【デスノート・クロスSS】月「こっちに住むって?」うまる「うん」【うまるちゃん】

1 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:41:11.351 ID:8bXpeW+YM.net
僕の名前は夜神月。これでも高校時代の全国模試では一位の常連だったのだ。

さて、僕が都内の名門「東応大学」への進学を機に一人暮らしを始めて半年が経つ。

高校生の頃よりも時間が出来た分、より退屈な日々を送るようになった。戯れにアルバイトをしてみたりもしたが、上司でさえ馬鹿ばかりで嫌になり、すぐにやめてしまった。学費はアフィリエイトで稼いでいる。

今はもっぱら大学の研究室にこもり、何か大きなことでも起こして名前を残すことが出来れば良いかなと漠然と考えながら実験を繰り返している。

その日も、いつもと変わらなかった。夕方、自宅のワンルームで母の幸子からの電話を取るまでは。

幸子「そちらに住めれば良いかなって、ね」

月「住むって、母さんが?なんてね、はは。そうか、粧裕の高校受験が近いからね。こちらで…」

幸子「うまるよ」
2 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:42:02.176 ID:8bXpeW+YM.net
月「―――――!?」

月(何を…言っているんだ?)

月「どこに、だい?」

幸子「あらやだ、私が埋まるわけじゃないのよ」

月「ふんっ」

幸子「今まで黙っていたけど、あなたにはもう一人妹がいるの。今年高校一年生のうまるよ。

月(何だそのふざけた名前は…!いや、僕という前例があるのか)

月「驚きだよ、全く知らなかった」

幸子「うまるは、生まれてすぐ、遠縁の土間さんの家に預けられたの。少し体が悪くてね。田舎のほうが空気が良いから…。私とお父さんはちょくちょく会っていたんだけど、月と粧裕にはちょっとショッキングかなってね。だから黙っていたの。ごめんなさい」
3 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:42:19.949 ID:8bXpeW+YM.net
月「………別にいいよ、母さん。うまる?だっけ。その子ももう高校生なら、そろそろ元の家族の近くに来るのも悪くない」

幸子「もう体には異常は無いっていうのもあってね。土間さんと別れるのはちょっぴりつらいけど、都会にも来たいな、だって」

月「ははは、年ごろの女の子らしいや。でも何で僕の部屋なんだい。狭いしさ」

幸子「より街中にあるから、かしら」

月「…へぇ。まぁ。もっともな理由か。それで、いつ来るんだい?」

幸子「今はとりあえず家にいるけど…あれ?うまる!うまる!どこ!?」ガチャ

月「母さん、どうしたんだ!」

???「お兄ちゃん!」

月「はうあっ!」バッ

???「お母さんから話は聞いたの?」

月「と、なると―――」

うまる「土間うまる…もとい夜神うまるです!よろしくね、お兄ちゃん」ニッコリ
4 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:42:46.190 ID:8bXpeW+YM.net
月「初めまして、月だよ。月と書いてライトと読ませるんだ、変わってるだろう?ははは」

月「しかし君…僕は鍵をしていたのに」

うまる「ああ、窓が開いていたから…ごめんね」

月(窓…この小さい窓から、か?いや、小柄な女の子だ、入れないこともないのだろうか………)

月「次からは遠慮してほしいね。周りの目もあることだし。えっと、確かここに…あった。ほら、合鍵をどうぞ」

うまる「ありがとー!」

月「僕は母さんに事情を説明するよ」

……………

幸子「そう、勝手に出てきちゃったのね。まぁ、無事で何よりだわ」

月「しっかりした子だよ。生活必需品はリュックに入れてあらかた持ってきてたみたいだ。とりあえず今日からはこちらに住むってことで良いんだよね」

幸子「ええ。ごめんね、ばたばたさせちゃって。じゃ」

月「気にしてないよ。じゃあね」
5 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:42:58.792 ID:8bXpeW+YM.net
うまる「あははは!」

月「テレビを見てるのか、うまる」

うまる「この芸人さん面白いの。ボンバー相沢」

月(馬鹿馬鹿しい…バラエティー番組なんて低レベルだから自分一人では見たことなんてないな)

月「高校の編入は済ませたんだろう?ここからなら…荒矢田か。明日から登校するのかい?」

うまる「もう、黙っててよお兄ちゃん、テレビ聞こえない」

月(コミュニケーション能力なし、適応力大あり、と…)

月「おっと、ごめんよ、じゃあ終わったら話すかい」

うまる「だめ。ジャンプー読むから」

月「トイレは入口近く。お風呂はその隣だよ。じゃ、僕は勉強するから」

僕はヘッドフォンを耳につけ、クラシックを流した。テレビのこの大音量の中では、いくら集中力があっても意味がない。
7 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:43:14.890 ID:8bXpeW+YM.net
それから更に一ヶ月が過ぎた。僕の部屋には、どこから湧いたのか、日に日に物が増えていった。僕の世界は少しずつ浸食されていった。

三週間ほど前から研究室にこもることはなくなっていた。『あいつを放っておくと』何が起こるかわからないからである。

今日は講義が午前中のみだった。そんな訳で今は、コンビニで適当に買った本を、ワンルームの真ん中で開いている。研究室にいると予定以上の時間を食うことになる恐れがある。退屈ではあるが、仕方ない。

月(そろそろか…)チラッ時計

ダダダダダダ

月(さあ…どうくる!?)

うまる「うまる、きかーーーーん!!」

月(…早く何とかしないと)

うまるの本性は―――少しずつでもなく、あの初めて会ったその翌日に露わになった。
9 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:43:50.136 ID:8bXpeW+YM.net
うまるはどうやら成績優秀で運動神経も抜群、見た目も一般的に見て整っていると思われる。さすがは僕の妹だ。

しかし、部屋に戻るとどうだ。アニメを見たりゲームを見たり、そればかり。身の回りのことは何一つせず、堕落した生活を送っている。
遅くまで起きているから僕は寝不足になるし、おまけにフィギュアや漫画、ゲームを買いまくり。電気代も僕一人の時の2.4倍になってしまった。

うまるが来てから仕送りを受けることにはなったが…足りない!!

僕は遅まきながらうまるの改造を行うことを決意した。

両親のところに返してしまうのが一番容易で手っ取り早い方法だろう。だがそれでは何だか僕が負けを認めたような気分だ。

確かに二人での生活なのだ。僕の入居した当初と全く同じとはいかないだろう。だが僕の住みやすい…新たな空間を作ることは可能なはずである。いや、絶対にやるんだ。僕にしかできない。

僕は新世界の神(責任者)になる!!

月「うまる、いい加減にしろよ」

うまる「お兄ちゃんこそいい加減にしてよ!ジャンプー買ってないじゃん!」

月「自分で買うって言ったじゃないか!」

うまる「えーーー、めんどくさいー」

うまる「買ってきてー!買ってきてよー!」
10 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:44:05.562 ID:8bXpeW+YM.net
月「あのな、うまる。お前良いのか?こんなんじゃ友達も呼べないぞ。そうだ、好きな子とかはいないのか?嫌われちゃうぞ」

うまる「お兄ちゃんデリカシーないの?」

月「ごめん…」

月「でも不意に友達が来るなんてことはないのか?隣のアパートの一階にクラスの子が住んでるって言っていたじゃないか」

うまる「海老名ちゃんとは学校で話すから」

月(くそ…まるで話が噛み合わない!)

うまる「あ、そろそろまとめブログ見る時間だ」

月「お前いっつもそれ見てるんだな」

うまる「そだよー」

月(計画通り…)

実は三日前、そのサイトの管理人に頼んで僕のサイトと相互リンクをしてもらった。おまけに僕のサイトからRSSを飛ばし、うまるの気になりそうな情報をタイトルにして発信している。

僕は何もせずこの一ヶ月を過ごしていた訳ではない。さりげなくうまるの趣味嗜好を観察、把握し、64ページにも及ぶ資料を作成してあるのだ。

うまるはこう見えて流されやすい性格だ。僕のサイトの読者になったところで真人間に近づくためのヒントを少しずつページ内に仕込ませればいい。

ブログの記事の投稿時間は操ることができる。綿密に組まれたスケジュールの通り、記事が発信される!

月(さよなら うまる…)
11 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:44:20.743 ID:8bXpeW+YM.net
更に一ヶ月後。

月「あれ?うまる、最近まとめブログを見ていないようだな」

うまる「今は動画サイトの時代だよ、お兄ちゃん」ブンブンハローユーチューブ

月「じゃあいつも見てたサイトに貼ってあったリンクも…」

うまる「綺羅綺羅速報とか?見てないよ。何で?」

月(くそっ やられた)

月(うまるが流されやすい性格であるというのは他でもない、僕が把握していた情報だ!!)

月(方法を変えるしかない…一体どうすれば…!)

三日後。

うまる「ぅおーーーにーーーちゃーーーん!!」

月「何だい、うまる」

うまる「ゲームやろ!ゲーム!」

月(思い通り!)

月(うまるはゲーマーだ。僕との対決に負けた罰として命令を聞いてもらおう。ゲーマーとしてペナルティを受けないのはプライドが許さないはずだ)
12 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:44:33.579 ID:8bXpeW+YM.net
月「なあうまる、普通にやっても面白くないし、何か条件を付けないか?」

うまる「条件ー?」

月「そうだ。勝ったほうが負けたほうに何でも一つ命令ができる…というのはどうだ」

うまる「おー、良いですなー。お兄ちゃんわかってるぅ~」

そして。

うまる「あああああああああああ!お兄ちゃん強い!」

月「ははは、ゲームなんて初めてやったよ」

月(実際にはうまるの好きそうなゲームをこの二日、うまるの見ていない間にこっそり練習していたのだが)

月(凡人なら丸二日練習したところでうまるには敵わないだろう。しかし僕である。ゲームのシステムは始めて一時間で理解した。残りは指の動きを頭の回転に追いつかせる練習をするのみだった)

月「じゃ、うまる。約束通り…」

うまる「え?してないよ、約束なんて」

月「何!?」
13 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:44:50.157 ID:8bXpeW+YM.net
うまる「もー、お兄ちゃんったらー。契約は書類に起こすのが基本ですぞー」

月(言ってもわからぬ馬鹿ばかり…)

月「じゃあ今から契約書を交わせ!」

うまる「何かお兄ちゃん、おかしいよ?」

月「くっ…」

月(このまま怪しまれるよりも別の方法を考えたほうが懸命だろう)

うまる「だ…大丈夫?」

月「大丈夫だよ、うまる…」

その夜。

月「おい、遅くまで電話してるんじゃない!」

うまる「あ、ごめんね、もう切るよ」

月(お、素直だな…)

月(しかし駄目だ、普段は自堕落な生活のままだからな)

月(今日だって)

月(昨日だって)
14 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:45:07.153 ID:8bXpeW+YM.net
窓から校庭を見ていた。

日本最高峰の大学と言っても端々はこんなところか。

高校生の頃、授業時間が余ると余計な話をする教師が二人か三人、いた気がする。

余らなくても、授業の合間合間で無駄話を繰り広げる者はいた。なんと効率の悪いこと。それが、まあ程度は違えど、無駄話のレベルの高さは変わっても、同じように存在しているとはね。

今まさに。僕に興味のない話をしている教授を横目に、窓際に座っていた僕は、青々とした空や、地面―――グラウンドを見ていた。

ふと、空から平たい、黒い板のようなものが落ちてきたかと思うと、地面に叩きつけられた。僕は目が良いほうではあるが、さすがにこう、数十メートルも離れてしまえば意味がない。

―――ほんの好奇心からだった。僕は講義が終わるなりその場へと赴き、それを手に取った。黒い板に見えたのは、一冊のノートだった。

月「…『DEATH NOTE』…?」

そのノートの表紙に書かれていた名前らしきものを呟く。デスノート。直訳で死のノート。

1ページめくると、長々と英文が書かれていた。少々ややこしい。説明文のつもりなのだろうか。

要約すると…このノートに名前を書かれた人間は死ぬ、とのことだった。いたずらもここまで手が込んでやっとステージに立ったって感じだな。
15 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:45:22.396 ID:8bXpeW+YM.net
月「殺しても良い人間…」

部屋に戻る。まだうまるは学校のようだ。

月「なおかつ僕とは一切の関係を持たず…死んだかどうかがすぐにわかる…」

僕はこんなノートに何を本気になっているのだろう?僕の退屈がそうさせたのだろうか。とにかく…一度は試してみたくなるような…そんな魅力がこのノートにはあった。

……………

そこからは早いものだった。たまたまテレビに映った立てこもり犯の名前を書き込み、その死を見届けた。

それだけでは信じられず、これもたまたま見かけたチンピラの名前を聞き、書き込んだ。シブタクである。シブタクは死んだ。

いや、まだだ。二人くらいでは…。

それなら誰が?

……………

うまる「あーおにーちゃんおかえりー」

うまるは相変わらずだった。寝ころび、携帯ゲーム機をピコピコと遊んでいた。

月(うまる…殺してみるか?)

月(妹とはいえここまで離れていればもう他人。仮に本当に死んだとしてもこんなノートのこと、誰も信用は…)
16 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:45:40.262 ID:8bXpeW+YM.net
うまる「お兄ちゃん、やっぱり何か疲れてる?」

月「………ああ、ちょっとね」

精神力…。もしかしたら自分が二人もの人間を死に追いやってしまったかもしれないという焦り、恐怖。

死刑執行人が死刑を執行する時、三人が同時にボタンを押し、うち一つが床を落とすスイッチとなっているそうだ。床が抜けると、首を吊りその上に立っていた死刑囚は―――死ぬ。

死刑の執行は三分の一。三者は特別給与をもらって暇を出される。相手が悪とはいえ、人を一人殺すことにどれだけの心労を感じるかは…瞭然だ。

ほとんど他人とはいえ…血のつながった妹で試すというのはいかれてはいないか。

いや、しかし…こんなのただのいたずらだ。死ぬなんてことはあり得ない…。

…そこへ、電話が鳴る。

月「もし…もし、母さん」

幸子「月、あなた何か悩みでもあるの?」

月「…どうして急にそんなことを言うんだい」
17 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:45:55.137 ID:8bXpeW+YM.net
幸子「うまるからこの間、夜中に電話をもらったの。お兄ちゃんが最近おかしいってね。本当に大丈夫なの?」

月「……………」

月「ああ、大丈夫だよ」

月「もう切るね」ガチャ

月「……………」

うまる「お兄ちゃん…」

月「ちょっと、焼き芋でもしてくる。帰りにジャンプー、買ってくるよ」

うまる「ほんと!?おねがーい」

月「はいはい」

…かくして、ノートは灰になった。

これで良かったんだ。こんなノートがあれば、僕以外にも精神力を消耗することになる。

月「うまる、買ってきたよ」

うまる「ありがとー…ってこれ月刊じゃーん!おにいちゃんのばかー!」

月「東大に入ってから言うんだね」

おわり
18 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:46:08.976 ID:8bXpeW+YM.net
閲覧ありがとうございました。

このSSは単に「うまるの兄がタイヘイじゃなくて月だったら面白いんじゃね?」という思いつきのみが発端となっており、ストーリーや展開、結末も取ってつけたような稚拙なものでしかありません。

私自身、うまると月のストーリーはまだまだ読んでみたいので、このSSに触発されて似た設定のSSが作られたとしても、パクリと騒ぐどころか、逆に喜んでしまうことでしょう。そもそもこのSSも「うまるちゃん」と「デスノート」のパクリみたいなものですしね…。

そんな訳で、ここまでありがとうございました。また機会があれば。
22 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/09/18(金) 22:52:02.944 ID:AyyDs8Fz0.net

元スレ:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1442583671/

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