でもそれと友情は別だし…でもそれ以上に…」

八幡「何が言いたいんだ?」

結衣「その…ヒッキーの事…」モジモジ

結衣「~~~~!!」カァァァ

結衣「ごめん、やっぱり何でもない!」ダダッ

八幡「おい!全く…何だったんだ?」

212: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:56:46.41 ID:KJOmkArA0
~数日後・放課後~

八幡「おう由比ヶ浜」

結衣「あ、ヒ、ヒッキー」ドキッ

八幡「一緒に部室行くか」

結衣「あ…ご、ごめん!今日は用事あるんだ!」カァァ

八幡「……?今日もか」

結衣「あはははは…」

八幡「つーかお前顔赤いぞ、熱でもあるのか」

結衣「へ!?あ、ああ、うん。そんなとこ!」オドオド

結衣「それじゃ!」タタッ

八幡「……?」

213: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:58:04.06 ID:KJOmkArA0
~部室~

雪乃「あなた、由比ヶ浜さんと何かあったの?」

八幡「いや」

雪乃「何も無かったら、由比ヶ浜さんは来なくなったりしないと思うのだけれど」

八幡「……」

八幡(この間、あの質問をしたのがいけなかったのか?いやしかし…)

雪乃「どうなのかしら」

八幡「本人は風邪を引いてるって言ってたな。顔が赤かったし」

雪乃「夏風邪?でもそんなに体調が悪いなら普通は学校には来ないわよ」

八幡「う~ん…あと、気のせいか、妙にキョドってるんだよな最近」

雪乃「………………」

雪乃「まさか…ね」チラッ

八幡「なんだこっちを見て?」

雪乃「別に」

214: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 12:59:41.66 ID:KJOmkArA0
~廊下~

雪乃「あ…そういえば比企谷君。お願いがあるの」

八幡「なんだ」

雪乃「6月18日…多分、由比ヶ浜さんの誕生日なの」

八幡「アドレスにも0618と合ったな」

雪乃「ええ、だから誕生日祝いをしたいの」

八幡「なるほど」

雪乃「それで…ね、ねぇ…あの、比企谷君」オドオド

雪乃「私と付き合ってくれないかしら」

八幡「!?」

~休日~

雪乃「ごめんなさいね、休日なのにつき合わせてしまって」

小町「いえいえ!小町も結衣さんの誕生日プレゼント買いたいですし、お出掛け楽しみですし!」
八幡(あの時、不覚にも一瞬、勘違いしてしまった…)

215: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/26(土) 13:00:50.83 ID:KJOmkArA0
雪乃「それじゃ行く方向を分けましょう。私はアッチの方を見るから…」

小町「せっかくなので皆で周りませんか?その方がアドバイスし合えるしお得です!」

雪乃「けれど、それだと周り切れないのではないかしら」

小町「大丈夫です!小町の見立てだとて…」

八幡「……」ジーッ

小町「おやおや?お兄ちゃん随分と熱心にエリアマップを見てるね。結衣さんの為に真剣に…」

八幡「なあ、寿司と焼肉どっちが良い?」

小町・雪乃「は?」

八幡「腹が減っては戦はできん!まずは食うぞ!」グゥゥ

雪乃「あ、アナタって人は…」

小町「ゴミィちゃん…」

226: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:38:02.51 ID:BHI/N5Gj0
~1時間後~

八幡「もう食べられん…腹いっぱいだ」

小町「お兄ちゃん最近、本当によく食べるよね~」

八幡「ああ。しかしここの回転寿司は美味いな」

雪乃「さあ、食べたんだから早くいきましょ」

八幡「ああ」
小町(さて…機をうかがって、お兄ちゃんと雪乃さんを二人っきりに…)コソソ
八幡「何処へ行くんだ小町?」サッ

小町「反応早!?」

八幡「迷子になったらどうするんだ。こんだけ広いんだ、しっかりしてくれ」

小町(しっかりするのはお兄ちゃんの方だし~!!)

227: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:39:55.46 ID:BHI/N5Gj0
~数十分後~

八幡「何なんだ小町さっきから。トイレにでも行きたいのか?」

小町「ぜぇぜぇ…そ、そんな事は…って、乙女に変な言い掛かりやめてよね!」

小町(お兄ちゃんってこんなに動体視力良かったっけ~!?)

雪乃「比企谷君、いくら実の妹といえどその言い掛かりは無いと思うわ」

八幡「でもやたら落ち着きがなくてだな」

小町(参ったな…どうすればお兄ちゃんと雪乃さんのラブコメ展開を…)

小町「ん?あれは」

店員「……」ガラガラ

小町「店員さんが動かしてる台車の上にあるの物は…」

小町(よ~し!ここは前にお兄ちゃんから教わったアレを使おう!)

小町「あ!あそこのお店、プリキュアのブルーレイが半額だって!あと、パンさん人形も!!」

八幡「何!?どこだ!!」クルッ

雪乃「っ!!」クルッ
小町「あの…店員さん」ボソッ

店員「はい?」

小町「無茶なお願いをしますが……」コソソッ

228: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:42:00.81 ID:BHI/N5Gj0
八幡「おい小町どこにも……って、また消えた!」クルッ

八幡「……チッ!今度は完全に見失った!!」

雪乃「困ったわね………ん?」チラッ

ダンボール「」

雪乃「……?」クビカシゲ

八幡「どうした雪ノ下」

雪乃「あれ…」

八幡「っ!ダンボールじゃないか!!」

八幡「だがなぜあんな不自然な位置に……って、店員の荷物か」

八幡「……」ウズウズ

雪乃「何を疼いてるの?」

八幡「べ、別に……流石にデパートのど真ん中でダンボールに入る気はない。入りたいけど」ウズウズ

雪乃「比企谷君、やっぱりアナタの脳みそ腐ってるわ」

八幡「お前もあの中に入れば理解できるハズだ」

雪乃「理解したくないわ」

八幡「……とにかく小町を探すぞ」
ダンボール(小町)「作戦成功」

店員「あの…それ処分するので早く…」

229: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:43:03.57 ID:BHI/N5Gj0
ppppp

八幡「おい、皆で回ろうって提案したのはお前だろ、何処にいる」

小町『いや~買いたいの沢山あるのすっかり忘れてたよ。5時間位かかりそうだし~あとは二人で頑張って』

八幡「……何なんだアイツは」

雪乃「どうしたの?」

八幡「5時間ほど一人で野暮用があるようだ」

雪乃「付き合わせてもらってた訳だし、文句を言えた義理もないわね。あとは私達で何とかしましょ」チャリン

店員「ありがとうございましたー!」

八幡「パンさん好きなのか」

雪乃「……別にいいでしょ」

八幡「……」ジーッ

雪乃「な、何よ」

八幡「なあ、パンダって美味いと思うか?」

雪乃「あなた最低ね。おもに発想が」

230: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:44:38.22 ID:BHI/N5Gj0
女性客「……」ジーッ

八幡「……どうやら俺がここらにいるのは場違いのようだな」

八幡「俺は少し休憩所に」

雪乃「待ちなさい。私のセンスに任せるつもり?私は一般の女子高生と離れた価値基準を持っているのよ?」

八幡「自覚はあったんだな」

雪乃「あなたの価値基準はもっとおかしいけれど」

八幡「だからダンボールに直に入ればお前も…」

雪乃「一生理解したくないわ」

八幡「もったないことを…」

雪乃「と、ともかく…その…手伝ってもらえると助かるのだけど」

八幡「しかし店の中は入れないしな」

雪乃「はぁ、仕方ないわ。この際あまり距離を開かないようにして頂戴」

231: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:46:23.16 ID:BHI/N5Gj0
八幡「……それはつまり、あれか」

雪乃「あら意外と物分りが良いのね。頭の中身腐ってるから理解できないと予想してたけど」

八幡「腐ってないことが照明できたな」

雪乃「それで…その、今日一日に限り恋人の様に振舞うのを許可するわ」

八幡「凄い上から目線だな」

雪乃「何か不満でも?」

八幡「特に無い」

雪乃「え…そ、そう」キョトン

八幡(恋人の様にか…そんな振る舞い前世ではエヴァとならしたが…)

~とあるショップ~

雪乃「このエプロンはどうかしら?」

八幡「由比ヶ浜にはそれは似合わんな。アイツにはもっとフワフワしたのが良いだろ」

八幡「だがお前はそのエプロン似合っているな」

八幡「良いセンスだ」

雪乃「そ、そう。ありがとう」ドキッ
陽乃「あれ~雪乃ちゃんじゃない!!」

雪乃「姉さん…」

八幡「なに、姐さんだと…」

232: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:49:54.68 ID:BHI/N5Gj0
陽乃「雪乃ちゃんの姉の陽乃です!アナタのお名前は?」

八幡「比企谷です」

陽乃「比企谷君…へぇ、よろしくね」ジロジロ

八幡「……」

陽乃「それでそれで?二人はいつから付き合ってるんですか~?」ツンツン

雪乃「ただの同級生よ」

八幡「彼氏じゃないですけど」

陽乃「キミもムキになっちゃって~雪乃ちゃんを泣かしたらお姉ちゃん許さないぞ~?」ボヨンボヨン

八幡(胸が当たってる当たってる…!!)

八幡「せ、性欲を持て余す」

陽乃「あらあら元気な子ね~」

雪乃「比企谷君、下品な言葉は慎みなさい。セクハラよ」

233: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/27(日) 03:51:10.72 ID:BHI/N5Gj0
陽乃「それじゃ比企谷君!雪乃ちゃんの彼氏になったらお茶しようね!」

八幡「しかし強烈な姉だったな」

雪乃「姉に会った人は皆そう言う。確かにあれほど完璧な存在もいないわ。誰もがあの人を褒めさやす」

八幡「俺が言いたいのはそういう事じゃない」

雪乃「え?」

八幡「何というか…強化外骨格みたいな外面というか」

八幡「人当たりが良くて、ずっとニコニコしていて、優しく話しかけてくる…だがその完璧さ故に嘘くさい」

八幡「あれは完全に諜報員向けだな」

雪乃「……なかなか鋭い所を突いてるけど、なぜ諜報員に例えるのかしら」

八幡「お前の姉なら恐らく、闘う技術を身に付ければ一流のスパイ…トリプルクロスにだって成れる」

八幡(あのよく思考が読めない雰囲気…そうだ、オセロットに近い。見た目はエヴァっぽいが)

250: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 01:59:27.35 ID:6ExF/0O30
八幡「お、犬だ」ダキッ

サブレ「キャンキャン!」

雪乃「い、犬…」ビクビク

八幡「なんだお前、犬が苦手なのか」

雪乃「……」ガクガク

八幡「随分、懐いてくるなコイツ」

八幡(しかし猫を飼ってたり、犬に懐かれたり…前世も今もやたら動物と縁があるな)

結衣「ごめんなさーい!ウチのサブレがご迷惑を……って、ふぇ!?ヒッキーとゆきのん!?」

八幡・雪乃「何でって。別に」

八幡(……なにやら面倒な事になってきたな)

251: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:00:07.02 ID:6ExF/0O30
~次の日・部室~

結衣「え~!?じゃあ二人は付き合ってたりはしてないの!?」

八幡「そんな訳ないだろう」

雪乃「由比ヶ浜さん、私でも怒ることくらいあるのよ。大体あの男に、まとも男女交際ができるハズがないでしょ」

結衣「そ、そんな事……それに前よりも男らしくなってカッコいい…」

結衣「って私何言ってるの///ごめん、今の忘れて!あははは…」

雪乃「でも、そこらに生えてるキノコを食べたり、やたらダンボールをプッシュする男子はどう思うかしら?」

結衣「う…そ、それはキモイかな…」

雪乃「……ま、まあ男らしくなったのは認めるけど」

八幡「お前ら俺を褒めたいのか、貶したいのかどっちなんだ」

結衣「二人とも、誕生日プレゼントありがとね!」

雪乃「ええ」

結衣「えへへへ」

252: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:01:37.40 ID:6ExF/0O30
八幡「そういえば由比ヶ浜。お前、夏風邪は大丈夫なのか?」

結衣「は?」

八幡「前に風邪引いてるって言ってたじゃないか。だから部室にも来なかった。俺の記憶違いか?」

結衣「あ、えと、それはその」

八幡「それに最近、会うといつも挙動不審だし…もしお前に失礼な事をしたのなら、正直に言って欲しいんだが…」

結衣「あ、えと、いやそうじゃなくて…その」オロオロ

八幡「やっぱりこの間、事故の事に関して俺が言及したからか?」

結衣「そ、それも違うって!あの話はあの時に終わったじゃん…」

八幡「じゃあどうした?」

結衣「そ、それは…///」カァァ

結衣「~~~~」モジモジ

八幡「……」

雪乃「朴念仁」

八幡「は?なんだいきなり」

雪乃「自分で考えなさい」

八幡(前世でエヴァにも同じことを言われたな…何だってんだ)

253: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:02:38.92 ID:6ExF/0O30
~帰り道~

結衣「あ、ヒッキー待って!」

八幡「どうした」

結衣「あの…ちょっと話があって…」

八幡「ああどうした」
雪乃「ん?比企谷君と由比ヶ浜さん…」
八幡「話ってのはなんだ」

結衣「えーっとね…」

結衣「実は私…ずっと…」

八幡「ああ」

結衣「す、す、すす…すk………なの」

雪乃「っ」ビクッ

八幡「すき焼き?」

結衣「ち、違う!!ヒッキーの馬鹿!!」

八幡「なんだよそんな怒って」

254: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:04:30.33 ID:6ExF/0O30
結衣(やっぱりいきなりは……順序を踏んで)

結衣「あのね…今度一緒にデーt………したいかな」

八幡「デザート?ああ良いな!一緒に食うか」

結衣「え、へぇ!?うん///……じゃなくて」

八幡「なんだ違うのか」

結衣「デザートもいいけど……その……」

結衣「夏休みに……デー…デーt…」

八幡「?」

結衣「…デー…デー……シー…」

八幡「シー?」

結衣「しーきゅーしーを教えて」

八幡「なんだと?」

結衣「こんど彩ちゃんにも教えるって言ってた、しーきゅーしー…だっけ?私にも教えてよ」

八幡「ああ、構わないが」

八幡(しかし由比ヶ浜とCQCか…)ジーッ

結衣「……?」ボイン

八幡(……うまく加減しないとな)
雪乃(な、なんで私二人の会話をこっそり聞いてるのかしら)

雪乃(私には関係ないじゃない。帰りましょ)

255: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:06:39.73 ID:6ExF/0O30
~夏休み・公園~

八幡「ふん!ふん!ふん!!」

八幡「くっ…!!」パッ

八幡「ぜぇぜぇ…スタミナ切れるのが早すぎるぞこの体は…!」

ブー!ブー!

八幡(さっきから携帯がうるさい。集中できないじゃないか)

小町「お兄ちゃん~!」

八幡「おう。宿題は終わったのか」

小町「うん。っていうかお兄ちゃんは勉強しなくて大丈夫なの?」

八幡「宿題はもう全部終えてる。宿題以外で勉強する気にはなれない」

八幡(記憶を取り戻した時、前世で学んだ事も同時に引き継がれた)

八幡(だから勉強しなくてもテストで結果を残せる。特に英語は)

八幡「それよりもこの貧弱な体をどうにかしないと」

小町「お兄ちゃんは今なにやってるの?」

八幡「鉄棒で懸垂だ」

256: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:07:09.42 ID:6ExF/0O30
八幡「所で宿題が終わって、ここに来たという事は…CQCの特訓か?」

小町「それもいいけど、今日は千葉にいこうよ!」

八幡「千葉?なんだいきなり。まあいいけど」

小町「ストーップ!上半身裸で千葉行くのはNGだよお兄ちゃん!」

八幡「上を脱ぐのは気持ちいいが、着替えてから行くに決まってるだろ」

小町「最近のお兄ちゃんのアクティブ振りを見ると、上半身裸のまま千葉に行きそうで小町心配だよ~」

八幡「人を性犯罪者みたいに言うな」

257: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:07:53.34 ID:6ExF/0O30
~待ち合わせ場所~

平塚「さて、電話に出なかった言い訳を聞こうか」

八幡「先生…?まさかしつこく連絡をしてきてたのは先生なのか?」

平塚「ふん!!」パンチ

八幡「ぐはぁ!?」

平塚「連絡が来てるのに携帯自体みてなかったのか…全く」

結衣「ヒッキー遅い!」

小町「あ、結衣さん、雪乃さん!やっはろー!」

結衣「やっはろー!」

雪乃「やっh……こんにちは」

八幡「みんな来てたのか…」

戸塚「はちまーん!!」タタッ

八幡「やはり戸塚は癒される…いいものだな…!!」

258: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:08:25.60 ID:6ExF/0O30
~千葉村~

八幡「千葉と聞いて一体何処にいくと思ったらココか」

葉山「やあヒキタニ君」

八幡「おう。お前達も来たのか」

八幡(大方、平塚先生が内申点を餌に呼びかけてたんだろうな)

八幡「だが自然が満ち溢れている…これは良い」wktk

結衣「なんかヒッキー目が輝いてるよ…」

八幡「楽しみだ!!」

雪乃「この男が目を輝かしてるとなんだか気持ちが悪いわ。あ、元々気持ち悪かったわね」

八幡「お前はどうしても俺を貶したいんだな」

259: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:10:06.23 ID:6ExF/0O30
~オリエンテーリング~

戸部「小学生マジ若いわ~!俺らオッサンじゃね?」

三浦「ちょっと止めてくれな~い?あーしがババァみたいじゃん」

戸塚「でも小学生くらいの頃って、高校生は凄く大人に見えたな~」

小町「小町から見ても高校生は大人って感じがしますよ~」

小町「ウチの兄は最近、老けすぎ感が否めませんが~」

八幡「おい。俺はまだ17歳だぞ」

八幡(精神年齢は前世のも足すと、100歳近いが)

結衣「たしかに最近ヒッキー渋くなったよね~」

雪乃「ねぇ、あの子達は何をしてるのかしら?」

少女達「うわ~やだ~!!」

葉山「ちょっと見てこよう」

八幡「……ん?」
留美「……」ポツーン
雪乃「……はぁ」

八幡(なるほど。これは複雑だな)

260: ◆ExcbJR30iQ 2014/07/31(木) 02:12:39.73 ID:6ExF/0O30
葉山「大丈夫、ただのアオダイショウだよ」

少女1「お兄さんすごーい!」

少女2「よく触れるね!」

少女達(このお兄さんかっこよくて優しい!)

八幡「ほう、ヘビか」シャキーン

葉山「あ、ヒキタニくん…って何でナイフを!?」

八幡「お前達はアッチ向いてろ」

ザクッ

蛇「キシャァァーー!!」

少女達・葉山「!!!?」

雪乃「あなた…何やってるの!!?」

八幡「だからアッチ向いてろと言ったのに…ヘビをキャプチャーしてるんだ」

八幡「あとは、バックの中に入れてっと…」ゴソソッ

少女達(このお兄さんキチガイだ…)ガクガク

雪乃「あなた、頭がおかしいんじゃないの?」

八幡「サバイバルではヘビを狩って食うくらい当然だ」

雪乃「別に追い詰められた境遇でもないでしょ」

留美(……変わった人)

八幡「今夜の夕飯が楽しみだ」

320: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:32:15.57 ID:3puM3XmC0
~キャンプ場・調理場~

平塚「ほう、火を起こすのに手馴れてるじゃないか比企谷。やるじゃないか」

八幡「恐縮です」

平塚「だが」

少女達「」ガクガク

少年達「すっげー!!今日はヘビも食うのかよ!!」

平塚「もうすこしニーズを弁えろ。男子はともかく、女子小学生はビビるぞ」

八幡「いやしかし小学生にサバイバルのコツを教えるのも」

平塚「とにかく、その焼いてるヘビを食うのは私とお前だけで良い」

雪乃「せ、先生は食べるんですね…」

321: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:33:16.92 ID:3puM3XmC0
平塚「間違ってもそのヘビを、カレーの具材として入れないように」

八幡「楽しみが一つ減ったな…」

結衣「ヒッキーキモイよ…」

雪乃「もはや生理的に無理だわ、ヘビガヤ君」

八幡「お前なんで俺のコードネームを…」

雪乃・結衣「?」

八幡「あ……そ、それよりだな!家カレーだと、家によって個性が出るじゃないか」

八幡「だから俺がカレーの中にヘビを入れるという選択肢は間違ってない筈だ!」

小町「お兄ちゃん、ウチのカレーにヘビが入ってた記憶なんて無い様な…」

八幡「それじゃこれからは入れるか!」

小町「家から追い出すよごみぃちゃん」

八幡「世知辛い世の中だ…」

322: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:35:13.78 ID:3puM3XmC0
~~~

葉山「カレーは好き?」

留美「……」

少女達「」ヒソヒソ

留美「…別に、カレーに興味ないし」テクテク

葉山「………よし、カレーに隠し味入れようか。何か入れたい物ある人!」

少女達「はーい!はーい!」ノ

結衣「はーい!私はフルーツがいいと思う!桃とか!」ノ

八幡「馬鹿かアイツは。想像しただけで吐きそうだ」ガツガツ

留美「本当、馬鹿ばっか」

八幡「む?ああ、しかし桃が良くてなぜヘビをカレーに入れてはいけないんだ!」

留美「……」

雪乃「アナタはある意味一番馬鹿…いえキチガイだと思うけれど?」

323: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:35:55.63 ID:3puM3XmC0
八幡「キチガイとは言ってくれるじゃないか。なあ雪ノ下、お前もヘビを食え。ほら一本やる」スッ

雪乃「訴えるわよ?」

八幡「文明社会から人類の原点、野生に立ち返ることも大事だ」

雪乃「そんな事を堂々と言えるのはアナタくらいね。呆れるのを通り越して軽蔑するわ」

八幡「文明社会に馴染みすぎた代償…哀しいな」

留美「名前」

八幡「ん、名前がなんだ」

留美「名前!普通は今のでわかるでしょ?」

雪乃「人の名前を知りたくば、まずは自分から名乗りなさい」

留美「……鶴見留美」

雪乃「私は雪ノ下雪乃。そこのは…キチガヤくんよ」

八幡「哀しいな本当」ムシャムシャ

324: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:37:30.94 ID:3puM3XmC0
八幡「俺は比企谷八幡。んで今来たコイツは比ヶ浜結衣だ」

結衣「ヨロシクね!」

留美「なんかソッチの二人は違う感じがする。あの辺の人達と。私も違うの、あの辺と」

雪乃「そこの野蛮人と一緒にしないで欲しいのだけれど」

結衣「ヒッキーが明らかに雰囲気違うの分かるけど…他の人は何が違うの?」

留美「みんなガキなんだもん。だから別に一人で良いかなって」

結衣「でも小学生時代の思い出とかは大事だよ?」

留美「思い出とかいらない。中学に入れば、よその人と友達に成ればいいし」

雪乃「残念だけど、そうはならないわ」

留美「え……」

雪乃「アナタを仲間はずれにしてる子達が、今度は違う学校の子達と結託して同じ事が起きるわ」

留美「………」

325: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:39:20.09 ID:3puM3XmC0
留美「誰かをハブるのは何回かあって…けどそのうち終わって、また話したりする」

留美「そしたら今度は私がそうなった。別に何かした訳じゃないのに」

八幡「……環境が変わることで良い事も悪い事も起きる。子供でいようと大人になろうと悩むことはある」

八幡「そして昨日までの仲間が敵になる…信じていた物が簡単に崩壊する」

――――

『俺はもうアンタとは縁を切る』

『スネーク!待ってくれ…私は…』

『恐るべき子供達計画…よくもこんな計画を立てたもんだ』

『……』

~PW・ジーク戦後~

『パスが言っていたサイファーとは“空”の意味の暗号。もう一つの意味は』

『………ゼロ』

~ザンジバーランド蜂起~

『ビッグボス!ソリッドスネークが潜入してきました』

『スネーク。やはり来たか』

『それとボス…言い辛いのですが。ミラーさんは…』

『わかっている。今回は敵同士だ』

『カズ…』

―――

留美「八幡も辛い事いっぱい経験したの?」

八幡「……それなりに」

326: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:40:34.51 ID:3puM3XmC0
留美「……」

八幡「俺の事は良い。それよりほら、蛇の串刺し一本やる」

留美「いらない」

八幡「そういうな。食ってみろ」スッ

留美「……」

結衣「ちょっヒッキー!!?」

雪乃「ちょっと!その男の言う事を真に受けてわ…」

留美「……意外とおいしいかも」ムシャムシャ

八幡「だろ?」b

結衣・雪乃「!?」

327: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:41:34.55 ID:3puM3XmC0
~夕食~

八幡「美味過ぎる!!!」

雪乃「この食事に対する執着…こっちが食欲失せて気持ち悪いわ」

八幡「もっと食わせろ!」

結衣「あははは、もうヒッキー食べ過ぎだって!」

八幡「なんだ、もうカレーはないのか…」ガクッ

小町「小町も呆れちゃうよ~お兄ちゃん何杯御代わりしてるんだよ」

平塚「もう食べ終えたか?なら議題に入るが、君達はその孤立してしまってる少女をどうしたい」

葉山「俺は可能な範囲で何とかしてあげたい」

雪乃「可能な範囲…でね。アナタには無理よ」

葉山「……っ」

平塚「雪ノ下、キミはどうなんだ?」

雪乃「彼女が助けを求めるなら、あらゆる手段を持って解決に努めます」

328: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/04(月) 04:43:09.96 ID:3puM3XmC0
平塚「……で、少女本人は助けを求めてはいるのかね?」

雪乃「それは…」

結衣「ゆきのん…留美ちゃん言いたくても言えないんじゃないかな?」

雪乃「……」

結衣「留美ちゃん言ってたじゃん、自分も同じことしてたって。だから自分だけ助けてもらうのは許せないんじゃないかな」

全員「……」

八幡「仲間はずれしてきた者への罪悪感や責任感か…それが自らの人間関係を事更に悪化させている」

八幡(彼女はまだ若い。あんなか弱い娘に辛い思いはさせたくないな)

八幡(ボッチだったころの知恵を活かして、彼女を救えないものか)

八幡(あるいは前世、軍人として培ってきた経験を活かして何か出来ないか…)

343: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:39:41.78 ID:nW5GYh3N0
~深夜・森林~

八幡「う~ん……」ウデクミ

戸塚「どうしたの八幡?」

八幡「ん?いや何でもない」

八幡(一先ず、あの問題に関しては考えるのは後にしよう)

八幡(いまは戸塚にCQCを教えないとな)

八幡「よし戸塚…行くぞ!」

戸塚「うん!」

八幡「まずはそうだな…簡単な技からだ。俺の襟首を掴んでみろ」

戸塚「うん…こうかな?」ガシッ

八幡「うっ…!!」カァァ

戸塚「八幡?顔赤いけど大丈夫?」

八幡「あ、ああ、問題ない」

八幡(くそ、男なのに何でこんなに可愛いんだ…!)ドキドキ

八幡(オレですらときめくレベルだ…GRUのヴォルギン大佐なら発狂して恋に落ちるレベルだぞ)

344: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:41:20.65 ID:nW5GYh3N0
~数十分後~

海老名「優美子大丈夫かな…さっきまた雪ノ下さんと口論してたけど」テクテク

ドゴッ

海老名「ん?今何か音が」

「おお、なかなか筋が良いじゃないか!」

「そ、そうかな…えへへへ」

海老名「……いや、ほんのりホモの匂いが」

「よし、ここまで俺は受け身だったが、今度は襲う。それに対応できる力を身に付けろ」

海老名「受け身!?しかもこんどは襲う!!?」

海老名「何だろう…この胸がときめくワードは…!!」ザワザワ

「うんわかった!今度は本格的に闘う訳だね、負けないよ!」

「そうだ。俺を倒す思いでこい!!」

海老名「押し倒す想いで…!?」ドキドキ

海老名「こんな夜中に夜這いなの!?一体誰が…」ガサッ

戸塚「うあああ!!!」ガシッ

八幡「甘いぞ!!」ググッ

海老名「ぐふ、これは…ハチトツktkr!!!!」ガタッ

345: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:42:02.30 ID:nW5GYh3N0
戸塚「ん?今そこの茂みから音が聞こえたような…」チラッ

八幡「余所見をするな!」ガシッ

戸塚「しまった…!でも負けないぞ!!」ガシッ

八幡「っ!!瞬時に俺の襟首を掴むとは…やるな」ググッ

戸塚「くっ…」ググッ

八幡(苦悶の表情を浮かべてる戸塚も可愛い)

八幡「……って、しまった油断した!体勢が!!」グラッ

戸塚「うおおお!」ブンッ

八幡「くっ…負けるか…!!」ブンッ

ドンッ

八幡「ふぅ…辛うじ戸塚を馬乗りにして、動きを封じた」

戸塚「ああ…負けちゃった。あの体勢から持ち直すなんて凄いな八幡は」

海老名「うっはぁぁぁ!」ブバ―――!!

ドサッ

戸塚「ん、何か物音が…って海老名さん!?」

海老名「……ぐふふふ、眼福…眼福」ガクッ

八幡「く、腐ってやがる…」

346: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:42:39.99 ID:nW5GYh3N0
~~

八幡「すまんな戸塚。この腐女子をログハウスまで送ったせいで特訓の時間が削られた」

戸塚「仕方が無いよ。でも如何したんだろう。鼻血を出して倒れてたけど…熱中症」

八幡「ある意味暑さで…いや熱さで頭をやられてるのは確かだな」

戸塚「今日はもう遅いしこの辺にしない?」

八幡「そうだな。これから夏休み時間あるときにいつでも呼んでくれ」

戸塚「うん、ありがとう。じゃあ帰ろうか」

八幡「そうだな……ん?」
雪乃「……」
八幡「戸塚、先に戻っててくれないか?」

戸塚「……?うん、わかった!」

347: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:43:34.21 ID:nW5GYh3N0
八幡「よっ」ポンッ

雪乃「……」ジ―ッ

雪乃「……」シュッ

八幡「え、ちょ、うおっとと!?」

八幡「おい待て俺だ!不審者じゃないぞ」

雪乃「え、誰かしら?不審者さん」ブンッ

八幡「冗談はその辺にしておけ!」バッ

雪乃「む……よく今の技を回避できたわね」

八幡「伊達にCQC使いじゃないからな…そういうお前こそ今の動きは」

雪乃「ええ、私こう見えても合気道やってたの」

八幡「ほう初耳だ。それなら今度一戦交えるか?」

雪乃「……その口実で私の体を触りたいのでなくて?セクハラ谷くん」

八幡「お前は俺をどれだけ下衆な人間で見てるんだ」

348: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:44:19.98 ID:nW5GYh3N0
雪乃「まあ別に一戦交えるのは良いけれど、アナタが私に勝てるとでも?」

八幡「その言葉、そのままそっくり返してやる」

雪乃「大した自信ね」

八幡「まあお前は今私服だからな。今日は闘う事は出来そうにないが」

雪乃「そんなに私と闘って私に触れたいのかしら?」ポチポチ

八幡「おい、なぜ携帯をいじる。どこに連絡するつもりだ」

雪乃「あら失礼、まだセクハラしてないものね。警察を呼ぶのは早いわ」

八幡「…………」

八幡「まあいい。俺は帰る」

雪乃「………あの子のこと。何とかしなければね」

八幡「留美の事か。確かにな」

349: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:45:12.12 ID:nW5GYh3N0
~川原付近~

八幡「喉か沸いたし川で水でも飲むか……ん?」

留美「……」

八幡「よ、何してる」

留美「あ、八幡…」

八幡「眠れないのか?」

留美「うん」

八幡「そうか」

留美「それよりさっき、友達と喧嘩してたでしょ?」

八幡「喧嘩?違う違う、CQCを教えてたんだ」

留美「なにそれ?」

八幡「簡単に言うと格闘術だ」

留美「ふーん、そっか良かった。八幡も友達いなくなっちゃたのかと思ってた」

八幡「……」

留美「ねえ、私にも教えてよ。しーきゅーしー」

八幡「お前にCQCをか?良いけどお前は小学生だ。余り荒っぽくは教えられんぞ?」

留美「良いよ。出来る範囲で教えてくれれば」

八幡「よし…それじゃまずは」

350: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:46:07.26 ID:nW5GYh3N0
~次の日・大広場~

八幡「ふん!!」ブンッ

八幡「わふぁ~眠い…」

葉山「斧で木を切るだけなのに君がやると様になるね」

戸部「ヒキタニ君、マジ手馴れてる感パネェ!」

八幡「そんな事はない。昔の方がもっとサクサクできた」

戸塚「それにしても大丈夫、八幡?目にクマがあるよ」

八幡「ああ…一段落したし、木陰で休んでて良いか?」

葉山「うん。後は俺達が木を積んで置くから心配しないで」

八幡「すまんな」

八幡(結局オレはあの後、留美とCQCの特訓を夜明けまで続けた)

八幡(アイツは敵の攻撃から回避する才能があった。ついオレも熱くなって教え込んだ)

八幡(さて…その留美をどう救うか)

~~

八幡「ん、つい寝込んでしまった。今何時だ?」

八幡「……結構寝てたな。しかも周りに誰もいない」

八幡「喉渇いたし、川にいって飲んでくるか」

八幡「ナイフと斧も持っていこう。それと暑いし脱ぐか」ヌギッ

351: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:46:52.79 ID:nW5GYh3N0
~川原~

由比ヶ浜「キャーつめたいー!」

小町「キャハハ!」

ダダダッ

雪乃「ん?誰かコッチに向かってくるわ」

八幡「うおおおお!!!」ピョンッ

小町・由比ヶ浜・雪乃「!!!!?」

ザッパーン

八幡「ふぅぅ…気持ちが良い!!!」

小町「お、お兄ちゃん…何で上が裸で下がミリタリーパンツなの?」

八幡「ん、小町…それに由比ヶ浜に雪ノ下!何かおかしいか?それにお前達だって水着姿じゃないか」

雪乃「格好も何かおかしいけど、それ以上に両手に、なぜ斧とナイフを構えているのかしら?」

八幡「ここに来るまでの道中、蛇やムササビを見かけたら食べようと思ってな」

八幡「それに水中には……フン!」ザシュッ

八幡「ほら見ろ!魚を一匹しとめたぞ!」

由比ヶ浜「ヒ、ヒッキーまじキモイ…」

352: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:47:44.69 ID:nW5GYh3N0
平塚「……比企谷、お前は最近ワイルドになり過ぎだ」

八幡「あぐあぐ…ん?先生」ガツガツ

八幡「っ!!」

平塚「ん、どうした後ろ振り向いて?」

八幡「いや、その、よく似合ってますね」

平塚「ほう…お前から褒められるとはな」

八幡(想像よりもスタイルよくて驚いた。だがアレ以上見ていると…ぅぅ)

由比ヶ浜「大丈夫ヒッキー?前かがみになってるけど」スッ

八幡「うお!?」ビクッ

雪乃「魚を食べて食中毒にでもかかったかしら?」

八幡「違うよく嚙んで食べれば…うっ!?」チラッ

雪乃「何?」

八幡「くそ。どいつもこいつも……性欲を持て余す」

小町「全くお兄ちゃんったらお盛んですね」ニヤニヤ

353: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:49:20.25 ID:nW5GYh3N0
三浦「ふっ、勝った」ボイン

雪乃「……?」ペタン

八幡「まあ何だ。お前の姉さんはああだから、お前も遺伝子的にはチャンスはあると思うぞ」

雪乃「姉さんが何か関係あるの?」

小町「女の子の価値はそこで決まるわけじゃありませんし、個人差ありますし、小町は雪乃さんの味方ですよ!」

雪乃「はあどうも……姉さん、遺伝、価値、個人差……ああ!!」

雪乃「別に気にしていないのだけれど、外見的特徴で評価が決まるのなら、一部でなく全体のバランスが対象に…」

平塚「まだ諦めるような時間ではないぞ雪ノ下」ポンッ

雪乃「………………」

八幡(姉妹でも、雪ノ下の胸は劣勢、その姉さんの胸は優性か…)

八幡(同じ兄弟で遺伝子の優劣に屈折した想いを抱いたリキッド…奴も似た様な気持ちだったのだろうか。もっとも実は奴が優性だった訳だが)

354: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:51:25.41 ID:nW5GYh3N0
~川原・木陰~

八幡「ふっんぐ…」ガツガツ

留美「生のお魚美味しい?」

八幡「留美か。ああ上手いぞ。醤油があれば最高だったな」

留美「目の下にクマが出来てるよ?」

八幡「お前こそ。眠くないのか?」

留美「さっき部屋で少しだけ寝てた大丈夫」

八幡「寝てた…という事は、同じ班の連中はもういないのか」

留美「……うん」コクリ

八幡「酷いやつらだな」

留美「……」

355: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/10(日) 00:51:57.29 ID:nW5GYh3N0
八幡「ほら食え」

留美「ええ…こんなところでお刺身って」

八幡「いいから食ってみろ」

留美「……いただきます」パクッ

留美「……」モグモグ

八幡「惨めなのはイヤか?」

留美「うん」

八幡「そうか」ムクッ

八幡「肝試し…楽しいと良いな」

留美「あっ……」

由比ヶ浜「ヒッキー?どうしたのヒッキー!」

雪乃「……?」

八幡「オレに任せろ。必ず救ってやる」

373: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:31:40.17 ID:jwduZfaV0
~集会所~

八幡「肝試しに使う衣装があると聞いて来て見たが…」

三浦「何この安っぽいコスプレ」

海老名「たか~はら~まが~にぃ~」ブンブン

由比ヶ浜「えへ!はぁ…。えい!はぁ…」

小町「えへへへ。じゃーん!」

八幡「おいお前達、コスプレ大会に来たんじゃないんだぞ」

由比ヶ浜「だって全然怖いのないし…てかヒッキーだってコスプレしてるじゃん!」

由比ヶ浜「しかも迷彩服にバンダナ、眼帯までつけて」

八幡「……なんとなく懐かしい気持ちになりたかった。厨二病的な意味はない」

由比ヶ浜「は?」

雪乃「それより件の問題、どうするの?」

八幡「……まあ、80%までは出来上がってるんだがな」

雪乃「作戦は考えてきたようね。でもまだ完成はしてないと?」

八幡「…………………」ガサゴソ

八幡「いや。たった今100%になった」

374: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:32:40.30 ID:jwduZfaV0
由比ヶ浜「ず、随分急だねヒッキー」

雪乃「それで?その作戦とは」

八幡「まず作戦を発表する前に聞いて起きたい事がある」

八幡「葉山、お前ならどういう作戦で行こうと思う?」

葉山「オレなら……留美ちゃんがみんなと話し合うのがいいと思う」

由比ヶ浜「多分それだと、後で留美ちゃんがみんなに責められちゃうよ」

葉山「じゃあ一人ずつ話し合えば…」

海老名「同じだよ。その場では良い顔しても裏でまた始まる。女の子って隼人君が思ってるよりずっと怖いよ」

葉山「………」

八幡「葉山からはもう無いようだな。他に誰か」

全員「…………」

八幡「よし、決まりだ。みんなオレの意見を聞いてくれ」

八幡「基本的に今回の作戦、葉山の考えに少し近い」

海老名・由比ヶ浜「え!?」

雪乃「でもそれだとダメってさっき結論が…」

八幡「今回の責任はオレが取る。そのかわりオレのやり方に従ってもらう」

八幡「葉山のやり方ではなくな」

葉山「ヒキタニくん……?」

375: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:34:21.54 ID:jwduZfaV0
雪乃「それでその内容は?」

八幡「……まず小町以外は全員、迷彩服に着替えろ。それと頭にシュマグを身に付けろ」

由比ヶ浜「シュマグってこのマフラーみたいなのを顔に?」

八幡「そうだ」

雪乃「なにかテロリストみたいね」

葉山「それで後は?」

八幡「格好は以上だ。それと…オレは昨日、密かに調査をしてきた」

全員「調査?」

八幡「このメモを見て欲しい」

由比ヶ浜「名前が書いてある…名簿?」

八幡「このメモに書かれてる名前は…」

376: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:35:25.00 ID:jwduZfaV0
~回想・夜の川辺にて~

八幡「ぜぇぜぇ…少し休むか」

留美「ぜぇぜぇ…うん」

八幡「……留美、悪いが変なことを聞いて良いか?」

留美「うん」

八幡「お前が裏切ってしまった友人の名前、その思い出…聞かせてくれ」

留美「……」

八幡「悪いな。傷を掘り返すようで。だが頼む」

留美「……うん、特別に八幡にだけ教える」

~~~~~~

八幡「かつて留美と仲の良かった、孤立してしまった者たちの名前だ」

葉山「なるほど…前に仲良かった友達と仲直りするという事か」

雪乃「でも裏切ってしまった罪悪感がある彼女には……?」

八幡「ようはキッカケだ。留美は今、自分の殻に閉じこもっている」

八幡「それをこじ開ける」

377: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:37:00.63 ID:jwduZfaV0
雪乃「……比企谷君が何を考えてるのかわからないけれど、正直言うと物凄く危険な予感がするわ」

八幡「そうだ。今回の作戦は大きな賭けがある」

全員「賭け…?」

雪乃「つまり確実に結果が伴うとは限らない。失敗する可能性も?」

八幡「人間関係というのは単純には行かない。それこそ超能力でも使い相手を洗脳しない限りな」

雪乃「アナタは何がしたいの?」

八幡「まあ最後まで聞け」

八幡「かつて仲良かった友人達は、いまだ留美の様に孤立している」

八幡「その孤立してる者達は、留美の様に望まない形で決められた班にいる」

八幡「留美の様に、グループに馴染めずに」

雪乃「確かにそうなるわね。それで?」

八幡「……初めは、留美の班の連中のみを脅すつもりだったんだがな」

全員「!?」

八幡「とばっちりにも見えるが、他の班にも襲撃を起こそうと思う」

378: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:37:35.60 ID:jwduZfaV0
全員「しゅ、襲撃…!?」

雪乃「アナタ、何を考えてるの!?」

八幡「作戦その1、まずは人間関係を崩壊させる」

由比ヶ浜「ほ、崩壊!?」

八幡「全員、そこにあるエアガンを装備しろ」ジャキッ

全員「っ!?」

八幡「いいか、俺たちは」

八幡「チーム・アウターヘブンだ!!」

379: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:38:37.72 ID:jwduZfaV0
~肝試し大会~

小町「よ~し、次に出発するのはこの班だ!」

少女達「キャーキャー」

少女1「どんなのが出てくるんだろう」テクテク

少女2「お化け屋敷に色んなのが出てくるんじゃない?」テクテク

ダダダダダダ!!!

キャー!!

少女達「!?」

少女3「いま…銃声と悲鳴が聞こえなかった?」

少女4「き、気のせいだよ!」

留美「……?」

380: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/13(水) 21:41:27.05 ID:jwduZfaV0
>>379
(訂正)

~肝試し大会~

小町「よ~し、次に出発するのはこの班だ!」

少女達「キャーキャー」

少女1「どんなのが出てくるんだろう」テクテク

少女2「どうせ大したこと無い、お化け役の人が出てくるんじゃない?」テクテク

ダダダダダダ!!!

キャー!!

少女達「!?」

少女3「いま…銃声と悲鳴が聞こえなかった?」

少女4「き、気のせいだよ!」

留美「……?」

391: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:24:37.28 ID:ZOPPPRe+0
~数分後~

少女1「結局、何も起きないね」

少女2「ってかさ、お化け役すら出てこないね」

ダダダダダッ!!!

少女達「!!!?」

少女1「また銃声が…!?」

?「動くな!!」チャキッ

少女達「ひぃぃ!!?」

留美「っ!?」

「俺たちは武装組織…チーム・アウターヘブンだ!!」

三浦「覚悟しな」

戸部「反抗すると撃っちゃうぜオラ!!」

葉山「俺はこの班のリーダーの…ザ・ゾーンだ。ボスの命を受けてこの土地を占拠しに来た」

392: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:25:42.19 ID:ZOPPPRe+0
ザ・ゾーン「手を上げろ」

少女達「……」ビクビク

少女1「やだ…怖いよ…」

少女2「帰りたいよ…」

ザ・ゾーン「こっちにこい」

留美「……」

ザ・ゾーン「よし、俺達が本気であることを示すべく…」

ザ・ゾーン「見せしめにこの中の半分を射殺するとしよう」

少女全員「!!!?」

ザ・ゾーン「さあ、選べ」

少女1「鶴見…あ、あんたが行きなさいよ」ガクガク

留美「………」テクテク

ザ・ゾーン「さあ、あと二人だ」

少女達「え、ええ…!?」ザワザワ

三浦「ちょっと早くしてくんない?」

戸部「そういやさっき二人くらい、逃げたいだの何だの言ってた奴いたよな?」

戸部「誰が勝手に会話して良いって言った?おい!!」

少女達「!!!」ビクッ

393: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:27:00.81 ID:ZOPPPRe+0
ザ・ゾーン「残り30秒以内。決めなければ全員射殺だ」

少女4「ア、アンタいきなよ!!」

少女3「なんで私なの!?そっちの二人が行けばいいじゃない!」

少女2「アンタいつもそうやって自分だけ無関係なフリして…ずるいよ!」

少女3「なによ!いつもの事は関係ないじゃない!」

少女1「もう喧嘩は止めようよ!」

少女4「じゃあ喧嘩止めたければ、アンタが犠牲になってよ!」オドオド

ザ・ゾーン「残り10秒」

少女達「!!!!」

~草むら~

八幡「……そろそろだな。よし、ドッキリカードを」

由比ヶ浜「待って!!」ガシッ

八幡「なんだ?」

由比ヶ浜「アレ…」

394: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:27:36.69 ID:ZOPPPRe+0
留美「あの!」ノ

ザ・ゾーン「ん?」

留美「えい!!」ドンッ

ザ・ゾーン「痛っ!!」

ザ・ゾーン(腹に肘打ちを…)

留美「ふん…やあ!!」ガシッ

ドンッ

ザ・ゾーン「ぐあああ!!」

三浦(ジャンプして胸ぐら掴んで、そのまま地面に叩き付けた…!?)

戸部(マジぱねぇあの子!!ヒキタニ君のお得意の格闘術みたいじゃん!!)

留美「えい!」パシャパシャパシャ

三浦「うわ!?今度はデジカメのフラッシュ!?」

戸部「ま、まぶし…」

留美「みんなコッチ!急いで!」ダダッ

少女達「…!!うん」ダダッ

395: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:28:07.44 ID:ZOPPPRe+0
八幡「なかなかの腕前だったぞ。良いセンスだ」ガサッ

少女達「え…蛇喰いのお兄さん?」

留美「は、八幡…!?」

八幡「すまんな、さっきのアレはドッキリだ」

少女達「え…えええ!?」

留美「ド、ドッキリ…?」

八幡「ああ、そうだ」

由比ヶ浜「因みにドッキリ作戦の被害者はキミ達だけじゃないよ?」

少女達「え……」

雪乃「集会所までついて来て、色々とお話があるの」

396: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:29:06.08 ID:ZOPPPRe+0
~集会所~

葉山「ごめんね、さっきは驚かせて?」

少女達「は、はい…」

少女1「あの…ところで何で他の班の人も?」

他の班全員「……」

八幡「今日は肝試しとは言え、過激な事をしすぎたな。悪かった」

八幡「だがここからは少し説教をしようと思う…聞いてくれるか?」

全員「……」

八幡「お前達…鶴見留美が孤立してしまってるのは分かってるな?」

全員「……」

少女達「だから何よ…」

397: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:30:15.02 ID:ZOPPPRe+0
八幡「なぜ孤立してしまってるのか、詳しい経緯は俺にはわからん」

八幡「勿論、何かしらの理由はあるんだろう。あとそれと…因果応報もある」

留美「…………」

元友人達「……」

八幡「留美はかつて友達を裏切った」

八幡「そこにいるお前達の様に、醜い心を持ってな」

少女1「……み、醜い心って」

少女2「そ、そんな酷いこと言わなくても良いじゃん!」

少女3「そうだよ!蛇喰いに言われたくないよ!」

八幡「じゃあ聞くが友人を裏切り、影で罵り、仲間はずれにする…客観的に見てお前たちは優しい心をもってると言えるのか?」

少女達「………」

八幡「少なくとも留美は反省している。孤独になる事の痛みを知ってな」

398: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:31:29.49 ID:ZOPPPRe+0
八幡「だが……留美、お前はまだケジメをつけていない」

留美「けじめ?」

八幡「お前は裏切ってきた友達に悪いから、今更自分だけ助かるなんてズルイ…そう言ってたな?」

元友人達「え……」

少女達「……」

八幡「だがそんな事思う前に、やるべきことがあるはずだ」

留美「……」

八幡「ちゃんと頭を下げて謝るんだ。許してもらえるかどうかじゃない、これはケジメだ」

留美「…うんわかった」

留美「……」グスッ

留美「あの……前に、仲間はずれにしてごめん。ごめんなさい」ポロポロ

元友人達「留美ちゃん……」

399: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:32:10.00 ID:ZOPPPRe+0
八幡「さあ留美は謝った」

少女1「私達も…謝るの?」

八幡「いや、その必要はない」

全員「え?」

八幡「ここで仮に頭を下げても、結局それは本心なのかわからんしな」

八幡「人間の感情は理屈じゃない。だからお前たちが留美を本心から許せ無ければそれまでだ」

八幡「上っ面な謝罪などいらん」

八幡「だがもし…留美に謝罪と、さっきの件で感謝の想いがあるなら、今度の態度で示してやってくれ」

八幡「ただ分かって欲しい。留美が自分の過去を向き合った事をな」

八幡「それと、もう意地悪はするな。良いな?」

少女達「は、はい…」

400: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:33:44.80 ID:ZOPPPRe+0
八幡「あと俺が言うのもおかしいが…留美を除く、お前達のグループ内で謝罪をし合うのは自由だ」

少女4「さっきはごめん…」

少女3「私も」

少女2「私こそ」

少女1「裏切ろうとしてごめん…」

八幡「お前たちは若い。いくらでもやり直せる」

由比ヶ浜(なんかヒッキー色々と達観してる…本当に同級生なの?)

八幡「さて…いよいよだな」

雪乃「……?何が?」

八幡「俺もケジメをつける」

全員「!?」

雪乃「何を言って…」

八幡「今回の俺たちの行動に納得いかず、教員に報告する者もいないとは限らない」チラッ

少女達「……」

他の班「……」

八幡「行ってくる」

葉山「キミ…まさか賭けって」

八幡「そうだ。謹慎程度で済めばいいが、下手したら奉仕部を退部せざる終えない可能性もある」

八幡「今回の件、少々過激なのは違いないしな。お前達の事は上手く庇う。責任は全て俺が取る」

401: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:34:45.86 ID:ZOPPPRe+0
~教員達のログハウス~

教員「な…なんだって!?キミの話は本当か!」

八幡「はい、だからケジメを付けにきました」

教員「鶴見さんをキミなりに救うために、過激な一芝居を打った…」

教員「……確かにやりすぎな感じも否めない。これはボランティアの範囲を超えてる」

教員「後日、コチラから総武高校に連絡を取りしかるべき処置を…」

留美「待って先生!」

教員「鶴見さん…もう遅いから寝なさい」

留美「話はもう聞いたんだよね?八幡は私の事を想って行動してくれた、だから処分なんてやめて!」

教員「しかし鶴見さん、これは」

元友人達「先生お願いします」

少女1「私達からも言わせてください」

少女2「どうか責めないで」

少女達「お願いします!」

教員「しかしだね、これは」

平塚「私からもお願いできないでしょうか」

教員「総武高の平塚先生まで…」

平塚「適切な処置は私が取るので、どうかここはこれ以上話を大きくせず、穏便にすませて頂けないでしょうか?」

教員「……わかりました。この事は他の教員には言わず、ここだけの話にしておきましょう」

平塚「感謝します」

402: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:35:53.87 ID:ZOPPPRe+0
~大広場・キャンプファイヤー~

八幡「先生…恩にきります」

平塚「随分危ない橋を…いや、危なすぎる橋を渡ったな」

八幡「すいません」

平塚「いや、時間も無い中によくあそこまで出来たもんだ。上出来だ」

平塚「だが、私やあの子達が現れなければ今頃大変な騒ぎになってたな」

八幡「まあ賭けに出たのは事実です」

平塚「そしてその賭けに勝ったと……だがさっきも言ったように、ケジメは取らせてもらうぞ」

平塚「とりあえず夏休み中に2日間だけ学校に来い。私と校内清掃するぞ」
八幡「構わないですよ。おれは下手したら退部処分を下されると思ってましたからね」

平塚「しかし…キミは結構、リーダーとしての資質が意外にもあるようだな」

平塚「驚いたよ。もう充分更正したと言って良い」

八幡「お褒め言葉どうも」

平塚「ただし…葉巻を吸うのはやめておけ」

八幡「な、何でしってるんですか」ビクッ

平塚「ずっと前に雪ノ下たちから、お前の葉巻の箱を預かってな」

八幡「はぁぁ…余計な事を」チラッ

雪乃「悪いことをしたらケジメをつける。そうでしょ?」

由比ヶ浜「ねぇねぇ!みんなで花火しよ!」タタッ

403: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:36:58.02 ID:ZOPPPRe+0
葉山「はい、マックスコーヒー」

八幡「おっサンキュ」ゴクゴク

八幡「ぷはぁ……最高だ!!」

葉山「改めてお疲れさま」

八幡「おう」

葉山「危険な賭けだったけど、大した処分じゃなくてよかったね」

八幡「ああ全くだ。奉仕部という居場所から追放される覚悟で望んだからな」

葉山「ところで聞きたかったんだけど」

八幡「なんだ?」

葉山「キミが俺に与えたコードネームの…ザ・ゾーンって、結局どういう意味なんだい?」

八幡「ああ、あれは気にするな。士気を高めるためのオマケだ。お前にふさわしい名前ではあるが」

葉山「……?」

404: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:37:35.41 ID:ZOPPPRe+0
~次の日~

平塚「よし、それじゃ帰るぞ」

八幡「色々あった林間学校の手伝いも今日で終わりか…」

留美「八幡!」タタッ

八幡「留美…」

留美「昨日は……ううん、林間学校の間、私の事気にかけてくれてありがとう」

八幡「俺は大した事は…………したか色々な意味で。まあ気にすんな」

留美「さっきね少しだけど、前に仲間はずれにしちゃった友達と久しぶり話したよ」

留美「同じ班の人も……まだ距離は感じるけど、いつもより優しかった」

八幡「それはお前が誠心誠意こめて謝ったからだ、熱意が伝わったんだろ」

留美「……」ギュッ

八幡「なんだ。俺の服の袖を掴んで」

留美「また会えるよね?」ツー

留美「私…また八幡に会いたい」ポロポロ

八幡「そうだな。いつになるかわからんが…またいずれ会おう」

留美「ぅぅ……約束だよ?」グスグス

405: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:38:25.14 ID:ZOPPPRe+0
~車中~

雪乃「少しは報われたかしらね、彼女」

八幡「少なくとも無視はされなくなったようだな。あとは彼女達次第だ」

由比ヶ浜「でも良かったね留美ちゃん…」

雪乃「……」ジーッ

八幡「なんだ俺の顔を見て」

雪乃「時々思うのだけれども、まるで別人みたいな感じがして」

八幡「……」

雪乃「特に……あの彼女達へのお説教。聞いてて思ったのだけれど」

雪乃「もし葉山君が同じ様に説教したとしても、きっと滑稽にしか聞こえなかったと思うわ」

八幡「そもそも葉山は説教という形で説得をしないだろ」

八幡「アイツなら優しい言葉をかけて、それで相手の事を信じて、説得したつもりで終わってた…そんな所だ」

雪乃「でもアナタ言ってたわよね?あの作戦は葉山君の考えに近いって」

八幡「近いとは言ったが、同じとは言ってない。投げかける言葉と説得の仕方が違うだけの話しだ」

406: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:39:02.47 ID:ZOPPPRe+0
八幡「……とにかく俺は比企谷八幡だ。それ以上でも以下でもない」

雪乃「それはそうなのだけど…あの二回目の事故以来、あまりに良くも悪くも変わってしまって」

由比ヶ浜「ああわかる!緩んでたネジが締まった部分もあれば、ネジがぶっ飛んじゃった所もあると言うか」

八幡「お前達、俺を褒めてるのか貶してるのかドッチなんだ」

由比ヶ浜「でも…どんなヒッキーでも、ヒッキーはヒッキーだよ?」ズイッ

由比ヶ浜「私の大事な…その友達だし部活仲間だし……///」カァァ

八幡「お、おう」ドキッ

雪乃「…………」

407: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:39:43.17 ID:ZOPPPRe+0
~~

平塚「ご苦労だったな!気をつけて帰るように」

八幡「小町、帰りはドコかで蛇やカエルでもキャプチャーしてくるか…雪ノ下も来るか?」

雪乃「冗談は休み休み言って頂戴キチ谷君」

小町「普通にスーパーで食材を買およう…」

八幡「せっかくの夏休みなんだ。しっかりサバイバル訓練をつまないと」

小町「あーもう折角帰ってきたんだから、訓練の事は後でで良いでしょ~。それにお父さんやお母さんに叱られるよ~」

八幡「……世知辛いな本当」

キキッ

由比ヶ浜・八幡「……っ!!」

陽乃「はぁ~い!雪乃ちゃん!」

雪乃「ね、姉さん」

408: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/14(木) 02:42:14.21 ID:ZOPPPRe+0
陽乃「迎えに来たわよ~~ん?比企谷君だ!」

陽乃「あれ?そこの彼女は…?はっ!まさか浮気!?」

由比ヶ浜「へっ!?いや私は別に///」

八幡「だからアンタの妹さんとはそういう関係じゃないし、コイツともそういう関係じゃありません」

陽乃「な~んだ、良かった!雪乃ちゃんのこと裏切ったのかと思っちゃった」

八幡「はぁ~だから違うと………本当に疲れる人だ」

八幡(いやそれより……)

~~

雪乃「それじゃ………さよなら」

由比ヶ浜「ねぇ…ヒッキーあの車」

八幡「………」

八幡「さあ、どうだろうな」

八幡(何にしても、一応後で聞いてみるか)

423: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/16(土) 01:23:58.46 ID:QZLNyOiZ0
~数日後~

八幡「花火大会?」

由比ヶ浜「うん。サブレを見てくれたお礼に…」ドキドキ

八幡「なるほどそれは良いな。よし小町も行くか」

小町「ふん!」ドゴッ

八幡「うお!?」

小町「せや!!」ブンッ

八幡「うああ…!!」

ドゴッ

由比ヶ浜「小町ちゃん!?」

小町「小町が何が言いたいか分かるよね?ごみぃちゃん」

八幡「ゲホゲホ…お前は平塚先生か…」

八幡「しかし短期間でCQCの腕を相当上げたな小町。さすが俺の妹だ」

小町「えへへへ」v

八幡「完全に油断してた。俺もまだまだだな」

由比ヶ浜「……??」

八幡「で?あの肉体言語の意味は」

小町「分かってるくせに」

八幡「……」

424: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/16(土) 01:26:53.86 ID:QZLNyOiZ0
~花火大会の当日~

八幡(結局あの後、小町は受験を言い訳に参加を半ば強引に拒否)

八幡(更に買い物を依頼され、そのついでに由比ヶ浜と二人での花火大会の参加を促される)

結衣「やっはろー!お待たせ~!」

八幡「おお浴衣姿か。似会うじゃないか」

結衣「え…ほ、本当?ありがとう…//」カァァ

八幡「ところで質問が」

結衣「ん、なに~?」

八幡「花火大会は夜からだろ。なぜ昼間からの待ち合わせ何だ?」

結衣「うん。花火大会に行く前に見たい映画が合って」

八幡「ほう…映画か。良いな」

結衣「うん。ほらいこ//」

八幡「おう」

八幡(しかし女とデートか。久しぶりなのか…?)

八幡(エヴァとのアレは任務だったしな。それじゃ初めて?)

八幡(あ、雪ノ下とも一応一緒には買い物したか。デートなのかは怪しいが)

425: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/16(土) 01:27:47.54 ID:QZLNyOiZ0
~映画館~

八幡「ところで何の映画を見るんだ?」

結衣「えっとね…ちょっと怖いのなんだけど」

八幡「こ、怖いの?」ビクッ

結衣「うん。ヒッキーならホラー映画とか得意そうだと思って…」

八幡「…………………」

結衣「……ヒッキー?あ、あれ??大丈夫だよねホラー映画とか」

八幡「あ、ああ!問題ないぞ」

八幡(…………ま、まさかな)ダラダラ

八幡(いや、あの映画はもう古い。やってるハズが)

店員「いらっしゃいませー」

結衣「あ、私達の番だ。このチケット下さい」

店員「ありがとうございましたー。チケットどうぞ」ススッ

結衣「はい!今日の観る映画はコレだよ」ススッ

【新ドラキュラ~ザ・リメイク~】

八幡「」

426: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/16(土) 01:28:46.39 ID:QZLNyOiZ0
~館内~

八幡「あ…ぁぁ…」プルプル

「お前の血を吸わせてもらう…」ガシッ

「い、いやああああ!!!」

結衣「キャーー!!」ダキッ

八幡「」ガクッ

結衣「あ…ごめん。ヒッキーに抱きついちゃった//」カァァ

結衣「でも、その凄く怖いから…もう少しこのままでも良いかな?//」ドキドキ

八幡「」

結衣(何も言わないけど拒否もしてないし、良いって事かな?)

結衣「えへへ//ヒッキーがいるから怖くないモンね//」ギュゥゥ

八幡「」

427: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/16(土) 01:29:37.19 ID:QZLNyOiZ0
結衣「映画終わっちゃったね…」ギュゥゥ

結衣「………」ギュゥゥ

結衣「って、わああ!?ごめん!ずっと抱きつきっぱなしだったよね」パッ

結衣「………ありがとね。凄く怖かったけど…ヒ、ヒッキーのおかげで最後まで見れたよ//」

結衣「………///」

結衣「外はもう夕方だよねきっと…」

結衣「ねぇ、そろそろ外に出よ?」

結衣「……………ヒッキー?」

結衣「ねぇ…もしかして寝てる?」チラッ

八幡「」ブクブクブクブク

結衣「え、何で白目むき出しで泡吹いてるの…!?」

429: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/16(土) 01:31:44.19 ID:QZLNyOiZ0
結衣「ヒ、ヒッキー…?ねぇ!ヒッキーどうした!?」

結衣「お願いだから目を覚まして!ヒッキー…ヒッキーーー!!!」

八幡「」
【GAME OVER…??】

CONTINUE←

CONTINUE

439: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:12:01.51 ID:TRpIQkmB0
~休憩所~

八幡「う、わああぁぁっ!!」ガバッ

結衣「っ!!ヒッキー!!」

八幡「はぁはぁ…ふぅふぅ…夢?」

結衣「目が覚めてよかった…大丈夫!?」

八幡「あ…ああ…」ガクガク

結衣「まだ震えてるよ…?」

八幡「……」ガクガク

結衣「いきなり泡吹いて気絶してたからビックリしちゃったよ」

八幡「……すまん。正直に言うべきだったな」

八幡「俺はその…吸血鬼とかの類の物が…その…」

結衣「え、もしかしてヒッキーはホラーと苦手!?」

八幡「い、いや違うんだ!ただ吸血鬼物の映画を観ると…いや、話を聞くだけでも恐ろしい夢を見てしまうんだ」

440: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:12:48.99 ID:TRpIQkmB0
結衣「そうなんだ…だったら言ってくれれば良かったのに」

八幡「お前の楽しみを一つ奪うわけにもいかんだろ」

結衣「ヒッキー…」

八幡「俺はもう大丈夫。そろそろ花火大会に行くぞ」ガクガク

結衣「まだ、体震えてるよ?」

八幡「だけど…その…」

八幡「お前にいつまでも膝枕されてる訳にもいかないしな…」ドキドキ

結衣「//」

結衣「私は別に…イヤじゃないよ?//」

八幡「っ…」ドキッ

結衣「もう少ししてから行こう?//」

八幡「あ、ああ」

441: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:13:31.42 ID:TRpIQkmB0
~花火大会~

八幡「たこ焼き美味過ぎる!!!」ハフハフ

結衣「もうヒッキー食べてないで少しは花火見ようよ」

八幡「花火なんて単なるオマケだろ。露店こそメインだ」

結衣「逆でしょ普通……って言うかもう少し私と…」ボソッ

八幡「…ん?あれは射的じゃないか」

~~~~

ガヤガヤ

相模「ん、ねえあそこ凄い人だかりじゃない?」

ゆっこ「本当だ!なんだろ」

遥「射的の露店みたいだけど…あれ?ねえあそこにいるの結衣ちゃんじゃない?」

442: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:14:16.56 ID:TRpIQkmB0
相模「おーい!結衣ちゃ~ん!」

結衣「あ、さがみん!」

相模「偶然だね~!所でこの人だかり何なの~?」

結衣「えっとね、多分あの射的に驚いてるんだと思う」

相模・ゆっこ・遥「……?」

八幡「ふん!」パァンッ

ギャラリー1「すっげ!!あれをゲットしやがった!!」

八幡「落ちにくい景品でも一瞬のグラつきはある。すばやくリロードして撃てば落とせる」ガチャガチャ

ギャラリー2「つーかリロード早すぎだろ!?」

結衣「ヒッキーすごーい!」

相模・ゆっこ・遥「」

八幡「ほら、景品やる」

結衣「わああ…ありがとヒッキー//」

443: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:15:37.39 ID:TRpIQkmB0
八幡「ん?そこにいるのは…」

結衣「あ、紹介するね。同じクラスの相模南ちゃんだよ!」

八幡「いや、知ってるんだが」

八幡(まあ以前の俺なら、クラスメイトを全員把握する事も無かったが)

八幡「……ん?」

相模「……へぇ」ギロッ

ゆっこ・遥「……」ヒソヒソ

結衣「ん?どうしたのさがみん」

相模「ううん、なんでもない」

八幡「……」
相模「ねぇ、アイツ最近調子に乗ってる比企なんとか君よね?」ヒソヒソ

ゆっこ「最初の頃はいつも一人で、存在感薄い奴だったのにね」ヒソヒソ

相模「なんか気に入らないんだよねアイツ。調子に乗ってるって言うかさ~」ヒソヒソ

遥「てかあんなのと一緒にいる結衣ちゃんもどうかしてるよね~」ヒソヒソ

444: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:16:08.79 ID:TRpIQkmB0
結衣「……?」ポカーン

八幡「さっきから何こっち見ているんだ?」ズイッ

相模・ゆっこ・遥「っ!!」

相模「え、あは、あははは…べ、別に何でもないよ…」ビクビク

八幡「そうか。こっちを睨んだり、由比ヶ浜を嘲笑するように見えたのは気のせいだったか」

相模「も、もう…そんな事ないって!やだなーあははは…」

八幡「いくぞ由比ヶ浜」

結衣「う、うん!//じゃあねさがみん!」

相模「うん!バイバーイ!」

相模「……チッ、何なのアイツ」

445: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:17:00.20 ID:TRpIQkmB0
結衣「ねえヒッキー、さっきから気になってたんだけど」

八幡「ん?」

結衣「なんでダンボール持ってるの?」

八幡「露店の店員から貰った。コレをビニールシート代わりに敷いて、見晴らしイ良い所で花火を見ようと思ってな」

結衣「気を使ってくれるのは良いけど何でダンボール…」

八幡「勿体無いじゃないか、ダンボールは真心を込めて…」

陽乃「あれ~比企谷くんじゃん!」

八幡「げ、アンタは…」

446: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:17:44.03 ID:TRpIQkmB0
陽乃「父親の代理でね、ご挨拶ばかりで大変だったんだ。比企谷君が来てくれて良かった~!」

八幡「……」

陽乃「あれ?元気ないね。普通は貴賓席には来れないんだぞ~?」

八幡「俺は無料のダンボールシートが方が良かった…」

陽乃「キミってつくづく変わった子よね~」

陽乃「……で?ところで浮気は感心しませんな」

八幡「浮気でも本気でもない」

~~

陽乃「で、今日はデートだったのかな?それなら邪魔して悪かったね~」

由比ヶ浜「い、いえ!そういうわけでは…//」キョドッ

陽乃「その照れ方は怪しいな~?でも、もしデートなら…」

陽乃「雪乃ちゃんは、また選ばれないんだね」

八幡「……雪ノ下さんが何が言いたいのか知りませんが、雪ノ下雪乃は俺の大事な部活仲間です」

陽乃「そう。それはどうも。雪乃ちゃんにも伝えておくわ」

447: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:18:51.91 ID:TRpIQkmB0
八幡「雪ノ下さんは、総武高校の卒業生ですよね?」

陽乃「うんそうだよ。比企谷君の3つ上。で、いまは国立理系の学校だよ」

結衣「じゃあゆきのんの進路志望と同じなんですね」

陽乃「っ…そっか。ゆきのんちゃん国公立理系志望なんだ。昔から変わらないな。お揃いでおさがりで」

八幡「……」

陽乃「キミはどうなの比企谷くん。進路の方は?」

八幡「まだ定かではないですが暫定で……」

八幡「卒業後は…大学で文系の専攻するか、もしくは自衛隊かPMCに入隊を考えてます」

結衣「じ、自衛隊!?……ってそれより、PMCってなに?」

陽乃「民間軍事会社よ。キミって見かけによらず、けっこうハードな進路も考えてるんだね」

八幡「……まだ決まりきった話では無いですけどね」

陽乃「でも将来の雪乃ちゃんの夫という立場を考える複雑ね…命がけの仕事だし」

八幡「だからそういう関係ではないと…」

448: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:20:21.12 ID:TRpIQkmB0
陽乃「由比ヶ浜ちゃんは雪乃ちゃんの事好き?」

結衣「す、好きです!カッコいいし誠実だし、頼りになるし、わかり辛いけど優しいし…」

陽乃「そっか…最初は皆そう言う。でも最後は嫉妬して拒絶する。あなたは違うと良いな」

結衣「私はそんな事しません!」

陽乃「……で、比企谷くんは雪乃ちゃんの事好き?」

八幡「おれがアイツを嫌いだったら大事な仲間だなんて言いませんし、とっくに奉仕部を辞めてるでしょう」

陽乃「そう」

八幡(前世、親友と仲違いを起こした俺が、こんな事を言うのも無責任かも知れんがな)

八幡(だが俺が雪ノ下を拒絶なんてする訳も無い)

449: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:21:42.80 ID:TRpIQkmB0
ブロロロ

陽乃「良かったら車で送ってくけど?」

結衣「えっと…」

八幡「……」

陽乃「傷なんて残ってないよ……あれ?雪乃ちゃんから聞いてなかったんだ。悪いことしちゃったかな?」

結衣「じゃあやっぱり…」

陽乃「ああでも勘違いしないでね…?でも雪乃ちゃんは乗っていただけだし、何一つ悪いことはしてない」

八幡「……」

八幡「俺はあの時の事は気にしてない。だから心配いりません」

陽乃「そう、なら良かった」

~電車の中にて~

結衣「ヒッキーはゆきのんから聞いてた?」

八幡「さっきも言ったが聞いてない。でも仕方ない事だ、罪悪感から色々不安を感じるのも致し方ない」

八幡「完璧超人に見える雪ノ下だって人間だ。伝えづらかったんだ」

結衣「そう…だよね」

結衣(ヒッキーも最近はゆきのんと違う意味で、超人になりつつあるけど)

八幡「家まで送ってく。夜道に一人じゃ危ないしな」

450: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:23:00.14 ID:TRpIQkmB0
結衣「ありがとね。ここまで来てもらっちゃって」

八幡「気にするな」

結衣「ヒッキー…変な話だけど運命って信じる?」

八幡「なんだ突然、らしくないな」

八幡「でもまあそうだな…なんとも言えん。否定する気も肯定する気も無いと言うか」

八幡(リキッドやソリダス、スネークの事を考えるなら運命としか言えん)

八幡(だが闘う事でしか生きられなかった俺が、今は平凡な高校生でいられるくらいだしな……少なくとも今は)

結衣「私はね、信じる。きっとあの事故がなくても私はいつか悩んで奉仕部に来てたと思う。こんな性格だし…」

八幡「出会う過程違うだけで、会っていた可能性はあった…という事か」

結衣「可能性じゃなくて!絶対だよ!」

八幡「わ、わかった。少しおちつけ」

451: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:25:38.26 ID:TRpIQkmB0
結衣「でも驚いたよ。まさか将来は自衛隊かPMCに行きたいだなんて」

八幡「まだ決まりきってない事だ。大学に行く事だって視野に入れてる」

結衣「でも戦場にいく可能性もあるんでしょ?自衛隊だっていつも基地にいるし、休日以外は合えなくなるし」

八幡「まあ軍隊系の仕事だしな。他の会社に比べても何かと自由も効かん」

結衣「わたしもヒッキーと同じ道に行こうかな」

八幡「馬鹿言え。お前が銃を握るなんて」

結衣「だって!ヒッキーとずっと一緒にいたいもん!」

八幡「!!」

結衣「これからもずっと一緒にいたい…高校卒業したら会えなくなるなんて嫌だ」

八幡「……」

結衣「ねぇ…私ねヒッキーの事…」

pppppp

結衣「……!わたしは」

八幡「携帯、鳴ってるぞ」

結衣「……ママからだ。ウチはすぐそこだからココで良いよ、送ってくれてありがとう」

結衣「じゃ、じゃあね、おやすみ」

八幡「ああ、じゃあな」

452: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:27:00.27 ID:TRpIQkmB0
八幡(……俺だって伊達に前世、80年近く生きてたわけじゃない)テクテク

八幡(由比ヶ浜は俺に好意がある?前からそれを匂わせる物はあったが)

八幡(確かに由比ヶ浜は良い女だ。正直俺にはもった無いくらいな)

八幡(だがもしも、俺と由比ヶ浜がも恋人関係になったら雪ノ下はどう反応する?)

八幡(…………っ)ピクッ

八幡(俺の勘はあまり外れない。決して自惚れてる訳じゃない)

八幡(だが雪ノ下が俺に好意を抱くなんて事はない……無いか。ある訳無い)

八幡(修羅場になることは無い……多分)

八幡(何にせよ平穏に生きると決めたこの俺が、また戦場に行くというのも…)

八幡(今度の人生は結婚もしたいし、ちゃんと正規の方法で子供もほしい)

八幡(俺は平和に生きたい。じゃあ何で職場見学で自衛隊を希望した?)

八幡(……やはり俺はどこかで、闘いに未練があるのか)

八幡(………)

453: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:30:41.60 ID:TRpIQkmB0
~8月31日・海~

八幡「……」カチッ

八幡「フゥゥ…堂々と葉巻を吸えるのも久しぶりだ」

八幡「今日は夏休み最後の日だ。客もあまりいない」

八幡「だからこそ今日を選んだ」カサッ

八幡「ボス…悪いな、俺はいま日本にいるから墓参りは出来ん」

八幡「最もアンタも誰かに生まれ変わっているかも知れんがな。俺と同じように」

八幡「だがアンタは師匠だ。心からの礼儀を尽くしたい」

八幡「アメリカやロシアから遠く離れた土地、日本からな」

八幡「アンタは水葬では無かったが…この花束を海へと送る」スッ

ポチャン

八幡「それと敬礼を」

八幡「………」ゝ

八幡「ボス、俺は今悩んでる」

八幡「このまま平穏に生きるか、それとも再び戦士として生きるか」

八幡「もしアンタが俺と同じ立場ならどうする?」
雪乃「……比企谷くん?」

454: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:32:08.48 ID:TRpIQkmB0
比企谷「っ!?雪ノ下!?」ビクッ

雪乃「久しぶりね。ちょっと海岸で散歩に…考え事してて」

比企谷「そうか。人もいないし落ち着くよな」

雪乃「ええ、そうね」

比企谷・雪乃「……」

雪乃「姉さんと会ったのね」

比企谷「……ああ」

雪乃「あ、ああ、あの…その…私…」オドオド

比企谷「また明日から部活始めるのか?」

雪乃「え?ええ…そのつもりだけど…」

比企谷「そうか」

雪乃「……」

比企谷「雪ノ下……あの一件は気にするな」

455: ◆ExcbJR30iQ 2014/08/21(木) 05:34:21.10 ID:TRpIQkmB0
雪乃「っ!!」

比企谷「誰だって過ちはあるし、場合によっては嘘もつく。それにお前は悪くない」

雪乃「……」

比企谷「それじゃ」

雪乃「あ…ちょっと待って」

比企谷「何だ?」

雪乃「なぜ花束を海に投げて敬礼を?」

比企谷「……深い意味はない。気にするな」

雪乃「それもアナタが言う嘘かしら?」

比企谷「お前が気にすることじゃない」

雪乃「……」

比企谷「じゃあな」

雪乃「ええ…」

雪乃「………」

478: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:03:13.56 ID:L0NS8aMe0
~夏休み明け・教室~

八幡「文化祭実行委員が俺だと…?」

平塚「ロングホームルーム中に居眠りしていたからな、お前にしておいた」

八幡(昨日は夜中まで本読んだり、筋トレしたりして寝不足だ…)

八幡「はぁ…まあ俺が悪いわけだし。仕方ないか」

平塚「うむ、物分りが良くてよろしい」

平塚「後、机の上に配ってあるプリントを近いうちに提出したまえ」ススッ

八幡「進路希望票と、職業希望調査票…でしたっけ?」

平塚「そうだ。二つとも将来に関る大事な物だ。良く考えてくるように」

八幡「なあ先生。前にも似たようなレポート出さなかったか?」

平塚「あれは職業見学の調査票だ。その後の職業体験を通して、将来の進路希望にも変化した事だってありえるハズだ」

平塚「とにかく自分の将来について改めて考えておくんだな」

八幡「将来…か」

479: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:06:23.62 ID:L0NS8aMe0
八幡(その後、文化祭実行委員の会議へ行くと雪ノ下もいた)

八幡(城廻先輩という、ほんわかした性格の生徒会長から実行委員長を勧められる雪ノ下だが、キッパリと断わる)

めぐり「そっか…残念だなぁ…」ショボン

雪乃「ごめんなさい、実行委員として善処します」

八幡(それにしても早く会議終わらないのか。葉巻吸ってダンボールにでも入って落ち着きたい)

相模「あ、あの…みんなやりたがらないなら、ウチ…やっても良いですけど」

相模「前に出るの得意じゃないけど、こういうの少し興味あったし…ウチもこの文化祭を通して成長したいっていうか…!」

八幡・雪乃「……」

めぐり「じゃあ、他に立候補がいないなら相模さんで良いかな」

パチパチパチ

~部室~

八幡「文化祭が終わるまで、部活は中止?」

雪乃「え…ええ…い、い、忙しくなるし」

結衣「そっか…この文化祭の準備忙しいし仕方ないよね」

結衣(ゆきのん…様子が変だよ。やっぱりお姉さんから花火大会の話を聞かされて気まずいのかな)

八幡(この間は一言、言ってやったんだが、まだ気にしてるみたいだな)

ガララ

相模「しっつれーしまーす!」

結衣「あ、さがみん!」

八幡(花火大会の件からやたらコイツらを目の当たりにするな)

相模「奉仕部って、雪ノ下さん達の部活なんだ~!」クスクス

相模「ウチ実行委員長になったけど正直、自身がないって言うか、だから助けて欲しいんだ!」

~~

雪ノ下「……話を要約すると、アナタの補佐をすれば良いのね。それなら構わないわ」

相模「ほんとに!?雪ノ下さんありがとう!」

八幡「待て」ガタッ

480: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:08:03.65 ID:L0NS8aMe0
相模「な、なに比企谷くん」

八幡「さっき雪ノ下も言ってたが、お前の言う成長とはかけ離れた言動だな」

八幡「都合よく雪ノ下を利用するつもりだろうが、かえってその事が仇となるぞ?」

相模「利用って…べ、別にそんなこと…」

雪乃「……」

八幡「俺達は奉仕部だ。その部長の雪ノ下がお前の手伝いを請け負ってやろうと言うんだ。ただの部員の俺に拒否権は無い」

八幡「だが相模、楽をしようなど考えない事だな」

八幡「おまえ自身も全力で委員会活動に望まないと痛い目にあうぞ」

相模「…点」

ゆっこ(なにアイツ、偉そうに)ヒソヒソ

遥(確かに、マジうざいんですけど)ヒソヒソ

相模(本当アタマどうかしてるし。あの雪ノ下さんが補佐してくれるなら委員会だって楽勝に決まってんじゃん)ヒソヒソ

481: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:11:12.77 ID:L0NS8aMe0
八幡(俺の忠告を軽く見ていた相模だが、すぐにその忠告の意味を理解したと思う)

実行委員1「雪ノ下さん凄いね…委員長みたい!」

実行委員2「雪ノ下さんが委員長やれば良いのに」ボソッ

めぐり「いや~さすが、はるさんの妹さんだね!」

雪乃「いえ、大した事は」

相模「」

八幡(少しは懲りたかと思ったが…この後、思わぬ人が現れる)

~後日~

陽乃「ねぇ~良いでしょう雪乃ちゃん?可愛い妹の為にしてあげられる事したいし、文化祭でバンド演奏やらせてよ~」

雪乃「……好きにすればいいじゃない、決定権は私には無いし」

陽乃「え、雪乃ちゃんが委員長じゃないの?」

相模「ごめんなさ~い、クラスの方に顔出してたら遅くなっちゃいました~!」

陽乃「文化祭実行委員長が、クラスに顔出して遅刻ね…」

相模「ぅ……」

陽乃「ふーん……やっぱ委員長はそうでなくちゃね!文化祭を楽しめる者こそ委員長にふさわしいよね~」

相模「あ、ありがとうございます!」

陽乃「で、お願いなんだけど?私も有志団体として出たいんだよね~雪乃ちゃんには渋られちゃって…」

相模「…!いいですよ」ニヤッ

~~~

相模「皆さーん、ちょっといいですか?考えたんですけど、自分達が楽しまないと、人を楽しませられないと言うか…」

相模「クラスのほうも大事なので、仕事のペースを落としましょう」

雪乃「相模さん、これ以上ペースを落とすのは」

陽乃「私のときも、クラスの出し物頑張ってたな~」

相模「雪ノ下さーん、お姉さんと何があったのか知らないけど、私情を挟まないで、みんなの事も考えようよ」ニヤッ

雪乃「…………」

陽乃「いや~本当に良い事言うな委員長……ね?」チラッ

八幡「……アンタの顔から真実を語ってるとは思えないが?」

陽乃「えー本当だよー」

482: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:12:38.81 ID:L0NS8aMe0
~次の日~

葉山「仕事沢山あるようだけど…見た感じ、ほとんど雪ノ下さんが仕事をやってる様に見えるけどな…」

雪乃「そのほうが効率がいいし別に」

葉山「でもそろそろ破綻する」

めぐり「雪ノ下さん、誰かを頼るのも大事な事だよ?はるさんだってこういう時は…」

八幡「………」

雪乃「………一度割り振りを考え直します。お手伝いの件は城廻先輩のご判断もありますし、ありがたくお受け致します」

雪乃「ごめんなさい」

ガララッ

相模「遅れてごめんなさーい!」

雪乃「……相模さん、この書類に決裁印を」

相模「あ、そう。って言うか、ウチの判子を渡すから押しちゃっていいよ」ポンッ

相模「ほら、委任ってやつ?」

実行委員全員「…………」

キーンコーンカーンコーン

相模「楽しいことやってると一日がはや~い!」キャッキャッ

ゆっこ・遥「そうだね!」

相模「それじゃお疲れ様でした~」

八幡「おい待て」ズイッ

483: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:16:51.62 ID:L0NS8aMe0
相模「っ!?え、ちょ、なに…」ビクッ

八幡「………」ギロッ

葉山「ちょ、ちょっとヒキタニ君。少し落ち着こう…な?」

八幡「俺はまだ何も言ってないし、落ち着いている」ギロッ

相模「ぅ…な、なに……?」ビクビク

めぐり「な、なんか凄く怖いオーラが…」

八幡「……委員長。お前は昨日、雪ノ下に『私情を挟まず、皆の事も考えよう』と言ったな?」

相模「それが一体何よ…」

八幡「雪ノ下は膨大な仕事量を一人でこなしていた。誰よりも多い仕事量を。完璧にな」

八幡「だが無理をしていた。心配しためぐり先輩やクラスメイトから『周りにもうちょっと頼れ』と言われた」

八幡「初めは渋ったが後に考えを改め、更に先輩にこう言った…『ごめんなさい』と」

八幡「そこへお前はノコノコと出遅れて現れ、雪ノ下に委任して判子を渡す…気楽に楽しそうに」ギロッ

葉山「ヒキタニくん…ちょっと目が、目が怖いから…落ち着こうな?」

相模「あの…その…」ビクビク

八幡「俺が何が言いたいか分かるな?分からない様なら…お前は委員長失格だ。本当の意味でな」

実行委員全員「」アゼン

相模「」

八幡「以上だ。それじゃあ」

雪乃「………」

相模(な、何アイツ…またウチに突っかかってきて…!)ガクガク

484: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:18:10.81 ID:L0NS8aMe0
八幡(次の日、雪ノ下が体調を崩した為、俺と由比ヶ浜は見舞いに行った)
雪乃「体調のほうは心配しないで、休んでだいぶ楽になったから」

八幡「体調は…か」

結衣「ねえゆきのん…私とヒッキーをもっと頼って!誰かとか皆とかじゃなくて…」

雪乃「……紅茶もって来るわ」

結衣「あ、ちょっと…ゆきのん」

~~

雪乃「由比ヶ浜さん…今すぐは難しいけれど、きっといつかアナタを頼るわ」

結衣「ゆきのん…」

雪乃「でも、もう少し考えたいから…」

八幡「……それじゃ俺たちはこれで」

雪乃「あ……比企谷くん。昨日は随分と余計な事を言ってくれたわね」

八幡「お前にじゃなくて相模に言ったんだが?まあ気に触ったなら悪かったが」

雪乃「いいえ、ありがとう」

雪乃「比企谷くんも…いつか頼らせてもらって良いかしら」

八幡「ああ、勿論だ」

雪乃「また…あした」

485: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:18:59.92 ID:L0NS8aMe0
~文化祭当日~

めぐり「つづいて文化祭実行委員長よりご挨拶です!」

雪乃『比企谷くん、もしもの時は相模さんにまくように指示を出してね』

八幡『了解』

八幡(しかしこうやってインカムで連絡を取り合ってると、前世での無線連絡を思い出すな)

相模「あ…ぅぅ…ぁ…」ガクガク

相模「み」キーーン

アハハハ!!
ガンバー

相模「あ…えと…ぶんかさいじっこういいんちょうの…」ガクガク

八幡(ガチガチだな。努力不足がこういう所でも露呈したりするもんだな)

486: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:19:33.55 ID:L0NS8aMe0
ワイワイ、ガヤガヤ

八幡「賑わってるな」

結衣「本当凄いよね、実行委員も大変そうだし…でもゆきのん元気になってよかった」

八幡「ああ、精神的にも体力的にも元に戻った感じがあるな」

結衣「あ、お昼まだでしょ。はい!ハニトーどうぞ」

八幡「おお…ハニトーは初めてだな」パクッ

結衣「うん、うま~!」モグモグ

八幡「まあまあだな!」

結衣「えー!めっちゃおいしいじゃん!」

八幡「俺は生クリームの部分は食べてないからな」

結衣「えー!チョコレート掛かってるし美味しいってば!」

八幡「マズイとは言ってない。物足りないがな」

487: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 04:21:32.41 ID:L0NS8aMe0
八幡「このままじゃ何か悔しい…よし、今度レストランでハニトーを食いに行くぞ!」

八幡「由比ヶ浜も来るか?」

結衣「へ!?わ、わたし…?」

八幡「ああ」

結衣「……ヒッキーってさ、やっぱり変わったよね」

八幡「なんだ突然。しかもその言葉何回も聞いてるぞ」

結衣「だって前のヒッキーなら私にレストランに行く約束なんて絶対しなかったでしょ?」

八幡(まあ確かに前の俺ならな。無意識に由比ヶ浜を誘ってしまったが)

結衣「内気で卑屈じゃなくなった変わりに…大食いで変な物食べる露出狂のヘンタイになっちゃったけど…」

八幡「おい待て。露出狂って何だ。確かに脱いだら気持ちは良いが、千葉村の時に一時だけ上半身裸になってただけだろ」

結衣「そんなキモさの矛先が変わったヒッキーだけど…」

結衣「今も昔も、私にとってヒッキーは…すk……じゃなくて大事な存在だからね//」

八幡(前の俺も含めて…か)ドキッ

結衣「で、ハニトー食べに行くのいつにする?」

八幡「……少し考えさせてくれ」

492: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 06:06:00.68 ID:L0NS8aMe0
~その後、体育館にて~

八幡「これがお前の姉さんのバンド演奏か…凄いな」

雪乃「ええ流石だわ」

八幡「珍しいなお前が人を褒めるなんて」

雪乃「私はこれでも姉さんを高く評価してるわ、私もああなりたいと思ってるから」

八幡「……そうか」

実行委員「あの…」コソソッ

雪乃「……!何ですって」

八幡「どうした」

雪乃「相模さんが居なくなったみたい」

八幡「……なんだと」

―PW本編回想―

『スネーク大変だ!またザドルノフがいなくなった!』

『またか!あの脱走フェチめ!!』

――――

八幡「はぁ………」

雪乃「比企谷くん…?」

八幡「……なんだか唐突にイヤな過去を思い出した。相模のせいでな」

493: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/03(水) 06:06:59.22 ID:L0NS8aMe0
平塚「困ったな…どこへ行ったんだ相模は」

めぐり「はい…携帯電話も通じません…最悪、代役でどうにか」

雪乃「それは難しいと思います。最後の挨拶や総評はともかく、優秀賞と地域賞の投票結果を知ってるのは相模さんだけです」

葉山「もう一曲追加させてくれないか?俺たちが時間を稼ぐ」

雪乃「感謝するわ」

雪乃「比企谷君、私が更に時間を延ばそうと思うのだけれど」

雪乃「そうすれば、見つけられると思うかしら?」

八幡「時間を換算して約20分…か」

八幡「わかった良いだろう。絶対という保証は無いが…見つけ出してみせる」

雪乃「ありがとう」

八幡「で?どう時間を延ばすんだ」

雪乃「姉さんに頼んで、一緒にバンド演奏させてもらうわ」

雪乃「……それと由比ヶ浜さん、ボーカルとして手伝って貰えないかしら?」

由比ヶ浜「ええ!?その…逆に迷惑かけちゃうかもだけど、そう言ってもらえるの待ってたよ…」

雪乃「比企谷君、よろしくね」

由比ヶ浜「ヒッキー頑張って!!」

八幡「ああ、バンド演奏を見れないのは非常に残念だが……任せろ。そっちも頼んだ!」

504: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 00:58:42.52 ID:oInyZMHg0
八幡「時間が無い。場所を絞って探さないとな」ピッピッ

八幡「こちら八幡。聞こえるか材木座」

『我だ!聞こえているぞ!』

八幡「時間が無い。要点だけ言う」

八幡「お前は一人で居る時、いつもドコにいる」

『なんだ藪からスティックに?』

八幡「時間が無い!!要点だけ答えろ!!」

『わわわ!?ぞう怒るな八幡!!?保健室かベランダ、図書室、それと特別棟の上だ!!』

八幡「了解。それと雪ノ下たちの演奏はしっかり聞いておけ!」

『了解だ八幡!』

八幡「よし……特別棟の上に賭けてみるか!」

505: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 00:59:46.98 ID:oInyZMHg0
~屋上~

ガチャッ

相模「っ!!」

八幡「相模、探したぞ」

相模「………何よ」

八幡「エンディングセレモニーが始まる」

相模「もう始まってるんじゃないの?」

八幡「雪ノ下や三浦が時間を稼いでいる」

相模「じゃあ雪ノ下さんがやればいいじゃん!あの人何でも出来るし!」

八幡「お前の手元には様々な集計結果がある。それを発表するのはお前の役目だ」

相模「じゃあ!!集計結果だけ持っていって雪ノ下さんがやればいいでしょ!!」

八幡「それは出来ない」

相模「出来ないって何よ!?ただ持ってて渡せばいいだけでしょ!!」

八幡「それをしたら雪ノ下のやってきた事を否定する事になる」

相模「っ!?」

506: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:01:43.61 ID:oInyZMHg0
八幡「アイツにはアイツの役目があった。ならばお前もそれに答えなければならない」

相模「そ、そんなの知らないし…だってウチ、なんかどうせ…!」

ガチャッ

八幡「!!」

相模「あっ……葉山君……」

葉山「連絡取れなくて心配したよ。早く戻ろう、みんな待ってるから…ね?」ニコッ

遥「そうだよ!心配してるから!」

ゆっこ「大丈夫だよ!戻ろ!」

八幡「アイツは奉仕部としてお前の依頼を受け、その任務を全うしてきた」

相模「でも…いまさらウチが戻っても…みんなに迷惑かけたし…」

遥「そんな事無いよ!」

ゆっこ「みんな待ってるんだから!」

相模「けど…合わせる顔が…」

葉山「大丈夫だよ。相模さんの為に、みんな頑張ってるからさ」

八幡「……」

相模「でも…ウチ、最低だし…戻れない」

八幡「ああ、全く最低だな」

全員「!?」

八幡「さっきも言ったが、お前は雪ノ下の気持ちを完全に踏みにじってる」

507: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:02:44.12 ID:oInyZMHg0
八幡「アイツが…雪ノ下がどんな気持ちであの依頼を受け取ったか…まあ、それにはそれなりの理由があるんだろう」

八幡「だが何しても、今日までお前をサポートしてきた」

葉山「奉仕部に依頼…そうか。相模さんもあの部に相談を」

相模「あ…う、うん。ごめん黙ってて…」シュンッ

葉山「大丈夫だよ相模さん。責任大きいし大変だもんね。相談したくもなるよ」

葉山「実は俺も以前相談した事があってさ」

相模「そ、そうなんだ…」ホッ

八幡「もっとも相模へのサポートの実態は、手助けというより完全なる委託だったがな」

葉山「……」

八幡「お前の無能さをカバーすると言う意味のな」

相模「なっ……」

八幡「相模、俺はこれまで色んな人間を見てきた。そして色んな汚い部分も見てきたが…」

八幡「お前はその中でも最悪に近い部類に入るだろうな」

相模「……っ!!」

葉山「おい待て」

508: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:05:07.45 ID:oInyZMHg0
八幡「どんな悪人でも大抵は何かに筋を通すことはある」

八幡「自らの目標の為に努力を惜しまない事だ」

八幡「だがお前はどうだ?他人に責任を押し付けておいて、その責任を完璧に全うすると途端に嫉妬する」

八幡「そして都合よく転がり込んできた要件には話を上手く合わせ、雪ノ下というサポート役の揚げ足をとる」

八幡「だがそれでも責任だけは押し付けたまま、自分の権力を保持する」

八幡「結果、努力不足と覚悟の無さが、今朝の失態にも繋がり」

八幡「お前は今逃げ出している」

八幡「……俺は忠告したハズだ。『雪ノ下を利用するつもりだろうが、かえって仇となる』とな」

八幡「皆それぞれの立場で文化祭を成功させるために、努力を惜しまなかった。だがお前は違う」

八幡「お前は結局の所、ただ偉い立場になって周りからチヤホヤされ、誰かを見下したかった…努力もせずにな」

八幡「だからノリで委員長という肩書きを安易に選んだんだ。つまらないプライドを保持するために」

八幡「それがお前の成長の正体だ」

八幡「愚かなだな。そして醜い。とても17には見えないな」

相模「ぅ…ぁぁ……」ガクガク

葉山「おい!!」

八幡「恥を知れ相模」

八幡「そんな中身の無いリーダーに、憧れや信頼を寄せる人間がいる訳無いだろう…!!」

509: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:06:00.40 ID:oInyZMHg0
葉山「いい加減にしろ比企谷!!!」ブンッ

相模「ぅぅ…ぁぅぅ…」ポロポロ

八幡「遅い」パシッ

葉山「クッ…」ググッ

八幡「その程度の力では俺を抑えることなんて出来ないぞ、サッカー部のエース葉山」

葉山「比企谷…お前は言い過ぎだ!!」

八幡「やっと俺の名前を覚えてくれたか。だがこんな形で呼ばれるのは残念だ」

葉山「残念なのはこっちの台詞だ」

八幡「相模への話はまだ終わってない。離せ!」バッ

葉山「くっ!!おいこれ以上は…!!」

510: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:06:48.75 ID:oInyZMHg0
相模「な、何よ…ぅぅ…」グスッ

八幡「少しは自分の愚かさを思い知ったか?」

相模「言われなくても…ぅ…わ、わかっ……」

八幡「自覚し切れてない部分も沢山あったハズだ。現にお前は衝撃を受けた表情で泣いてるじゃないか」

相模「ぅぅ…う……っさい…」

八幡「お前はこれからどうする?逃げ続けるか、戻って責務を全うするか」

葉山「おい、俺たちは相模さんを戻しに来たんだ!もうこれ以上きつい事言わなくても!」

葉山「さ、戻ろう?大丈夫だよ」

遥・ゆっこ「一緒にいこう!」

相模「で、でもウチなんかが戻って…」

八幡「……やはりこの期に及んで駄々こねたか」

相模「え?」

八幡「相模南」

チャキッ

全員「!!!?」

八幡「おまえの気持ちはわかった。今、楽にしてやる」カチャッ

葉山「な…なんで拳銃なんか持ってるんだ!?」

511: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:07:42.28 ID:oInyZMHg0
八幡「さあ、自分を悔いろ」

相模「い、いや……」ガクガク

八幡「……」

相模「いやぁぁぁぁ!!!」

葉山「やめろ!!」
カチッ
相模「……え?」

全員「……?」

八幡「中身は空砲。そしてこれはモデルガンだ」

八幡「あの花火大会で射的の景品で手に入れたものだ」

相模「あ、あの時の…?」

八幡「そうだ。文化祭は外部の人間も来客してくる。万が一悪人が来たときに備え脅しように持っていた」

葉山「び、びっくりした…悪ふざけがすぎるぞ」

512: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:08:44.03 ID:oInyZMHg0
八幡「ただの高校生が本物の拳銃なんて所持してる訳無いだろう」

八幡「それと俺はふざけてなんかいない」

八幡「相模、もしもあのモデルガンが本物で、実弾が入っていたらお前はどうなっていた?」

相模「そ、それは…死んでるに決まって…」

八幡「そうだ……つまりだ」

八幡「お前はここで死んだ。わかるな」

相模「……?」

八幡「今この瞬間から、お前は新しい人間になった」

八幡「さっきまでの、ろくでなしのお前はもういない」

八幡「その新しい命で、俺たちと共に最後まで使命を果たそう」ススッ

相模「ぁ……」

葉山(あの比企谷が相模さんに手を差し伸べた……)

513: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:09:16.65 ID:oInyZMHg0
八幡「相模委員長。自らの役割に忠を尽くし、俺たちを導いてくれ」

八幡「文化祭を終焉へと導くのはお前しかいない。お前にしか出来ない」

八幡「そしてリーダーとして、そのデカさを見せてみろ!」
相模「」

八幡「さあ、導いてくれ」

相模「……は、はい」ギュッ

514: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:10:10.65 ID:oInyZMHg0
~エンディングセレモニー~

相模「今年の文化祭は、過去に例を見ない盛り上がりの中で……」

遥「すごい落ち着いて話せてる…」

ゆっこ「ね。あれだけの事があったのに」

八幡「まああれでカンペでなく、アドリブなら完璧だがな」

葉山「せめて台本って言ってあげようよ」コツコツ

八幡「おう葉山か」

葉山「さっきはすまなかった」

八幡「別にいい。あの反応ができるだけお前は人間できてる証拠だ」

葉山「それはどうだろうか…」

八幡「お前も探してくれてありがとな。ライブ終わった直後で大変だったろうに」

葉山「大丈夫だよ。まあ結衣と雪ノ下さん達の演奏を見れなかったのは残念だけど」

八幡「同感だ」

515: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:10:58.46 ID:oInyZMHg0
~文化祭終了後~

陽乃「ひゃっはろー!比企谷君の噂聞いちゃったよ~」

陽乃「キミの英雄っぷり、凄かったね~!」

八幡「俺は説得しに言っただけですよ」

陽乃「またまた~そんな謙虚に言わなくても~」

陽乃「私好きだな~雪乃ちゃんに勿体無いかもね~!」

陽乃「ね~静香ちゃん?ばいばい~」

平塚「ご苦労だったな」

八幡「大した事はしてない」

平塚「良くやった。今回も男を見せてくれたな」

平塚「だがモデルガンの所持だけは見逃せないな」

八幡「……ま、そうなりますね」

八幡「でも丁度良いです」

平塚「どういう意味だ?」

八幡「このモデルガン…いや、銃は…もう俺には必要ないです」

八幡「前から悩んでいた。捨て切れなかった…こんな玩具ですら。でもようやく覚悟が出来た」

八幡「断ち切れましたから。この銃は平塚先生に預けます」ススッ

平塚「……?」パシッ

516: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:11:36.42 ID:oInyZMHg0
相模「あの…」

八幡「む、ああ委員長か。ご苦労だった」

相模「……」

八幡「さっきは葉山の言うとおり、少し言い過ぎたなかもな」

相模「ううん、その…事実だし」

相模「改めて、間違ってた事にも気づけたから良いよ」

八幡「そうか」

相模「それと今まで遠まわしに馬鹿にして来てゴメン」

八幡「そこまで自覚できたのなら、おまえはもう成長してる」

相模「……」ドキッ

八幡「本当の過ちって言う物は、言われてもなかなか自覚できないもんだ」

八幡「今回の実行委員の活動は、お前の成長を促す物はわずかばかりだが、成長のキッカケにはなったはずだ」

八幡「お前は最後の最後で役目をキッチリ果たした。勇気を振り絞ってな」

相模「……」ドキドキ

八幡「それじゃあ委員長。またな」

相模「う、うん。またね」ドキドキ

相模「……」ポーッ

517: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:12:12.46 ID:oInyZMHg0
~部室~

八幡「お、雪ノ下」ガララッ

雪乃「あら。さっきはお疲れ様」

八幡「ああ、そっちも。で、何を書いてる」

雪乃「進路希望票よ。忙しくて書く暇が無くてね。アナタは何をしに?」

八幡「報告書をまとめに来た…それと、俺も進路希望調査票を書きに来た」

八幡「それと職業希望調査票も」

雪乃「あなた、私よりも時間あったのに何も終わってないのね」

八幡「悩んでいただけだ。将来のことについてな」

雪乃「まだ専業主夫の件、諦め切れてないのかしら?」

八幡「いや。そっちの方はもう諦めてる」

雪乃「そう」

八幡「俺は…自分が成すべき未来を決めた」

雪乃「へぇ、それで?アナタは何になりたいのかしら」

八幡「俺は……」

八幡「―――――」

518: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:13:51.51 ID:oInyZMHg0
雪乃「……ねぇ、それって職業としていえるのかしら」

八幡「どうとらえるかは人それぞれだ」

雪乃「そもそも曖昧じゃない。それって」

雪乃「少しは更正したかと思ったら、やっぱり頭の中のネジが飛んでるわね」

八幡「まだおれは高校生だ。自分が決めた道を…どう切り開いていくか」

八幡「それはこれから決めていくことだ」

雪乃「要するにまだ、ちゃんと決まってないって意味じゃない」

雪乃「そんな事ではまた平塚先生に呼ばれるわよ?」

八幡「その時はその時だ。それより雪ノ下」

雪乃「なに?」

八幡「……俺と友達n」

雪乃「ごめんなさい。それは無理」

八幡「……はぁ」

雪乃「前にも言ったでしょ?アナタと友達に成る事なんて有り得ない」

八幡「そうか…残念だ」

雪乃「虚言は吐かないもの」

八幡「殊勝な事だ。でも嘘を付いても良いんだぞ?」

雪乃「嘘ではないわ。だってアナタの事なんて知らなかったもの」

雪乃「でも、今はアナタを知っている」

八幡「……っ。そうか」

519: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:14:43.28 ID:oInyZMHg0
雪乃「た…ただ、思うのだけれど。友達という関係性だけにこだわる必要は無いと思うわ」

八幡「どういう意味だ?」

雪乃「そ、それは…」

八幡「それは?」

雪乃「……………」

雪乃「し、知らない」

八幡「何だ。気になるじゃないか」

雪乃「だ、だから知らないわ」

ガララッ

結衣「やっはろー!!」

雪乃「お疲れさま由比ヶ浜さん」

八幡「お疲れ。本当にタイミング良い時に現れるな由比ヶ浜は」

520: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:16:12.77 ID:oInyZMHg0
~後日~

平塚「何で呼ばれたか、わかるな?」

八幡「やっぱりアレじゃダメですか」

平塚「当たり前だ。進路希望に大学を選ぶのは結構だが」

平塚「将来の職業志望が……『ヒーロー』ってのは何なんだ?」

八幡「そのままの意味です」

八幡「思えばわかり切っていた事だ。何も戦場で戦うだけが戦士ではない」

八幡「銃を握り戦地へ赴かなくとも人は常に、己の弱さという敵と闘っている」

八幡「夏休みの林間学校でも、そして文化祭でも……みんなそれぞれの立場で闘ってきた」

八幡「人生とは闘争だ。自分のあり方を証明するための」

八幡「俺は…そんな人々を支えて守るヒーローになりたい」

平塚「考えは立派だ。私もヒーローは大好きだしな。だがお金を稼ぐ手段になってない」

八幡「その具体的な手段はこれから決める」

平塚「……はぁ、わかった。とりあえず体裁だけでも整えて、具体的な職種を書きたまえ」

八幡「うーむ……」

平塚「ヒーローになりたいなら、いくらでも選択肢はある」

平塚「例えば…戦隊物の『俳優』、アニメやゲームの『声優』」

八幡「俳優に声優…」

平塚「まあ堅実的にいうなら『警察官』とかな」

八幡「なるほど。体裁だけとは言わずに、それらを前向きに考えてみようと思います」

521: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:16:44.10 ID:oInyZMHg0
平塚「さて…私も今日は部室に顔を出すかな」

八幡「丁度良かった」

平塚「何か依頼でもあったか?」

八幡「いや…毎日読書ばかりで飽きてきてな。部室で今、CQCの特訓を行っている」

平塚「あの部室で?」

八幡「マットも運動部から借りてる。ケガの心配は無い」

八幡「良かったら先生もどうですか?」

平塚「ふん、あらゆる格闘技を極めているこの私に挑戦を挑むか」

平塚「良いだろう!」

522: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:18:06.87 ID:oInyZMHg0
~部室~

ガララッ

結衣「あ、ヒッキーお帰り!それに先生も!」

雪乃「こ…こんにちは先生…」ゼェゼェ

八幡「どうした雪ノ下。さっきまでは初心者とは思えない天才的な動きしてたじゃないか」

雪乃「体力に自信が無いって…前に…言ったじゃない…」ゼェゼェ

結衣「てや!」ブンッ

雪乃「しまっ…た…」ドサッ

結衣「やったー!やっとゆきのんから一本とった!」

平塚「これじゃ文化部というより、運動部だな」

523: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:18:39.14 ID:oInyZMHg0
八幡「毎日読書ばかりというのも何だし、たまにはいいじゃないですか」

八幡(ま、確かに文化部としてのあり方が色々と間違ってるけどな)

コンコン

全員「?」

生徒「失礼しまーす」

八幡「こんなときに…依頼者か」

生徒「は、はい」

雪乃「こ、こんなときに…ゼェゼェ、間が悪いわね…」

結衣「よーし!マット片付けて、お茶を用意しよう!ほらゆきのん立って!」

八幡「よし…それじゃ」

八幡「お前の悩みを聞かせてくれ」

八幡(俺の一風変わった、平凡な高校生活はまだまだ続く)
【おわり】

524: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:19:12.72 ID:oInyZMHg0
エピローグ投下します。大体10レスくらい
蛇足気味かもしれないけど読んでくれると幸いです

525: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:20:25.91 ID:oInyZMHg0
【エピローグ】

~数日後・部室~

平塚「そういえばお前とのCQC対決はまだしてなかったな」

八幡「そうですね。丁度マットもありますし一戦交えましょうか」

結衣「ヒッキーも先生も頑張れー!」

雪乃「用意はできたわ」

~~~

平塚「ぜぇぜぇ…やるな」

八幡「ぜぇぜぇ……」

八幡(おかしい。いくら平塚先生が格闘技が得意だからと言ってもCQCは初心者なはず)

八幡(これじゃ、達人レベルと変わらないじゃないか)

平塚「ふふ…なんか不思議だな」

八幡「え?」

平塚「前にもこうやって、お前と闘ったことがある気がする」

八幡「先生……?」

平塚「突然だがな…時々、変な夢を見る」

平塚「どことなくお前と似た男と…花畑で闘いあってる夢をだな」

八幡「!!!?」

結衣「へ~なんだろそれって」

雪乃「花畑で喧嘩…昔の恋人との思い出ですか?」

平塚「いやそんなロマンチックな思い出は無いはずなんだが…」

平塚「すまんな変な話をして、忘れてくれ」

八幡「……」

平塚「比企谷?」

八幡「ぅぅ…くっ……」ボロボロ

全員「!!?」

平塚「おいどうした比企谷!?」

八幡「やっぱり先生は…アンタは、俺の師だったんだ」

平塚「……?何を今更、お前は私の生徒だろ」

八幡「ああ…そうだ、そうだった」グスグス

全員「…??」

526: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:21:41.92 ID:oInyZMHg0
~後日~

材木座「八幡!!!また頼みがある!!」

結衣「厨二!もうちょっと静かに入ってきてよ!」

雪乃「また小説の依頼かしら?」

八幡「お前も本当に懲りないな」

材木座「今回は小説とは違う!ズバリ楽器の弾き方を教えて欲しいのだ!」

八幡「楽器?」

材木座「文化祭で、そこの奉仕部員二人の演奏を聞いて以来…我もバンドを組みたくなった!!」

材木座「ギターは既に購入済みだぞ!」

八幡「やるのは良いけどメンバーはどうした。まさか俺を誘うんじゃ」

材木座「チッチッチッ!八幡よ甘い!リア充になったのは自分だけだと思うな!!」

八幡「まさか…メンバーをそろえたのか!?」

結衣「えー!?厨二が!?」

雪乃「可哀そうね、そのメンバー。いえ、組む相手を間違ってると言うべきかしら?」

八幡「一体どんなメンツなんだ」

材木座「メンバーは我を含め、男子1人に女子1人の3人だ!違うクラスだが軽音部を通して知り合ったぞ!」

雪乃「例え同じ部でもアナタと組む位だし、相当の奇特な人たちなのね」

材木座「むむ…個性豊かと問われれば否定は出来ぬな」

527: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:23:23.92 ID:oInyZMHg0
材木座「それと…オリジナルソングも作ったぞ!」

八幡「おいおい楽器覚える前から…順序がおかしいぞ」

材木座「まだ歌詞しか作ってないがな!」

八幡「で、曲名は?」

材木座「『恋の抑止力』…感情を素直に表現できない女の子のラブソングである!!」

結衣「見せて見せて…へぇ~厨二にしては良い歌詞書くじゃん!」

雪乃「まああの小説よりかはマシかもね」

八幡「」

結衣「あれ?ヒッキーどうしたの」

八幡「お…お前…カズ…なのか…?」

材木座「」ピキーン

材木座「ボ、ボス…?」

八幡「カ、カズ!!!」

材木座「あ、あれれ…?我は今、なぜ八幡をボスなどと…」

八幡「……」ボロボロ

結衣「え、ちょっヒッキーまた泣いてる!?」

八幡「そうか。お前がいつも言っていた前世からの繋がりって…本当だったんだ…」

材木座「っ!?は、ははは!!そうだ!当たり前ではないか八幡!!!」

結衣「ねぇ、ヒッキーにやっぱり病院勧めた方が良いんじゃ」ヒソヒソ

雪乃「事故の後遺症がこんなにも残酷な結果で出るなんて」ヒソヒソ

八幡「おい…お前ら聞こえてるぞ。俺は…ぅぅ…正常だ」ボロボロ

結衣・雪乃(泣きながら反論してるけど説得力が無い…)

528: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:25:23.77 ID:oInyZMHg0
~数日後~

「奉仕部はココでいいのかね?」ガララッ

雪乃「ええそうよ」

「む、それは紅茶…すまないが私にも用意してくれないか?」

雪乃「はいどうぞ」

「う~ん…なかなかの美味!!しかもこんな美人に紅茶を注がれるとは、今日は良い日だ」

結衣「なんかすごい紳士的な人だね~」

雪乃「ナンパはお断りよ。要件を言って頂戴」

「ふむ…美しいバラにはトゲがつき物だ。さて、わたしの要件だが」

ガララ

八幡「うす」

結衣「あ、ヒッキー!」

雪乃「その手に握られてるのはマックスコーヒーかしら?」

八幡「ああ。お前らの分も買ってきた…って紅茶を用意してたのか。すまんな」

「……」プルプル

八幡「ん?そこに居るのは依頼人か。ならもう一缶買って…」

「ふざけるな!!!!!」ドンッ

全員「!!!?」

「コーヒーだと!?そんな泥水飲めるか!!!」ガタッ

結衣「え?え?な、なに!?」

八幡「……おい、今のは聞き捨てならないな。マックスコーヒーが泥水だと!?」

八幡「マックスコーヒーこそ至高の飲み物だ!」

「馬鹿をいえ!!そんな下品な飲み物のドコが良いんだ!!!」

雪乃「下らない事で喧嘩するのは止してくれないかしら?」

「……す、すまん。ついカッとなって」

八幡「俺も悪かった。で?アンタは何をしに来た」

529: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:28:08.33 ID:oInyZMHg0
「私はUMA研究会の部長だ」

全員「UMA研究会?」

「そうだ。来年の春休みを利用して、沖縄へ伝説のツチノコを探す旅に出ようと思う」

「部員は私を含めて3人だが、協力者を補充したかった」

雪乃「だから私達奉仕部がそのお手伝いをしてほしいと」

「そうだ。頼む」

雪乃「私は構わないわ。皆はどうかしら?」

結衣「なんか面白そう!いこいこ!」

八幡「……UMA研究会…紅茶好きでコーヒー嫌い…」

八幡「………」

雪乃「比企谷君…?アナタは…」

八幡「……ああ」ボロボロ

結衣「え、ちょヒッキー!?」

雪乃「ま、また?」

「どうした一体。目にゴミでも入ったのか?」

八幡「なあアンタ、007とか好きだろ?」ボロボロ

「ん?良くわかったな!!さてはキミもファンか?」

八幡「いや好きじゃない」

「なに!!!?」

八幡「まあ待て。それより話を聞いてくれ。アンタ…俺と友達に成らないか?」

「なんだ突然…まあ良いが」

八幡「感謝する」

「……キミは不思議な男だ。初めて会った気がしないな」

530: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:30:59.43 ID:oInyZMHg0
八幡「奇遇だな俺もだよ、ゼロ」

「ゼ、ゼロ?」

八幡「ああそうだ。たったいま俺が付けた、アンタのあだ名さ」

ゼロ「ふむ…これも不思議だ。以前もそんな風に呼ばれていた気がする」

八幡「それと友達になるに置いて、約束をしてほしいんだ」

八幡「俺とアンタの間に隠し事は無しだ。それと互いを利用するようなことはしないでほしい」

雪乃「比企谷くん……?」

結衣「ヒッキー…今日会ったばかりの人にその言い方は無いと思う」

ゼロ「わかった。約束しよう」

雪乃・結衣「え!?」

ゼロ「キミの忠告…なぜか理屈抜きに心に染みたよ。まるでその言葉を前から聞きたかったかのように」

八幡「よろしくなゼロ」

ゼロ「ああヨロシク。所でお近づきのしるしにコーヒーなんて飲むのをやめて、紅茶を飲まないか?」

八幡「いやだ」

ゼロ「何だと!!!?」

結衣「ちょっと二人とも落ち着いて!!」

雪乃「比企谷君の友達にはろくなのがいないわね」
八幡(翌年、俺たちがUMA研究会とツチノコ探しに出かけたのは別の話)

531: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:31:52.11 ID:oInyZMHg0
~翌年・千葉村~

八幡(3年生になった俺たちは、再び千葉村でのボランティア作業の参加する事になった)

平塚「そうだ。実は今回も奉仕部以外にボランティア参加者がいる」

雪乃「葉山君たちですか?」

平塚「そいつらも来るが…驚け、外国人もくる」

雪乃「外国人?」

平塚「姉妹校つながりでな。協力を促してみたら日本に来る事になった」

結衣「へ~外人さんか。なんか緊張するな~」

平塚「お、来た来た」

雪乃「あの3人組みですか?」

平塚「そうだ」

黒髪「コンニチワ」

結衣「わぁ~ゆきのんにそっくり~!!」

桃髪「ヤッへロ~!!」

雪乃「あのピンクの子は由比ヶ浜さんにそっくりね」

雪乃・結衣「でもそれよりも…」チラッ
八幡「………」

?「………」
雪乃「あれはもう気持ちが悪いくらい似てるわね。瞳の色以外は」

結衣「確かに…まるで双子みたい」

532: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:33:24.08 ID:oInyZMHg0
八幡「おれは八幡だ」

デイビット「おれはデイビットだ」

八幡「………」

デイビット「………」

八幡「えと…」

デイビット「あんたも生まれ変わったんだな」

八幡「っ!!俺がわかるのか?」

デイビット「一目見てわかった。それもボスの方だな?」

八幡「………」

デイビット「元気にやってるか?」

八幡「1年位前まではボッチだったが…今は楽しくやってる」

デイビット「奇遇だな。俺も最初の17年間はアラスカでの隠居生活を思いださせる物だった」

デイビット「だが今は楽しくやってる。オタコンとも再会したしな」

八幡「そうか。無事に蛇でなく人として生きる事が出来たか」

雪乃・結衣(話に全く付いていけない…)

533: ◆ExcbJR30iQ 2014/09/06(土) 01:35:22.47 ID:oInyZMHg0
平塚「なんだ二人は知り合いか?」

八幡「ん?まあ遠い昔の」

デイビット「ああ。かなり昔の」

雪乃「また涙を流すパターンかと思ったけれど、今回は無さそうね」

結衣「最近のヒッキー涙もろいし、いきなり電波さんになるし心配だったけどホッとしたよ」

八幡「だから俺は正常だ。心配するな」

デイビット「ビッグボs…いや八幡。その感動の再会の涙とかはいらないが…」

デイビット「握手をさせてくれないか?」ススッ

八幡「握手…そういえばあの時、俺は体が限界で握手出来なかったな」ススッ

デイビット「改めてヨロシク、八幡」ギュッ

八幡「よろしくな、デイビット」ギュッ
【エピローグおわり】

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